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atto おどろく落語会

2005/11/30 @太極拳バー“atto”

  • しん吉、たま 《トーク》
  • 笑福亭 たま 「禁酒関所」
  • 桂 しん吉 「池田の猪買い」


 バスで「立売堀三丁目」まで行って、そっから東へ徒歩で 10 分くらいですかね。ちょうど BOBLBE-E コンセプトストア大阪の東隣のビルに atto が入ってます。こんなことならもうちょっと早く出て、コンセプトストアに寄りたかった。

 普段は太極拳教室をしてるそうですが、客席は板間にゴザ敷き。
 料金は予約 1,000 円、当日 1,300 円で、座布団持参者は 200 円引き。別途ドリンク代 300 円が必要で、最小 1,100 円、最大 1,600 円になります。

 この日は予約で 30 人近くになってたようで、満員。これがまた普通の落語会と客層がかなり違ってて、若い人が多い。普段なら私でもわりと若い部類ですが、ここでは完全なるおっさんです。サラリーマン浮きまくり。
 まぁそんなことにもめげず、ホットゆずハイでゆる〜りええ心持ちになりつつ開演待ち。


 この会は太極拳教室の都合で 20 時開演。10 分過ぎくらいに“外記猿げきざる”でしん吉が登場。先日亡くなられた師匠の吉朝を偲ぶ会との趣で、思い出話をいくつか。「よくしくじって怒られたが、その怒り方が優しかった」とか、「いつも冗談を云ってた」とか。パンフには戒名の解説も。
 途中からたまが登場し、今年は亡くなられた師匠が多すぎるだの、いや来年から先はずっとこのペースだの。トイレ休憩をはさみつつ、たまはこの日のネタをアンケート。「壷算」「代書」「看板の一」「禁酒関所」のうちで、トークで話題に出てた「禁酒関所」に。(ちなみに次点は「代書」で、選択肢に「延陽伯」はありませんでした)

 で、たまは酔っ払い小咄 3 題で会場をあっためてから「禁酒関所」へ。酔っ払いのデフォルメが秀逸で、小咄も含めてかなり楽しめました。小便をグビグビ飲んでしまうって演出も、ある意味スゴい。ただ、サゲでいきなり素に戻ってしまうのはどうなんでしょう?
 落語ビギナーが多かったようで、たまが初めてってお客さんも 1/3 ほどいて、普通なら素通りするようなところでも観客に妙なリアクションが。そのあたりはやや演りにくかったかも。

 しん吉は吉朝に付けてもらった「池田の猪買い」をサゲまで。基本は吉朝流ながら、クスグリに独自のアレンジも。きっちり丁寧な高座で、よくウケてました。おもしろかったです。
 ただ、「師匠に付けてもらった」と云われると、どうしても吉朝と比べてしまうんですよね。そうすると、まだまだ吉朝の型をなぞってる感がチラチラしてしまう。これはもう、しっかり咀嚼し、飲み込み、消化し、自身の血肉になるまで稽古してもらう以外にありません。期待してます。


 たまさんとの温度差はいかんともしがたかったですが、しん吉さんの師匠への想いがじんわり伝わってくるような、なんとも云えん余韻が残りました。
 トークでしん吉さんが「噺家が死ぬと、芸までのうなってしまう」と云ってましたが、師匠の芸は弟子にしっかりと受け継がれています。がんばっていただきたいもんです。

 約 1 時間半の会で、終了後にはそのバーで食事も可能。ひとりで行ってた私はシュッと帰りましたが、残られたお客さんはしん吉さんやたまさんとワイワイ、やったんやないでしょうか。

しん吉くん、色々と大変ねぇ。
らくごの玉手箱

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つくしんぼ落語会

2005/11/29 @上方亭

  • 桂 ちょうば 「月並丁稚」
  • 桂 つく枝 「宿替え」
  • 笑福亭 たま 「Hospital」 (作:たまよね)
    ―― 中入り ――
  • 桂 つく枝 「くっしゃみ講釈」


 うっかり会社を出るのが遅れてしまって、それでもやや風邪気味で喉が痛かったんでドラッグ・ストアに寄ってのど飴を買って会場に駆け込むと、開演 5 分前。
 その段階ですでに満員状態で、その後も数人来られてました。観客は 50 人近く入ってたんやないでしょうか。つくしんぼって、いっつもこんなん?


 開口一番はちょうば。「末っ子弟子は大変ですぅ」てなマクラで会場を軽くあっためてから「月並丁稚」へ。これがなかなか、いや、かなり良かったと思います。登場人物の色分けもしっかりしてましたし、なにより丁稚のキャラがちょうばにピッタリ。
 しっかりウケてましたし、いわゆる「ニンに合うてる」ってやつですね。

 つづいてつく枝がニコニコッと登場。昔住んでた長屋のことから子ども時代の思い出話をマクラに「宿替え」へ。枝雀なんかで観たのとは違って宿替えするくだりはなく、噺が始まった時点で宿替えが終了しており、ほうきを吊る釘を打つところから。これ、マクラから大爆笑。えらいウケてました。
 欲を云えば、噺の方をフル・ヴァージョンで観たかったってことですかね。文枝一門は引っ越しのくだりを省略するのが流儀? それとも引っ越しの場面は枝雀オリジナル?

 たまは前の 2 席がかなりウケてたことでやや気負いがあったか、マクラにいろいろ詰め込みすぎな感じ。つく枝をいじり倒してると、たまらず袖からつく枝が乱入する場面も。会の宣伝も兼ねてショート落語を 2 本(「健康飲料」と「文枝のドラえもん&のび太」)披露し、たまよね作の「Hospital」を。
 この噺も高座での回数を重ねて、かなり安定度が増してきた印象。構成はほぼ固まってきたんじゃないでしょうか。これもよくウケてましたね。

 中入りをはさんで、再度つく枝登場。パンフによる抽選は失敗に終わり、ジャンケン大会に。なんとか無事終わって「くっしゃみ講釈」へ。
 前半はややたどたどしく、後半は講釈場へ入るくだりが荒っぽく、講釈でもミスが目立ち、全体的な出来はいまひとつ。これはあきらかに中入り前の 3 席よりも落ちますね。もうちょっとじっくり演ってもらっても良かったと思います。


 初めてつく枝さんの会に行きましたが、観客は老若男女バランス良く入ってる感じですね。
 中入り前の 3 席はどれもかなり良かったと思います。それだけに「くっしゃみ講釈」の出来が非常に残念でした。
 パンフに「つく枝のなんでもベスト 5」ってのが載ってて、「今回は大好きな丼モノです!」。なんかこう云った「べつに誰も訊いてへんのに」って囲み記事がまた楽しくて、つく枝さんらしさなんでしょうね。

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名探偵ナンコ よみがえれ!探偵講談

2005/11/27 @本遇寺

  • 旭堂 南湖 『源平盛衰記』より「那須与一」
  • 芦辺 拓 《芦辺拓の文藝朗読パノラマ館》
  • 旭堂 南湖 「S 巻美人」 (原作:竹葉散人)
    ―― 中入り ――
  • 南湖、芦辺 《対談 探偵講談と探偵小説あれこれ》


 JR で難波から新今宮経由で福島へ。駅前のマクドでマックチキン(税込み 100 円)を買ってパクつきながら会場へ徒歩 10 分。
 入りは 20 人弱。まずまずでしょうか。


 ほぼ定刻で南湖登場。開口一番、「芦辺先生から電話がありまして、いま大阪駅に着いたそうです。30 分ほど話してる間に来られると思います」。ちょっと不安に。
 瓢箪山から大阪城付近に引っ越ししたってな近況報告から、引っ越しで「S 巻美人」の本がなかなか見つからなかったなどをマクラ代わりに語ってから、唐突に古典講談「那須与一」へ。「びびびび美人」などの明治時代のギャグもおもしろく、聞き応えあり。

 南湖が話してる間に到着した芦辺拓(作家)氏が替わって壇上へ。会場のトイレにあった忘れ物の携帯電話に芦辺氏が出たり、「打ち合わせしてなかった」と南湖のいる裏へ引っ込んだり、かなり不安に。
 果たして、不安は的中してグダグダに。何冊か用意されたテキストから歌舞伎台本の『東海道四谷怪談』(鶴屋南北)の拾い読みでしたが、事前に読みたい所のピックアップもされておらず、ページを繰る時間の方が多かったくらいで。そんな状態ですから、勢い、語り口も早くなり、しかも舞台台本ですから台詞中心で背景がわかりづらく、聞いてても情景が浮かんできませんでした。

 再登場の南湖、本題の探偵講談「S 巻美人」ですが、こちらは稽古不足の感が否めませんでした。とにかく語りがたどたどしく、流れが悪い。全体の構成も練られていないようで、人物の相関関係さえつかみづらかったです。
 殺された S 巻きの美人は誰なのか? 誰が S 巻き美人を殺したのか? ‥‥ってな内容なんですが、原作が 3 巻物の第 1 巻で、今後の展開が気になるところではあります。

 中入り中に木戸銭徴収。割引券(前回の『南湖だんご』のパンフレット)を忘れてショック。

 最後に南湖と芦辺氏の対談。今後の探偵講談や宣伝など。ふたりとも本日の出来をしきりに反省されてましたが、それやったら事前にしっかり準備しておいてください。
 最後に『名探偵ナンコ』が今年最後ってことで、大阪締めをしてお開き。


 この日はとにかくお題目の探偵講談の出来が悪くて満足度低しですねぇ。
 S 巻きが気になって調べてみたんですけど、S 巻きの人形を見つけました。

正直南湖

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恐竜博 2005

 恐竜博へのリベンジ・マッチで、長居公園内にある大阪市立自然史博物館に行ってきました。

 まず 10:45 に会場に到着し、入場列最後尾へ。この時点でプラカードには 120 分待ちの表示。こっちは承知の上で来てるんで、ゲームボーイで時間を忘れつつ入場待ち。
 入口近くになると「場内にトイレはありませんので、ここでお済ませ下さい」とのアナウンス。それはないんとちゃうの? 回転率上げるためってのもあるんでしょうけど、ひとりで行ってる者は行きづらいがな。行ったけど。
 トイレからしばらくして 12:15 に入場。実質 90 分待ちでした。が、入口が大混雑。あんなところにガラス・ケースを展示したらあかん。もっと動線を考えたレイアウトがあろうに。
 ガラス・ケース展示はスルーして、大型の骨格標本を中心に。それにしても人が多く、写真撮影はなかなかタイミングがむずかしかったです。まぁこれは私自身も写真撮ってるんで、文句は云えませんが。
 今回の目玉、世界最大のティラノサウルス“スー”ですが、さすがに圧倒的なサイズ。ただ、復元模型なんですよね。胸骨など、一部は本物が来てたんですけど、これって詐欺でない? 詐欺は云い過ぎにしても、羊頭狗肉というか、ちょっと残念。
 その後はサブ・タイトルの「恐竜から鳥への進化」ってことで、小型で鳥の祖先っぽい恐竜の骨格標本が数体あって終わり。順路は戻れないように作られてて、これも回転率を上げる策でしょう。逆流すれば良いだけなんですが、待つので疲れてたんで退場。
 出口で売ってたスーの骨格&復元のフィギュア(海洋堂製)を購入。これ、出口側からアクセスして買えますよ。この時点で 12:45 でした。

 トータル 2 時間で、3/4 は列んでたことになります。ここまでしたわりには「こんなもんかいな?」って印象。たしかにスーの大きさには圧倒されましたが、なんやかんや云うても復元模型でしたし、これやったらこの前の南港の方がゆっくり見れておもしろかった気がします。

 大阪はこの日で終了ですが、ツアーはまだ続くようです。(どっかで見た記憶が‥‥)


マシアカサウルス (複製)
マシアカサウルス (複製)

マジュンガトルス (複製)
マジュンガトルス (複製)

タルボサウルス (実物)
タルボサウルス (実物)

ティラノサウルス“スー” (複製)
ティラノサウルス“スー” (複製)

ハルピミムス (実物)
ハルピミムス (実物)

インゲニア (実物)
インゲニア (実物)

アラシャサウルス (複製)
アラシャサウルス (複製)

恐竜博 2005

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王寺寄席

2005/11/26 @王寺町やわらぎ会館 4F イベントホール

  • 桂 佐ん吉 「狸の賽」
  • 桂 つく枝 「ちりとてちん」
  • 桂 九雀 「はてなの茶碗」
  • 桂 雀松 「三枚起請」


 つづいて JR「王寺」駅より南東へ徒歩 5 分、王寺町やわらぎ会館にて『王寺寄席』。
 じつはここの駐車場に車を停めて JR で『安養寺寄席』に行き、U ターンしてきたって寸法。マクドで軽く腹ごしらえして会場へ。
 会場のイベントホールは約 200 席で落語にはちょうど良いキャパ。この日は 150 人以上は入ってたと思います。


 まずは楽笑会(王寺で芸能を楽しむ会)亭主?のごあいさつ。この方も着物を着てて、どうもこっちも「好きが高じて」って趣。

 佐ん吉「狸の賽」は、やや早口の一本調子。もうちょっとメリハリ・抑揚がほしいところですが、マクラも含めてきっちりと。

 つく枝はマクラを軽く流し、得意の食べ物ネタで「ちりとてちん」。これ、米朝一門のとは所どころ演出が違ってて、文枝一門流か、それともつく枝流?
 所作がやや大げさすぎるきらいもありますが、とにかく飲み食いする様が絶品。このネタは南光も得意としてますが、おもしろさのポイントが絞れてる分、つく枝の方が合ってるように思います。

 九雀は以前にもこの会に出てたと思われ、出てきただけで客席に反応あり。
 「はてなの茶碗」は私も好きな噺ですが、擬人化された「茶碗くん」(勝手に命名)が心境を語る場面を時折はさむ新演出。これは楽しい雰囲気になりました。笑いも多く大満足。

 トリの雀松「三枚起請」はきっちりと。登場人物の性格付けも絶妙で、雰囲気も出てたと思います。爆笑するような噺ではありませんから、魅せると云うところに力点を置いた、上々の出来。
 終演後、隣の人が「女形、上手かったねぇ」と云ってたのが印象的でした。


 4 席で 2 時間弱、ちょうど良い感じでした。番組の構成と云い、全体の出来と云い、こちらも満足度の高い会でした。これも 1,000 円でお得感高し。
 建物が新しく座席も楽に座れたんですが、天井が高くて声が抜けていくように感じました。マイクなしで演られてましたが、ここらは普段の鍛錬が試されるところでしょう。

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安養寺寄席

2005/11/26 @安養寺

  • 笑福亭 たま 「看板のピン
  • 笑福亭 たま 「壷算」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「くっしゃみ講釈」


 この日は落語会のハシゴで、まずは JR「大和小泉」駅より北西へ徒歩 3 分、安養寺にて『安養寺寄席』。会場は本堂に設営。椅子席で助かりました。
 開演 30 分ほど前に到着すると、数人のおばあちゃんがいてるだけでしたが、あれよあれよと云う間に近所のおばあちゃんが集まり、30 人ほどに。人数のわりにはえらい賑やかです。


 この日は寄席と云いつつ、笑福亭たま独演会状態。たまが出てくるなり「ええ男やなぁ」「大きい声やなぁ」ってなことをストレートに声に出してリアクションするおばあちゃんたち。あきらかに普段の落語会とは違う雰囲気に演りにくそうなたまは、「奈良ってこんな活気あるところやったんですねぇ」。
 ここの住職がたまの先輩にあたるそう(京都大学?)で、住職自身も落語をされるとか。この会、どうも「好きが高じて」ってことみたいです。

 寺と博打との関わり合いの解説から始まった「看板の一」は、始めこそ客がなんでも笑う変なウケ方で、羽織を脱ぐだけでざわめきが起こるくらいでしたが、次第に落語の世界に引き込まれたようで、ウケ方にもメリハリが。出来自体もかなり良かったと思いますが、それにしても笑いが大きい。

 「壷算」は住職のリクエストなそうな。初心者向けに、水壷や一荷・二荷の説明から丁寧に。瀬戸物屋の番頭の困り具合はもうちょっとじっくり丁寧に演ってもらいたかった気もしますが、そんな細かいことはどうでもええってくらい、こちらも大爆笑。

 中入りをはさんで、袴姿に着替えたたまにざわつく会場。たまは気恥ずかしそうな。最後は「くっしゃみ講釈」で、繰り返しギャグなどのたま流演出を堪能したいところでしたが、おかまいなしにドッカンドッカン。


 この日は 3 席ともフル・ヴァージョンって感じで、省略したりってこともなくきっちり演ってくれました。細かいトチリも見られましたが、出来自体はどれも良かったです。とにかくおばあちゃんたちのウケが爆発的で、そんなことを気にするのも馬鹿らしい感じ。つられてこちらもおおいに笑わせてもらいました。これで 1,000 円はかなりお得。
 ちなみに、『安養寺寄席』は年 2 回、2 月と 11 月に開催予定だそうです。

 きょうこそは「延陽伯」を観られるかと思ってたんですが、次回以降に持ち越しです。

らくごの玉手箱

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MOTLEY CRUE / BUCKCHERRY - Carnival Of Sins Tour

2005/11/23 @大阪城ホール

 夕方からのライヴの前に長居公園の自然史博物館で開催されてる『恐竜博 2005』に行ったんですが、着いてみると入場を待つ超長蛇の列。とりあえず最後尾まで行ってみると、係員の持つプラカードに記されてたのが「ただいま 150 分待ち」。そのとき時刻は 2 時半。絶対無理。
 完敗で腹も立ちませんでした。南港のときはこんなでもなかったのに、大阪人はよっぽどティラノサウルスに飢えてるんでしょうか?

 気を取り直して、食料・飲料を調達して大阪城ホールへ。が、ここでも「ペットボトル持ち込み禁止」の難関が。こんなときに限って気合いの 900 ml ボトルなんよね。
 とりあえずバッグの底に忍ばせて、そそくさと入場。無事通過しました。

 席はスタンドだったんですが、ステージの真っ正面。遠くはありますが、ステージ全景を観れるのと、サウンド・バランスは期待できるか、と。


BUCKCHERRY

 ステージは MÖTLEY CRÜE 用のサーカス・テントが張られていて、BUCKCHERRY のステージ・セットはその前に設置済み。まさに前座のおもむきで。

 ほぼ定刻にスタート。チケット発売時に出演が発表されてなかったことを考えると、観客はなかなかよいリアクション。タテノリの曲を立て続けに 2 曲演ってくれたんで、かなりテンション上がりました。
 おどろいたのが、かなり音が良かったこと。大阪城ホールでこんなに良い音は VAN HALEN 以来かも。各パートの音がしっかり分離してますし、なにより音が割れてないってのが良かったです。ええ仕事してくれました。

 BUCKCHERRY に関しては新譜を含むアルバム 3 枚を 1 週間ほど予習してたんで、かなり楽しめました。これだったら単独公演の方も行けばよかったかな、と思わせる出来でした。

  1. So Far
  2. Broken Glass
  3. Porno Star
  4. Crazy Bitch
  5. Next 2 You
  6. For The Movies
  7. Ridin'
  8. Lit Up


MÖTLEY CRÜE

 約 20 分のインターバルを経て、真打ち MÖTLEY CRÜE の登場!
 1 曲目の“Shout At The Devil”から大盛り上がり!

 なんと云ってもトミー・リー(Ds)の存在が大きい!
 ヴィンス・ニール(Vo)もまずまず歌えてますし、なにより痩せてる!
 ニッキー・シックス(B)は本気仕様のメイク!
 そしてミック・マーズ(G)が思った以上に動いてる!

 それにしても、この日のサウンド・エンジニアはええ仕事してます。音量アップで音割れ必至と思ってたんですが、どうしてどうして、完璧と云っても良いバランス感覚。恐れ入りました。
 セット・リストはベスト盤志向。“On With The Show”や“Louder Than Hell”は“Piece Of Your Action”や“All In The Name Of...”にしてほしかったです。

 後半はソロなんかも。期待のトミーのソロは、空中に設置した左右 2 基のドラム・セットで。ワイヤー・アクションでトミーが左右を行ったり来たり。サウンドはテクノ風で、観て聴いて楽しめる箸休めになってました。ただ、空中を飛んでるって云うよりは空中に吊られてるって感じだったんで、このあたりはジャニーズ系ミュージカルのエンジニアあたりに協力要請しても良いのかも。
 逆にミックのソロはわけのわからんグシャグシャッとした曲とも云いがたいものを延々と演奏。これには閉口しました。それを考えると、ニッキーのほんあっさりしたソロは客に優しいですね。

 秀逸はトミーの《おっぱいポロリ要求》コーナーでしょう。「文化の違いは認めるけど、東京ではやった」ってなことを真剣に演説。最前列の女性客が次々とポロリすると、トミーのテンションがどんどん上がってました。

 曲によって小人&美女軍団が登場し、ステージ上を賑わせます。本編終了後にはステージ後方から巨大ピエロも登場し、しばしの後にメンバーが再登場して“Anarchy In The U.K.”で大団円。

 進行のもたつきが気になる場面もありましたが、ベスト選曲で会場の一体感もあり、かなり楽しめました。

  1. Shout At The Devil '97
  2. Too Fast For Love
  3. Ten Seconds To Love
  4. Red Hot
  5. On With The Show
  6. Looks That Kill
  7. Louder Than Hell
  8. Live Wire

  9. Girls, Girls, Girls
  10. Wild Side
  11. Don't Go Away Mad (Just Go Away)
  12. Primal Scream
  13. Glitter - Without You
  14. Home Sweet Home
  15. Nikki's Solo - Dr. Feelgood
  16. Tommy's Solo - Same Ol' Situation (S.O.S)
  17. Tommy's Titty Cam - Sick Love Song
  18. Mick's Solo - Kickstart My Heart

  19. Anarchy In The U.K.


 再結成の BUCKCHERRY、活動継続がほぼ決定の MÖTLEY CRÜE、どっちも今後が楽しみです。


追記(2005/11/29): タイトルのみウムラウト外しました。

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たまのクラシックコレクション

2005/11/22 @茶臼山舞台

  • 笑福亭 たま 「オーサカ・シネマロケンロール」 (作: 月亭遊方)
  • 笑福亭 たま 「池田の猪買い」
  • 月亭 遊方 「スクールバスターズ 〜ある中学校の 5 時間目〜」 (作: 月亭遊方)
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「Hospital」


 前日に送られてきたたまさんからの案内メールがおもしろかったんで引用。

私のネタは「京の茶漬け」「オーサカ・シネマロケンロール」「Hospital」「延陽伯」のうち、3 本。
まだ未定です・・・。

 『たまよね』で「延陽伯」を演れなかったんがよっぽど引っかかってるようです。メール読んで「それやったらアンケートなんかせんと素直に『延陽伯』演ったらよかったやん!」とツッコんでしまいました。

 この日の入りは 19 人ですかね。ゆっくり座るのにちょうどええ感じでした。


 まずはたま、本日の番組を紹介してから「オーサカ・シネマロケンロール」を。「『できちゃった』から変えてません」のとおり、やや整理されたかなって程度で目立った変化はなし。あいかわらずたこ焼き屋のおばちゃんのキャラはおもしろい。
 今後、たまがこの噺を高座に掛けることはないそう(遊方のいる場でしか演れないため)で、「映画のロケって云う設定だけパクって新作を作るかも」とのこと。

 つづけてたまはそのまま下りず。「オーサカ〜」の出来に満足できなかったか、遊方との演出手法の違いを説明してから「前の噺は長いマクラと云うことで‥‥」と「池田の猪買い」へ。
 かなりきっちり基本に忠実って感じ。最近、吉坊のを観たところでしたが、今回はサゲまで演ってくれてうれしかったです。サゲ直前でちょっともたついてましたが。登場人物のキャラクター付けが明確で、かなり楽しめました。

 替わって遊方。演るネタについてたまからダメ出しが多く迷ったとのこと。「ちょっとブラックな噺を」と云うことで、小中学生時代のあだ名話をマクラに本編へ。
 黒田にいじめられる青山を助けるべく立ち上がった生徒会長の白石が担任に訴え、5 時間目がホームルームに‥‥ってな噺。なんやかんやで結局は先生がいじめてる構図になるんですが、ややあり得なさすぎか?
 先生の逆ギレ具合がなかなかおもしろかったです。

 中入りをはさんで、たまが「Hospital」の再演。最後まで「京の茶漬け」と迷ってたようですが。時間の余裕があったんで、マクラにテレビ番組の企画(『恋のから騒ぎ』の噺家版)についてあれこれ。
 本編は、幽霊が出る病院の噺。かなり整理された印象で、サゲも変わってました。こちらはまずまず。削ぎ落とした分、今後の肉付けに期待、ってとこでしょうか。


 『クラシックコレクション』なのに古典 1 席に新作 3 席と不思議な構成。この考えてるのか考えてないのか、行き当たりばったり感がたまさんらしい。ただ、来週行こうと思ってる『つくしんぼ落語会』でもたまさんが「Hospital」を掛ける予定になってるんで、個人的には「京の茶漬け」か「延陽伯」を演ってほしかったです。
 内容的には悪くなかったと思うんですけど、なぜかこの日は客席がカタいと云うか、リアクションが弱いと云うか、なかなか笑いが膨らんでいきませんでした。こう云う日もあるんですねぇ。

らくごの玉手箱
遊方 FOR YOU!

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たまよね

2005/11/20 @上方亭

  • 笑福亭 たま 《大喜利》
  • 笑福亭 たま 「山寺飄吉」 (作:笑福亭福笑)
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「Spy」
  • たま、米井 《雑談》


 ちょいと早く家を出て、チケットぴあにて『桂吉弥独演会』のチケットを、波屋書房にて『大阪笑遺産』を購入。そのままジュンク堂でぶらぶらし、開場時刻にエレベーターで 4F へ。
 この日の入りは 30 人弱って感じ。初めての方も数人おられたようで。


 まずは大喜利。この日は客から有名人を募って《キャッチコピーを作ろう》。『“米”と“松” 若手落語家交流戦』に触発されたようです。
 このコーナーで KICOCA カード持参者向けのプレゼント用色紙を書くんですが、本人も云ってたようにノルマがあると尻すぼみになりますね。

 つづいての古典コーナーは「延陽伯」を演るつもりだったそうですが、突然「お客さんはなにが聴きたいんですかね?」ってことになって、緊急アンケート。結果、師匠作の「山寺飄吉」に。「せっかく『延陽伯』練習したのになぁ」って、それやったら客に訊かんだらええやん!
 刑務所へ面会に来ない妻に会いたくて脱獄した森田と、森田をよく知る元刑事の山寺との対決。
 演る前は「できるかなぁ」と云ってましたが、なかなかどうしてよく受けてました。とにかく豹変した山寺の無茶っぷりが秀逸。勢い押し的な内容なんで、細かいことは気にせず楽しめました。

 やや長めの中入り(ネタ繰りタイム?)をはさんでの新作「Spy」は、以前に諜報活動をしていたものの記憶喪失になった松本のおっさんから FBI の極秘情報の入ったフロッピー・ディスクのありかを聞き出す、ってな噺。世界を股にかけてスケールの大きい噺になるかと思いきや、舞台は淡路島に。
 テーマは「ニオイを感じさせる落語」だったそうですが、当日の朝 4 時頃に完成したそうで、未整理の部分が目立ちました。初演ではなんとも云えない部分もありますが、テーマを活かすにはまず整理でしょうね。

 最後に米井敬人(構成作家)を呼び込み、雑談コーナー。ショート落語を数本と、『オパイウーマンの詩』用の詩を数遍を披露。そのあとに新作「Spy」のテーマ解説など。


 この日は 2 時間弱と、『たまよね』にしてはやや短め。それでもなかなか楽しめました。
 ただ、やっぱり新作は数日前に仕上げて、少しでも稽古する時間を持ってほしいです。現状では『たまよね』がプレビューの場になってるようで、初めての人にはキツい会なんじゃないかと思います。

らくごの玉手箱

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瓦林寄席

2005/11/18 @極楽寺

  • 桂 ひろば 「狸の賽」
  • 桂 つく枝 「堪忍袋」
  • あさ吉、吉弥、しん吉、吉坊、佐ん吉、吉の丞 《思い出トーク》
    ―― 中入り ――
  • 桂 吉坊 「池田の猪買い」
  • 桂 千朝 「替わり目」


 吉朝さんが出演予定だったんですが、事前に千朝さんが代演、吉朝一門のトーク・コーナー追加が発表されたんで、追悼も兼ねて出かけることに。
 阪急「西宮北口」駅から東へ徒歩 15 分くらい。寺の門前に「瓦林寄席」と書かれた看板が控えめに出てました。会場となる本堂は最近建て替えたらしく綺麗で、会場となる 2 階へのエレベーターもあります。

 祭壇の前に吉朝さんの遺影と卒塔婆が飾られてあり、手を合わせる人も。遺影は高座での姿で、カッコ良い、ええ写真でした。戒名は「雲聚院翫月吉祥居士うんしゅういんかんげつきっしょうこじ」とのこと。私も手を合わせてきました。

 檀家さんを中心に集客していたようで、観客のおばあちゃん率が高い。お寺の施設を借りてるんじゃなくて、お寺が檀家さんへのサービス(&住職の趣味)で開いてる会のような印象。ですから木戸銭も 1,000 円とリーズナブル。
 入りは 100 人を越えてたと思います。ぎっしり。


 最初に住職さんのごあいさつ。プレ興行を経て今回が第 1 回とのこと。
 つづいて吉坊が、この会の責任者だと云うことで、番組変更を案内。「今回が第 1 回で、追悼興行です」。演目はすべて《お楽しみ》でした。

 まずはひろば「狸の賽」。マクラの狐と狸が賭場へ行く小咄からよく受けてます。ただ、人物(と云っても 2 人、子狸を入れて 3 人)の演じ分けが弱く、平板な印象。しっかり声も出てただけにもったいない。
 ところで、最近この噺よく聴くんですが、流行ってるんでしょうか?

 つづくつく枝は、あのニコニコした表情で出てくるだけで楽しい気分にさせてくれます。マクラから早口でまくしたて、しかもおもしろい。長くてもぜんぜんウェルカムですよ、これは。自分の嫁さんへの愚痴をこぼしつつ噺へ。
 本編の方もいきなり喧嘩の場面で勢いよく。意外と声が甲高いんで、嫁のお咲さんの嘆きが堂に入ってます。堪忍袋に思いをぶちまけるところでは、マクラで振ったつく枝自身の愚痴を。これは効果的でした。
 何度かつく枝さんの高座を観るうちに、だんだんハマってきたようです。

 ここで吉朝一門が登場。ただし、よね吉のみ仕事でこられず。
 まずあさ吉が「師匠が雲聚院翫月吉祥居士を襲名しました」と、いつものあさ吉ワールドで戒名の解説。誰かが「そうすると、これからは雲聚院翫月吉祥居士一門ですか?」。
 そのあと、それぞれの思いでを披露。とくに「自宅へ師匠を招いての食事会で喜んでくれた」(あさ吉)、「病院で稽古を付けてくれた」(吉の丞)、「トチった(米朝師匠を熱湯風呂へ沈めそうになった)ことを破門覚悟で師匠に報告したときのひと言が『殺意はあったか?』」(しん吉)、ってのが吉朝の弟子への優しさを感じさせるエピソードで、うらやましく思いました。しん吉は「怒ってもその場だけで、後に引かない」とも。

 中入り後の吉坊「池田の猪買い」は、マクラも振らず噺へ入り、時間の都合でか猪撃ちに行くところまで。それでもややクサいと思わせるほど丁寧に。
 時折のぞく吉朝の味わいに、芸は受け継がれてゆくことをしみじみ感じました。

 トリの千朝は「替わり目」。吉朝の代演で気負いもあったかもしれませんが、正直、出来はいまいち。この噺に限らず、酔っ払いは常に酔っ払ってないといけないと思います。すぐにしゃべりが普通に戻ってしまってて、おもしろさが半減。トチったりしてたわけではないんで、非常にもったいないと思います。
 サゲまでしゃべったあと、追い出しを制止し、「吉朝一門はこれから師匠なしでがんばってゆくことになります。これからも吉朝一門をよろしくお願いします」と一礼。ここらに千朝さんの人柄が表われてて、なんともあったかい気分になりました。

 最後に住職がごあいさつ。この会は吉坊を中心に継続してゆきたいとのことです。


 なんともあったかい会でした。吉朝一門の面々も、師匠への想いを胸に歩み始めた感がありました。(もっとも、高座で女々しい姿は見せないと思いますけど)
 奈良の人間としては、大阪からさらに向こうはかなり遠い印象があるんですけど、ちょっと無理して足を伸ばして正解でした。

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心の穴を埋めるもの

 某メーリングリストで吉朝さんの訃報を受けたとき、「えっ!?!?」と云うのと同時に「あぁ、とうとう‥‥」との思いがズッシリとのしかかってきました。先日の『米朝・吉朝の会』、あるいはその直前の会に行かれた方はみな同じ思いだったんではないでしょうか。
 泣きはしませんでした。涙をこらえて‥‥ってな感じではなく、思考と感情が停止したようでした。吉朝さんが亡くなられたこと、そのこと自体はあの高座を観てれば理解できるんですけど、理解したくない。受け入れたくない。心の中にぽっかり大きな黒い穴があいて、思ったこと、感じたことが全部その穴の中に落ちていくような、そんな感じで思考停止してたように思います。
 テンションが下がると云うよりも、その瞬間、テンションがなくなりました。とりあえず事実確認だけしようと思い、ネットで検索。果たして、訃報は簡単に見つかりました。しかし、事実情報のみを伝えるだけの新聞社の記事を読んでも実感がわかず、かと云って各紙が一斉に報じている訃報が誤報であるはずもなく、受け入れがたい事実に思考は停止したままでした。それでも情報を漁り続けました。それしかできませんでした。
 嫌なことがあったときは誰かに話すことで気分が落ち着くもんですが、まわりに落語の話をする相手がいなかったもんですから、ネット上のお悔やみをたぐりました。逆に心の穴が大きくなる思いでした。それでもお悔やみを読み続けました。

 その日は笑福亭たまさんの会があって、行こうか行くまいか迷ったんですが、たまさんを応援することも吉朝さんが命を懸けた落語界を支える一助になると思い、行くことに。正直、ときどきぼんやりしたり、あまり高座に集中できませんでした。
 帰りは吉朝さんの CD を聴きながら。お元気な声を聴いてると、とても亡くなられたとは思えません。
 帰宅後、母に「亡くならはったわ、吉朝さん。ガンやったらしいわ」と伝えました。母は落語好きでもなく、私が吉朝さんを好きだから知ってるってだけです。それでも声に出して話すことで、ほんの少し落ち着けたような気がしました。

 一夜明けても実感がわかず、吉朝さんのことをぼんやりと考えるばかり。ネット上には少し長めの追悼記事がぼちぼちアップされるようになり、書かれた方の思い出や想いを共有させてもらい、さらにその翌日、旭堂南湖さんの会で南湖さんの思い出話を聞き、かなり救われた気がしました。
 土曜日に個人的な落語と吉朝さんへの想いを書いて、かなり気持ちがすっきり楽になりました。心の中にあいていた穴には、ネット上で読んだ追悼記事のことや、南湖さんの思い出話や、お弟子さんたちの決意や、そんなもので徐々に満たされはじめ、底の方にぼんやり見えてきたのは、やっぱり落語なんですよね。

 吉朝さんは広く古典芸能を楽しまれてましたが、やはりそれは落語愛ゆえだったと思います。だからこそ無理を押して最後の舞台に上がったんだと思います。
 だから、その落語を私も愛しつづけよう。落語ファンであり続けよう。あらためてそう思うわけです。

 『平成紅梅亭』の DVD を観てると、楽しそうに語られてるんですよね。吉朝さんほどの噺家ですから、これから CD なり DVD なり、往時を偲べるソフトが発売されると思います。いや、発売されないと困るんですが、そうなればいつでも吉朝落語を楽しめるわけですよ。
 たしかに「生で観たい!」って欲求は満たされませんが、ない物ねだりはいけません。吉朝さんの記録にふれながら、吉朝さんに出会えた幸せをかみしめる。そのためにも、米朝事務所を中心にがんばっていただきたいところです。

 いまは、なんとなくしみじみと寂しい、そんな感じです。
 まだ日程は決まってませんが、お別れの会には万難を排して出席したいと思っています。さすがにそのときには泣いてしまうかもしれませんが。


 吉朝トリビュートの記事を書かれていたうるうさんが、最後のトリビュート記事で良いことを書かれてました。

すいなるひと

それが私の中の吉朝師匠である。

 そうなんですよね。「いき」でなく「すい」。そう云われれば吉朝さんの着物、派手でなく地味でなく、いつも洒落た雰囲気を醸し出してましたよねぇ。うまいこと云わはるもんです。
 高座も、いつもシュッとしてて、押しつけがましくなくて。すっきりとした軽さとキレがあって、それでいてたっぷりとした重量感と安定感もあり、遊び心と少々の毒気と。語感から受けるイメージとしては「いき」よりも「すい」の方がフィットするのもうなずけますね。

 そうそう、そう云えば吉朝さん自身も云うてはりましたよ。

「あまあまあま、すいすいすい」

※ 「愛宕山」より

 お粗末さんで。


 ‥‥と、冗談はさておき、うるうさんが新しいプロジェクト『吉朝日和』を立ち上げられました。これまでの吉朝さんの口演情報をまとめようと云うものです。誰かがやられるだろうなと思いましたが、さっそく動き出されたわけです。行動力の早さには恐れ入ります。
 いまは Blog で整理されてますが、誰もが編集できる Wiki 的なツールだと作業性が上がるかもしれませんね。

温泉旅館きっちょう家
吉朝日和

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エディ・ゲレロ、逝く

Eddie Guerrero passes away (WWE)
訃報 “ラティーノ・ヒート”エディ・ゲレロが急逝=WWE (スポーツナビ)
WWEエディ・ゲレロさん急死 (日刊スポーツ)
早すぎる38歳…エディ急死 (デイリースポーツ)
エディ・ゲレロ氏死去 (スポーツ報知)
WWE エディ・ゲレロさん急死 (スポニチ)


 WWE スーパースターズのエディ・ゲレロがホテルの自室で死んでいるのを発見されたそうです。死因は不明。享年 38 歳。

 小さい身体ながら、たしかな技術で会場を沸かしていました。年明けの来日興行も楽しみにしていただけに、非常に残念です。

 ご冥福をお祈りします。

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おもかげにふれる

 先月の『米朝・吉朝の会』のあと、「あの様子やと、またしばらく吉朝さんの高座は観られんかなぁ」とぼんやり考えてました。で、しばらく思案した結果、前々から買おうかどうか迷ってた『平成紅梅亭』の DVD を発注。ついでに吉朝さんが出演してると云う、監督・阪本順治、主演・赤井英和の映画『王手』の DVD も。
 発注したのが 11/5 で、11/10 には到着してたんですが、訃報の直後でまったく観る気がおきず。きのう、吉朝さんのことを書いて気持ちがちょっとすっきりしたんで『平成紅梅亭』の方を鑑賞。けさ、再度『平成紅梅亭』のを観て、そのあと『王手』を観ました。
 簡単に雑感など。


平成紅梅亭 特選落語会 特選 噺家の会
平成紅梅亭
特選落語会
特選 噺家の会

 読売テレビ開局 45 周年記念としておこなわれた『平成紅梅亭 特選落語会』を収録した DVD です。収録は 2003/5/2〜3 の 2 日間。吉朝は 2 日目の昼公演『特選 噺家の会』に出演。番組表を載せておきます。

  • 桂 吉朝 「子ほめ」
  • 笑福亭 福笑 「きょうの料理」
  • 桂 ざこば 「狸の化け寺」
    ―― 中入り ――
  • 雀々、雀三郎、都丸 《立体落語 「つる」》
  • 笑福亭 鶴光 「竹の水仙」
  • 桂 三枝 「妻の旅行」

 古典と新作のバランスが良く、色変わりの立体落語もあって、なかなか良い構成。‥‥とは云え、まだ吉朝のところしか観ておりません。
 その吉朝「子ほめ」、マクラも振らず噺に入り、途中の伊勢屋の番頭とのやり取りもカット。CD に収録されてるのに比べるとあっさりとした仕上がり。終わってみればきっちり 15 分で、前座としての役目に徹したってところでしょう。吉朝が前座とは、なんとも贅沢な会です。

 ちなみに、1 日目の『饗宴! 夢の前夜祭』には、染二、南光、文珍、小春団治、松喬、仁鶴らの落語と、大喜利(南光の司会で、ざこば、八方、松喬、きん枝、春之輔、小米朝が出演)を収録。2 日目の夜公演『上方落語の神髄 大御所の会』には、染丸、松之助、米朝、五郎、春団治、文枝らの落語と、出演者の口上を収録。
 私は 3 枚組のボックス・セットを購入。これには 16 P の冊子(出演者のごく簡単なプロフィール、『平成紅梅亭』第 56 回までの番組表、紅梅亭について、『大御所の会』での口上)が付いてます。


王手
王手

 つづいて『王手』。
 真剣士・飛田(赤井英和)と奨励会員・香山(加藤雅也)との交流を軸に、通天閣のお膝元・新世界の将棋道場で追ったり追われたり、指したり指されたり。

 吉朝の役どころは香山の師匠。出番は 2 分ほどですが、神経質そうな表情が印象的。演技としてはややクサいかもしれませんが、さすがに正座する姿は堂に入ってます。(キャラクターとしては松之助の方が目立ってますが、あれは役得でしょう)
 1991 年公開の作品ですから、撮影当時の吉朝は 36〜7 歳ですね。若いです。


 本芸の方はもちろん楽しめましたが、映画の方もなかなか。NHK 大阪製作のドラマとかには出てないんですかねぇ。そんなんがあれば観てみたいです。
 情報、お待ちしています。

 来年には、原作・中島らも、監督・マキノ雅彦の映画『寝ずの番』が公開されるそうで、この作品で吉朝さんが落語監修をされたとか。らもさんと吉朝さんのコラボレーションをマキノ雅彦(津川雅彦)さんが橋渡し。こちらも楽しみです。

温泉旅館きっちょう家

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落語のこと 吉朝さんのこと

 吉朝さんの訃報から 3 日経ち、ようやく気持ちが落ち着いてきたような気がします。それでもやっぱりいろいろ考えてしまうことに変わりありません。
 職場に落語ファンがおらず、落語好きの友達も忙しいようで話す機会を得られず、気持ちのやり場がなくて吉朝さんへの想いだけがぐるぐる回ってる感じです。
 普段は雑談などほとんどしない隣席の先輩が、「吉朝さん、亡くなられましたよね。テレビでチラッと観たんやけど、わさびさん、がっかりしはるわと思って」と声をかけてくれ、少し話せたのが救いでした。それと、きのう南湖さんが話された吉朝さんの思い出話でも、もやもやしたものが少しやわらいだ気がしました。

 ウェブが一般化し、ブログが流行ってて、いろんな方の追悼文や回顧録を読むことで気が紛れました。ありがたい時代です。
 私と同じような方も少なからずおられると思い、自分自身の気持ちの整理も兼ねて、私も吉朝さんのことを書いておきたいと思います。


 私が落語と出会ったのは、小学生の頃に読んだ六代目・柳亭燕路さんの『子ども落語』(全 6 巻)と云う本です。もちろんそれまでに落語がだいたいどんなものであるかは知ってましたが、噺にきっちり触れたのはそれが最初。感想は「おもしろい昔話やなぁ」くらいのもんでしたが、それでも落語への興味はわきました。「寿限無寿限無‥‥」と憶えてみたり、「時そば」のトリックに感心したり。
 ちょっと前、子供たちの間で「寿限無」が流行ってましたが、自分の昔を見るようで共感しつつもなんとなくおかしかったです。

 高校に入ってテレビの深夜番組にハマりだした頃、『枝雀寄席』と出会いました。衝撃的でした。「落語って爆笑できるんや」。枝雀さんも一門の方々もその落語がおもしろく、毎回楽しみでした。
 チャンネルを探ってみると、『特選!! 米朝落語全集』ってのも。「米朝さんって枝雀さんの師匠か。こっちは落語のスタンダードやなぁ」。若い時分でしたから、爆笑度の高い枝雀さんの方に惹かれてました。
 テレビでは観ましたが、生の落語はまだまだ。『枝雀寄席』の公開録画に 1〜2 度行った程度。『枝雀寄席』の特別企画『春はあけぼのオールナイト枝雀』にも偶然(友達の父親が整理券をくれたんで)行くことができ、番組中でインタビューされたのが思い出されます。

 高校時代は『週刊テレビ広辞苑』や『現代用語の基礎体力』の影響で演劇の方に興味があって、劇団そとばこまちや劇団☆新感線なんかの公演をよく観ました。そんななかに笑殺集団リリパット・アーミーもあり、そこに吉朝さんが出演されてたわけです。これが私の、桂吉朝と云う噺家との出会いです。
 リリパでの吉朝さんは「へんなおっさん」ってだけで、キャラクター的には中島らもさんやひさうちみちおさんの方が強烈(と云うか、演技が下手すぎて目立つ存在)でした。

 それでも何度かリリパの公演を観るうちに吉朝さんの落語にも興味がわいてきて、最初に行った吉朝さんの落語会が『吉朝学習塾』で、そのとき観たのが「遊山船」だったと思います。(正直、そのあたりは記憶があやふやなんですが)
 吉朝さんの落語の印象は「シュッとしてておもろい」。「遊山船」や「七段目」の粋な感じときれいなサゲが印象的で、それを抜群の安定感で演じ、しかもきっちり笑わせてくれる。クスグリのセンスや演出のこまやかさなど、とにかくツボにはまりました。
 何度か会に足を運ぶうちに、私の中では《落語=桂吉朝》の図式が定着。趣味嗜好は人それぞれですが、私にとって一番のご馳走は米朝さんでもなく、枝雀さんでもなく、吉朝さん。すぐにそうなっていました。


 小米朝さんのあとに高座へ上がったときなど、開口一番「ね、下手くそでしょ?」。どこまで本気なんかわかりませんが、自分の芸に自信がなければおいそれと云える台詞じゃないでしょう。高座では「会はせんと、ギャラだけ振り込んでもろたら‥‥」てな感じでぐうたらキャラをアピールしてましたが、言葉につまったりかんだりする場面はほとんど観たことありませんし、実際はみっちり稽古してて、研究熱心だったんだと思います。
 吉朝さんの高座ではその噺の情景が浮かぶようで、とくに季節物の噺は出色でした。「愛宕山」「百年目」「遊山船」「まめだ」「かぜうどん」「不動坊」等々。
 また、やっぱり忘れてはならないのが芝居噺。歌舞伎よりわかりやすく、歌舞伎よりおもしろく、それでいて歌舞伎への興味もかき立てる、そんな高座でした。「七段目」「蛸芝居」「狐芝居」「質屋芝居」「本能寺」等々。

 吉朝さんの落語はハズレなしだと思っていますが、とくに好きな噺を(勝手に)ご紹介します。
 「遊山船」では、風流な船遊びの情景、粋にあこがれる喜六の滑稽さ、(浴衣は汚いけど)きれいなサゲと、吉朝落語を存分に味わえると思います。
 「宿屋仇」での、紀州屋に泊まる侍・万事世話九郎と紀州屋の番頭・伊八とのやり取りと、伊八を呼び出す世話九郎がカットインする場面転換の絶妙な間。やかましい泊まり客、源兵衛、喜六、清八の三人組の描写など、見どころ満載。
 「七段目」は若旦那の芝居の真似事もさることながら、一階の旦那と二階の若旦那との対比がおもしろい。この噺もサゲがきれいに決まります。
 「高津の富」の富の抽選会場、辰八五七番に懸ける男の暴走妄想が秀逸。とくにこの噺は先日の一宮の会で観たのが、誰が演ったものよりも最高の出来でした。
 「質屋蔵」は CD の『おとしばなし「吉朝庵」』第 5 巻に収録されてるものを何度も聴いてますが、熊五郎の狼狽ぶりにはいつも笑わされます。(電車で聴いてるとヤバい)
 「たちきり」は若旦那と小糸の恋の儚さ、切なさがみごとに表現されていて、素晴らしい。こちらも CD 第 2 巻に収録されています。
 「ふぐ鍋」の所作は芸がこまかい。鍋のフタを取ったとき、スッと視線を上げて湯気を追う仕草。熱い鍋の具ををほおばり、取ったり取られたりのやり取りなど、ホントにおいしそうに食べてます。
 「蛇含草」での餅のおどり食い。私、餅好きなんです。


 会社でも私の落語好きは知られていて、職場の昼礼なんかでも話したりしてました。でも、実際は落語ファンと云うより吉朝ファンなんですよね。落語会に行くと云っても吉朝さんの会がほとんどで。
 そのことを昼礼で話した日の夜、吉朝さんは亡くなられました。

 最近は少しずつ変わってきてて、吉朝さんのお弟子さんの会や、吉朝さんの朋友の千朝さんや雀松さんの会も観るようになってきました。さらには笑福亭たまさんの会に足繁く通うようになり、そこから講談の旭堂南湖さんにまで拡大。これも学生時代から吉朝さんの会を観てきたからだと思っています。
 いろんな落語会に行くようになって、同じ噺でもいろんなスタイルがあることを発見したり、落語の広さと深さを実感しています。そしてなにより、あらためて吉朝さんのすごさを再認識。

 学生時代から吉朝さんの会を観てますが、いつでも観られるとの安心感で神戸や京都、堺の会なんかはパスしてきました。正月の『桂米朝一門会』ですら、一席しか演らんからと、ほん最近まで敬遠してたくらいです。落語以外にも浅く広くいろいろ観るのが好きなもんですから、他のイヴェントとバッティングして吉朝さんの会をパスしたことも。
 結果論ですけど、いまから考えたらもったいないことをしてたと思います。

 それでも学生時代から年に 5〜6 回かそれ以上は吉朝さんの会に行ってるはずですから、たくさん観られたと思います。その間に『吉朝学習塾』のお客さんもどんどん増えましたし、独演会のチケットも取りづらくなっていきました。

 楽屋を訪ねたりとか、個人的なお付き合いとかはまったくありませんでした。あこがれの対象で、おそれおおいと云うか。
 どこだか忘れましたが、早くに会場に着いて付近をうろついてたら吉朝さんとあさ吉さんが来られて、こちらが軽く会釈すると吉朝さんの方から「きょうはここですよねえ?」と声をかけられたことがありました。いまなら「演る人間が知りまへんのかいな」と突っ込むところですが、緊張して「そうやと思います」としか云えませんでした。それが私の唯一の、吉朝さんとの第三種接近遭遇です。

 よく会場で録音してる人を見かけましたが、その度に「いつでも生で観られるんやから、そんなことせんでもええんちゃうん?」と思ってました。結果は私の負け。いまは CD や DVD が発売されることを願うばかりです。願うばっかりではアレですから、よみうりテレビや東芝 EMI あたりに嘆願書を出してみたいと思います。


 珍しい噺を復活させてたのは、師匠からの期待もさることながら、自身の落語愛の発露だったんだと思います。自分が演ることで後生につなげたいとの想いが強かったんじゃないでしょうか。
 最後の高座となった「弱法師」、太融寺でのネタおろしでは満足できず、これぞと云う形で残しておきたかったんだと思います。病床での稽古、さぞ大変だったでしょう。
 復活噺でなくとも、古典を現代でも通用するわかりやすい演出に変えたり、わかりにくいサゲを改変してみたり、とにかく落語を後世に残したい、後生につなぎたい、そんな想いだったんではないかと思います。
 後世に残したいと云う意味では、錦影絵の復活しかり、狂言とのコラボレーションしかり。自分の人気をうまく利用して、そう云った古典芸能を広める橋渡し役としても活躍していました。

 そんな苦労をまったく高座で見せないところがまたカッコ良いですよね。


 吉朝さんのウェブ・サイトがリニューアルされ、ホームページにこんな挨拶が掲げられました。

つぶやき一句・・・
そろぼちと 布団をあげて 深呼吸

皆様、ごきげんよろしゅうございます。
さて、このたびホームページ「温泉旅館きっちょう家」を開業させていただくはこびとなりましてございます。
こんどこそまじめにやります。
うそ。
どうぞ、お暇な折にお立ち寄り下さいませ。

主人軽薄

 いかにも吉朝さんらしい、お茶目な挨拶ですよね。

 「真夜中の露天風呂 〜主人のひとりごと〜」ってコーナーにはこんなコメントも。

7 月 1 日(金)

あーよう 休ましてもろた。
ほんまはずっと休んでたいけど、ま、そうもいかんやろ。
復帰を期にこんな旅館開業したけど
ちゃんとやっていけんのかーっちゅうねん。
まーやってしもたもんはしゃーないわ。
そろぼちいこか。そろぼち・・・・

 いきなりのぐうたらコメントで、しかも復帰後まったく更新されんもんですから「早く更新してくれんかなぁ。このコーナーのこと、忘れてんのかな?」って呑気に考えてました。
 いま読み返すと、「ちゃんとやっていけんのか」とか「そろぼち」に覚悟が感じられます。


 粋で、風流で、おもしろくて、ちょっと毒があって、でも嫌味じゃなくて、古臭くなくて、それでいて古典の様式美を追求してて、そんな吉朝落語でした。マクラもおもしろく、それも楽しみのひとつになっていました。初心者に勧めるなら吉朝さん、いつもそう考えてました。
 この前の『米朝・吉朝の会』のあと、「これから枯れた味わいも出てくるんやろなぁ」とか、ぼんやり考えていました。でも、そんな吉朝落語を観ることも、もうかなわないんですねぇ。こればっかりはしゃあないですけど。

 これからは『七人の侍』ならぬ『七人の弟子』が吉朝落語の遺伝子を継いでゆくことでしょう。そのスタイルはもとより、精神性をも受け継がれることを願います。


 吉朝さんに出会って 17 年くらいでしょうか。
 楽しい時間をたくさん過ごさせていただきました。
 落語のおもしろさ、奥深さを教えていただきました。

 ありがとうございます。

 私はこれからも吉朝さんの愛した落語を楽しみたいと思います。

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南湖だんご 旭堂南湖話術研究会

2005/11/11 @上方亭

  • 南湖、鶴二 《対談 東大阪あれこれ》
  • 旭堂 南湖 「怪傑 星亨ほし とおる
  • 笑福亭 鶴二 「不動坊」
    ―― 中入り ――
  • 旭堂 南湖 「赤穂義士外伝より 寺坂吉右衛門」


 天気予報どおり、夕方から雨。そのせいか、場所や日程の設定は良いはずなのに、入りは 12 人とやや少なめ。(とは云え、この会は初めてなんで、普段はどうだかわからんのですが)


 まずは南湖がごあいさつ。鶴二を招き入れての対談は《東大阪あれこれ》‥‥のはずが、瓢箪山に住む南湖も春には大阪市内へ引っ越し予定、布施に住む鶴二もじつは大阪市側に住んでると云う、なんとも中途半端なことに。おまけに鶴二は対談のことを会場に着いてから知らされたそうで、ぐだぐだに。脱線して、滋賀県の某ホテルの余興での鶴二と南湖の出会いなど。

 つづいて南湖、「先日、吉朝師匠が亡くなられまして‥‥」と、マクラ代わりに吉朝の思い出話を。かわいがってもらったこと、講談の表現力向上に落語「動物園」の稽古を付けてもらったときのこと、毒はあるが嫌味のない冗談をよく云われていたことなど。いちいちうなずきたくなる、さもありなんなエピソードでした。
 「怪傑 星亨」は、若くして税関の長となった星亨と、密輸に荷担する英国外交官パークスとの対決を語ります。英国人の口調が中国人風(ゼンジー北京風?)なのは師匠の南陵直伝とか。また、星亨とパークスが実際は英語で会話しているところを、あえて日本語に翻訳して語るなど、笑わせどころも多く、なかなか楽しめました。

 替わって鶴二。彼の高座は初めて観ますが、*1首を前に突き出して客席をうかがうような話し方が特徴的。講談の会でウケなかったトラウマがあるそうで、そっから演りにくい会の話などをマクラに。
 噺の方は、マクラでたっぷり話したせいか、ちょっと淡泊な感じに。全体にややもっちゃりした感じの演出ですが、それが逆に良いところもあって、利吉が風呂屋でのろける場面なんかはなかなか。ただ、むやみに扇子や小拍子を触る癖はなおした方がよろしいかと。
 この日はお囃子方がいなかったんで、やや地味な印象。不動坊火焔に幽霊に扮した軽田道斎が利吉の前に現われる場面で「ドロドロドロ〜」ってのは入ってましたが、雪の降るなかを利吉の家へ向かう場面で「ボ〜ン」ってのがほしかったなぁ。

 中入りをはさんで南湖が開口一番、「先ほどの鶴二兄さんの落語、ひどい落語ですね」って、なにを云い出すんかと思ったら、「いきなり講釈師が死ぬんですよ」で大爆笑。講釈師は《七》を《なな》と云わず《しち》と云うことや、「赤穂四十七士は、実際は四十六士だ」と云う某先生の首を講釈師そろって取りに行く、なんてマクラから本題へ。
 若かりし頃の寺坂吉右衛門の、禁じられた恋の物語。主人の吉右衛門への心意気、江戸へ渡った吉右衛門の主人への忠義、いずれも義理人情に弱い日本人の琴線に触れるエピソード。「その後どうなったかは、今度、有線向けに録音しますんで、そちらで」と、まさに講談の真骨頂で笑わせてもらって閉会。


 番組の方ももちろん楽しめたんですが、この日は南湖さんに「吉朝さんの思い出話をありがとう」との気持ちでいっぱいです。意外なところで聴けた驚きとともに、その内容から吉朝さんの人柄や芸に対するひたむきさの片鱗が感じられ、舞台裏をなかなか見られない者にとってはありがたかったです。朴訥とした南湖さんの語り口で、じんわりと心に染み入りました。

正直南湖
笑福亭鶴二のほのぼの亭


*1 たまたま古い記事を調べてたら、以前に観たことあったようです。(完全に忘れてました)

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たまの気まぐれコレクション

2005/11/9 @茶臼山舞台

  • 笑福亭 たま 《名作をあなたへ 〜 灰谷健次郎 『兎の眼』 〜》
  • 笑福亭 たま 「子ほめ」
  • 桂 ひろば 「首提灯」
  • 笑福亭 たま 「七度狐」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「子はかすがい


 足取りやや重く、茶臼山舞台へ。
 この日は特価 700 円ってことでか、いつもの入りより若干多く、約 20 人。この会場だとちょうど良い感じです。


 たま、簡単に番組紹介し《名作をあなたへ》を。本日は予告どおり灰谷健次郎の『兎の眼』。まず簡単にあらすじを紹介したのち、物語中のトピックスをピックアップ。次々と発生する問題が解決されないことがかなり気になってた様子。
 予習して挑みましたが、未読でもザックリ内容がわかるような感じにまとまってたと思います。ウケの方もなかなかでした。

 そのまま下りずに「子ほめ」に。ベンチャラ男が怒られる前に次から次へとターゲットを変えるフットワークの軽さで、自宅に寄らず竹やんの家へ。米朝一門のとはクスグリやほめ口上が微妙に違っていて、その比較の意味でもおもしろかったです。

 替わってひろば「首提灯」。当日未明の 0 時過ぎにたまから連絡をもらい、出演を承諾したそうな。(たまはその前に後輩 7 人に断られたとか) 直前にたまが「絶対受ける」と太鼓判を押してハードルが上がり、かなり演りにくそう。
 噺家同士の酒席の付き合いなんかをマクラに、本編へ。最初は酔っぱらい具合が堂に入ってたんですが、それがときどき途切れるのがもったいなかった。じっくりと、酔っぱらいに集中して演るとかなり良くなると思います。

 再度たまで「七度狐」。急に演りたくなったそうで、そのせいもあってかやや荒っぽい印象。騙されスタートの演出なんかはたま流。2 度目に騙される尼寺での騒動は賑やかで、かなりウケました。

 中入り後、三度たまで「子はかすがい」。以前に観たときよりも整理されており、とくにサゲ直前の鰻屋での場面はかなり良くなってたと思います。
 ただ、この噺は場面転換が多く、そのせいか上下の乱れる場面が散見されました。チと残念。


 古典 4 席+名作で 2 時間半弱のフル独演会状態。これで 700 円は安いです。ただ、この日のたまさんはかむ場面がかなり多く、全体に荒さの目立つ高座ではありました。
 『気まぐれコレクション』は今回で終わりとのことですが、《名作をあなたへ》は良い企画だと思いますんで、別の会ででも続けてほしいです。

らくごの玉手箱

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吉朝、逝く

訃報:桂吉朝さん50歳=落語家 (毎日新聞)
上方落語屈指の実力派、桂吉朝さんが死去 (朝日新聞)
桂吉朝さん死去 米朝門下、上方屈指の本格派 (朝日新聞)
桂吉朝さん死去 50歳 米朝落語の“継承者” (産経新聞)
落語家の桂吉朝さん死去 (読売新聞)
上方落語の桂吉朝氏死去 (スポニチ)
上方落語次代のリーダー・桂吉朝さん死去 (スポニチ)
米朝「頼りにしてたのに…」 (デイリースポーツ)
米朝悲痛… 桂吉朝さん死去 (デイリースポーツ)
米朝悔し…愛弟子の吉朝さん死去 (日刊スポーツ)


 桂吉朝さんが 11 月 8 日 23 時 20 分、心不全で亡くなられたそうです。享年 50 歳。
 記事によると、やはり胃ガンだったようです。先日の『米朝・吉朝の会』での「弱法師」が最後の高座となりました。

 もっとも敬愛する噺家さんだっただけに、言葉も出ません。


 ご冥福をお祈りします。

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兎の眼

兎の眼
兎の眼
灰谷健次郎
(角川文庫)

 『たまの気まぐれコレクション』の予習で、灰谷健次郎の『兎の眼』を読了。


 大学を卒業したばかりの新米教師、小谷先生が担任する 1 年生のクラスに、無口だが気性の荒い鉄三がいた。鉄三はハエを飼っていたり、突然凶暴になったりで、小谷先生は理解に苦しむ。しかし、同僚で変わり者の足立先生との対話から子供たちへの向かい方のヒントを掴み、鉄三らと接しながら手探りで自分なりの教育方法を模索する。


 ‥‥ってのが導入部のあらすじ。その後、小谷先生とそのクラスの子供たちが成長してゆく過程がつづられます。

 読了後、「こりゃ、もっと早く読めば良かった」と思いました。また、「最近の教師や親たちは、これ読んでんのかな?」との疑問も浮かびました。
 ネットでいろいろ調べると、本作をはじめ、灰谷作品については賛否両論あるようです。たしかに、小説は理想にすぎないって意見もあるでしょうし、現実の教育現場はもっと複雑だって意見もあると思います。
 ただ、本作を読むことでいろいろと考えるきっかけになると思います。子供が読むのと、大人になってから読むのとでは、とらえ方がかなり変わってくると思います。子供が読めば、いじめや差別について考えさせられるでしょうし、大人が読むことで、教育について、子供との対峙の仕方、距離の取り方について考えさせられるでしょう。

 小学校で 3 年間担任だった先生がこの本をおすすめしてたんですが、当時は推理小説を中心に読んでたこともあって未読でした。読んでみて、なるほど納得って感じでした。

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