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鈴本余一会 柳家小三治独演会

2006/5/31 @鈴本演芸場

  • 柳亭 こみち 「道灌」
  • 柳家 三之助 「堀之内」
  • 小三治一門 《柳家三三真打昇進口上》
    ―― 中入り ――
  • 柳貴家 小雪 《太神楽曲芸》
  • 柳家 三三 「だくだく」
  • 花島 世津子 《舞踊》「松づくし」
  • 柳家 小三治 「らくだ」
※ 第五十六回


 今年の目標が「小三治を観る」でして、今回がその第一弾。チケット発売情報を うるう さんに教えていただき、勢い込んで買った前売りは 2 列目。人気とブームをいぶかしむも、良席にほくそ笑んでおりました。
 前売りは早々に完売。開場 1 時間前に会場に行くと、当日立ち見目当てのお客さんが 10 人くらい列ばれてました。それを尻目にマクドで時間をつぶして、いざ鈴本。
 鈴本は初めてですが、ビルの中にあり、キャパは 300 席弱くらいで少し狭いですね。そのわりには舞台も客席も天井が高い。客席後方に立ち見スペースが少しありますが、この日は撮影が入ってて半分くらいはつぶされてました。


 開口一番のこみちは「道灌」をきっちりと。女性だからと気になったのは懐での物の出し入れくらい。野沢雅子を彷彿させる声音で、子供の出てくる噺は合いそう。

 つづく三之助の「堀の内」で、観客の笑い指数は格段にアップ。ちょっとクサくてクドい気もしたが、このあたりは趣味の問題かも。

 一旦下りた緞帳が上がると、小三治一門の真打がズラリと並び、三三の真打昇進口上。下手より、はん治(進行役)、一琴、禽太夫、柳亭燕路、三三、小三治、福治、喜多八、〆治。
 最初は堅めの口上だったが、燕路がおもしろエピソードで盛り上げる。誰の口上を聴いてても、一門の自由な空気感が伝わってくる。最後の小三治はぶっちゃけ話もあったり、あっちこっちに噺が飛ぶも、最後は「自分が納得できる落語を」と云うような感じの、親心が伝わってくるもの。最後に三本締めで中入り。

 中入りを挟んで、まずは柳貴家小雪の太神楽。まりや皿のスタンダードから、和傘でのまり廻しでは客にまりを放らしたりも。最後のお茶入りグラスをクワに載せて振り回す水芸は、失敗しやしないかとヒヤヒヤ。

 つづいて新真打の三三は「だくだく」(上方の「書割盗人」)を。三三の高座は ぽっどきゃすてぃんぐ落語 で何席か聴いてはいたが、生は初めて。江戸落語らしい粋な口跡が心地良い。演題が「だくだく」なんで、最後は槍で突かれたつもり。

 ここで花島世津子が「松づくし」。染雀は一から十だったが、こちらは一から五までで、そこからは三段に積んだ升の上で五のいろいろ。最後は「柳家三三真打昇進/おめでとうございます」の垂れ幕で「大成功」。

 トリの小三治が出てきたのが 8 時半をすでに回った頃。演目は事前に「らくだ」と出ており、すぐに始めても 9 時半になりそうだったが、「ひさしぶりに演るが、ネタを繰る気にならなかった」とマクラを振ってくる。前日の夜も眠れず、かと云ってネタを繰る気にもならず、ついつい映画『黒い瞳』(イタリア/1987 年)を観てしまったとか。演るのか演らないのか、演目を代えてくるのかわからぬまま、そこから映画の話、エチオピアへ旅行に行ったときの話とつなぎ、そこで「そのとき初めてラクダを見ました」と「らくだ」に入ったのが 9 時頃。
 私自身、「らくだ」は米朝のくらいしか聴いた記憶がないが、大筋は同じでもやはり細部はいろいろと違いが見られる。たとえば、大家に要求する煮しめの味付けが違ったり、酔っぱらう紙屑屋のボヤキがなかったり。その紙屑屋は肴もなく 3 杯呑んだところでスイッチ・オンして立場逆転。それまでの兄貴分の「優しく云ってるんだぜ」と云う抑えた凄みも迫力があったが、そのお株を奪う目の据わりっぷりで酒を要求。主導権を握った紙屑屋がらくだを桶に詰め込んで火葬場へ行き、サゲまで 1 時間の大熱演。

 一旦下りた緞帳がふたたび上がり、小三治が挨拶。この日、鈴本演芸場の富田支配人が定年退職とのことで、富田氏と弟子一同も高座に呼んで三本締め。小三治と富田氏の抱擁がこれまでの鈴本での関係を物語っていた。


 「とにかく小三治を」との思いだけで取った今回の独演会でしたが、こみっちゃん(なれなれしい)はかわいかったし、三三さんはカッコ良いし、小三治師匠自身がひさしぶりと云う「らくだ」を観られたこともあって、わざわざ東京まで行った甲斐がありました。非常にええ感じの満足感。
 ただ、やはり師匠の得意ネタも観てみたいですし、今年中にあと 2~3 回は独演会に行ってみたいところです。

 上方ではサゲ前で切られることが多い「らくだ」ですが、なるほどそれまでの展開に比べると笑いの要素が少なくなり、乞食坊主が寝ている説明が必要で、サゲもダジャレで弱い。潔くサゲ前で切るか、サゲまで演るか、判断の分かれるところですね。江戸の粋としては「サゲまで演る」なんでしょうか。

 次回の鈴本での独演会は 10 月 31 日(火)。金曜ならまだ行きやすいんですけどねぇ。いまから 3 か月、思案します。

鈴本演芸場


 いろいろとお世話になりながら、 うるう さんからおみやげまでいただきました。ありがとうございます。

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コメント

こちらこそ、いつも色々とお世話になっております。わさびさんのおかげで、小三治師匠のよさを知りました。感謝感謝。
充実した一日、良かったです。また、どうぞ遠征にきてちょうだいませ。

投稿: うるう | 2006.06.02 00:19

小三治師匠、良いでしょう。
力みが抜けてて、それでいてしっかりした語り口。
カッコよろしいわぁ。
口上の一門揃い踏みで、気になってた喜多八さんはやっぱり男前。
落語の方も聴いてみたいと思いました。

遠征はいまのところ 7 月中旬と 10 月末ですかね。
年末くらいにも小三治独演会がありそうな予感。

投稿: わさび | 2006.06.02 15:29

小三治師匠が登場した途端、客席の雰囲気が一変。一気に高まる期待をあのマクラで自由自在に・・すごい人です。

喜多八さんは、昨年の大銀座で「三味線栗毛」で・・・撃沈(涙)でも、9月の「籠釣瓶」はとても気になります。

投稿: うるう | 2006.06.02 23:06

9 月の喜多八さんの三夜連続の会、気になってるんですが、火・水・木なんで行きづらい。
ゲストが小朝、志の輔、小三治と超豪華。
行きたいなぁ。‥‥

投稿: わさび | 2006.06.03 14:33

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