新宿末廣亭 五月余一会 昼の部
2006/5/31 @新宿末廣亭
【六輔流・桃屋寄席】
- 江戸家 まねき猫 「高座で啼くとは限らない」
- 入船亭 扇橋 「待ってました、歌手デビュー!」
- オオタ スセリ 「昔の職場に錦を飾る」
- 永 六輔、遠藤 泰子 「誰かとどこかで四十年! おなじみ TBS ラジオ」
- おすぎ 「どうして私がピーコごときと」
- ピーコ 「どうして私がおすぎごときと」
―― 中入り ―― - 毒蝮 三太夫 「病み上がりのくそじじい」
- 大沢 悠里 「座布団の上のラジオの王様」
本命の鈴本・余一会(前売り手配済み)のほかになんかないかな、と目にとまったのがこの会。永六輔プロデュースのお好み演芸会のおもむきで、おすぎとピーコが高座に。扇橋さんも出るんで、「これや!」と決定。
開場 1 時間前に到着しても、すでに長蛇の列。あまりの混雑ぶりに開場時刻を前倒ししての入場に。2 階席にうながされるも、なんとか 1 階後方の空席にすべり込み。2 階もいっぱいで、立ち見も出る大盛況。
開演 20 分前に永六輔が舞台下に登場。マイクを手に、場内整理を兼ねた前説。軽妙な語り口で、贅沢な待ち時間に。
開場前に招待席が前方を占めていたことに永が意見し、前方席は身銭を切った一般者の席になったとのこと。興行としてはあたりまえのことだが、これには場内大喝采。
この日は永と遠藤泰子が進行役で、合間に出演者を紹介すると云う趣向。
まずは声帯模写のまねき猫。永から豪徳寺と招き猫の因縁を話すよう指示され、あやふやながら解説。さらに永から「路地裏から聞こえてくる盛りの付いた猫を実演せよ」と指示され、実際に末廣亭の外をぐるっと回って実演。ついには「2 階から聞こえてくる音はどんな感じか?」と問われて、2 階からニワトリを。サービス満点。
つづく扇橋は、普通に「道具屋」。こまかいセリフがやや聴き取りづらくもありましたが、独特の雰囲気が与太郎にぴったり。
終わったところで歌手の小林啓子がギターを抱えて登場し、扇橋と“どうして”をデュエット。扇橋の歌は‥‥下手っぴやなぁ。永曰く「孫とおじいちゃんが歌ってるようでした」。
つづいて、若い頃に末廣亭で働いていたと云うオオタスセリが、まわりからはギター漫談と云われる弾き語り。やや緊張気味に、“負け犬”、“五月病”、“友達の話”、“ストーカーと呼ばないで”と、酔っぱらいの女の歌を。大きい身体に甲高い声で、ネタもおもしろい。
ここで永と遠藤のトーク‥‥のはずが、ほとんど永がしゃべる。客席にいた小林のり一(三木のり平の実子で俳優)や桃屋の社長を引っ張り出したり。
中トリはおすぎとピーコがふたりで登場。永からは「漫才を」とのリクエストだったようだが、二人漫談のおもむき。と云っても、事前にネタを用意してた風ではなく、思いつくまましゃべってる感じだが、それがまたおもしろくもあり。当然、おかまネタも爆発。
おすぎは最近の映画の話を。話題になったのは『ダ・ヴィンチ・コード』、『海猿 LIMIT OF LOVE』、『ポセイドン』など。個人的趣味の視点も絡めながら、それでも云ってることはまともで納得。
遠藤をエサにピーコのファッション・チェックを始めたところで、なぜかおすぎが『ポセイドン』を熱く語り出して時間切れ。
中入りを挟んで、毒蝮三太夫が袴姿で登場。出囃子の“ウルトラマンのうた”にのって座布団に。なにを演るかと思えば、これが落語。演目は「湯屋番」。照れ隠しか緊張からか、しきりに扇子をいじくり回したりと所作が気になるも、さすがに俳優だけあって口跡は抜群。ネタもきっちり入ってますし、人物の演じ分けもなかなか。
トリは大沢悠里。座布団には座らず、立ったままハンド・マイクで。ラジオでおなじみらしく、軽妙なトークで場内ウケまくり。私は初めてだったが、それでもおもしろい。
トータル 3 時間+α。寄席と云うよりお好み演芸会って雰囲気で、おすぎとピーコなんかはかなりグダグダな感じでしたが、それすらも楽しめました。いちばん楽しんでたのは、プロデューサーの永さんでしょうけど。
終演後、スセリさんの CD 『ストーカーと呼ばないで』を購入。もちろん本人の手売りで、永さんも販売協力。トータル・プロデューサーとして最後まで手を抜かない姿勢に脱帽です。
帰りに桃屋のメンマとザーサイの瓶詰めのおみやげ付き。至れり尽くせりです。
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