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あべの寄席

2006/7/30 @アポロホール

  • 桂 吉の丞 「子ほめ」
  • 桂 こごろう 「ちりとてちん」
  • 桂 雀松 「悋気の独楽」
  • 桂 雀々 「船弁慶」


 梅雨明け?
 モタモタしてたら出発が遅れ、ガリッとした日差しのなかを駅までランニング。開場前に到着‥‥と思ったら、お客さんが多かったからか、開場が早まってました。
 この会は初めてでしたが、びっしり席を作れば 400 人は入りそう。この日もおそらく 300 人は入ってたと思います。大入り満員。


 開口一番は吉の丞。携帯電話ネタで軽くつかみ、「子ほめ」はきっちり師匠の吉朝の型で。トントントンと小気味良いテンポで口跡も良く、喜六の気が先走る感じの性格がなかなかええ感じ。十分に会場をあっためる。

 こごろうはラジオ・ショッピングや食べ物ネタをマクラに「ちりとてちん」。こちらも師匠の南光の型ながら、知ったかぶりの竹、その竹にいたずらを仕掛ける旦那と喜六、旦那の家の女連中も含めて、登場人物がみなええ人に。腐った豆腐の悪臭には自然と「はだがつばる」(鼻が詰まる)ってのがおもしろい。長崎名産候補は「あるよでない」「長崎へ行ってきました」「黄色い恋人」「長崎バナナ」「長崎チャンポン」。

 雀松の「悋気の独楽」は見どころ多し。御寮人さんと女中、さらに手掛けと、旦那のまわりの女性の演じ分けが絶妙。御寮人さんのヤキモチもどことなくかわいらしく、丁稚の定吉も憎めない感じで、全体にかわいらしい雰囲気に。

 雀々は祭りや花火や夏の風情をマクラにテンポ良く始まった「船弁慶」は、喜六のオタオタぶりを挟み、たっぷりタメたところで雷のお松の登場。暑さを増幅させる、ひとりマシンガン・トークが秀逸。
 うって変わって船遊びの涼しげな情景。渡し船の船頭とのやり取り、酔っ払っての源平踊り、それを橋から見下ろす見物客、風情があって賑やかで。


 中入りなしでちょうど 2 時間。たっぷり 4 席笑って、これで前売り 800 円、当日でも 1,000 円ですから、かなりお得な会でした。
 落語ビギナーな感じのお客さんも多く、それでもかなり良い反応でしたから、落語との出会いとしては良かったんではないかと思います。やっぱり大阪ですから、おもしろさもさることながら、安さでかなり好印象な気がします。

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元祖かまたま

 仕事で讃岐の国・香川へ出張。讃岐と云えばうどんってことで、昼食はひさびさに山越うどん店へ。ここは「かまたま」(釜揚げうどんの卵とじ)発祥の店として有名です。

かまたまやま

 写真は「かまたまやま」(かまたま+山芋とろろ)にちくわの天ぷらをトッピング。これに特製のダシをかけて食べます。
 お値段は 400 円。内訳は、うどん 2 玉 200 円、卵とじ 50 円、山芋とろろ 50 円、ちくわの天ぷら 100 円、と明朗会計。素うどん 1 玉なら 100 円ですよ! 安い!
 お味の方は、コシがあってどっしりもっちりした食感と、卵と山芋とろろで濃厚な味わい。やっぱり美味いです。

 営業時間は、朝 9 時から昼 1 時半まで。うどんがなくなったら終わりです。日曜定休なんでご注意を。場所は こちら です。

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育っちゃったらくご!

2006/7/26 @茶臼山舞台

  • 笑福亭 たま 《ごあいさつ》
  • 月亭 遊方 「奇跡のラッキーカムカム」
  • 桂 三金 「奥野君の幽霊」
  • 桂 あやめ 「富豪弟子」
  • 桂 三風 「下町通り商店街の人々」

※ 第 2 回


 会議が押して開演に遅刻し、蒸し暑いなかを駆け足で茶臼山舞台へ。ちょうど遊方さんのマクラが終わる頃に入場。その前にたまさんの番組案内があったようです。
 いっぱいの入りで 30 人以上は入ってた感じでした。


 遊方の「奇跡のラッキーカムカム」は、雑誌の裏表紙なんかによくあるラッキー・アイテムをめぐる噺。前半はアイテムを買う前に読んだエピソードの数々、後半はアイテムの効果、って構成。こまかいエピソードの積み重ねがおもしろい。後半はある程度展開が読める分、観てる側に考える時間を与えないよう、もうちょっとテンポがほしいところ。

 三金は怪談小咄をマクラに「奥野君の幽霊」を。突然亡くなった奥野君が心残りで成仏できず友達のところに迷って出るって噺。やっぱりデブネタ。それでもおもろい。隙間から入れない幽霊って!

 あやめは二世噺家ユニット《ぼっちゃん 5》の真実をマクラに、大金持ちのお嬢さんが噺家に入門する「富豪弟子」を。深田恭子主演のドラマ『富豪刑事』(原作:筒井康隆)のパロディ。あいかわらず目の付け所は良いが、もうちょっと過剰な富豪エピソードを盛り込んでもらいたかった感じ。

 三風の「下町通り商店街の人々」は、近所に大型デパートができる商店街の作戦会議の噺。ガラの悪い横山(わかりやすすぎる‥‥)と葬儀屋のふたりのキャラが際立つ。とくに葬儀屋がおもしろい。葬儀屋が主役のスピンアウト作品希望。

 最後は 4 人にたまを加えて反省会。なぜか話題が《ぼっちゃん 5》に集中。


 『育っちゃった~』は再演ネタだけに安定感がありますね。どれも楽しめましたが、どれもまだ育つ余地がありそうって感じ。観る側は気楽に「もっともっと」と思ってしまいます。

 次回は『できちゃったらくご!』が 8 月 16 日(水)の予定です。

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できちゃった二人会 三風&三金

2006/7/24 @茶臼山舞台

【弟子による三枝トリビュート】

  • 桂 三金 「日本一のコシヒカリ」
  • 桂 三風 「ロボ G」
  • 桂 三金 「ダンシング ドクター」
  • 桂 三風 「またも華々しき華燭の典」
  • 三風、三金 《座談会:師匠について》


 長かった『できちゃった二人会』も最終日。受付のたまさんに判を押してもらって入場。やや蒸し暑いこの日の入りは 13 人でした。
 この日は三枝師匠のお弟子さん、三風さんと三金さんによる師匠トリビュートの会。師匠があまり高座に掛けなくなった自作のネタを弟子が復活させる、って企画です。


 三金はまず「日本一のコシヒカリ」。梅田にほど近い田んぼを守る農家の父親と息子の軋轢を描く噺。なにが日本一って、地価が田んぼとしては日本一。ややクスグリが弱い感じ。農業一筋の父親と都会派の息子との対立をもう少し盛り込めればサゲへの展開が活きてきそう。
 二席目の「ダンシング ドクター」は、医者が増えすぎて患者獲得のためにサービス過剰になったら‥‥って噺。ドリフの「もしものコーナー」みたいな感じで、踊りまくる東山先生がポイント。もうちょっと振り切ってもらうと笑いが爆発しそう。これを三枝が演ってたんか‥‥。

 三風の「ロボ G」は、高校生の娘の情操教育のために父親が老人型ロボット《ロボ G》を購入する噺。ロボ G のエピソードもうちょっと増やして存在感をアピールしてほしいところ。だんだんボケてくることは買ってから知ることになると、それだけで笑いがいくつか生まれそう。
 二席目は「またも華々しき華燭の典」。バツ 3 の男とバツ n の女との結婚披露宴の噺で、観客がそのまま披露宴の来賓となる、三風お得意の観客参加型落語に。拍手に乾杯、万歳三唱と、観客は少ないながらも一体感が生まれ、盛り上がってええ感じに。

 最後にふたりで師匠を語る座談会。三枝との数々のエピソードに、ふたりの師匠へのリスペクトがしっかりと感じられる。


 2 時間弱でややあっさりした会でした。せっかくの機会ですから、もうちょっと三枝師匠のことをいろいろ聞きたかった気も。
 いちばん楽しめたのは三風さんの「~華燭の典」でした。やっぱり三風色が強くなってる分、本人も気持ち良く演られてた感じがしました。三金さんも主人公を奥野君にするとか、独自色を盛り込むのもアリな気がします。

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できちゃった二人会 遊方&たま

2006/7/23 @茶臼山舞台

【チューン・アップ・クラシック】

  • 遊方、たま 《ごあいさつ》
  • 笑福亭 たま 「愛宕山」
  • 月亭 遊方 「訪問者」 (「嫁の下駄」改作)
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「胴乱の幸助」
  • 月亭 遊方 「親子酒」
    ―― 中入り ――
  • 遊方、たま 《トーク:新作について》


 曇天。夕方から雨らしいので、折りたたみ傘を持って出発。
 日曜と云うこともあってか、開場前に数人の列。ええ感じです。開演後もチョロチョロ来られて、最終的には 30 人を超えてたと思います。


 最初にふたりで番組案内。遊方は古典の現代化を、たまは古典を、それぞれ二席ずつ。おたがいのネタをほめあって、ハードルを上げまくる。

 まずはたまが、いきなり大ネタの「愛宕山」。菜の花畑での蝶捕りはマイムではしょり、尻突きのクスグリもカット。その分、一八の人物描写に焦点を当てた格好で、荷物を持たされた一八の山登りの様子がおかしい。旦那と一八による京都と大阪の対立もわかりやすく。
 初演時には未整理な部分が目立ったが、スッキリと整理されてかなりええ具合に。

 つづいて遊方が、文献にもあらすじ程度しか残っていない「嫁の下駄」を、舞台を現代に置き換えて復活させた「訪問者」。初めての結婚記念日に夫婦水入らずで祝おうと思っていたところへ押しかけてきた夫の上司をなんとか追い返そうと悪戦苦闘する噺。
 序盤の新婚夫婦のバカップルぶりや、空気の読めない夫の上司に対する妻のツッコミなど、独特な動きの絨毯爆撃に爆笑。

 中入りを挟んで、たまは 2 年半ぶりと云う「胴乱の幸助」。浄瑠璃の稽古風景をカットして、割木屋の親父へのスポットを当てたまま京都へ。当日の 10 時にこの構成に落ち着いたそうだが、流れとしてはこちらの方がスッキリ。

 遊方の「親子酒」は、こちらも現代版で。基本プロットは同じで、屋台はラーメン屋に。酔っ払い方はもうひと息な場面もあるが、ズッコケ方は強烈。最初に自宅がマンションってことを強調しておくと、後半の自宅を間違える場面がより効果的かも。

 ふたたび中入りを挟んで、トーク・コーナー。「新作について」と云う話題から、新作の作り方、米朝の工夫したマクラへの敬意、寄席の番組編成、さらには一昨日の「オススメトーク」についてなど、いろいろな方向へ発散。ここでも遊方は熱く語り、たまは冷めたツッコミ、の図。遊方講演会の様相で、1 時間以上しゃべる。


 たまさんは 2 席ともかなり整理されていて、とくに初演を観た「愛宕山」の仕上がりにびっくりしました。かなりええ感じにまとまってたと思います。
 遊方さんは 2 席とも高座に掛けるのは 3 度目とのことでしたが、噺のおもしろさに遊方さんのおもしろさがうまくミックスされていました。古典を現代に置き換える手法は春蝶さんも演られてましたが、古典をわかりやすくして残す一手法としてアリだと思います。
 落語は 4 席たっぷり、トークもたっぷりで、トータル 3 時間半。存分に楽しませてもらいました。満腹々々。

 帰りはえらい雨でした。

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できちゃった二人会 あやめ&たま

2006/7/22 @茶臼山舞台

【オレがアイツか、アイツがオレか】

  • 笑福亭 たま 「練炭焚いたらサヨウナラ」 (作:桂あやめ)
  • 桂 あやめ 「船徳っ子ちゃん」
    ―― 中入り ――
  • あやめ、たま 《じゃんけん》
  • 笑福亭 たま 「盗人の仲裁」
  • 桂 あやめ 「瀞満峡」 (作:笑福亭福笑)
  • あやめ、たま 《トーク》


 開場ちょっと前に行くと 10 人くらいの待ち行列。開場後も続々と詰めかけ、30 人以上に。これまでで最高の入りです。


 この日はふたりの持ちネタを交換して一席ずつ、ふたりの師匠(文枝と福笑)の持ちネタを交換して一席ずつ演ると云う趣向。
 まずはたまが、あやめの新作「練炭焚いたらサヨウナラ」を。インターネットの自殺サイトで募集を見て参加を決めた男が集合場所へ行ってみると、そこに待っていたのは、段田安則を気持ち悪くしたような男と、朝潮に似た女‥‥って噺。自殺に夢を見いだそうとする男と、くずしにかかる段田&朝潮。ラストが強烈な下ネタだが、ここはもう少し思い切りがほしい。

 あやめは、たまが江戸落語を 15 分に編集した「船徳」を、さらに主役を船場のお嬢さんに改作。
 船場の旦那に娘の徳子の船に乗ってやってくれと頼まれたふたりが渋々乗る、と云う設定。徳子が映画好きで、『タイタニック』のローズになりきり。サゲもきれいに決まる。

 頭をリセットするための中入りを挟み、あやめとたまが高座で出番順を決めるじゃんけん。勝ったたまが先発を選択。

 たまは文枝の持ちネタから「盗人の仲裁」を。盗みに入った家で飯を食いまくる盗人が、その家の嫁の腰巻きを嗅いだかと思ったら、その家の主人も、当の嫁さんまでも嗅いで確認する始末。ここらにたまスタイルが。
 後半は、夫婦喧嘩の末に主人が嫁に三行半を突き付けるも、お互いに好き同士だと再確認、間に立たされた盗人が困惑する‥‥って展開。この日の 15 時頃に思い付いたとのことで、ここらはかなりちぐはぐだったが、ネタがきっちり入れば以前観たバージョンよりもスッキリしそう。

 あやめは福笑の新作「瀞満峡とろみつきょう」。13 年前に福笑とのネタ交換の会で演って以来とか。マクラではその当時のエピソードも。
 家族 3 人でキャンプに出掛けるも車が故障。そこへ地元の男が馬車で現われ‥‥ってのが導入部。インディアンが出てきたり、ターザンが出てきたりと荒唐無稽で、サゲは SF チックに。
 あやめが演っても福笑カラーが強く主張するネタで、消化しきるのはなかなか難しそう。

 最後はふたりでプチ反省会。他人の得意ネタや新作は難しいって話から、落語会でネタが付く(同趣向のネタが重なる)こと、『できちゃったらくご!』では不思議とネタが付かない、等々。


 おふたりともネタを繰る時間を十分に取れなかったようで、もうちょっとの場面も散見されましたが、企画物と云うことを考えるとなかなか楽しめました。トークでおふたりの苦労話を聞いてると、やはりそれぞれの指向性が落語に反映されてるんだなぁと思いました。

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新生・快楽亭ブラック毒演会 大阪篇

2006/7/22 @TORII HALL

【映画も入ってたっぷりと、の巻】

  • 快楽亭 ブラック 「目黒のさんま」
  • 快楽亭 ブラック 「野ざらし」
    ―― 中入り ――
  • 映画 『四谷怪談でござる』 (監督・脚本・主演:快楽亭ブラック)
  • 快楽亭 ブラック 「マラなし芳一」

※ Vol. 4


 大阪 1 発目以来、ひさびさの毒演会。開演 5 分前くらいに飛び込むと、お客さんは 50 人くらいか。女性客もチラホラ。前回よりも多くなった印象ですが、客層は普段私が行く会とは違った雰囲気。(一部、顔見知りの方もおられましたが)
 木戸銭はブラックさんの落語 CD 付きで 3,000 円。今回は #06 が付いてました。持ってなかった #04 と #05 を別途購入。


 ヒゲを剃ったブラックは開口一番、北朝鮮ネタ。福井日銀総裁から阪神タイガースと、マクラの構成が抜群。皇室ネタから歌舞伎界の裏話、江戸時代の将軍の役割へとつないで「目黒のさんま」へ。圓楽に付けてもらったとのことだが、ブラック流のクスグリ満載。落語の世界観から逸脱するも、すぐさま落語世界へ戻ってゆく語り口の妙。

 つづけてそのまま演った「野ざらし」は志ん朝に付けてもらったとか。マクラを振らず本編へ。こちらもエロいクスグリ満載、釣りに出掛けた先では懐メロでしりとり歌合戦と、自由奔放。サゲもブラックらしい。

 中入りを挟んで映画コーナー。ブラックの解説(制作現場の裏話)から、『四谷怪談でござる』を上映。約 15 分の、かなりチープな作品。基本的には『四谷怪談』と同じだが、ラストにブラック流のオチが。
 それにしても、上手側に設置したスクリーンはやっぱり観づらい。ほとんどの人は下半分が見えなかったと思われる。

 最後に「マラなし芳一」。出だしから芳一が『平家物語』を語るあたりは雰囲気たっぷりだが、「それではアンコールを」と始まった『平家物語』のその後からがブラック流の艶笑噺に。


 あっと云う間の終演でしたが、たっぷり 2 時間ありました。あいかわらずおもしろかったです。お上品な方々には不向きだと思いますが、下ネタ OK な方なら一度ご賞味を。
 次回は 10 月 3 日(火)に急遽決定。

快楽亭ブラックの出直しブログ

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できちゃった二人会 遊方&南湖

2006/7/21 @茶臼山舞台

【オススメナイト】

  • 笑福亭 たま 《ごあんない》
  • 月亭 遊方 「さやま遊園」 (作:旭堂南湖)
  • 遊方、たま 《オススメトーク》
  • 旭堂 南湖 「飯店エキサイティング」 (作:月亭遊方)
  • 遊方、南湖、たま 《オススメトーク》


 午前中で雨も上がったんで結構入るかと思いきや、つ離れしない 7 人。そんなに魅力のない企画なんでしょうか?


 まずはたまが番組案内。南湖が『講談文月毎日亭』との掛け持ちで、たまもこのあとに予定が入っているようで、スケジューリングが難しそう。開演前から遊方と打ち合わせを重ねていた模様。《オススメトーク》の説明を重点的に。

 遊方は、まず《オススメトーク》の補足。とにかく、なぜ南湖は結婚できたのか、どうやって口説いたのか、を訊きたい様子。
 南湖作の「さやま遊園」は、遊方の噺家人生初の講談。地の文の多さ、語り口の違いに悪戦苦闘しつつ、張り扇をバシバシ打ち付けつつ「湯飲みって!」「家畜って!」とツッコみまくり。なかばやけくそだが、それがまたおもしろい。

 南湖が未到着のため、遊方とたまでトーク。観客からお題をもらって、それに関するオススメを紹介する、と云う趣向。ここまで説明して南湖が到着し、先にネタを演ることに。

 南湖は遊方作の「飯店エキサイティング」。中華とイタリアンの折衷店で、店の主人と女将さんが喧嘩しまくりでドンブリ割りまくり。出てくる料理も注文と違う物ばかり。上下がバラバラで混乱気味だったが、講釈師独特の語り口がおもしろい。

 最後に遊方、南湖、たまの 3 人で、メイン(?)のオススメトーク。かわいい店員のいる店や、オススメのドライヴ・スポットを、扇子でバシバシ叩きながら熱く語る遊方に対し、南湖とたまはほぼ無関心。それに遊方が煽られて‥‥って感じで、かなりおもしろい。たまが途中退席しても遊方が熱弁をふるい、1 時間以上のコーナーに。


 終演は 21 時半前。やけくそ気味の遊方さんがかなりおもしろかったです。落語は新作中心の遊方さんですが、落語に対する考え方や礼儀などは昔気質なポリシーを持っているようで、わからないもんだなぁと思いました。
 遊方さんが出世したあかつきには、《昔、遊方を世話した七人》として公言しても良いとのこと。そのことを遊方さん自身が証明してくれるそうなんですが、どうやって遊方さんを呼び出すんでしょう?

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できちゃった二人会 あやめ&三金

2006/7/20 @茶臼山舞台

【コンパからはじまる男と女】

  • 桂 あやめ 《ごあいさつ》
  • 桂 三金 「奥野君のコンパ」 (作:桂三金)
  • 桂 あやめ 「コンパ大作戦」 (作:桂あやめ)
  • あやめ、三金 「奥野君のコンパ大作戦」 (作:あやめ&三金)
    ―― 中入り ――
  • シスター・スリーゴールド 《懺悔漫談》
  • 姉様キングス 《音曲漫才》
  • 姉様キングス with シスター・スリーゴールド 《グランド・フィナーレ》


 土砂降りのなか、とぼとぼと茶臼山舞台へ。到着した頃には膝から下がボトボト。「早よ始めて早よ終わってくれ」ってな気分に。
 この日はあやめさんが出るからか、20 人以上のお客さん。


 あやめの番組案内で、おまけで姉様キングスを演るって発表に期待感増大。ほかにも盛り沢山な内容で、雨のなかをズクズクになって来た甲斐あり。

 三金はヒット作「奥野君のコンパ」を。基本はデブ・ネタながら、コンパを盛り上げるカード・マジックやバルーン・アートが三金らしい。初めて観たが、安定感があって、サゲもうまい。

 あやめの「コンパ大作戦」は何度か観たが、初演から 8 年くらいになるそう。かなり練り込まれいてテンポも上々。「二の腕は見せたらあかんで。ほうその跡や~!」に爆笑。

 あやめと三金がならんで舞台へ。マクラで三金が自分のことをたとえて「野生では狩られる方」と云う表現に爆笑。どんだけ自虐的やねん!
 ネタは、「奥野君のコンパ」のデブ男三人組と、「コンパ大作戦」の年増女三人組がコンパをすると云う合作落語「奥野君のコンパ大作戦」。ひとりがしゃべってるあいだ、もうひとりは前に吊ったのれんで隠れ、交互にしゃべると云う趣向。それぞれのトイレでの作戦会議(?)があって、これがおもしろい。
 双方とも失敗コンパと嘆きつつ、なぜか二次会のカラオケへ。そこで 2 組のカップルが夜の街に消え、残されたふたりが、和田アキ子の歌をサンボマスターがカヴァーした“あの鐘を鳴らすのはあなた”でジェネレーション・ギャップを乗り越えるエンディング。大団円が心地良い一席。

 中入り後はボーナス・トラック。まずはアフロに黒塗りの《罪深き女》シスター・スリーゴールドが、ペルーの民族楽器カホーン(木製の四角い箱状の打楽器)にまたがって、リズム良く打ち鳴らしながら自らの罪を次々と告白。

 つづいて白塗りの姉様キングス。イギリス遠征報告や「今年は CD デビュー狙ってます」ってな話をはさみつつ、ネタは「都々逸」「猫じゃ猫じゃ」「阿呆陀羅経」で賑やかに。「猫じゃ猫じゃ」は鮮度が命と、その日の会ったときにネタを考えると云うことで、歌詞がきっちり入っていないのはご愛敬。「阿呆陀羅経」は NHK『上方演芸ホール』の放送でカットされた部分もフォローする完全版で。

 最後に姉キンとスリーゴールドによる《白黒ショー》。(この云い方、あやめが番組案内で嬉々として使っていたが、本来の意味からすると R-18 指定か)
 雀リーヌ染奴のピアノ演奏で、あやめ小路ビッ千代とスリーゴールドが映画『天使にラブソングを 2』より“Oh Happy Day”を熱唱。


 いやぁ、満腹々々。始まるまではかなりテンション低かったんですが、終わった頃にはズボンもすっかり乾いて、大満足の 2 時間強でした。
 合作落語はかなり良くできてて、初演にしては構成もしっかりしてたと思います。この場だけで埋もれさせるのはもったいない。演り方によっては広い舞台でもできそうですし、高座に掛ける機会を作ってもらいたいです。
 前半のコンパ企画もおもしろかったんですが、後半の歌謡ショーがおまけと云うには豪華過ぎ。姉キンもさることながら、スリーゴールドもええ味出してました。定席もできることですし、姉キンもスリーゴールドも、今後の活躍が期待でますね。
 コラボレーションと云う意味では、企画色はこの日がいちばん強いのかも。

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できちゃった二人会 三風&南湖

2006/7/19 @茶臼山舞台

【滋賀県民デー】

  • 桂 三風 《ごあいさつ》
  • 笑福亭 たま 「矢橋船」
  • 桂 三風 「あの世めぐり (地獄八景亡者戯・前編)」
  • 旭堂 南湖 「誕生日」
  • 三風、南湖、シンク、たま 《滋賀県大喜利》


 朝の豪雨から一転、昼前には曇りときどき雨くらいに。
 この日から 6 日間、『できちゃった二人会』と題して、いつも『できちゃったらくご!』に出演のメンバーが 2 人ずつで会を開きます。初日は滋賀県出身の三風さんと南湖さん。
 開場直後くらいに会場入りすると、私を入れて 3 人。その後 2 人増えて、合計 5 人。そのうち、お客さんで滋賀県民は 1 人でした。


 三風の番組案内ののち、まずは開口一番のたまが滋賀にちなんで「矢橋船」を。色問答は「わたいも~」と、お得意の繰り返し技。小便を飲まされた傲慢な男の苦悶の表情が秀逸で、サゲまで演らず 2 度飲まされるところまで。

 三風は「地獄八景亡者戯」の前半、六道の辻で念仏を買うところまでの「あの世めぐり」。舞台は現代で、冥途ツアーに出掛けてきた社長に芸人の一風が「なに考えてはりますの?」と、最近の時事ネタを次々と。明度の演芸場ではチとヤバめのネタも。念仏町でも独自の工夫があって楽しい。
 チラシでは「地獄八景亡者戯」となっていたので期待していただけに、いつか最後まで聴きたい。

 『講談文月毎日亭』との掛け持ちの南湖がギリギリ間に合う。自身の半生になぞらえ、誕生日の思い出の味である母親特製のフルーツ・ポンチの話。小学生時代の話や、旭堂南陵に入門した直後に覚えた「三方ヶ原の戦い」を演ってみたりと、前半はやや発散させつつたっぷりと過去を肉付け、後半の聴かせどころをグッと盛り上げる。

 三風と南湖に加え、南湖が遅れたときのためにと呼び出されていた八日市市出身のシンク(シンクタンク)とたまも呼び出し、客席で観客も車座になって滋賀の特産品の試食会。丁字麩ちょうじふの酢味噌和え、あかこんにゃく、カワエビの佃煮と、いずれもなかなかの味。
 ここで《滋賀県大喜利》と云うことで、全員で「滋賀県に関する一から十」を。良い答えを出した人はご褒美に鮒寿司を食べられると云う趣向。人数も少なかったので、結局はみな食べることに。初めて食べた鮒寿司ふなずしの味は「ギリギリ間に合わなくて腐らせてしまった塩漬けの魚」って感じの味。


 とにかくお客さんが少なくて演りにくかったと思います。それでもみなさん熱演で、楽しませていただきました。最後はアット・ホームな雰囲気に。
 それにしても鮒寿司、滋賀の特産品だとは知りませんでした。ハマってしまうのもわかるなぁって味でしたが、私は積極的には食べないと思います。ええ経験させてもらいました。

 通し券 5,000 円を買いましたんで、今後も続けて行きますよ。

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べにこご しゃべる紅雀×しゃべるこごろう

2006/5/23 @Salon de AManTo (天人)

  • 桂 紅雀 「禁酒番屋」
  • 桂 こごろう 「夏の医者」
    ―― 中入り ――
  • こごろう、紅雀 《トーク》

※ Vol. 26


 諸般の事情で開演に間に合わず、紅雀さんの途中から。入りは公式発表で 27 人。一見さんも多かったです。かく云う私は二見さんでしたが。


 紅雀「禁酒番屋」の、水カステーラあたりから。小便を持ってこられたときの侍のぐでんぐでん具合がなかなか。最初から観たかった。

 こごろう「夏の医者」は、オープニングの百姓の父親が暑さで倒れるシーンをカットし、医者が自分の畑を耕してるところから。事件発生を感じさせる、なかなかの好演出。首に手拭いを巻いてクワを振る医者の姿が印象的だったが、診療に行くときには取った方が良いようにも。
 田舎弁(?)がもうひと息なところも感じられるが、動きやなんかが全体にコミカルな感じで楽しい。

 中入りをはさんで、アンケート・トーク・コーナー。この日のお題は、(1)このにほひがたまらない(あなたの好きな匂ひ)、(2)いまだに気になるあの人はいづこへ、(3)もらってうれしかったプレゼント BEST 3、の 3 題。テーマ的に、初恋や男女の話題が多数。観客が多かったため、終演は 22 時過ぎに。


 紅雀さんの前半を観られなかったのは残念でしたが、こごろうさんはあいかわらず楽しいですね。お客さんが多いときのトークの進行が課題かも。
 終演後には会場が通常営業のカフェに戻りますんで、残ってるとこごろうさんや紅雀さんとおしゃべりできます。ちょっと噺家さんとお話ししてみたいって方にもおすすめの会です。

べにこご WEB
Salon de AManTo (天人)

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福楽の底力

2006/7/17 @上方亭

  • 桂 さん都 「みかん屋」
  • 桂 福楽 「たいこ腹」
  • 桂 勢朝 「佐々木裁き」
  • 桂 福楽 「仔猫」

※ Vol. 4


 『大銀座落語祭』の可朝さんの会を途中で抜け出して、福楽さんの会へ。入りは 30 人くらい。


 開口一番のさん都は初めてだったが、ちょっともっちゃり気味だがしっかりした語り口。軽いマクラから「みかん屋」をきっちり。表情がクルクル変わって楽しい。

 ゲストの勢朝はなぜかテンション抑え気味。NHK 連続小説『芋たこなんきん』への出演を報告し、「佐々木裁き」を。子供たちの描き分けが絶妙。奉行所での、四郎吉のこまっしゃくれた感じ、それに対する佐々木信濃守の困ったようなイラついたような表情、これもなかなか。

 福楽の一席目、ほんわかした口調でキツいマクラから「たいこ腹」。でっぷりした体型の福楽には打って付け。またこの頼りない幇間と若旦那のキャラクターがぴったり。ちょこちょこと福楽らしいセリフを散りばめて楽しませる。
 二席目は軽いマクラから「仔猫」へ。おなべの雰囲気が福楽にぴったり。ところどころ詰まる場面が見られるも、なかなかの雰囲気。


 なかなかの 4 席。勢朝さんもさん都さんもおもしろかったです。
 福楽さんはやや繰り足りなさを感じさせるも、やはり独特の雰囲気がおもしろい。私自身が福楽さんにハマってるってのもあるのかもしれませんが、今後に期待させる出来ではあったと思います。
 次回は 9 月 24 日(日)の予定です。

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大銀座落語祭 2006 (その 4)

2006/7/17 @ヤマハホール

【危険な香りの落語会】

  • 古今亭 ちよりん 「子ほめ」
  • 三笑亭 夢之助 「寿限たら」
  • 月亭 可朝 「住吉駕籠」


 今回の密航の裏メイン、可朝さんの会ですよ。チケットを取るときはいちばん最後にとったんですが、最前列のド真ん中。やっぱり東京では興味を持たれないのかと思いきや、こちらも満席。数少ない当日券の争奪ジャンケンが繰り広げられてました。
 開演前に「第 2 部に出演予定だった横山ノックが緊急入院で欠席、代演に春風亭小朝と林家正蔵」のアナウンス。ノックさんが出るからこそ《危険な香り》であって、第 2 部は普通の座談会になりそう。


 開口一番にちよりん。「子ほめ」は、年齢のほめ方、赤ん坊のほめ方を習って、竹ん家へ直行。「初七日?」「お七夜って云うんだよ!」から、サゲは「ひとつで若けりゃいくつなんだよ!」「どう見ても半分でございます」。前座の仕事をきっちりまっとう。

 夢之助は軽妙洒脱な語り口でダジャレ連発のマクラ。ネタの「寿限たら」は、「寿限無」の「寿限無寿限無‥‥」の男と、「たらちね」(上方の「延陽伯」)の「わらわの姓名なるや‥‥」の女が結婚して新婚旅行に行く噺。テンポ良い口跡で笑わされる。
 かなり落語マニア向けのネタだと思ったが、可朝の会に来るくらいだから、みなマニアか!?!?

 そしてお待ちかねの可朝は、カンカン帽に眼鏡にちょびヒゲと、おなじみの格好で、扇子をひらひらと踊りながら登場。「いやぁ~ホンマにねぇ。ホンマだっせ」連発。マクラ代わりに横山ノックの慰謝料分析。《判定》をキーワードにマクラをつなぎ、うまい流れで「住吉駕籠」へ。
 意外と云っては失礼だが、さすがは米朝一門の筆頭弟子。たしかに演り慣れてなさを感じさせる部分もあるが、余裕のあるしっかりとした語り口で、想像以上にきっちりと古典世界を描く。


 可朝さんもさることながら、夢之助さんも楽しめました。めずらしい物を見せてもらった感で大満足。
 このあと第 2 部もあったが、途中で抜け出して大阪へ。

大銀座落語祭 2006

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大銀座落語祭 2006 (その 3)

2006/7/17 @ヤマハホール

【馬桜の落語カルチャー】

  • 鈴々舎 馬桜 《落語講座》


 鈴々舎馬桜さんを講師に迎え、10:30 から 12:00 まで 90 分の落語講座。ヤマハホールはきれいな会場で、キャパは 400 ほど。朝から雨が降ってたこともあってか、無料イベントにもかかわらず入りは 100 人弱って感じ。

 馬桜さんは立教大学の講師をされてるだけあって、講義形式のトークはお手のものと云った感じで、大学で使用した試験問題を配付して講座を展開。基本は舞台中央に立っての講義ですが、ときに高座で実演したり、ホワイト・ボードを使ったり、楽屋裏話に脱線してみたり、受講者をうまく惹きつけておられました。途中でストレッチ・タイムも。
 昔は先輩の噺家から「芸は盗むもの」と教えられたが、いまは意識的に伝承してゆく必要がある、とは、楽屋にいた某若手噺家さんに向けて。落語のテクニックもさることながら、文化・知識の伝承ってのも必要でしょうね。

 上方中心の私には楽屋話はピンとこないものもありましたが、さもありなんなエピソードの数々に笑わされました。なかなか内容の濃い 90 分でした。

 参考までに、講義で使った問題集を(勝手に)載せておきます。お暇なときにでも挑戦してみてください。(解答はコメント欄にあります)
 ただし、実際の大学での講義を聴いていないとわからない問題も含まれています。この問題に限らず、ご不明な点や疑問に思ったことなど、馬桜さんが「ホームページの掲示板に書き込んでもらえれば、わかる範囲でお答えします」とおっしゃれれてましたので、そちらもアクセスしてみてください。

落語とは、( 1 )の上に座って、(2)を着て、(3)でしゃべる芸。《落とし噺》。(1)には必ず前後があって、縫い目のない方が(4)。
使用する小道具は( 5 )と( 6 )である。このふたつでありとあらゆる道具を表現する。
最初に必ず挨拶をする。その話を( 7 )と云う。語源は( 8 )から出たと云われている。「あおによし」「千早振る」「たらちねの」などと同じである。そして本題へと入ってゆく。
《落語の芸》とは、( 9 )のものをより( 10 )、( 11 )のものをより美しく表現したものである。
落語は先行芸能から多大に影響を受けている。( 12 )や( 13 )からは、( 14 )に対する考え方がもっとも顕著である。その舞台空間のなかの( 14 )を( 15 )の( 14 )と云う。
( 16 )からは舞台のなかの上・下の関係を取り入れた。舞台中央に立って、その左側を( 17 )、右側を( 18 )と云う。では、なぜその左側が( 17 )なのかは、はっきりした説はないが、日本古来の書物『( 19 )』の神話編のなかに( 20 )が、その夫人( 21 )の死を悼み( 22 )の国へ訪ねる。醜い姿の( 21 )を見た( 20 )は急いでそこを逃げ出し、海で( 23 )をする。そして、自分の身を清め、( 24 )を洗うとアマテラスと、( 25 )を洗うとツクヨミ、最後に鼻を洗うと( 26 )が誕生する。
人形浄瑠璃( 27 )からは、その声の修行法を学んだ。声には 3 つの要素があって、( 28 )、( 29 )、そして( 30 )である。( 28 )は上から( 31 )・( 32 )・( 33 )とあり、さらにそれぞれを上・中・下と分けて、少なくとも 9 種類の( 34 )を使い分けなければならない。それに口調(しゃべり方)を変えて話すので、その登場人物がはっきりと描かれる。

大銀座落語祭 2006
鈴々舎馬桜

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大銀座落語祭 2006 (その 2)

2006/7/16 @時事通信ホール

【人間国宝一龍斎貞水と立川流の切り札、立川談春の怪談噺の会】

  • 立川 談春 「妲妃だっきのお百」
    ―― 中入り ――
  • 一龍斎 貞水 「四谷怪談」


 もちろんここ会場も初めてだったんですが、キャパ 300 くらいで後方が雛壇になる多目的ホール。どの席からも観やすそうだが、足音が響きまくるという最悪の構造。
 この会も前売り完売だったようで、ほぼ満席。


 まずは初生(テレビでは 1 度だけ高座を観たことのあった)談春。今回「妲妃のお百」を演ることになった経緯を軽くマクラに、本編へ。
 《妲妃のお百》とあだ名された芸者の小三が、眼を患った母親とその娘をかどわかし、娘の方を女郎屋へ売ってしまうところから始まる。長講 1 時間、さすがに後半はやや乱れかけるような場面も見受けられたが、キレのある口跡で最後まで聴かせた。

 中入りのあいだに、高座に武家屋敷を思わせる舞台装置が次々と。これが愛山の云ってた《立体怪談》か、などと思う。
 さて、貞水の登場。人間国宝である。かくしゃくとした語り口。枯れた感じではなく、張りがあって通りの良い声。
ネタはおなじみの「四谷怪談」で、釈台に照明や音響の仕掛けがあり、それを操作しつつ雰囲気を盛り上げる。最後に幽霊も徘徊。こちらも 70 分を超える長講。


 おふたりとも熱演で、ええもん観させてもらいました。これで 1,000 円はお値打ち。
 ただ、とにかく寝不足で、しかも笑いのない怪談の会ですから、終盤は睡魔との闘いで細部の記憶はあやふや。雰囲気を楽しんだ、そんな感じです。

大銀座落語祭 2006

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大銀座落語祭 2006 (その 1)

2006/7/16 @銀座ブロッサム 中央会館

【究極の東西寄席 C ブロック】

  • 桂 吉坊 「米揚げ笊」
  • 春風亭 小朝 「七段目」
  • 春風亭 小朝 「ヴィンテージ・オブ 1985」
    ―― 中入り ――
  • 林家 二楽 《紙切り》
  • 桂 春之輔 「死ぬなら今」
  • 桂 春團治 「皿屋敷」
    ―― 中入り ――
  • 柳家 小三治 「らくだ」


 今年のテーマ《小三治を観る》ための密航第 2 弾。開演の 12 時に遅れてはもったいないと 6 時半に出発し、前回の失敗も加味して贅沢に近鉄特急にて京都へ。すると、早く着きすぎました。
 キャパは 1,200 くらいでしょうか、前売り完売の満員です。


 開口一番は吉坊。「上方落語界のえなりかずき」で好意的に受け入れられた感じ。あいかわらずのなめらかな口跡が心地良い。
 ネタの「米揚げ笊」は、笊売りが立て前を思案する場面をカットし、米相場師の家での「兄と姉がひとりずつおます」のところも姉だけで、笊売りのしくじりもカットして番頭が「そないに上ばっかり見たら‥‥」とサゲへ。最後の場面でかなりウケていたので、前の方をカットした方が良かったかも。(結果論だが)

 袴姿で登場の小朝、いつもの軽妙なマクラから「七段目」へ。たしかな表現力で安定感抜群でトントントンと進み、とにかく軽妙。

 緞帳が下り、客席が落ち、出囃子に変わって“あのすばらしい愛をもう一度”が流れる。緞帳が上がった高座に照明が当たると、見台&膝隠しの向こうに小朝が板付き。
 かつてのフォーク・ソング同好会の先輩の男と後輩の女が、女の部屋でワイン片手に昔話‥‥って噺。男女の心の揺れをほろ苦く描くも、サゲはきれいに決まる。

 中入りを挟んで、二楽の紙切り。大会場と云うことで OHP を使う。桃太郎、客からのお題で両国川開きと小朝と切り、最後の事前に切ってあった絵巻のような阿波踊りには、荒川静香やジダン、果てはゴジラやドラえもんまで。切ってる最中のトークも慣れたもの。

 つづく春之輔は、師匠の前に携帯電話ネタのマクラで警鐘。ネタはお得意の「死ぬなら今」。地獄で唄う“芸者ワルツ”の替え歌の“冥途ワルツ”に加え、今回は“旅の夜風”の替え歌も。

 春團治はいつも以上に丁寧な挨拶から、季節ネタの「皿屋敷」。これがまた上々の出来で、メリハリも利いてじっくりたっぷり、夢のような 30 分。

 大トリの小三治。お茶をすすりつつ、作詞・北原白秋、作曲・山田耕筰の童謡“砂山”に惚れた話、長崎公演で知ったポルトガルとオランダの話、そこから日本に輸入されたラクダの話と、約 30 分のマクラ。そこから「らくだ」へ。
 引いた芸風に、らくだの兄貴分が「優しく云ってるんだぜ」と静かにすごむ様にシビレる。時間の都合か、紙屑屋が酔っ払ってらくだの兄貴分に絡むところまで。


 お目当ては小三治師匠だったわけですが、小朝さんも春團治師匠にも大満足。とくに春團治師匠は抜群の高座で、上方四天王の面目躍如。小三治師匠、ひょっとすると春團治師匠の熱演にほだされて急遽、大ネタの「らくだ」を持ってきたのかも。
 二楽さんも良い色変わりでしたし、吉坊さんも春之輔さんも良かったです。ただ、春之輔さんはそろそろ違うネタを観たいなぁ。
 15:35 終演の予定が、師匠連の熱演で 16:15 終演に。長けりゃ良いってもんでもありませんが、内容も充実の会でした。

大銀座落語祭 2006

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たまよね RX

2006/7/15 @上方亭

  • 笑福亭 たま 《ごあいさつ》
  • おしどり 《音曲漫才》
  • たま、おしどり、南青 《大喜利》
  • 笑福亭 たま 「代書屋」
  • 旭堂 南青 『難波戦記』より「後藤又兵衛」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「Birth」 (作:たまよね)
  • たま、米井 《雑談:今日のたまよね RX》

※ 其の弐


 梅雨明けはまだ少し先とのことですが、なんとも夏な感じの日に。午前中から用事をバタバタッとこなして、上方亭へ。
 受付にたまさんそっくりの方がおられると思ったら、弟さんだとか。お客さんがどんどん詰めかけ、40 人近くに。


肖像針金 たまの番組案内につづいて、おしどりのふたりがいつものようにアコーディオンで賑やかにワイヤー・アート。この日のネタは客いじりが多く、なんと私も横顔を作ってもらい、その流れで昨年末の TORII HALL につづいて上方亭の舞台へあがる。私自身も緊張でアガる。

 たま、おしどり、南青での大喜利。客のお題でおしどり♂がワイヤー・アートを作り、あとの 3 人がそれを使ってなにかする、と云う趣向。「動物園」でゾウ、私の出題した「ドラえもん」、と演り、最後の「芸者」は 4 人でワイヤー・アート。

 たまの古典は「代書屋」。マクラで代書屋の商売や雰囲気を詳細に解説。
 本編は春團治流がベースのよう。とにかく陽気で大声の客、ぼそぼそと陰気にしゃべる代書屋の対比がたま流のアレンジで強烈。客の「へへへへへ減りぃい止めぇ」や、代書屋のぼそぼそツッコミなど、独自のクスグリもなかなかツボ。ただ、気が入らないのを大声でカバーした感も。

 南青は講談『難波戦記』より、後藤又兵衛の資金繰りの話。心地良い口跡とともに、落語「崇徳院」のようなエピソードがあったり、南青独自のクスグリが入っていたり、楽しませてくれる。

 中入りを挟んで、たまの新作「Birth」。もうすぐ生まれてくる胎児たちが産婦人科でごしゃごしゃ‥‥ってな噺。「逆子ではいかん」とひっくり返ったり、袴の紐をヘソの緒に見立てたり、所作のおもしろさ。胎児同士の会話はナンセンスの極致。
 アイディアは独特なだけに、整理されてくればもっとおもしろくなりそう。

 さいごに米井氏を呼び込んで雑談コーナー。今回の新作はギリギリの 5 時に完成したとのことで、おそらく午後 5 時のことであろう。たま宅に米井氏も詰めて執筆するも、米井氏はすぐに寝てしまったとか。


 盛りだくさんの 2 時間強。たまさんの落語は古典に新作、おしどりの漫才、南青さんの講談と、バラエティー・ショウの趣でした。おみやげももらえましたし、ホクホクと帰宅。

 次回は TORII HALL にて 8 月 20 日(日)の『たまよね祭り』です。

らくごの玉手箱

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講談文月毎日亭 (十四日目)

2006/7/14 @直木三十五記念館

  • 旭堂 南湖 『寛政力士伝』
  • 神田 愛山 「おとなしい凶器」
  • 旭堂 南海 『難波戦記』
  • 神田 愛山 「四谷怪談」


 3 日目以降、都合が付かずに行けなかった毎日亭へ。
 受付には南湖さん。この日は神田愛山先生がゲスト出演と云うことで、特別料金の 2,000 円を払ってなかへ。この日の入りは 16 人。通し券で皆勤の方もおられるとか。


 まずは南湖。横綱を初代から日に 3 人ずつ覚えて暗唱しているそうで、この日は第 42 代まで。
 『寛政力士伝』、小野川と戦いたくない雷電に知恵を貸そうという猪名川。しかし、結局は雷電と小野川の取り組みに。‥‥

 いつ計っても 32 度の東京の自宅から新感線で大阪へ駆け付けたゲストの愛山。初めてだが、独特の毒気のある、それでいて嫌味のない語り口。「南海・南湖と付き合ってると、ろくなことがありません」と云う顔がなんとも楽しそう。
 柳家喬太郎を褒めちぎってから、ロアルド・ダール原作のミステリー「おとなしい凶器」。突然離婚を切り出した夫を発作的に冷凍羊肉で殴り殺してしまった妻。倒叙物かと思いきや、ラストにクスリとさせる話が愛山にフィット。

 南海は愛山とのエピソードをマクラに『難波戦記』へ。大坂城へ入城した真田幸村、息子の大助に活躍の舞台を与える。
 合戦の場を現在の場所で解説を入れ、イメージしやすい工夫が。曰く、近鉄上本町駅とハイハイタウンの間。講談ゆえ、真偽のほどは‥‥

 照明を落とし、再度、ゲストの愛山。季節ネタの「四谷怪談」と云うことで、入門したての寄席で幽霊の役をしたときの話や、田宮神社へのお参りの話をマクラに。
 講談のお岩は、薬を盛られて顔が崩れるのでなく、もともと醜くかった顔が怪我でますます化け物のようになる。緊張感のある話に、ときおりクスグリを入れて緩和させる、緩急自在の語り口。
 惜しむらくは、中ほどで観客の携帯電話が鳴ったこと。演者に責任がないだけに、なんとも残念。こころなしか、その後の語りにさらに力が入っていたようにも感じられる。


 会もなかばとなりますが、南海・南湖の御両人は体調も維持しつつ続けられている様子でした。
 愛山先生は初めてでしたが、かなり良い感触でした。力むこともなく自分の世界に引っ張り込む、ゆったりした語りのリズム。この日はネタも良かったと思います。
 携帯電話はほんと残念。南湖さんもとくにアナウンスされてませんでしたし、観客の良識にゆだねられてるわけです。せめてマナー・モードにはしておいてもらいたいです。

旭堂南海 FUN (ファン・サイト)
正直南湖
直木三十五記念館

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らくご道 笑福亭生喬と桂こごろうの落語会

2006/7/13 @上方亭

  • 笑福亭 生喬 《ごあいさつ》
  • 桂 こごろう 「延陽伯」
  • 笑福亭 生喬 「色事根問」
    ―― 中入り ――
  • 生喬、こごろう 《対談:夕焼け日記》


 出張先を早仕舞いして、「そこまでするか?」と自問自答しつつワッハ上方へ。
 ワッハホールの『島之内寄席』と重なったからか、入りは 32 人と若干少なめ。観る方としてはゆったり座れて楽でしたが。


 急遽、出番順が変わったそうで、生喬が白いアロハに半ズボンに麦わら帽子でごあいさつ。男前豆腐店の事件の話題からおからの話に。

 こごろうは米朝一門では演り手が少なく、こごろう自身も演り慣れてない(生喬談)「延陽伯」を。
 嫁さんを世話してもらうやもめのキャラクターが秀逸。風呂屋での描写もこまかく、風呂から帰って掃除を済ませ、嫁はんが来るまで妄想爆発。
 マクラでも振ってましたが、先日のつく枝のと比べると、こごろうの方がやもめのキャラクターが漫画的なとぼけた味わい。(前座でカット・ヴァージョンだったつく枝のと、勉強会でフル・レングスのこごろうのとを比べるのはナンセンスかもしれないが)

 生喬はマクラで松喬一門のシンガポール旅行記。クリーニング中のマーライオンにガックリ。(見てもガックリだったかも) そのほかにも珍道中の話がいろいろありましたが、夜の部については別の機会に。つづきを聴ける機会はあるか!?!?
 ネタは「入れ事根問」な「色事根問」。男がモテるための条件の一から十を訊くだけの噺ながら、クスグリの多くが生喬謹製で、しかもちょっとエグいのが多い。「オマエ、なんか趣味とかないんかいな?」「わたい落語が好きでんねん」「それがあかんがな。おまえの歳で落語が好きて、それはモテんで」にこっちがガックリ。思わず頭を抱える。

 中入りを挟んで、ふたりで対談。まずは生喬が自身の高座に平謝り。しかも初生喬の客が多く、生喬自身がショック。しかし、舞台袖で雀五郎が 4 分に 1 回、肩で笑ってた(こごろう談)とか。
  そのあとはラジオ『もうすぐ夜明け米朝事務所です』の話から、服装の話に。正月に師匠宅へ年始の挨拶に行くときや、師匠格の人の会へ行くときなど、一門のカラーが。


 いやぁ、おもしろかったです。とくにこごろうさんの「延陽伯」は、演り慣れてないとは云いつつも、やもめのキャラがかわいい。対談がまた爆笑の連続で、無理して行った甲斐がありました。
 次回は 8 月 17 日(木)の予定です。

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朝日東西名人会

2006/7/10 @梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

  • 桂 つく枝 「延陽伯」
  • 立川 志らく 「愛宕山」
  • 笑福亭 福笑 「憧れの甲子園」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 三喬 「ちりとてちん」
  • 立川 談志 「やかん」

※ 第二回


 温度よりも湿度がきびしい今日この頃、買い物であちこち寄り道しつつ、シアター・ドラマシティ改め梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(長っ!)へ。
 ドラマシティはひさびさでしたが、やっぱり広い。1,000 人規模の会場ですが、ほぼ埋まった感じです。


 ニコニコと登場した開口一番のつく枝は、年上の女房にはかないませんと、マクラで実生活を赤裸々に語ってから「延陽伯」を。嫁を世話してもらう男がハイ・テンションで浮かれ、こっちまでうれしくなってくるよう。

 つづいて東京から志らく。師匠・談志ネタから国歌ネタとマクラをつないで「愛宕山」を。基本プロットは上方落語と同じだが、江戸落語では季節感が皆無で、ただの山登り。世界観と云うか、情景や人物の描写に厚みが感じられない。それでも幇間の一八のキャラクターはおもしろく、とくにラストの谷底からの帰還シーンは秀逸。
 口跡が良く、言葉の違いはそれほど気にはならなかったが、ネタ選びが悪かった。江戸落語ならではのネタで観てみたい。

 中トリは福笑。いつもの激動の世界情勢ネタで軽くつかみ、初めて観る「憧れの甲子園」。高校野球の甲子園大会に出場するも 1 回戦敗退し、その日の慰労会での監督のボヤキ。
 まわりに高校球児がいる設定ながら、出てくるのは監督ひとりで、酔っぱらって 20 分以上くだ巻く様子は圧巻。酒好きの福笑ならではの説得力。

 中入りを挟んで、三喬はマクラ代わりにいつもの小咄。「因幡ウアーの白ウサギ」は「賞味期限ギリギリですねん。きょうで止めますわ」。
 しっかり客席をほぐしてから季節ネタ(?)の「ちりとてちん」へ。いつもながら安定感抜群。知ったかぶりの竹が白菊を飲みながら「ねちゃねちゃや。もなか食てるみたいや」とは極端な。出てくる人がみなちょっと抜けたような感じなのは三喬のうま味。

 トリの談志。この日の主役の登場に「待ってました!」の声があちこちから掛かる。超ショート・ヴァージョンの「まんじゅうこわい」を演ってみたり、どギツい北朝鮮ネタでまわしたり、ジョークを披露したり。なにを演るか逡巡してる様子。
 いつの間にか「やかん」に。いろいろな物の名前の由来を訊く噺。詰まり詰まりで、忘れたこともギャグに転換しつつ、訊いてる方が客で答えてる方が談志本人のような雰囲気。ところが終盤、「あとはご存じでしょ?」とダイジェストに。
 すると時間が余ったようで、最後にお気に入りのジョーク「アフリカン・ルーレット」を披露してお開きに。


 期待感が大きすぎたか、東軍の感触はいまひとつ。談志師匠は以前、HEP HALL で観たときはもうちょっとフレンドリーなオーラが出てたんですが、やっぱりキャパで演りようが変わるのかもしれません。志らくさんは完全にネタ選びで失敗してたと思います。もったいなかった。
 対する西軍はいずれも好演。三人ともたっぷり笑わせてもらいました。

 次回は 10 月 23 日(月)、東京からのゲストは志の輔さんと、なんと小三治師匠! 万難排してチケット確保から挑みたいと思います。

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そごう寄席

2006/7/9 @そごう劇場

【桂吉朝追善落語会】

《昼の部》

  • 桂 よね吉 「時うどん」
  • 桂 あさ吉 「崇徳院」
  • 桂 雀松 「替わり目」
    ―― 中入り ――
  • 吉朝一門 《座談会:師匠 桂吉朝を語る》
  • 桂 吉朝 「宿屋仇」

《夜の部》

  • 桂 しん吉 「鷺とり」
  • 桂 吉弥 「皿屋敷」
  • 桂 千朝 「はてなの茶碗」
    ―― 中入り ――
  • 千朝、雀松、米左、南左衛門、吉坊 《座談会:噺家 桂吉朝を語る》
  • 桂 吉朝 「七段目」


 本人が出ない会の前売り券が即日完売と云うことから、ファンの《桂吉朝》と云う噺家に対する想いが感じ取れると思います。実際、どんな感じの入りになるか不安もあったんですが、昼夜ともほぼ満席。当日券も若干出てたようです。


 まずは昼の部、よね吉の「時うどん」(ひとりバージョン)から。ちょっとカタめながら、なかなか。季節外れの噺のチョイスは、本人の思い入れか?

 つづくあさ吉は微妙な間からスタート。「崇徳院」は前半メロメロ、後半なかなか。落語としての出来だけ考えると悪かった方だが、あさ吉ワールドを満喫。

 雀松は十八番の「替わり目」。酔っぱらいの大将もさることながら、くるくる変わる女将さんの表情はいつ観てもおもしろい。

 中入りを挟んで、吉朝一門の座談会。観客からの質問状をもとにグダグダと、吉弥主導ながらあさ吉に引っ張られる感じ。吉の丞の自由奔放ぶりがええ味に。
 質問は、師匠と出掛けた思い出、誰が吉朝を継ぐのか?、一門の命名について、等々。そのほか、師匠のひとことや、稽古でのエピソードなんかも。金比羅の会のあとの、米朝・吉朝・あさ吉での三者会談のエピソードが秀逸。

 トリは吉朝「宿屋仇」のビデオ上映。個人的にいちばん観たかった噺。兵庫の三人連れの大騒ぎからの、侍の「伊八ぃ」の呼び声の、ジャストの感覚。計算し尽くされた場面転換の妙を堪能。


 夜の部はしん吉の「鷺とり」から。スズメ捕りと玉江橋の不思議をカットしたショート・バージョンで。こちらは思い出のネタとか。なかなかええ感じ。

 吉弥はマクラから安定した運びで「皿屋敷」へ。あの体型でお菊はどうかと思ったが、吉弥なりのアレンジもあって、これがなかなか。

 千朝は「はてなの茶碗」をじっくりと。いつもながらの独特のテンポでええ感じ。ただ、心地良すぎてちょっとウトウト‥‥。申し訳ない。

 中入りを挟んで、千朝、雀松、米左に、講談の南左衛門を交えての座談会。司会は吉坊。最初はややカタかったが、徐々にほどけて話題が次々と。
 吉朝の芸名の由来、吉朝との勉強会、器用なところ、古い歌好き、芝居でのエピソード、会のプロデューサーとしての顔、いたずら、等々。この手の話は一杯やってからの方がおもしろエピソードを引き出せそう。

 トリは吉朝「七段目」のビデオ上映。十八番の芝居噺で、何度観てもおもしろい。この噺も屋敷の上と下との場面転換での間合いが絶妙。
 いつも思うが、芝居のまねごとでかなり派手に見得を切ったりするも、着物の裾の乱れがいつの間にやら整えられてる。ここらは稽古量がものを云うのでは?と思わされる。


 昼夜通してまる 1 日、吉朝さんに思いをはせる会となりました。ビデオ上映は 2 席とも『平成紅梅亭』からの映像でしたが、なんとかこれをソフト化していただきたい、その気持ちがまた強まりました。

 終演後、この日も含めていつもお世話になっております吉朝ファンの面々と飲み会へ。ええ感じで酔っぱらっての帰宅となりました。

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片塩寄席

2006/7/8 @片塩カルチャーセンター

  • 桂 しん吉 「軽業」
  • 桂 まん我 「青菜」
  • 桂 団朝 「秘伝書」
  • 桂 しん吉 「蛇含草」

※ 第 8 回


 この日は行きたい会が目白押しでバッティング。かなり悩んで、近場の会をチョイス。近鉄南大阪線「高田市」駅から徒歩 3 分、私は自宅から徒歩 20 分。開場前には「桂しん吉」ののぼりが立ってました。
 ちょっと早めに着いたら一番乗りで、悪天候のせいか客足が鈍い。それでも開演直前にぼちぼち集まり、60 人くらいは入った感じ。若いお客さんもチラホラ。しん吉さんのファンかな?


 世話役の方の挨拶につづき、まずしん吉が登場。地元・大和高田市のネタをマクラに「軽業」へ。初心者向けに所作のこまかい解説入りで。怪しい見せ物小屋は、一間の大イタチ、取ったり見たり、オオカミ男、こなきじじい。
 後半の軽業小屋の、外観からの状況説明はもうちょっとゆっくりしゃべってもらわないと、とくに初心者はイメージしにくいだろう。扇子を使った綱渡りの太夫の足下を見せる場面は、綱の揺れも表現して芸がこまかい。

 まん我は季節物の「青菜」。植木屋が表情豊かでおもしろい。美味そうに飲み食いする場面が多く、仕込み噺でわかりやすいこともあり、ウケも上々。

 団朝は、桃太郎や鶴の恩返しなどの昔話、車のバック・ミラーの怪談話など、マクラ代わりに小咄をいろいろ。これで自在に観客をコントロールし、団朝ワールドに誘導。
 ネタは「秘伝書」。めずらしい噺だが、簡単に先が読める。しかし、マクラの爆笑に引きずられてええ感じの盛り上がりに。これは演者の勝利。

 最後にふたたびしん吉。「蛇含草」はきっちり吉朝の型だが、もうちょっと的確なリズムがほしい。とくに、餅好きの男が訪ねた先の涼しさと自宅の暑苦しさを詳細に説明するくだり、ここはそれぞれゆっくり始まって徐々にテンポ・アップしていってほしいところ。
 この噺、餅好きにはたまらないが、やっぱり美味そう。曲食いの場面で「お染久松夫婦投げ」と、「愛宕山」の土器投げのと云い間違えたのはご愛敬。曲食いの最後は「箕面の滝食い」で餅が天井に。


 団朝さんとまん我さんはかなりウケてました。とくに団朝さん、謙遜しつつもさすがにキャリアを感じさせる上手さがあります。
 しん吉さんはネタ選びで失敗してたってのもありますが、全体にやや練り込み不足も感じられました。ぼちぼち「この噺ならしん吉」ってのがいくつかほしい気もします。
 まぁなんにしても、私としては 4 席とも楽しめましたし、これで木戸銭 1,000 円はお値打ちだと思います。この『片塩寄席』は年に数回開かれてるようで、夏はしん吉さんの会になってるそう。次回は秋頃に開かれるようです。

 この日は奈良テレビの取材が入ってました。ひょっとすると、私がなんかの番組に出てるかも!?!?

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講談文月毎日亭 (三日目)

2006/7/3 @直木三十五記念館

  • 旭堂 南湖 『寛政力士伝』
  • 旭堂 南海 『難波戦記』


 7/1 から始まった『毎日亭』。何回かは行こうと思ってたんですが、南湖さんが「平日は客が減るだろう」と云われるんで、急遽行くことに。
 迷いに迷ってギリギリに入場。大入り満員の 26 人で、座布団も座椅子も床几も品切れで、畳にあぐら。お客さんの 4 分の 1 くらいは通し券でした。私は当日券で。
 直木三十五の記念館と云うことで、関連書籍が陳列されているため、やわらかい間接照明が中心で、ええ雰囲気の会場です。30 人も入れば超満員です。


 まずは南湖。通し券の説明などを軽く前置きしてから『寛政力士伝』から「雷電の初相撲」。田舎から出てきた為造が谷風に入門し、三年の弟子修行の末に雷電として初土俵を踏むところでちょうど時間に。
 思わず「横綱」と云ってしまった場面が気にかかるも、それ以外は小気味良い口跡で楽しい。

 つづいて南海は『難波戦記』を。豊臣秀頼の元服前後を。徳川家康の野望、結城秀康と伊達秀宗の登場に、石川五右衛門情報をはさみ、加藤清正の登場あたりまで。
 後半、ややリズムのくずれる場面が見られるも、じっくり丁寧に。登場人物が多いんで、集中して聴く必要あり。脱線部分にも興味深いエピソードが。


 南湖さんが約 30 分、南海さんが約 1 時間、トータルで 1 時間半強と云ったところ。1 時間くらいの会かと思ってたんですが、思いのほか南海さんがじっくり語られました。
 さすがに続き読み、おふたりとも切れ場の盛り上げで翌日への興味をかき立てます。できれば続けて何日か聴きに行きたいところです。

 帰りに南湖さんの同人誌『大阪城』を購入。ちゃっかりサインも入れてもらいました。

旭堂南海 FUN (ファン・サイト)
正直南湖
直木三十五記念館

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SHINKANSEN☆RS 『メタル マクベス』

2006/7/1 @大阪厚生年金会館大ホール

 劇団☆新感線はチケット代の高騰と、主演が客演の状況に疑問もあってここ数年は敬遠してたんですが、『メタル マクベス』のタイトルで無性に観に行きたくなり、Yahoo! オークションにてマチネーの券をプチ・プラチナ価格で確保。それでも 1 階席の真ん中あたりでしたから、まぁ良しとしましょう。


原作: ウィリアム・シェイクスピア(松岡和子翻訳版『マクベス』より)
脚色: 宮藤官九郎
演出: いのうえひでのり
出演: 内野聖陽、松たか子、森山未來、北山有起哉、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと、上條恒彦、ほか

 西暦 2206 年。荒廃した世界に築かれた ESP 王国。レスポール王に仕える将軍ランダムスターは、朋友エクスプローラーとともに通りかかった森で三人の魔女と出会う。魔女たちはランダムスターを指さして、こう唱えた。
「万歳! マクベス! いずれは王になるお方」
 マクベスと呼ばれたランダムスターは、魔女から 1 枚の CD を手渡される。それは 1980 年代のヘヴィ・メタル・バンド、METAL MACBETH のアルバムだった。‥‥

 1980 年代の METAL MACBETH のマクベス内野と 2200 年代のランダムスターがシンクロし、METAL MACBETH の CD が予言書の役割を担う。第一幕では 200 年の時を隔てたランダムスターとマクベス内野をそれぞれ描き、第二幕ではそれが融和してゆく。

 ランダムスターとマクベス内野に内野聖陽、ランダムスター夫人と METAL MACBETH のマネージャーに松たか子。このふたり、新感線の世界観になかなかにマッチ。とくに内野、堂々の歌いっぷりもさることながら、コミカルな面もそつなくこなす。
 新感線の面々は、エクスプローラーとバンクォー橋本の橋本じゅん以外はチョイ役な感じで、非常に贅沢な使い方。とくに楽しみにしていた逆木圭一郎が脇々役の印象で残念。もうちょっと見せ場がほしかった。

 今回、原作の『マクベス』を(偶然にも松岡和子翻訳版で)予習していたおかげで、登場人物がだいたい把握できたことが観劇の助けに。
 自由に展開した第一幕(原作の第三幕まで)に比べ、終焉に向けて収束させてゆかねばならない第二幕(原作の第四幕以降)は、とくにその前半が面白味に欠ける(と云うか、原作に忠実な)展開。しかしながら、超越した時代の融和を感じさせる後半はなかなか。

 ステージ・プロダクションはさすがに金がかかっており、ド派手な照明や音響はもちろん、大掛かりなセット、凝ったスクリーン・システム、舞台美術と映像の効果的な融合と、かなりの気合い。ただ、歌詞を字幕よろしく出すのはどうかと。どうしてもそっちに目が行ってしまう。
 メタルへの原点回帰か、衣装はレザー&スタッドが主流。復活した JUDAS PRIEST に敬意を払ってか、ロング・コートも多い。やはりいのうえのなかでは《メタル = JUDAS PRIEST》なんだと再確認。

 そして、ヘヴィ・メタルの象徴はやはりメロイック・サインであることを強烈にアピール。


 25 分間の休憩を挟み、トータル 4 時間の長丁場。しかしながら、一気に観させられた感があり、鑑賞後は心地良い疲れ。ひさびさの新感線を存分に堪能しました。
 ただ、やっぱり劇団としての新感線のあり方には疑問も残ります。集客や資金繰りの関係で客演を主役に据えざるを得ないのも理解できるんですが、新感線のメンバーがもうちょっと目立っても良いような。もっとも、今回の内野さんのような役をこなせる役者がいまの新感線にいないのも事実で、もう劇団として単体で機能・存続させていこうと云う意識はないのかもしれません。

 休憩中に『LIVE! METAL MACBETH』の CM が流れてましたが、最後に大きな字幕で出る「レッツ・ヘッド・バンキング!」はいかがなものかと。なんか「頭金、振り込みに行こうぜ!」みたい。ちょうどトイレから戻ってくるところで、通路でコケそうになりました。

劇団☆新感線 OFFICIAL WEB SITE

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