« 桂千朝独演会 | トップページ | 元祖大阪名物 あほの会 »

たまよね FINAL

2006/10/15 @ワッハ上方レッスンルーム

【Episode 1 ワッハ編】

  • 笑福亭 たま 《ごあいさつ》
  • 桂 雀五郎 「青菜」
  • 笑福亭 たま 《ショート落語》
  • 笑福亭 たま 「船弁慶」
  • 雀五郎、呂竹、米井 《鼎談》
  • 笑福亭 たま 「ナオコ」 (作:たまよね)
  • 笑福亭 仁智 「清貧の人々 源太と兄貴」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「芝浜」
  • たま、米井 《雑談:今日のたまよね》


 ひさびさに落語界のハシゴ。まずはワッハでの『たまよね FINAL』へ。今年いっぱいで休会となる『たまよね』のカウント・ダウン(カウント・アップ?)第 1 弾。毎回ゲストを招いての豪華版で、今回は新作派の仁智さんと、寡黙な雀五郎さん。
 入りは 80 人くらいでしょうか、ええ感じで埋まりました。


 たまは挨拶代わりに落語会の予約電話の話や、最近のマクラでよく話してる上方落語協会の舞台裏を拡大版で。

 雀五郎はマクラ指数 0 で「青菜」へ。師匠の雀三郎が透けて見える感じできっちりと。前半の旦那はもう少しどっしりした感じでほしいところだが、後半の植木屋のおさまり具合はなかなかで、サゲの植木屋の困りと間が絶妙。終わり良ければすべて良し、で好印象。

 たまの 1 席目は、マクラ代わりにショート落語をいくつか演って「船弁慶」を賑やかに。喜六が比較的しっかりした感じで、雷のお松はかなり強烈に。
 後半、船遊びで盛り上がる喜六を発見したお松の興奮ぶりが凄まじい。屋形船で踊る喜六と通い舟で喜六のもとへ向かうお松とをカットバックで表現し、さらにハメモノを使って緊迫感を高めると云う、映画的な演出が秀逸。サゲ前の芝居がかった場面はカットし、それっぽい自然な流れに。
 あえて云うなら、全体にテンションが高いため、メリハリに欠ける感が。清八をもうちょっと抑えたキャラにしても良いかも。(まぁここらのテンションの高さがたまの味と云えるのだろうが)

 ここでたまの暗記タイムに、米井敬人(放送作家)氏を聞き手に、雀五郎と呂竹で鼎談。この 3 人が偶然、同級生だと云うことが判明したそう。
 パンフレットでは雀五郎と米井氏の対談となっていたが、あまりにも雀五郎が科目過ぎると云うことで呂竹を参加させることにしたと思われる。実際、雀五郎は何事も多くを語らず。話題は稽古、ゲン担ぎ、職業病、等々。何事にもボソッと反論する雀五郎が笑いを誘う。

 たまの 2 席目は、開演直前に書き上げた新作「ナオコ」。これまででもっともギリギリでは?
 金や地位や名誉に目がくらみまくって男を選びきれない女の噺。女の気持ちがコロコロ変わる場面はもう少したたみかけるようなテンポがほしいところ。男も女も一目惚れしたときにホイットニー・ヒューストンの“I Will Always Love You”が流れる趣向がおもしろい。(ただ、ここは曲の後半の、キーが上がった部分を使った方がさらに効果的かつ印象的だろう)

 ここでゲストの仁智。野球の話題をマクラに、なにを演るか逡巡してる様子。結果、「清貧の人々 源太と兄貴」を。ヤクザの兄弟分が新しいシノギを考える噺。兄弟分のキャラクターの対比が明確で、失敗を繰り返して兄貴が「源太ぁーっ!」と叫ぶのが印象的。こまかいクスグリがまた、いちいちおもろい。

 中入りを挟んで、たまの 3 席目は「芝浜」。とは云えもちろん舞台は江戸ではなく、登場人物はみな大阪弁。ただ、「夢の革財布」とすると雀三郎&小佐田定雄(落語作家)への義理立てもあろうと云うことで。
 オリジナルでは、大金を拾った魚勝がドンチャン騒ぎをして寝てしまい、次の場面では嫁に「ドンチャン騒ぎはしたが、大金を拾ったのは夢」と云われて改心し、仕事に精を出すようになる。たま版ではここに、心配した嫁が家主へ相談しに行って夢だったとごまかすよう助言される場面を挿入し、魚勝の単純な性格を描写。
 要所に挟み込んだクスグリを活かすにはこの構成もアリだと思うが、あとの場面とかぶるセリフも多く、やや冗長でもっちゃりした感じ。魚勝の嫁と家主とのやり取りをもう少し刈り込んで整理する必要はあろう。

 最後にたまと米井氏で対談。クイズの解答のあとは「芝浜」のプロットに関する考察を中心に、たま版の演出論をたっぷりと。「芝浜」で泣けるか?との話や、ニンに合った噺についてなども。


 いろいろと盛りだくさんの番組で、たっぷり 3 時間。トークのグダグダ具合なんかは『たまよね』らしく、しかも最後の「芝浜」に関するあれこれは興味深く、中身が濃いやら薄いやら、なんともおもしろい会でした。
 仁智さんの高座は初めてだったんですが、マクラからかなりおもしろかったです。『たまよね』の独特の雰囲気に飲み込まれそうになりながらも、なんとか踏ん張って仁智ワールドを醸し出されてました。
 たまさんは 3 席ともネタ下ろしだったそう。「船弁慶」は演出もハマって初演とは思えない出来。「ナオコ」と「芝浜」は要整理と云ったところ。実験の場であることを考えると、いずれも十分たのしませてくれました。

 次回、Episode 2 は 11 月 18 日(土)、天満天神繁昌亭にて開催予定です。

らくごの玉手箱

|

« 桂千朝独演会 | トップページ | 元祖大阪名物 あほの会 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: たまよね FINAL:

« 桂千朝独演会 | トップページ | 元祖大阪名物 あほの会 »