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鈴本余一会 柳家小三治独演会

2006/5/31 @鈴本演芸場

  • 柳亭 こみち 「道灌」
  • 柳家 三之助 「堀之内」
  • 小三治一門 《柳家三三真打昇進口上》
    ―― 中入り ――
  • 柳貴家 小雪 《太神楽曲芸》
  • 柳家 三三 「だくだく」
  • 花島 世津子 《舞踊》「松づくし」
  • 柳家 小三治 「らくだ」
※ 第五十六回


 今年の目標が「小三治を観る」でして、今回がその第一弾。チケット発売情報を うるう さんに教えていただき、勢い込んで買った前売りは 2 列目。人気とブームをいぶかしむも、良席にほくそ笑んでおりました。
 前売りは早々に完売。開場 1 時間前に会場に行くと、当日立ち見目当てのお客さんが 10 人くらい列ばれてました。それを尻目にマクドで時間をつぶして、いざ鈴本。
 鈴本は初めてですが、ビルの中にあり、キャパは 300 席弱くらいで少し狭いですね。そのわりには舞台も客席も天井が高い。客席後方に立ち見スペースが少しありますが、この日は撮影が入ってて半分くらいはつぶされてました。


 開口一番のこみちは「道灌」をきっちりと。女性だからと気になったのは懐での物の出し入れくらい。野沢雅子を彷彿させる声音で、子供の出てくる噺は合いそう。

 つづく三之助の「堀の内」で、観客の笑い指数は格段にアップ。ちょっとクサくてクドい気もしたが、このあたりは趣味の問題かも。

 一旦下りた緞帳が上がると、小三治一門の真打がズラリと並び、三三の真打昇進口上。下手より、はん治(進行役)、一琴、禽太夫、柳亭燕路、三三、小三治、福治、喜多八、〆治。
 最初は堅めの口上だったが、燕路がおもしろエピソードで盛り上げる。誰の口上を聴いてても、一門の自由な空気感が伝わってくる。最後の小三治はぶっちゃけ話もあったり、あっちこっちに噺が飛ぶも、最後は「自分が納得できる落語を」と云うような感じの、親心が伝わってくるもの。最後に三本締めで中入り。

 中入りを挟んで、まずは柳貴家小雪の太神楽。まりや皿のスタンダードから、和傘でのまり廻しでは客にまりを放らしたりも。最後のお茶入りグラスをクワに載せて振り回す水芸は、失敗しやしないかとヒヤヒヤ。

 つづいて新真打の三三は「だくだく」(上方の「書割盗人」)を。三三の高座は ぽっどきゃすてぃんぐ落語 で何席か聴いてはいたが、生は初めて。江戸落語らしい粋な口跡が心地良い。演題が「だくだく」なんで、最後は槍で突かれたつもり。

 ここで花島世津子が「松づくし」。染雀は一から十だったが、こちらは一から五までで、そこからは三段に積んだ升の上で五のいろいろ。最後は「柳家三三真打昇進/おめでとうございます」の垂れ幕で「大成功」。

 トリの小三治が出てきたのが 8 時半をすでに回った頃。演目は事前に「らくだ」と出ており、すぐに始めても 9 時半になりそうだったが、「ひさしぶりに演るが、ネタを繰る気にならなかった」とマクラを振ってくる。前日の夜も眠れず、かと云ってネタを繰る気にもならず、ついつい映画『黒い瞳』(イタリア/1987 年)を観てしまったとか。演るのか演らないのか、演目を代えてくるのかわからぬまま、そこから映画の話、エチオピアへ旅行に行ったときの話とつなぎ、そこで「そのとき初めてラクダを見ました」と「らくだ」に入ったのが 9 時頃。
 私自身、「らくだ」は米朝のくらいしか聴いた記憶がないが、大筋は同じでもやはり細部はいろいろと違いが見られる。たとえば、大家に要求する煮しめの味付けが違ったり、酔っぱらう紙屑屋のボヤキがなかったり。その紙屑屋は肴もなく 3 杯呑んだところでスイッチ・オンして立場逆転。それまでの兄貴分の「優しく云ってるんだぜ」と云う抑えた凄みも迫力があったが、そのお株を奪う目の据わりっぷりで酒を要求。主導権を握った紙屑屋がらくだを桶に詰め込んで火葬場へ行き、サゲまで 1 時間の大熱演。

 一旦下りた緞帳がふたたび上がり、小三治が挨拶。この日、鈴本演芸場の富田支配人が定年退職とのことで、富田氏と弟子一同も高座に呼んで三本締め。小三治と富田氏の抱擁がこれまでの鈴本での関係を物語っていた。


 「とにかく小三治を」との思いだけで取った今回の独演会でしたが、こみっちゃん(なれなれしい)はかわいかったし、三三さんはカッコ良いし、小三治師匠自身がひさしぶりと云う「らくだ」を観られたこともあって、わざわざ東京まで行った甲斐がありました。非常にええ感じの満足感。
 ただ、やはり師匠の得意ネタも観てみたいですし、今年中にあと 2~3 回は独演会に行ってみたいところです。

 上方ではサゲ前で切られることが多い「らくだ」ですが、なるほどそれまでの展開に比べると笑いの要素が少なくなり、乞食坊主が寝ている説明が必要で、サゲもダジャレで弱い。潔くサゲ前で切るか、サゲまで演るか、判断の分かれるところですね。江戸の粋としては「サゲまで演る」なんでしょうか。

 次回の鈴本での独演会は 10 月 31 日(火)。金曜ならまだ行きやすいんですけどねぇ。いまから 3 か月、思案します。

鈴本演芸場


 いろいろとお世話になりながら、 うるう さんからおみやげまでいただきました。ありがとうございます。

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鈴本演芸場

鈴本演芸場

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新宿末廣亭 五月余一会 昼の部

2006/5/31 @新宿末廣亭

【六輔流・桃屋寄席】

  • 江戸家 まねき猫 「高座で啼くとは限らない」
  • 入船亭 扇橋 「待ってました、歌手デビュー!」
  • オオタ スセリ 「昔の職場に錦を飾る」
  • 永 六輔、遠藤 泰子 「誰かとどこかで四十年! おなじみ TBS ラジオ」
  • おすぎ 「どうして私がピーコごときと」
  • ピーコ 「どうして私がおすぎごときと」
    ―― 中入り ――
  • 毒蝮 三太夫 「病み上がりのくそじじい」
  • 大沢 悠里 「座布団の上のラジオの王様」


 本命の鈴本・余一会(前売り手配済み)のほかになんかないかな、と目にとまったのがこの会。永六輔プロデュースのお好み演芸会のおもむきで、おすぎとピーコが高座に。扇橋さんも出るんで、「これや!」と決定。
 開場 1 時間前に到着しても、すでに長蛇の列。あまりの混雑ぶりに開場時刻を前倒ししての入場に。2 階席にうながされるも、なんとか 1 階後方の空席にすべり込み。2 階もいっぱいで、立ち見も出る大盛況。


 開演 20 分前に永六輔が舞台下に登場。マイクを手に、場内整理を兼ねた前説。軽妙な語り口で、贅沢な待ち時間に。
 開場前に招待席が前方を占めていたことに永が意見し、前方席は身銭を切った一般者の席になったとのこと。興行としてはあたりまえのことだが、これには場内大喝采。
 この日は永と遠藤泰子が進行役で、合間に出演者を紹介すると云う趣向。


 まずは声帯模写のまねき猫。永から豪徳寺と招き猫の因縁を話すよう指示され、あやふやながら解説。さらに永から「路地裏から聞こえてくる盛りの付いた猫を実演せよ」と指示され、実際に末廣亭の外をぐるっと回って実演。ついには「2 階から聞こえてくる音はどんな感じか?」と問われて、2 階からニワトリを。サービス満点。

 つづく扇橋は、普通に「道具屋」。こまかいセリフがやや聴き取りづらくもありましたが、独特の雰囲気が与太郎にぴったり。
 終わったところで歌手の小林啓子がギターを抱えて登場し、扇橋と“どうして”をデュエット。扇橋の歌は‥‥下手っぴやなぁ。永曰く「孫とおじいちゃんが歌ってるようでした」。

 つづいて、若い頃に末廣亭で働いていたと云うオオタスセリが、まわりからはギター漫談と云われる弾き語り。やや緊張気味に、“負け犬”、“五月病”、“友達の話”、“ストーカーと呼ばないで”と、酔っぱらいの女の歌を。大きい身体に甲高い声で、ネタもおもしろい。

 ここで永と遠藤のトーク‥‥のはずが、ほとんど永がしゃべる。客席にいた小林のり一(三木のり平の実子で俳優)や桃屋の社長を引っ張り出したり。

 中トリはおすぎとピーコがふたりで登場。永からは「漫才を」とのリクエストだったようだが、二人漫談のおもむき。と云っても、事前にネタを用意してた風ではなく、思いつくまましゃべってる感じだが、それがまたおもしろくもあり。当然、おかまネタも爆発。
 おすぎは最近の映画の話を。話題になったのは『ダ・ヴィンチ・コード』、『海猿 LIMIT OF LOVE』、『ポセイドン』など。個人的趣味の視点も絡めながら、それでも云ってることはまともで納得。
 遠藤をエサにピーコのファッション・チェックを始めたところで、なぜかおすぎが『ポセイドン』を熱く語り出して時間切れ。

 中入りを挟んで、毒蝮三太夫が袴姿で登場。出囃子の“ウルトラマンのうた”にのって座布団に。なにを演るかと思えば、これが落語。演目は「湯屋番」。照れ隠しか緊張からか、しきりに扇子をいじくり回したりと所作が気になるも、さすがに俳優だけあって口跡は抜群。ネタもきっちり入ってますし、人物の演じ分けもなかなか。

 トリは大沢悠里。座布団には座らず、立ったままハンド・マイクで。ラジオでおなじみらしく、軽妙なトークで場内ウケまくり。私は初めてだったが、それでもおもしろい。


 トータル 3 時間+α。寄席と云うよりお好み演芸会って雰囲気で、おすぎとピーコなんかはかなりグダグダな感じでしたが、それすらも楽しめました。いちばん楽しんでたのは、プロデューサーの永さんでしょうけど。
 終演後、スセリさんの CD 『ストーカーと呼ばないで』を購入。もちろん本人の手売りで、永さんも販売協力。トータル・プロデューサーとして最後まで手を抜かない姿勢に脱帽です。
 帰りに桃屋のメンマとザーサイの瓶詰めのおみやげ付き。至れり尽くせりです。

新宿末廣亭

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そごう寄席

2006/5/28 @そごう劇場

【福笑 雀三郎 二人会】

  • 笑福亭 たま 「兵庫船」
  • 桂 雀三郎 「親子酒」
  • 笑福亭 福笑 「ちしゃ医者」
    ―― 中入り ――
  • 桂 雀三郎 「G & G」
  • 笑福亭 福笑 「ミナミの旅」


 初のそごう劇場。キャパは約 300 席。後方 3 分の 2 が収納式座席で傾斜が付いていて、どっからでも観やすそう。
 自由席だったんで開演 1 時間前に会場へ行きましたが、すでにかなり列ばれてました。それでもなんとか観やすい席を確保。前売り完売で、当日券も売り切れて満員に。
 今回の二人会は、福笑さんと雀三郎さんがそれぞれ古典と新作を一席ずつ演ると云う趣向。中入りをはさんで、前半が古典、後半が新作。


 まずは前座のたま。ショート落語ベストで観客をつかんでから古典の「兵庫船」を。風邪をひかれたか、声のかすれがちょっと気になるも、得意ネタをきっちり繰ってきたとの印象で、ウケも上々。

 雀三郎の古典は、酔っぱらったふり指南から「親子酒」へ。酔っぱらいのデフォルメが秀逸で、「うちの一門のお家芸です」と云うだけある見事なぶっ倒れっぷり。さすがです。
 新作「G & G」は、ロック・バンドを結成したじいさん連中の噺。後半はバンドの練習を見に行くと云う流れで、雀三郎自身がギターを手に弾き語り。ロックと云ってもそこは落語の世界、歌謡曲や童謡のコミック系替え歌で、にぎやかな高座に。

 福笑の古典は、強烈な「ちしゃ医者」。後半、駕籠のなかの赤壁周庵先生の股ぐらに肥たんごが押し込まれ、たっぷり入った肥たんごは駕籠が揺れるたびに‥‥。この場面を執拗なまでに克明に描写。一時中断し、自分自身に云い聞かせるように「こんなもんは、中途半端がいちばんあきまへん」と宣言してから、さらにダメ押しの揺らし。におってきそうな高座に。
 新作は、マクラで言葉へのこだわりをアピールしてから、おっさん二人がジーパンを買いにミナミへ繰り出す「ミナミの旅」。難波からアメリカ村へ向かう途中でそごうへ。「ここもいろいろあったからなぁ」と、触れられたくないであろう過去をほじくる。その後は若い店員の言葉づかいにキレまくり。「あるある」と思った私はすでにおっさん!?!?


 事前にネタ出しされてた会で予想はできてましたが、いずれも爆笑系でたっぷり笑わせてもらいました。そんななかでも福笑さん、古典は小学生が喜びそうなシモ中のシモ、新作では古傷にグリグリするようなクスグリと、こっちが心配してしまうほどのサービスぶり。次の出演はあるのか?
 次回の『そごう寄席』は【桂吉朝追善落語会】と題し、7 月 9 日(日)に昼夜公演。‥‥なんですが、すでに前売り完売のようです。チケットを手配していただいた O さん、ありがとうございます。

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福楽の底力

2006/5/27 @上方亭

  • 桂 二乗 「牛ほめ」
  • 桂 福楽 「田楽喰い」
  • 笑福亭 三喬 「借家怪談」
  • 桂 福楽 「野崎詣り」
※ Vol. 3


 天気予報に反して雨にならず、曇り空で涼しくしのぎやすし。出かけるのにちょうど良かったからか、50 人近くの入りで満員に。
 この福楽さんの会は今年から奇数月に開催してるそうで、今回が 3 回目。私は初めてですが。


 開口一番の二乗。米朝一門の若手が集まって広い米朝宅を大掃除したときの話をマクラに、広い屋敷の出てくる「牛ほめ」を。
 うまいうまいうまい。あいかわらずの安定感で、途中でちょっとトチっても、その後にくずれることがなかったのはあっぱれ。

 ゲストの三喬、幽霊と化け物の違いや、女性が幽霊になるための 5 つの条件(美人で、色白で、口数少なく、足が小さく、やせている)で、幽霊に関する予習をマクラに「借家怪談」を。
 このネタは初めて聴いたが、空き家を借りに来る人に怪談を聞かせてあきらめさせる噺。先に来た男はビビッて逃げていくが、次に来た男が「ワレ!」を連発するゴリゴリの河内のおっさん。これがまた強烈で最高。

 福楽の一席目、マクラで上方落語協会の機関誌『んなあほな』を執拗に宣伝し、最近の金にまつわるニュースから「1 兆円ってどれくらいのカサあるんでしょうねぇ」。いきなり福楽ワールドにいざなわれる。
 「田楽喰い」はこの前聴いたところですが、きょうは自身の会と云うことで、「野菜を云うたらええんか?」の喜六のボケ具合が前回比 120 % に。
 二席目の「野崎詣り」は、大師匠・春團治の型。きっちり丁寧に演られてるなぁと思ってたら、喧嘩の途中で清八に云い間違いを指摘された喜六が突然逆ギレ! こっから終盤は怒濤の大爆笑! お見事!


 この日は 4 席ともハズレなし。中入りなしで 1 時間半でしたが、中身は充実。大満足の会でした。福楽さんの独特の雰囲気がなんとも云えません。
 次回は 7 月 17 日(月・祝)の予定。

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完本・突飛な芸人伝

完本・突飛な芸人伝
完本・突飛な芸人伝
吉川潮
(河出文庫)

 高岳堂さんの記事 で祝々亭舶伝さんのことが書かれていて、ちょっと気になって検索してみるとこの本がヒット。舶伝さん以外にも、月亭可朝・月亭八方の師弟、川柳川柳、ショパン猪狩など、気になる芸人さんが多数。
 さっそく読んだんですが、これがおもしろい。こう云う本って往々にして東京の芸人さんが中心になりがちなんですが、関西の芸人さんが 3 分の 1 ほどを占める構成で、著者の見識の広さがうかがわれます。

 それぞれの芸人さんの半生を、多彩なエピソードで構成。かなり取材されてるようで、それぞれのエピソードがなまなましく、読んでると当時を追体験しているよう。
 雑誌連載時から 20 年、最初の単行本刊行から 18 年たっているため、附記・追記のかたちで近況などもフォローされてます。このあたりに著者の芸人・演芸への愛が感じられますね。

 解説は春風亭昇太さん。短い文章ながら、彼の考える芸人像がかいま見られます。

 通勤時や整骨院の待ち時間なんかに読みましたが、各項 15 ページずつくらいなんで、ちょっとした時間に読むのにちょうど良いです。演芸ファンのみなさん、ご一読を。

 なお、新潮文庫からも出てますが、そちらは一部の芸人さんの項がカットされています。おなじ読むなら《完本》と銘打った河出文庫版がおすすめ。
 参考までに、河出文庫版の目次を載せておきます。

  • 借金のタンゴ ―― 月亭可朝
  • 川柳の賛美歌 ―― 川柳川柳
  • 八つの顔の男だぜ ―― 林家木久蔵
  • 野球狂の唄 ―― ヨネスケ
  • 喧嘩エレジー ―― 石倉三郎
  • 究極の貧乏 ―― 祝々亭拍伝
  • 与太郎の青春 ―― 柳家小三太
  • 男の顔は履歴書 ―― マルセ太郎
  • 神様のヨイショ ―― 古今亭志ん駒
  • 音頭とるなら ―― 桂文福
  • 歌舞伎座の怪人 ―― 快楽亭ブラック
  • ホラ吹き男爵 ―― ポール牧
  • ドツかれる女 ―― 正司敏江
  • ヘビの軌跡 ―― ショパン猪狩
  • 白塗り仮面 ―― 桂小枝
  • 春日部の名士 ―― 林家正楽
  • 六甲おろしに颯爽と ―― 月亭八方
  • ホンジャマーの男 ―― 早野凡平
  • 浪花アホ一代 ―― 坂田利夫
  • 酒と馬鹿の日々 ―― 春風亭梅橋

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しゃべれども しゃべれども

しゃべれども しゃべれども
しゃべれども しゃべれども
佐藤多佳子
(新潮文庫)

 TOKIO の国分太一くんが映画『しゃべれども しゃべれども』に主演、柳家三三さんから落語の指導を受ける、ってニュースを見て、原作が気になったんで読んでみました。

 二ツ目の噺家・今昔亭三つ葉のもとに、いろんな理由で落語を習いたいと集まった、綾丸(テニス・コーチ)、十河(OL)、村林(関西弁の小学生)、湯河原(元プロ野球選手)の 4 人。三つ葉も含めて、それぞれがそれぞれに悩みを抱えながら、反発し合いながら、それでも落語だけをよりどころに三つ葉のもとへ集まる。‥‥ってのが導入部。

 とにかくみんな、なにかしら悩んでる。それは仕事であったり、恋であったり、人間関係であったり。そのあたりがなんともリアルな日常的で、個性的なキャラクターと相まって、世界観に不自然さがあまり感じられませんでした。(ただ、私は東京の落語界事情には疎いんで、フィクションとしても不自然なところはあるのかもしれませんが)
 村林に爆笑型の枝雀をすすめるあたり、なかなかええとこ突いてるなぁ、と。登場人物は架空ですが、鈴本演芸場が出てきたり、バック・ボーンは詳細に取材されてる様子がうかがえます。あと、着物やなんかの描写が詳細で、そのあたりの趣味のある方はよりいっそう楽しめそう。

 落語好きでフィクションも楽しめるって方はご一読を。着物好きなら、なお。


 ちなみに、「太一が三三に弟子入り」関連のニュース・ソースはこちら↓あたりを。

国分太一が落語家役、弟子入りも (スポニチ)
国分太一、単独初主演映画で落語 (日刊スポーツ)
国分太一が映画に単独初主演…落語家役、柳家三三のもとで修行 (サンケイスポーツ)

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らくご道 笑福亭生喬と桂こごろうの落語会

2006/5/25 @上方亭

  • 桂 こごろう 「夢八」
  • 笑福亭 生喬 「野崎詣り」
  • 笑福亭 生喬 《舞踊》「五段返し」
  • 桂 こごろう 「七段目」
    ―― 中入り ――
  • 生喬、こごろう 《対談:夕焼け日記》


 鶴瓶さんの出る『西成寄席』も気になってたんですが、こごろうさんの「七段目」を楽しみに初『らくご道』へ。今週は初めての会が 3 つ続きました。(ちなみに土曜も初予定)
 入りは 40 人くらいで、ええ感じの満員。この日は取材が入ってました。


 先に登場したのはこごろう。普段は一席ずつのところを、今回はハメモノを入れられるんで、せっかくだからとボーナス・トラックで「夢八」を。八兵衛の夢の話が漫画っぽく表現されてるんで、後半の猫や死体がしゃべるのも不自然さがなくアリな感じ。
 関係ないんですが、「七度狐」もそうですけど、なんで死体は“伊勢音頭”を唄わせたがるんでしょうかね。

 生喬の「野崎詣り」は、雀三郎に付けてもらったそう。
 喜六が喧嘩に失敗したあとに屋形船が出てきて、屋形船の人と堤の人との喧嘩が見本になり、喜六が喧嘩に再チャレンジ‥‥って構成。この屋形船は春團治のには出てきませんが、風流な感じを加えるとともに、喜六の学習過程がうまく表現されますね。丁寧な描写に加えて喜六の表情がコロコロ変わっておもしろく、立体的な印象に。
 ここで生喬からのボーナス・トラックの舞踊。

 再登場のこごろうが、封印していたと云う「七段目」。こちらは吉朝に口移しで付けてもらったとか。
 若旦那の芝居の真似がクサくて、これがまた「芝居好きの素人」っぽさを醸し出しててなかなか。ところが、二階で若旦那が定吉に「下はお軽やけど、上はお猿やなぁ」と云うところを「下はお猿やけど‥‥」と云ってしまい、それで動転したか緊張の糸が切れたか、以降はメロメロに。もうちょっとタメがほしいかなと思ったものの、ここまでなかなかええ感じで運んでただけに、もったいなかった。
 これに懲りてまた封印‥‥ってなことにならないことを祈ります。次回に期待。

 中入りをはさんで、生喬とこごろうの対談。それぞれの本日のネタから、こごろうは吉朝の会でよくトチッた話、生喬は不思議な雀三郎邸の話を。そっから稽古を付けてもらいに行くときに持っていく手土産やお中元・お歳暮の話などに。一斗缶にこだわるこごろうがおもしろい。


 おもしろかったですねぇ。このふたりだと「もっともっと」と思ってしまいます。
 こごろうさんの「七段目」はほんと残念。出来自体は悪くなかったんで、また折を見て演ってほしいです。リベンジに期待。

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育っちゃったらくご!

2006/5/24 @茶臼山舞台

  • 笑福亭 たま 《ごあいさつ》
  • 旭堂 南湖 「忍者」
  • 桂 三風 「え5
  • 月亭 遊方 「老婆の宝くじ」
  • 三金、たま 《中継ぎ》
  • 桂 あやめ 「Say you ~あなたのために~」
※ 第 1 回


 『できちゃったらくご!』で産声を上げた新作を育てる会の始まり。40 人近く入りましたが、なんとここでの新作の会が初めてのお客さんも多数。落語ブーム?


 この日は三金とたまが進行の予定だったが、たまのみが登場して番組案内。あやめと三金は某局の公開録画番組に出演中で遅れるとのこと。

 南湖の地元・甲賀の里の忍者屋敷を舞台に繰り広げられる忍者選手権の噺。個人的に忍者好きなんで、これは楽しい。忍法豆知識のような前半もおもしろいんですが、選手権になるとあっと云う間に終わってしまうんで、忍法対決の場面がもっと入るとおもしろさ倍増では?と。

 三風は、何度も「え?」と聞き返す男と、何時でも「どうでもええけど」を付けてしまう男の、口癖我慢対決の噺。何度も何度も「え?」「え?」と聞き返すんで、ホンマにいらーっとしてくる。そこがこの噺の真骨頂でしょうが、テンポを考えると徐々にはしょっても良いのかも。

 遊方は、祖母が宝くじの 1 等を当てててんやわんや、な噺。宝くじ当選で家族が次々とハイ・テンションになる前半では驚き方がややわざとらしいものの、祖母が宝くじをなくして家族全員が激怒する後半のいやらしさは真に迫った演出。

 ここで三金が到着し、たまと高座へ。番組の様子なんかを紹介。

 あやめは声優の苦悩をつづる噺。今回で 3 回目とのことだが、声色の使い分けが秀逸で、声優界の舞台裏もありそうな感じ。終盤の『セツ子の部屋』は唐突なようだが、そこからのサゲはきれいに決まる。

 最後に出演者が舞台に上がって反省会。みな「観客の期待感が高いのか、ウケがいまいち」との印象だったとか。たしかにチラシには「できちゃったらくご!で作ったネタをちゃんと一人前に育てる会」とあるんですが、会のタイトルが「育っちゃった」だと、すでに育ったものが提供されるかのような印象を与えられてたかも。


 今回はあやめさんがいちばん良かったです。三風さんと遊方さんのはおなじ構成でも演出次第でもっと笑いやすくなると思いました。南湖さんのはもうちょっとふくらませてほしいところです。(もっとも、これは個人的な趣味もあるかと思いますが)

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べにこご しゃべる紅雀×しゃべるこごろう

2006/5/23 @Salon de AManTo (天人)

  • 桂 こごろう 《ごあいさつ》
  • 桂 しん吉 「牛乳時代」 (作:中島らも)
  • 桂 紅雀 「青菜」
  • 桂 こごろう 「崇徳院」
    ―― 中入り ――
  • こごろう、紅雀 《トーク》
※ Vol. 24


 朝から天気が悪くてかなり迷ってたんですけど、一度『べにこご』体験すべく Salon de AManTo へ。ただ、初めてだと絶対わからんようなとこにありますね、この店。迷いながらも、よく落語会で見かける方を発見したんで、その方を尾行して無事到着。
 想像以上にお客さんで、30 人近くあったかな。アンケートを記入しつつ開演待ち。


 ラフな格好のこごろう登場。簡単なあいさつと、ゲストの“乗り鉄”しん吉を紹介。

 ゲストのしん吉は中学校で講演したときの話を、生徒のアンケートを交えて。中 1 の感想はかなりストレート。
 ネタは中島らもの「牛乳時代」。3 月の吉朝一門会以来ですが、かなり安定してきた感じ。「む~ん」のときの所作がもうちょっと自然なものになれば笑い度数もアップしそう。

 紅雀はマクラでこごろう&紅雀&ひろばで行った余興絡みの北海道旅行の顛末を。そっからまさかの急転直下で「青菜」へ。
 植木屋の物云いがおもしろく、また自宅へ引き上げるときの姿に現代のサラリーマンにも通じる苦悩を感じさせる演出。植木屋が大工に云う「わかりますか?」に師匠・枝雀の香りが。お咲に「‥‥九郎判官、義経、義経」とダメ押しされて「弁慶」と云ってしまうまでの間がサゲに良い効果的を。いろいろと工夫が感じられ、好印象。

 こごろうの「崇徳院」は、母屋へ到着した熊五郎が玄関先で番頭に挨拶してから旦那にお目通りしたり、熊五郎が首から提げたおひつを下ろしたくても下ろせなかったり、「瀬をはやみ~」の立て前が小さい声から徐々に大きくなっていったり、そのあとをつけてくる子供が踊ってたり、とにかく描写がことのほか細かい。そこにクスグリが山ほど盛り込まれてて、大爆笑の一席に。

 中入りをはさんで、客のアンケートをもとにこごろうと紅雀のトーク。お題は、(1)私はこれをこれに使っています。(2)あなたの記念日。(3)私これを見るとこんな気になっちゃいます。
 ラジオ的トークで、なんとも心地良い、ゆる~い空気に。私の書いたのが会のオチ的に使われて、ちょっとうれしかったりも。


 もっとあっさりした会かと思ってたんですけど、お客さんが多くてアンケート・トークが長くなったのと、しん吉さんのゲスト出演もあって 22 時過ぎまで。それでも腹八分目感だったのは、やっぱり全体としてはあっさりしてるから?
 中入りに紅茶を飲みつつ、オマケのうまい棒をいただきました。そんなリラックス感もええ感じですね。また行きたいです。

べにこご WEB
Salon de AManTo (天人)

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海の日に密航プロジェクト

 本日より『大銀座落語祭 2006』の先行販売(第 2 次)がスタート。昨年はお江戸の落語イベントなんてリオのカーニバルと同じくらい非現実的でしたが、今年のテーマが「観たいものを観られるときに観る」なんで、朝からチケットぴあに行って確保してまいりました。
 参加イベントは以下のとおり。

  • 7/16(日)12:00~ 小朝の会、春團治の会、小三治の会
  • 7/16(日)18:00~ 貞水と談春の怪談噺の会
  • 7/17(月)13:00~ 危険な香りの落語会(可朝、ノック)

 7/17(月)は同時刻に昇太の「牡丹灯籠」があってかなり迷いました。が、「昇太にはまたの機会がすぐにありそうだが、可朝にはなかなかない」との判断で決定。(とは云え、昇太の会と比べるまでもなく珍しさだけの色物企画の香りがプンプンしてるんで、1 泊してまで観るようなもんかどうか、ちょっと不安になってきた‥‥)
 7/15(土)の清水みちこ&花緑&風間杜夫&志の輔の会ってのも観たかったんですが、この日は『たまよね RX』が入りそうってのと、さすがに落語で 2 泊は手荒いやろうとの判断でペンディング。(まだ行く気アリ!?!?)

 チケットぴあは月曜の朝ってこともあってほかにお客さんもおらず、あっさり取れました。しかも、小朝&春團治&小三治の会はそこそこの席、他の会にいたっては最前列です。「ほんまに落語ブーム?」と思う半面、「月曜の朝から落語らくご云うてんのも考えもんやな」とか思ったり。
 お江戸の落語ブームを肌で感じつつ、銀ブラでもしてきます。

大銀座落語祭 2006

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たまよね RX

2006/5/20 @茶臼山舞台

  • たま、いわみ 《大喜利》
  • 笑福亭 喬介 「手水廻し」
  • 笑福亭 たま 「皿屋敷」
  • いわみ せいじ 《Drawing Comic》
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「My Wife」 (作:たまよね)
  • たま、米井 《雑談:今日のたまよね RX》
※ 第 1 回


 本屋めぐりで時間をつぶし、マクドで軽く腹ごしらえしてから会場へ。すでに 10 人くらい列ばれてたんですけど、いつもお見かけするお客さんだったんで「土曜やとみんな早いなぁ」程度に思ってました。が、開場後もどんどんどんどんお客さんが詰めかけ、40 人以上に。用意していたパンフレットも切れて、大入り超満員。


 まずたまが登場してごあいさつ。RX のポイントは、(1)ネタ下ろし新作落語を演る、(2)落語以外の芸人さんとの交流でたま自身が成長する、の 2 点だそう。
 ここでいわみせいじ(漫画家)氏を呼び込み、まずは漫画界の裏話をインタビュー形式で。(個人的に衝撃的なネタも)
 その後は「お絵かき大喜利」と題して、ふたりして客からのお題で漫画を描く。まずは 2 コマ漫画をふたりで 1 コマずつ(一方がネタ振り、他方がオチを)。これがなかなか難しいようで、「梅雨入り」「ダ・ヴィンチ・コード」「初孫」の 3 題はピリッとせず。最後に「糸電話」でそれぞれ漫画を描くと、さすがに本職のいわみ氏がええ感じにまとめて無事終了。

 つづいて三喬の二番弟子・喬介がややカタい笑顔で登場。パンフの「あっと驚くあのネタが‥‥!?」に「あんな時空を超えた落語はできません」とことわって、「手水廻し」をしっかりていねいに。教わったとおり演られてるようで、ときおり師匠のテイストが見え隠れ。終盤の「どっひゃー!」と云う千朝風の飛び道具にはあっと驚かされました。

 たまの古典は「皿屋敷」。春團治に付けてもらったと思われるなごりが所々に見られるも、それでもしっかりたま色の出た演出に。後半、お菊をひと目見ようと近郷近在から集まった見物客の会話に R-15 指定スレスレのクスグリも。最後のお菊の逆ギレも、やり過ぎくらいのド迫力。

 客席左側の仕切りカーテンを開けて始まったいわみ氏の Drawing Comic は、すき焼きの具材で客の似顔絵を描くと云う趣向。出てきた具材は、ネギにシイタケにハクサイ。モデルの特徴をとらえて即座に漫画タッチで描く技術もさることながら、逆さに描いてみたりと手慣れたもの。
 最後にコンニャクを使い、鏡文字で「Thank You」と書いて中入り。

 中入り後、たまの新作「My Wife」は、深夜に部下を連れて自宅へ帰った課長の妻がじつは幽霊で、その晩に霊媒師が来て妻の成仏を試みる‥‥って噺。
 扇子に顔を隠しての夫婦喧嘩は、扉のむこうで喧嘩してるとの演出。妻の幽霊が強烈な性格で、尻に敷かれる課長との対比が(典型的とは云え)おもしろい。課長が妻に取り憑かれるシーンの顔芸は必見。

 最後に米井敬人(構成作家)氏も出囃子に乗って登場し、雑談コーナー。
 たまからの e-DM に書かれていた「たまよねの《壁》」について、「状況設定が決まると、ギャグ(クスグリ)のパターンも決まってしまう」とたまが解説。たしかにそのとおりかもしれないが、次回以降のハードルを自ら高くしてるような気も。これは 2 ヶ月後に期待。
 米井氏の近況として、うめだ花月の『芝居もん。』に脚本を提供、落語ネタをとのオファーで「算段の平兵衛 2006」とのこと。さらに e-DM の予告どおり『ビギナーズラック』の話題へ。ブレーンとして参画しているが、前回はおまけ要素(開演前のラジオ風トーク、オープニング映像、等)の準備で古典の改作にはタッチできなかったとか。


 番組表から予想できましたが、2 時間半でたっぷりの会に。「皿屋敷」の出来は良かったですし、初演の「My Wife」もかなりまとまってたと思います。色物の効果もあって、寄席の雰囲気でした。
 次回は『DX』が 6 月 18 日(日)の 14 時から。
 『たまよね』は『DX』と『RX』の交互開催ですが、8 月には『たまよね祭り』も企画されてるとか。そちらも楽しみです。

らくごの玉手箱
いわみせいじno館

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上方亭ライブ

2006/5/20 @上方亭

  • 桂 壱之輔 「転失気」
  • 桂 福楽 「田楽喰い」


 天気、回復しましたねぇ。傘持って出たんで、なんか損した気分で会場へ。
 30 分前くらいに上方亭へ行ったんですが、先客は 2 人。かなり心配でしたが、開演直前にどんどん詰めかけ 40 人以上に。ええ加減の満員具合でひと安心。


 壱之輔が出てきてもぼちぼちと客が。落語認知度アンケートで初心者の割合を把握し、基本的な小咄から徐々に長めの小咄をつなげて「落語ってこんなんですよ」ってことをさりげなくアピール。
 落語の方は、 『桂春團治極付十番落語会』 でも観た「転失気」を。欲を云えば登場人物にもう少し色がほしいところですが、ていねいさはあいかわらず。会場はええ雰囲気でほぐれたと思います。

 つづく福楽は出てくるとこから独特のほんわかした雰囲気が。マクラ代わりにうどんと焼き芋を食べる仕草で落語らしさを客に味わわせてから「田楽喰い」を。
 「レンコン」「ニンジン・ダイコン」ときて「野菜云うたらええんやな?」って男のアホさ加減が尋常でない。野菜どころか、最初は「なに云うのん?」って具合で、これがまた福楽のニンに合ってるんです。
 最後のジャンジャンウーウー云いながら田楽食べまくるところもパクパクモグモグおいしそうで、楽しい一席になりました。


 福楽さんをお目当てに、今回初めて上方亭ライブに足を運んだんですが、充実の 1 時間でした。入場料が 400 円ですから、お気に入りの噺家さんか気になる噺家さんが出られるならお手頃な会だと思います。

 終演後、展示室をぐるりと。殿堂入りした芸人さんのマリオネットが展示されてるんですけど、これがまたええ出来で。ビデオ収録されたものでも良いんで、動かしてるところを見てみたいです。
 新たに殿堂入りした宮川左近ショーのビデオが流れてましたが、いま観るとええ感じでおもろかったです。

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師 桂吉朝に捧げる 吉朝一門会

2006/5/19 @ワッハホール

  • 桂 吉の丞 「米揚げ笊」
  • 桂 あさ吉 「茶の湯」
  • 吉朝一門 《トーク:桂吉朝と七人の弟子》
    ―― 中入り ――
  • 桂 吉坊 「口合根問」
  • 桂 吉弥 「愛宕山」


 普段なら難波まで 30 分のバスが、事故渋滞で 1 時間に。ちょっと早めに出てて助かりましたが、ジュンク堂の 3F から上りのエレベーターに乗ろうすると、毎回満員。通過してしまうのもあって、仕方なく 1F に下りてから 5F へ。おかげで開演ギリギリに客席へすべり込み。間に合って良かった。
 前売り完売と云うことで、補助席も出ての超満員。
 それにしてもここの補助席、据え付けの客席に比べて座面が高いんで、補助席の人の頭が高くなって、外側の席に座るとかなり気になります。それを考慮してか舞台を高くしつらえてありましたが、それでもやっぱり気になりました。この補助席、なんとかしてほしいですね。


 開口一番の吉の丞は軽いマクラで客席をほぐしてから「米揚げ笊」を。テンポが良く、表情もおもしろくて、やや大げさな所作が気になるところもありましたが、しっかり稽古されたことがうかがわれます。笊屋までの道順で橋を渡るか渡らんか、の部分の会話が自然な流れで、このあたりの細かいところも意識的に演られてるんだと思います。
 ところが、米相場師の家で姉と兄を紹介して切られたのが残念。サゲまでもう少しなんですから、最後まで演ってほしかったです。

 つづいては、三味線の稽古で譜面のページめくりをほめられる、総領弟子のあさ吉が得意の「茶の湯」。これはもうニンに合うてると云うか、知ったかぶりのご隠居の理由なき自信とその後の暴走が絶妙。サゲにもう少しタメがほしいとは思いましたが、ひさしぶりのあさ吉落語に大満足。

 弟子七人が舞台に勢揃いし、あさ吉の口上で始まったトーク・コーナー。東京での反省をふまえ、発泡スチロールの箱に入れた巻紙を引いてのテーマ・トークにしたそうですが、いつもの「司会は吉坊、進行は吉弥」って感じに。
 聞いたことあるエピソードも多かったですが、吉朝がものまねしてた CM の声がよね吉だったと知って愕然とした話なんかは初出かも。吉の丞の似てるか似てないかわからん師匠のものまねも。蕎麦の話や猫の話や夢に出てきた師匠の話など、おおいに盛り上がりました。

 中入りをはさんで、吉坊は珍品の「口合根問」。日用品で駄洒落を云う、ただそれだけの噺。師匠の吉朝が米朝の弟弟子の米治郎に付けてもらったそうで、米治郎自身も意味がわからないまま演ってたクスグリもあったとか。吉坊のはおそらく吉朝が再構成したもので、それほどわかりにくいものもありませんでした。
 それにしても、吉坊の口跡は師匠そっくり。声質こそ違いますが、「吉朝が降りてきたか?」と思わされる場面も。

 トリの吉弥は「愛宕山」。やはりこの会は吉朝ファンが多いでしょうから、どうしても師匠のと比べられてたと思います。そんな状況と、師匠の得意ネタを満員の大舞台で披露すると云うことのプレッシャーからか、前半はややカタい印象。それでも一八が大傘を手に崖を飛び降りるあたりからの盛り上がりはなかなかで、驚愕のラストまで一気に。


 マイペースのあさ吉さん、安定感のある吉弥さんを再確認しつつ、吉坊さんと吉の丞さんの上手さが光ってました。とくに吉坊さんは《小吉朝》と云っても良いくらいの雰囲気でした。
 吉朝一門はみなそれぞれの味が出てきてると思いますんで、今後もますますがんばっていただきたいと思います。

 終演後、吉朝ファンの面々と飲み会。気持ち良く酔っぱらっての帰宅となりました。

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つくしんぼ落語会

2006/5/16 @上方亭

  • 林家 市楼 「千早振る」
  • 桂 つく枝 「米揚げ笊」
  • 桂 しん吉 「肝つぶし」
    ―― 中入り ――
  • 桂 つく枝 「天神山」

※ 第 21 回


 午後になって上司より提示までに資料作成するよう命じられ、突貫工事で間に合わせ。早めに出ようと思ってただけに、かなり焦りました。
 ちょっとした買い物を済ませて会場へ。よく見かける顔が数人、すでに列ばれてました。少し入りが悪いかと思いましたが、開演直前にどんどん増えて 50 人弱に。しん吉さんのファンとおぼしきお客さん(=若い女性)もチラホラ。


 開口一番の市楼は、ざこば風携帯電話で笑わせて「千早振る」。先日の花丸版は変化球の応酬だったが、こちらは元気に直球勝負。それでも一本調子にならず、しっかり稽古してることがうかがわれる。いつもの独特のおかしみが出てて良かった。

 しん吉の「肝つぶし」はおそらくネタ下ろし。正直、完成度はまだまだ。それでも楽しそうに演ってることが伝わってきて、これからが楽しみ。

 つく枝はゴールデン 2 ウィークスだったそう。その間に扁桃腺を患い、大変だったとか。
 1 席目は、千日前通りを走るわらび餅屋の不思議をマクラに「米揚げ笊」。売り子の男が笊屋の前で売り出したり、立て前に困ったりするところをカットして、ややあっさりとした印象。
 2 席目は、なぜか飼ってたサワガニの思い出から「天神山」へ。変ちきの源助が墓見で一杯やる場面がつく枝ならではの充実度。後半の、狐捕りの男から狐を譲り受ける胴乱の安兵衛の値切り交渉も楽しい。サゲは落とすんでなくええ話風に締めてました。


 この日は「天神山」が充実。一心寺や天神山の風景、源助や安兵衛の人となり、どれもみなあったかい感じで良かったです。
 次回は 7 月 7 日(金)の予定。

桂つく枝の満腹日記
しん吉くん、色々と大変ねぇ。


 たまたま来られてた F さんに、またまた結構なものをいただきました。毎度ありがとうございます。財政がかなり助かりますとともに、知的好奇心も満足させられそうです、ハイ。

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カシミヤ落語会 笑福亭たまのカシミヤ 100 %

2006/5/13 @カシミヤ

  • 笑福亭 たま 「動物園」
  • 笑福亭 たま 「時うどん」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「山寺瓢吉」 (作:笑福亭福笑)

※ 第 1 回


 小雨そぼ降るなか、地下鉄「中津」駅から徒歩数分で洒落たカフェに。
 店内の会告チラシには「SOLD OUT」の文字が! たしかに定員 40 名と出てましたが、それにしても「SOLD OUT」はインパクトありますね。
 スタッフはみなさん美男美女、お客さんも若い女性中心と、あきらかに普段の落語会とは違う雰囲気。開演直前になってお客さんがどんどん詰めかけ満員に。


 この日はたまお得意(?)の《真独演会》形式。客席の雰囲気がいつもの落語会のと違い、落語自体が初めての客も多く、出てきたたまもやや緊張の面持ち。
 まずはショート落語と小咄をいくつか演って「動物園」へ。が、マクラでつかみきれなかったか、観る方も演る方もややカタい? 全体に荒い印象も。個人的には、トラに入った男の「パンくれ~」の場面で、前に突き出された顔が照明の加減で恐くなってて、かなりツボでした。
 つづいて、たま自ら見台を運んできての「時うどん」はふたりヴァージョン。序盤にふたりの都々逸合戦が入るのはあまり観ない型。派手なうどんアクションが秀逸! ‥‥なんですが、こちらもややウケの様相。あざと過ぎる?

 中入りをはさんで、吹っ切れた様子のたま。師匠・福笑作の「山寺瓢吉」を。
 嫁に会いたくて脱獄した森田と、森田夫婦をよく知る資料室長の山寺。人質を取って廃屋に立てこもる森田を説得しに連れてこられたはずの山寺が豹変。
 とくに前半はもうちょっと丁寧に演られた方が効果的かと思うんですけど、そんなんも勢いで押していった感じ。キレた山寺の撃ちまくりカー・チェイスが秀逸。こちらはなかなかのウケ具合。


 終演後にワン・ドリンク付き。そのまま食事もできるようでした。
 カシミヤ初の落語会と云うことで設営関係がちょっと不安でしたが、高座が頭の上くらいの高さにしつらえてあって観やすかったです。照明は、高座も客席ももうちょっと明るい方が良いかも。

 たまさん、中入り前は落語初心者向けのチョイスだったと思うんですけど、それよりも中入り後の方がウケてました。やっぱり最初は新作の方が取っつきやすいのか、それともたまさんの古典がマニアックな笑いの方向に突き進みすぎてるのか。このあたりのバランスはなかなか難しいですね。

 次回は 7 月 8 日(土)の予定。
 たまさん自身が「次は好いたように演らせてもらいます」と云うてはりましたんで、たまよね作品を入れてくるかも。女性の出てくる「替わり目」「皿屋敷」や、テンションの高い「いらち俥」「くっしゃみ講釈」あたりも良いかもしれません。

らくごの玉手箱
カシミヤ

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日常にひそむ恐怖

米フロリダ州で、ジョギング中の女性がアリゲーターに襲われ死亡 (ロイター)

 日本でもツキノワグマに襲われるとか、そう云うのんはたまに見かけますけど、むこうはアリゲーターですよ、アリゲーター! しかも死亡事故!

 爬虫類に死んだフリは無効なんでしょうねぇ‥‥


【続報】

ワニ襲撃の犠牲、5 日間に 3 女性 米フロリダ州 (朝日新聞)

 フロリダはいま、大変なことになってます!

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書店の万引き対策

売った本に販売証明シール 全国初、書店の万引対策 (共同通信)

 福岡県で今夏より実施される万引き対策。書店購入時に直径 15 mm 程度の貼り直しできないシールを添付するそうな。
 このシール、貼り直せないのは良いんですけど、どんな装丁でもきれいに剥がせるのかが気になります。

 福岡県内の万引被害額は年間約 12 億円。多くは少年の犯罪とみられ「相次ぐ書店の閉店は万引被害が影響している」という。

 実際、万引きが経営を圧迫していないとは云いませんけど、ただでさえ顧客がネット通販に流れてそうなご時世に、さらにこんなことをするようになったら、コレクション的に書籍を買ってる人間はまず福岡県では買わんようになるでしょうね。それが経営悪化につながらなければ良いんですけど。
 このあたりの効果の確認とか、経営状況と万引き件数との因果関係って、誰がフォローするんでしょう?

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ビギナーズラック

2006/5/7 @TORII HALL

【かい枝・吉弥のらくごの夜明け】

  • かい枝、吉弥 《オープニング・ビデオ》
  • 桂 吉弥 「青菜」
  • 桂 かい枝 「おごろもち盗人」
  • 桂 吉弥 「天災」
  • かい枝、吉弥 《ちゃぶ台トーク》

※ Vol. 01


 チラシからはまったく会の情報が得られなかったんですが、 『週刊 落maga』 の紹介記事で概要を知りました。構成作家の米井さんと福耳さんがブレーンとなって、新作の改作を中心にかける会のよう。気になってたんで電話予約。
 天気は悪かったんですが、いっぱいの入り。ロビーでオリジナル T シャツなんかも売ってました。

 開演前の待ち時間に、かい枝さんと吉弥さんによるラジオ番組風の録音が流されてました。「退屈しのぎに」との演出でしたが、おしゃべりしてるお客さんがそれに負けじと声が大きくなるんで、会場内がざわついて録音の内容が聞き取れない。
 結局、「かい枝 吉弥の ビギナーズラック!」ってタイトル・コールだけが耳に。


 客電が落ちて、オープニングは上手側に設置のスクリーンに HEP FIVE での観覧車トークの映像が 10 分ほど。これが前座代わりとのことで、ふたりの自己紹介などを。

 映像のあと、高座に照明が当たり、ジャズ演奏による出囃子に乗って吉弥登場。高座に上がってしまうと普通に落語をきっちりと。
 ネタはこれからが旬の「青菜」。私には今シーズンの初モノです。状況描写なんかの構成をかっちりまとめられた印象。前半は縁側の風景が、後半は暑苦しい長屋が透けて見えるようでした。

 つづくかい枝は「おごろもち盗人」。見台の下から手を回して膝隠しとの間から出す演出。やっぱりこれの方がそれっぽく見えますね。
 従来は右手を縛られるだけですが、右手を縛る紐を切ろうとした左手も縛られてしまい、両手が不自由に。たしかにこの方が終盤の流れも自然ですね。汗をかきかきの熱演。

 再登場の吉弥は、見台に飛び散ったかい枝の汗を拭いてから「天災」を。心学の先生は紅羅坊奈丸から堀定勘兵衛に改名。クスグリをちょっといじられた程度で、基本プロットはそのままに、前半の流れなんかは整理されてた感じ。

 舞台にちゃぶ台が出てきて、私服に着替えたふたりが楽屋トーク風に。
 吉弥は「おなじ会で仕込み噺を複数回かけるとホントにダメなのか?」とのテーマで「青菜」と「天災」にしたそうな。
 かい枝は「オリジナル T シャツで客席を埋め尽くしたい」との野望を吐露。ふたりとも着てはりました。
 この会用のジャズの出囃子、CD 販売の計画も進行中だとか。なかなか良かったんで、これはちょっと注目です。


 たまさんやひろばさんがお手伝いに来られてましたが、高座はあくまでかい枝さんと吉弥さんのふたりにこだわった会になるよう。座布団の返しや見台の準備もふたりで交互にやられてました。
 第 1 回ってことで、企画や進行に気負いがあったかと思います。落語の方も、ふたりともきっちりしたモノを提供しようとの思いからか、ややカタい印象。その分、高座の出来は良かったです。
 ただ、内容的にはたまさんの会ではあたりまえのことなんですよね。たまさんの会が実験室なら、この会はスマートにパッケージされた発表会って感じ。どっちが良い・悪いでなく、高座だけ取り上げれば取り立てて変わったことをしてるわけではないんで、どう楽しませてくれるかを期待できる、純然たる落語会だと云うことです。
 まぁ初回からなんでもうまく回ることもないでしょうから、今後に期待したいです。年 4 回くらいのペースで続けるそうなんで、次回は 8 月頃でしょう。

桂かい枝の さぁかいしでーす!!
桂吉弥ホームページ

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雀のおやど 2006 ゴールデン落語会 (二日目)

2006/5/4 @雀のおやど

  • 桂 ちょうば 「平の陰」
  • 林家 染二 「餅屋問答」
  • 桂 千朝 「鴻池の犬」
  • 桂 雀三郎 「饅頭こわい」


 初めての雀のおやど行き。近鉄で鶴橋に出たまでは良かったんですが、そっから南へ。どうもおかしいと思い戻って北へ行くと、ありましたよ。えらい迷いました。
 受付で料金を支払うとコーヒーのサービス。至れり尽くせりって感じ。
 会場に入ると、縦に長ぁ~い畳の間。数えてみると、座布団が 4 × 16 で敷き詰められてました。そこからちょっとはみ出すくらい入ってましたから、約 70 人の入りです。ちょっと早めに行ったんで、壁際の席をゲット。


 開口一番のちょうばは、無筆の小咄をいくつか演って「平の陰」を。手紙を読まされてる男の威張ったり困ったりの按配がおもしろいく、マクラからトントントンとええ感じに。

 染二の「餅屋問答」は、とにかくスピーディーでテンションの高い前半から、大和尚に扮した餅屋の親父と修行僧との問答となる後半では、だんまりを決め込む餅屋の親父の憎そい表情。強烈な顔芸はヴィジュアル系の極致!

 千朝の「鴻池の犬」は逆に淡々と。染二のあとで分が悪いか?とも思いましたが、なんのなんの。後半の犬社会の話に入ってからが本領発揮で、ワンワン連合が暴走したり骨吸いでラリッたりと独特なセンスのクスグリが。

 雀三郎は翌日の宣伝をしつつ、暑い季節にだらだら汗をかくのが好きなことをアピール。「こりゃ『青菜』あたりかな?」と思ってたら「饅頭こわい」。なんで?
 トリなんで、もちろんフル・ヴァージョン。「二番目に好きなんが酒」のおっちゃんのキャラがおもしろく、見せ場の怪談のシーンも怖い雰囲気満点。賑やかな一席でした。


 中入りなしの 2 時間弱でしたが、内容は充実。どれもおもしろく、それぞれ味わいが違ってて良い番組編成でした。
 帰りに染二さんの CD を購入。サインを入れてもらいました。

歌う落語家・桂雀三郎 (ファン・サイト)

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TORII 寄席特別企画 (一日目)

2006/5/1 @TORII HALL

【桂小米朝の世界】

  • 桂 ちょうば 「子ほめ」
  • 桂 小米朝 「阿弥陀池」
  • 柳家 花緑 「明烏」
    ―― 中入り ――
  • 翁家 勝丸 《太神楽》
  • 桂 小米朝 「百年目」


 早めにチケットを整理券に交換して心斎橋をぶらぶらしてみましたが、汗ばむ陽気‥‥と云うより、寒暖落差を考えると猛暑。先週あたりは肌寒かったのに、まさに異常気象です。
 前売り完売で約 120 人の大入り満員。特別企画恒例の(?)丈夫な紙袋と、日替わりの落語立盤香たてばんこ(箱庭風ペーパー・クラフト)がおみやげに付きます。


 開口一番のちょうばは自由奔放なマクラから「子ほめ」を。年を若く云うのと赤ん坊のほめ方だけ習って、すぐさま竹やんのところへ。必要なところだけうまくつないで、短いながらも自然な流れに。

 小米朝の 1 席目は、水色の地にラメの入った派手な着物。この春からひさしぶりにテレビの生放送番組がスタートした話をマクラに、自身のうっかり話を次々と。
 落語の方は「阿弥陀池」。新聞を読まん男が要となりますが、マクラの小米朝自身と重なってなんとも云えないおかしみが。

 初めて観る花禄は、こちらも濃い紫の地にラメ入りの派手な着物。人間国宝・柳家小さんの孫って実際どうなの?ってノリで、この日の個人的目玉。
 小米朝のマクラを受けて、昨年に引き続き出演中の NHK 教育『アラビア語会話』で客席を花緑色に切り替えてから、「上方にない噺を」と「明烏」を。これがまた巧みな話術って感じでウマい。登場人物の色分け、押しと引きのメリハリ、花緑ワールドに引っ張り込まれたよう。気持ち良かった!

 中入りをはさんで、太神楽の勝丸。高さ 30 cm ほどのドラえもんのぬいぐるみを意味ありげに舞台へ鎮座させてスタート。太神楽の技術もさることながら、芸の失敗も笑いに転化する臨機応変さと、話術の妙でとにかくおもしろい。
 ハズし方も絶妙で、最後に「和傘でドラえもんを回します」と、あの大きなドラえもんを回せるのか?と思いきや、懐から小さなドラえもんを取り出してコロコロコロ~。
 天満天神繁盛亭ができたあかつきには、こう云う人を是非呼んでいただきたいと思いました。

 トリの小米朝は黒紋付きで登場し、大ネタの「百年目」。全体的にコミカルな感じで軽い雰囲気で、噺のなかでは幇間がぴったりフィット。番頭が屋形船に乗り込んでから親旦那と出くわすあたりが楽しい。
 上下を振る祭の所作のつなぎにぎこちないところがチラホラと。このあたりは今後の積み重ねに期待したいところです。


 東西の若旦那を堪能。小米朝さんは楽しそうに演ってはりました。花緑さんは若くして貫禄じゅうぶんって感じで、歳を重ねて肩の力が抜けてきた頃にどうなってるのか、今からほんと楽しみです。
 思わぬ拾いものが勝丸さん。とにかくおしゃべりが巧みでおもしろかったです。TORII HALL の狭い舞台ではやや演りづらそうでしたから、ワッハホールくらいの余裕のある舞台で観てみたいです。

 終演後のお楽しみ抽選会は見事ハズレ。花緑さんのサイン、欲しかったなぁ。

TORII HALL

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