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山葵的落語道 2006

 ‥‥と云うほど大層なもんでもないんですが、今年はホンマに足繁く落語会に通いました。それこそ仕事そっちのけで、でしたから。
 で、ザックリと集計してみました。表計算ソフトに手動入力したんで打ち間違いや抜けがあるかもしれませんが、まぁ大きくは変わらないと思います。(講談の会や高座も含んでいます)


 まず、月別の落語会の回数。最後に『年越しオールナイト落語会』も控えてますが、これは昨年からのをカウントしています。

  1. 9 回
  2. 8 回
  3. 11 回
  4. 16 回
  5. 15 回
  6. 15 回
  7. 23 回
  8. 14 回
  9. 24 回
  10. 13 回
  11. 13 回
  12. 18 回

 合計 179 回。平均すると 2 日に 1 回のペースで行ってることに。とくに 3 月末からの『三代目桂春團治極付十番落語会』以降、際限がなくなったような気がします。とくに 7 月や 9 月は、いったい仕事はどうしてたんでしょう?
 『極付十番』以外にも、『できちゃった二人会』(7 月)や、続き読みの『たま・南湖 二人会』(9 月)など、連続企画が印象的深いです。


 つぎは観た回数が多かった人。高座数をカウントしてカッコ内に記しています。(ただし、トークや企画モノは除外)

  1. 笑福亭 たま (75)
  2. 桂 こごろう (24)
  3. 旭堂 南湖 (21)
  4. 笑福亭 生喬 (20)
  5. 月亭 遊方 (19)
  6. 林家 花丸 (18)
  7. 笑福亭 福笑 (17)
    桂 あやめ (17)
    桂 つく枝 (17)
  8. 桂 吉弥 (16)
  9. 桂 春團治 (15)
    桂 三金 (15)
  10. 桂 福楽 (14)
  11. 桂 三風 (13)
  12. 桂 しん吉 (12)
  13. 快楽亭 ブラック (11)
    林家 染雀 (11)
    桂 まん我 (11)
    桂 佐ん吉 (11)
  14. 桂 雀三郎 (10)
    林家 市楼 (10)

 ダントツはたまさんの 75 回。これにはトークや『たま・南湖 二人会』での「シンケイ累ヶ淵」なんかは入れてません。(逆に南湖さんの「寛政力士伝」は入れてます)
 こごろうさんと生喬さんは『らくご道』や『出没!ラクゴリラ』で観る機会が増えました。『できちゃったらくご!』のメンバーも上位に。勉強会や独演会を開催されてる方はやはり上位に入りますね。
 もっと観たかったのは福楽さんと花丸さん。このおふたりは来年も要チェックです。


 つづいてよく観たネタ。カッコ内は観た回数です。

  1. 犬の目 (12)
  2. 子ほめ (11)
    時うどん (11)
  3. 親子酒 (10)
    七段目 (10)
  4. 愛宕山 (9)
    阿弥陀池 (9)
  5. くっしゃみ講釈 (8)
    崇徳院 (8)
    動物園 (8)
    兵庫船 (8)
  6. 皿屋敷 (7)
    初天神 (7)
  7. 青菜 (6)
    池田の猪買い (6)
    牛ほめ (6)
    米揚げ笊 (6)
    代書屋 (6)
    道具屋 (6)
    船弁慶 (6)

 前座さんがよく演られる寄席の定番が上位に。4 位の「親子酒」(遊方さんの現代版も含む)と「七段目」(都さんのグダグダ版も含む)や、6 位の「愛宕山」はチと意外。もっとも、「愛宕山」はたまさんだけで 3 回は観てますが。
 ちなみに、南湖さんが続き読みされた 8 回を含む「寛政力士伝」の 13 回は除外しました。


 最後に「誰の何」の集計。ここでも南湖さんの「寛政力士伝」は除外しました。

  1. 笑福亭 たま 「Apologize」 「Elderly Love」 (2 + 3 = 5)
  2. 桂 春之輔 「死ぬなら今」 (4)
    林家 市楼 「阿弥陀池」 (4)
  3. 笑福亭 鶴瓶 「青木先生」 (3)
    桂 雀松 「替わり目」 (3)
    桂 福楽 「田楽喰い」 (3)
    桂 こごろう 「代脈」 (3)
    桂 こごろう 「動物園」 (3)
    桂 つく枝 「宿替え」 (3)
    林家 花丸 「厩火事」 (3)
    桂 吉弥 「愛宕山」 (3)
    笑福亭 たま 「愛宕山」 (3)
    笑福亭 たま 「いらち俥」 (3)
    笑福亭 たま 「くっしゃみ講釈」 (3)
    笑福亭 たま 「皿屋敷」 (3)
    笑福亭 たま 「Smell」 (3)
    笑福亭 たま 「初天神」 (3)
    笑福亭 たま 「兵庫船」 (3)
    笑福亭 たま 「不動坊」 (3)
    笑福亭 たま 「船弁慶」 (3)
    笑福亭 たま 「矢橋船」 (3)
    笑福亭 たま 「与太郎」 (3)
    桂 佐ん吉 「池田の猪買い」 (3)

 たまさんはホンマによく観ましたが、『たまよね』から出た「Apologize」が「Elderly Love」へと成長する過程が垣間見られたってのがファンとしての醍醐味でしょう。
 春之輔さんは 4 回観て 4 回とも「死ぬなら今」。どんだけ死なせたいねん。市楼さんの「阿弥陀池」も印象が強く、おふたりとも「そろそろ別のネタを‥‥」とリクエストしたい気持ちです。
 高座を観た回数の多いこごろうさんの「動物園」はともかく、吉弥さんの「愛宕山」を 3 回も観てたとはおどろき。よく観たネタのベスト 5 がこのなかに入ってないってのも興味深いです。


 集計してみると‥‥やっぱりアホですね。ネタに関しては 720 席あまり、トークや色物もありますから、800 席くらい観てることになると思います。まぁ世の中にはもっと観てる方もおられると思いますが、五十歩百歩、どんぐりの背比べでしょう。(おまえが云うな!)
 2007 年はもうちょっと節度ある落語会通いを心がけたいと思いますが、どうなりますことやら。‥‥

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新生・快楽亭ブラック毒演会 大阪篇

2006/12/27 @TORII HALL

  • 快楽亭 ブラック 「怪獣忠臣蔵」
  • 快楽亭 ブラック 「川柳の芝浜」
    ―― 中入り ――
  • 快楽亭 ブラック 「一発のオマンコ」
  • 快楽亭 ブラック 「文七ぶっとい」

※ Vol. 7


 ちょっと早めに出たつもりが、なんやかんやと寄り道してたら時間を食って開場直後ぐらいに到着。会費は CD 付きで 3,000 円。今回付いてた #10 で CD は打ち止めのようです。
 観客はザッと 60 人。普段お見かけするようなお顔はほとんどお見受けしませんでした。そう云う意味ではかなりマニアックな会ですね。今回は《師走のブラック噺》と云うことで上記 4 席がネタ出しされてました。


 まずは黒紋付きで登場したブラック。(ちなみに、紋は★) 今年の重大ニュースをマクラに「怪獣忠臣蔵」から。故・円谷英二の遺志を継ぎ(?)、大石内蔵助にゴジラを、浅野内匠頭にモスラを、吉良上野介にキングギドラを配し、忠臣蔵のストーリーに沿った怪獣大戦争。キングギドラやバルタン星人の特徴を申し訳程度の所作で表現するのがなんともおかしい。ストーリーもお見事。

 つづけて「川柳の芝浜」は、寄席に行かなくなった川柳川柳が場外馬券場で当たり馬券を拾う噺。古典の「芝浜」のパロディだが、必然的なストーリー展開だと思わせる繰り返しがおもしろい。サゲもオリジナルのダジャレに。川柳へのリスペクトが感じられる。

 中入りを挟んで、星条旗の着物に着替えて登場。浪曲節劇用に書かれた浪曲版「一発のオマンコ」にまつわるエピソードをマクラに、本家「一発のオマンコ」を。大晦日の夜、すすきののトルコ風呂『北海亭』を訪れた親子 3 人連れが「3 人で 1 発のオマンコを‥‥」と願い出る‥‥と云う、「一杯のかけそば」のパロディ。人情エロ噺で、人情とエロのパラレル構造がなんともおもしろい。

 ここで高座を下り、しばらくして唐突に「うー、寒いなぁ、もー!」と下座から飛び出してきたブラックは、赤いゾウの紐パンと派手な柄の足袋だけ着けた上に半纏を羽織った姿。そのまま「文七ぶっとい」へ。こちらも古典の「文七元結」のパロディだが、後半に文七の乱痴気騒ぎが露見すると云うエロ噺へ。こちらは後半にエロで落とすと云うフリー・フォールのような展開。
 最後に尻見世のオマケ付き。別に見たくもなかったが、ホモも認めたきれいなお尻。


 全編パロディ噺で、前半はバカバカしく、後半はエロと、見事なブラック・ワールド。もう少しネタ繰ってきてほしいなぁと思わせる部分もありますが、見事な語り口でたっぷり 2 時間半たのしませていただきました。
 女性客も数名いましたが割とウケてたようです。ブラックさんの場合、エロと云ってもカラッと笑いに転換されてる感じなんで、それほど抵抗ないのかもしれません。(それでも好き嫌いは分かれると思いますが‥‥)

 次回の来阪は 1 月 13 日(土)、おなじ TORII HALL で『新春ブラック祭』と題しての昼夜連続興行です。昼は大阪初披露のネタ特集、夜は R-18 指定成人落語大会と、どちらも濃い内容になりそうです。

快楽亭ブラックの出直しブログ

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桂吉弥の新お仕事です in 繁昌亭

2006/12/26 @天満天神繁昌亭

  • 桂 佐ん吉 「道具屋」
  • 桂 雀喜 「犬の目」
  • 桂 吉弥 「時うどん」
    ―― 中入り ――
  • 桂 吉弥 「地獄八景亡者戯」


 午後からあいにくの雨。バスが来なくてアセりましたが、開演 20 分前には南森町に到着してひと安心。ちょっと早めに行ってうどんを、と思ってたんですが食べ損ない、パンを買って繁昌亭へ。こんなとき、入口の軒が小さい繁昌亭では往生します。もっとも、今回は指定席だったんであわてることもなく、まだマシでしたが。
 この会は前売り完売で、補助席も出て大入り満員。やはり吉弥さんの会は女性ファン率が高いです。吉朝ファンの面々もチラホラ。わかぎゑふさんや小佐田定雄さんの姿も。


 開口一番は誕生日を迎えたばかりの佐ん吉。軽いマクラからすぐに「道具屋」へ。首の抜ける雛人形に落語をさせてみたり、登場人物がみなノリツッコミしたりと、独自の工夫がたのしい。

 つづいて繁昌亭初登場の雀喜。マクラをいろいろつないで犬の話題から「犬の目」を。眼科で飼ってる犬が競馬好きの患者の目玉にじゃれついて傷つけてしまい、仕方なくその犬の目玉を患者へ、傷ついた患者の目玉を犬へ、と交換。サゲもさらにひと工夫と云う感じで、これは枝雀一門の型なのかも。漫画チックでおもしろい。

 メインの吉弥、まずは『上方お笑い大賞』への所感などをマクラに「時うどん」を吉朝直伝のひとりヴァージョンで。ポンポンポンとテンポ良く進むも、後半のバラシがいくつか飛んでたのがもったいない。もっとも、ネタ自体はよくウケてたので、それほど問題でもないのかもしれないが。

 中入りを挟んで、いよいよ吉弥の「地獄八景亡者戯」初演。びっくりするくらいきっちりと吉朝の型を踏襲し、こまかいクスグリもそのまま演ってる部分が多い。それでも、奪衣婆のその後、三途の川の渡し賃、六道の辻、あたりには時事ネタや独自のアレンジもふんだんに。
 閻魔大王の前での一芸披露では内山田洋を登場させて舞台を暗転、ピン・スポットが当たって“長崎は今日も雨だった”の替え歌をカラオケで、と云う趣向。これが歌詞も歌唱もなかなか上手い。歌い終わって「歌手は前川清やけど、こまかいことはええか」。
 その後はふたたびきっちりと様式美でまとめ、70 分を超える熱演。
 正直、クスグリにもうひとひねりほしいところもあったり、あまりにも吉朝の型に依りすぎてるのも気になった。しかし、吉朝の代名詞だった「地獄~」を継承するために、まず模倣から入るのは順当な道だろう。今後、徐々に《吉弥の「地獄~」》へと積み上げていってほしい。


 なんやかんや云っても吉弥さん、上手いです。上手いからこそ、もっともっとと思ってしまうんでしょうね。安定感はありますし、きっちり演ってくれるんで安心して観ていられます。それでいて遊びの部分もあって、落語初心者にもおすすめしやすい噺家さんだと思います。
 ただ、ちょっと気になるのがこの会の位置付け。一応、勉強会だと思うんですけど、どうも独演会の様相で、会費も微妙に値上げ。自由席から指定席にしたからかもしれませんが、どうもそこらの据わりが悪いです。もっとも、今回の「地獄~」は繁昌亭だからできた演出もあったし‥‥。たのしめたんやから、まぁええか。

桂吉弥ホームページ

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らくご道 笑福亭生喬と桂こごろうの落語会

2006/12/25 @上方亭

  • 笑福亭 生喬 《ごあいさつ》
  • 桂 こごろう 「水屋の富」
  • 笑福亭 生喬 「くっしゃみ講釈」
    ―― 中入り ――
  • 生喬、こごろう 《対談:夕焼け日記》


 直前まで『YOU-HEY! 落語会』(ゲストが仁福さん&花丸さん)と迷ってたんですが、対談をお目当てに、前回行けなかった『らくご道』をチョイス。
クリスマス・カード 渋滞でバスが遅れて開場直前に会場へ。そこそこの待ち行列になってましたが、なんとかいつもの席へ。入場時に生喬さんとこごろうさんのサイン入りクリスマス・カードをいただきました。学生風のお客さん(落研?)も入って、最終的には公式発表で 42 人の入りに。


 まずは普段着の生喬の前説から。旭区で迷子になった話、歌舞伎関係のイベントでイラついた話、米左主催の忘年会の話、等々。

 こごろうは自身の《おもしろメモ》から、枝雀夫人のちょっと違う云い間違い、ひろばの悪意のない暴言などをマクラに。枝雀夫人のはラジオでも話されてたが、ひろばのも近々使われそう。
 ネタの「水屋の富」は故・歌之助に付けてもらったそうで、ほとんど演り手がいない珍品。高津の富を当てたヤモメの水屋が、自宅の床下に隠した金が気になって仕事に手が着かず、夜も眠れなくなる噺。水屋が一喜(金の無事を確認)一憂(疑心暗鬼と悪夢)を繰り返す様は、端から見ると滑稽で、こごろうは疲弊する水屋を好演。しかしこごろう自身は、ラストの水屋の哀れさから、この噺はヘヴィ過ぎるそうな。

 生喬は繁昌亭での『年越しオールナイト落語会』の話題から、三四郎が記録している繁昌亭のネタ帳の話をマクラに。私自身、漢字に自信がないため、三四郎の話は身につまされる思い。
 生喬の「くっしゃみ講釈」は稽古に行かず、速記本などから生喬自身で構成し直したとのこと。八百屋でのナンキンをめぐるクスグリが良いアクセントに。終盤に講釈師・後藤一山が語る『難波戦記』は旭堂南湖が監修。前半はたっぷり語り、後半はクシャミの連発から強烈なエズキでダメ押し。迫力の一席に。

 中入りを挟んでふたりで対談。クリスマス・イヴの話や、この日のそれぞれのネタの話など。あっと云う間にお時間に。


 なかなか充実の 2 時間でした。それぞれの高座もさることながら、トークでのそれぞれのネタにまつわる裏話が興味深かったです。

 次回は 1 月 30 日(火)、生喬さんが「植木屋娘」、こごろうさんが「かぜうどん」の予定です。

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繁昌亭夜席 クリスマスイブ若手会

2006/12/24 @天満天神繁昌亭

  • 林家 市楼 「阿弥陀池」
  • 桂 吉坊 「七段目」
  • 笑福亭 たま 「Smell」 (作:たまよね)
  • 桂 つく枝 「宿替え」
    ―― 中入り ――
  • 旭堂 南半球 「宇宙要塞ア・バオア・クーの戦い」 (作:旭堂南半球)
  • 桂 三金 「神様のご臨終」 (作:桂三枝)
  • 月亭 遊方 「親子酒」


 携帯電話の機種変更をと天王寺から難波をウロウロ。結局、値段と在庫に折り合いがつかず、この日も断念。まぁこんなもんです。「交通費を損しただけやなぁ」と思いつつ、繁昌亭へ。
 最近、遊方さんがこの会の宣伝をするときにいつも半泣きのような感じになってたんで、それならと前売りを買いました。さすがにきょうは客足が悪かろうと思いましたが、なんのなんの、開場を待つ列ができてました。入りは 1 階席の 8 割くらいでしょうか。遊方さんが心配したほど悪い入りではないと思います。


 開口一番は市楼で「阿弥陀池」。安定感があり安心して観られるが、そろそろ違ったネタもお願いしたいところ。

 つづく吉坊は軽いマクラから「七段目」へ。こちらも安定感抜群。とくに若旦那と丁稚の定吉とが芝居のまね事をする後半は所作もきれいで見ごたえあり。

 たまはマクラ代わりのショート落語で矢継ぎ早に爆笑を誘う。新ヴァージョンの《悲しいショート落語》はやや期待はずれだったか?
 その後、「山寺瓢吉」を演り始めるも、長いと気付いて中止し、迷いつつも「Smell」に。先日の『できちゃったらくご!』で演ったところだっただけに、かなりテンポ良く。

 つく枝は自身の夫婦生活の話をマクラに「宿替え」を。これまた盤石の安定感。おっちょこちょいの亭主の、隣の家でのノロケっぷりがたのしい。

 中入りを挟んで、初めて観る南半球は独特の風貌。今回、南半球だけは『難波戦記』より「船場の戦い」とネタ出しされていたが、「本日、12 月 24 日は、宇宙要塞ソロモンの陥落した日でございます」と、ガンダム講談に。よく見りゃ袴の腰板には金色に光るジオンの紋章が。
 『機動戦士ガンダム』終盤の山場、宇宙要塞ア・バオア・クーでの決戦を語る。修羅場読みもあり、なかなか聴き応えあり。ジオン側の描写が中心となっており、連邦側のアムロとセーラの場面は「この様子は DVD を買って観てください」と省略。
 完全に観客を選ぶネタで、30 代男性以外にはきびしいかも。しかし、あえてこれを演りきった心意気には敬服。講談の技術がさらに向上し、南半球自身の語りが加わってくれば、より魅力が増しそう。

 三金はバルーン・アートで空気を変えて、クリスマスにちなんでキリストの出てくる噺をと「神様のご臨終」を。人類代表に選ばれた男が神様の世界に行く噺で、風邪の神さんや貧乏神や、その他諸々の神様が登場。かろやかに、にぎやかに。

 トリの遊方はやや声が本調子でないよう。酒にまつわる話をマクラに、古典の「親子酒」の改作を。
 マンションの 7 階に 2 世帯同居。酔っ払った父親が帰宅後、おなじく酔っ払った息子がタクシーで帰ろうとするも乗車拒否され、そばにいた屋台のラーメン屋に寄ると云う構成。現代らしいクスグリもふんだんで、古典とは違うサゲもええ感じ。
 トリと云うことで緊張もあったろうが、もう少し自信を持って演ってほしい。それと、遊方は古典落語のなかのセリフの不自然さを指摘するわりには、どうも動作が不自然。ここはひとつ修行と思って、古典の稽古を付けてもらうのも良いかも。


 新作と古典が半々、ガンダム講談の色物もあって、なかなか充実した良い番組構成になったと思います。若手の会と云うことで、たまさんなんかはかなりフリーなノリでした。一方、遊方さんは自分でプレッシャーを掛けてたようなところがあったんではないでしょうか。もうちょっとリラックスしてた方が本来のおもしろさが出てくると思います。
 それにしても、この日は南半球さんのインパクトが強烈でした。私自身はガンダム講談がどんなもんか気になってたんでラッキーでしたが、一般のお客さん(とくに年配の方や女性)はどうだったんか気になります。なんでもありなんが寄席とは云え、正直、あの場にあの芸は合わんわな。とは云え、ガンダム講談は今後、要チェックかも。

天満天神繁昌亭

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おとぎの国、チェコからの贈り物 ヴィンテージしかけ絵本展

 とある落語ファンの方から絵本展の情報をいただきまして、難波から肥後橋へバスで移動し、地図を片手に Calo Bookshop & Cafe へ行ってまいりました。チェコの古書店で見つかったヴィンテージしかけ絵本の展示と販売です。

 チェコはしかけ絵本を世界各国に輸出していたそうで、展示されてたものも、英・仏・伊・蘭・独・日・等々、各国語のものがありました。
 70 年代に製作されたものが中心で、仕掛けと云ってもごくシンプルなものです。サブダのは「いかにして立体物を本の見開きに畳み込むか?」と云う発想で、180 度に開いた本の上に立体物を貼り付けるように作られてます。一方、ここで見られた本は「いかにして平面から立体を起こすか?」と云う発想で、本に切り込みを入れて起こしているため、本は直角に開いて見る形になります。なもんで、横からのぞくと切れ込みが丸見え。これはまぁ、当時の製本コストとの兼ね合いもあるからだと思いますが。 こちら で写真が見られます。

 展示はヴォイチェフ・クバシュタの作品が中心なんですが、この人の絵が独特で、かなり気に入ってしまいました。太い描線がやわらかく、あったかい雰囲気です。動物をモチーフにした作品が多く、どれもかわいく描かれてます。買おうかどうかかなり迷ったんですが、とりあえず今回はペンディング。
 京都会場では別のが展示・販売されてるそうで、そっちも気になってます。

Calo Bookshop & Cafe 12/30(土)まで (日・月は定休日)
京都精華大学 shin-bi 1/14(日)まで (1/1 休)

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上方亭ライブ

2006/12/23 @上方亭

  • 笑福亭 喬若 「禁酒関所」
  • 桂 福楽 「代書屋」


 散髪してサッパリし、昼飯食って上方亭へ。携帯電話の機種変更を試みるも、免許証か保険証の提示が必須とのことで、この日は断念で残念。
 福楽さんがお目当てで行ったんですが、開場後の客足が悪くてちょっと焦りました。開演前には 70 人くらいになってひと安心。なかなかの入りだと思います。


 まずは“落語界の松坂大輔”こと喬若が落語入門講座。扇子と手拭での所作の解説(手紙、うどん、等)から小咄をたっぷり。よくウケる。
 ネタの「禁酒関所」は、侍の貫禄がもうちょっとほしいところだが、師匠の三喬の型か、関所の侍の相方がダジャレ好きなんがおもしろい。

 福楽はごく軽いマクラから定番の小咄を演って「代書」へ。以前にも観たが、田中彦治郞(依頼客)のちょっとヌケたところが福楽のニンに合った感じ。冷静な代書屋は「隣が風呂屋」は放ったらかしなのに、喪主と戸主を間違えたら「喪主知ってんのに、戸主知らんのかいな」とツッコむ。メリハリもあって心地良い高座に。


 私のように『上方亭ライブ』がお目当ての落語ファンは少なかったようですが、ウケも上々でええ雰囲気でした。
 それにしても、やっぱり福楽さんは良いですねぇ。秋のお彼岸の日が年によって変わることへの解答?もあったりして、こまかい工夫も見逃せません。

上方亭ライブ

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大人買い

チロルチョコ きなこもち

 1 個 10 円のチロルチョコが 100 個入りです。この「きなこもち」、なんとも美味しいんですわ。きなこの味なのに、間違いなくチョコ。でもって、なかにモチのようなグミが入ってて、食感もたのしい。
 会社の売店でいつもおつりの端数合わせに数個ずつ買うんですが、店員さんの「これ、美味しいですよねぇ。箱ごと買われる方もいますよぉ」との言葉についつい‥‥。

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できちゃったらくご!

2006/12/20 @茶臼山舞台

  • 桂 あやめ 《ごあいさつ》
  • 笑福亭 たま 「Smell」
  • 桂 三金 (高校野球の噺)
  • 月亭 遊方 《私噺》
  • 桂 三風 (九官鳥の噺)
    ―― 中入り ――
  • 旭堂 南湖 「ゲイ談」
  • 桂 あやめ (団塊の世代の噺)

※ 第 33 回


 出張先から茶臼山舞台へ直行。が、途中で前を行く新幹線が臨時点検で 30 分遅れに。それでもなんとか開場に間に合ってひと安心。
 あわてて行ったわりに入りは 20 人ちょいと少なめ。もっともこっちは荷物が多かったんで助かりましたが。


 前説はトリのあやめ。雑誌『ぴあ』の取材が入ってて、落語特集で、『はやかぶの会』、『出没!ラクゴリラ』とともに『できちゃったらくご!』がピックアップされたとか。

 たまは『たまよね』で演った「Smell」を。風呂嫌い、歯みがき嫌いの不潔社長との食事会でニオイに辟易する噺。初演時よりもややコンパクトに整理。

 三金は余興で題材指定されて作った高校野球の噺。例によって高校生の奥野君が登場するデブネタ。ややムリのあるクスグリが多かったかも。

 遊方は新作ができず、申し訳なさそうに漫談を。遊方自身の八方への入門までの過程、小学生の時のスカートめくり、加藤茶へのリスペクト、等々。入門の話は米朝宅での事始めで米朝も爆笑だったとか。最後に大学時代に覚えた江戸の「甘酒屋」を。

 三風は新作。知り合いから預かった九官鳥に言葉を覚えさせる噺。長い言葉も覚えてたんで「寿限無寿限無‥‥」や、早口言葉の「うちの女房は闘病中 女房の病棟、2 病棟 女房の病名、糖尿病」を覚えさせようとする。途中で早送り芸もあったり、小品ながらたのしい。

 中入りを挟んで南湖は講談や落語のスタイルを芸談的に分析しつつ、ゲイを扱った講談に。そこから「落語はすべてゲイの噺だった」と云う論法に発展し、「時うどん」、「青菜」、「不動坊」、「まんじゅうこわい」を分析。マニアックな笑いに。

 トリのあやめは、こちらも依頼で作った噺。疎ましがられてた団塊の世代の父親が THE BEATLES をきっかけに尊敬される‥‥って噺。遊方の“Let It Be”の弾き語りがハメモノで入る演出がグッド。


 今回、新作は三風さんのみ。南湖さんはまとめきれなかったものを漫談風に仕立てて提出。遊方さんは未完成品を出したくなかったのか、漫談に。あとのメンバーは既発表作品で、『できちゃった』と云うより『育っちゃった』の様相。南湖さんの《ゲイ談》がマニアックでおもしろかったです。

 茶臼山舞台が 1 月末で閉められるようです。次回の予告やチラシもありませんでしたし、今後この会がどうなるのか、ちょっと気になるところです。

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たまよね FINAL

2006/12/17 @TORII HALL

【Episode 3 トリイホール編】

  • 笑福亭 呂竹 「江戸荒物」
  • 笑福亭 たま 「悋気の独楽」
  • 呂竹、米井 《クイズの答え合わせ》
  • 笑福亭 たま 《ショート落語》
  • 笑福亭 たま 「愛宕山」
    ―― 中入り ――
  • 柳家 喬太郎 「柚子」 (作:柳家喬太郎)
  • 笑福亭 たま 「TSUTAYA」 (作:たまよね)
  • たま、米井 《ショート落語総集編&たまよね総決算&野望》


 とうとう『たまよね』の最終回です。万難排して早めに行こうと思ってたんですが、モタモタしてて出遅れました。それでもなんとか開場 30 分前に到着するも、すでに行列が! たまさんが気を遣われて早めの開場に。
 直前に DM も来てましたが、ザッと 80 人くらいの入りでええ感じに。この日も各所でいろいろと会がありましたから、健闘した方だと思います。


 開口一番の呂竹は「江戸荒物」をきっちりと。変な東京言葉のイントネーションと繰り返しのおもしろさを丁寧に。

 たまの 1 席目は、福笑一門のテレビ局への怒りをたっぷりぶちまけてから「悋気の独楽」を。手掛の家で旦那が定吉に言付けをする場面はバッサリ落とし、自宅で悋気する御寮人を女中のお竹がなだめながらたきつける場面を主軸に構成。主役が御寮人であることを明確にし、笑いどころを凝縮。こまかい云い間違いが目立ったのが残念。

 呂竹と米井敬人(構成作家)氏によるパンフレットのクイズの答え合わせ&つなぎトークをはさんで、たまの 2 席目はマクラ代わりのショート落語。「豚しゃぶ」「避難訓練」が秀逸。
 「愛宕山」は噺の流れ・展開がより自然になり、京都の旦那と大阪から流れてきた幇間の一八との対立関係もより明確に。独自のクスグリも増えて意欲的なことはうかがえるも、こちらもネタ繰りが不十分に感じられる出来。

 中入りをはさんで、初めての喬太郎。米井氏のたっての希望でゲスト出演願ったとか。軽いマクラをつないで観客に探りを入れつつ、いじめ問題に触れて「どこに行っても多かれ少なかれ、あったりするんじゃないでしょうか」と締めたところで唐突に「ケンイチのお父さんホーモー!」。
 ケンイチの父親が男と腕を組んで歩いてるところをケンイチの同級生が目撃し、クラスでいじめられる‥‥って噺。いじめっ子の憎たらしい口調、しょんぼりするケンイチの雰囲気、父親の貫禄、等々‥‥、登場人物の演じ分けが抜群で、高座に圧倒的なリアリティがただよう。クスグリのさじ加減も絶妙。噺が進むにつれてケンイチは衝撃を受け、観てるこっちは重圧を受ける。なのに喬太郎の口跡はあくまで軽い。いろいろと噂は聞いてたが、高座にグイグイ引き込まれるよう。
 演題の「柚子」は、後半の柚子湯に入る場面から。

 トリのたまは、レンタルビデオ店を舞台にした「TSUTAYA」。ひさしぶりに帰省してビデオを借りに行くと、近所のおしゃべりおばさんがパートに入ってて‥‥って噺。『犬神家の一族』といっしょに借りようとした『乳揉み家の一族』が騒動を加速させる。サゲのためにある噺と云って良いだろう。

 最後にたまと米井氏で『たまよね』の総括。《ショート落語》総集編をメインに、新作の制作舞台裏もちょろっと。パンフレットにも書かれていたが、年 1 回くらいは『たまよね祭り』として開催したい意向だとのこと。


 やっぱりこの日も 3 時間。最終回もたっぷりの会でした。とくに今回は喬太郎さんの衝撃が大きく、『たまよね』の最終回と云うよりもそっちの余韻に支配されてしまいました。また観たいと思わせる噺家さんです。米井さんに感謝!
 たまさんは新作に気が行ってたのか、古典 2 席の出来がいまひとつ。明確なアイディアをもとに再構成されてたんで、今後のネタ繰りに期待です。

 『たまよね』は今回でひと区切りですが、たまさんは今後も新作を作って演られるでしょうし、米井さんは『ビギナーズラック』で新作を書かれるとのこと。おふたりの今後ももちろん要チェックです。

らくごの玉手箱

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花ちゃんの会

2006/12/16 @ワッハ上方レッスンルーム

  • 林家 染太 「子ほめ」
  • 林家 花丸 「阿弥陀池」
  • 笑福亭 遊喬 「尻餅」
    ―― 中入り ――
  • 林家 花丸 「池田の猪買い」


 寒さがゆるんだと思ったら、なんともあやしい空模様。とは云え、楽しみにしてた花丸さんの会ですから、そそくさと出発。
 この日は各所で落語会があり、チとさみしい入りで 40 人くらい。ゆったり座れてこっちとしては助かるんですが、なんとも複雑な心境。


 開口一番はアンパンマンからビリケンさんにリニューアルした染太。運命的な話から他人をほめる話へと上手くマクラをつないで「子ほめ」へ。ニコニコとあかるい表情に、あちこちほめにまわる喜六の変な動きも相まって、なんともたのしい雰囲気に。子どもを見て「ブッサイクやなぁ。ブッサイクやなぁ。ブッサイクやなぁ。‥‥かわいい」など、独自のクスグリも効果的。

 ゲストの遊喬は花丸と同い年の同期だとか。マクラから独特の雰囲気を醸し出し、なんとも云えんおかしみが。いろいろとマクラをつないで、季節ネタの「尻餅」を。ちょっと荒っぽい語り口が長屋の夫婦に合ってて、「喧嘩するほど仲が良い」感じを上手く表現。

 花丸の 1 席目は、ウォーキングで出会った不思議な人の話から新聞記事の話へとマクラをつないで「阿弥陀池」を。きっちり基本形ながら、あちこちに散りばめた独自のクスグリが花丸らしい。「他人ひとのブリ食てがブリ直せ」のくだりも聞いてみたい。
 2 席目は製薬会社で講演してきた話をマクラに、薬つながりでネタ出ししていた「池田の猪買い」へ。こちらもスタンダードなところへ花丸流のクスグリをちょいちょいと。「イノシシが『さあ、あやまたずここを撃て』ちゅうことおまへんか?」と「阿弥陀池」のくだりが出てくるのもこの日なればこそ。六太夫が構える猟銃は、扇子を銃身に、手拭を銃床に見立ててわかりやすく(するも、途中でグチャグチャに)。
 最後の場面、山漁師の六太夫に小突かれて目覚めた雄のイノシシがふたりの方へ突進。ビックリしたふたりが失神し、雄のイノシシのもとに寄ってきた雌のイノシシが「ちょっとあんた、この人間、新しい?」でサゲ。これもまたおもしろい。


 花丸さん、肝心なところでちょいちょい噛んでましたが、出来は上々。とくに「池田の猪買い」は演り慣れてきた頃がたのしみです。
 ゲストの遊喬さんも独特のフラがあっておもしろかったですし、染太さんも好感触。満足度の高い会になりました。

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元祖大阪名物 あほの会

2006/12/15 @天満天神繁昌亭

  • 林家 笑丸 「犬の目」
  • 桂 三若 「晴夫の遺書」 (作:桂三若)
  • 露の 都 「七段目」
  • 笑福亭 仁嬌 「くっしゃみ講釈」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 仁福 「商売根問」
  • 笑福亭 右喬 「胴切り」
  • 《あほ裁判》

※ 第 4 回


 2 ヶ月ぶりの『あほの会』に、なんとも云えんワクワク感を抱いて会場へ。いつも都さんのファンで賑わってるんでちょっと早めに行ったんですが、忘年会シーズンの金曜日と云うこともあってか整理券は 26 番。肩すかしでしたが、それでも 1 階席が 7 割は埋まってそこそこの入りに。


 開口一番の笑丸の「犬の目」は医者のキャラがおもしろく、登場人物のなかでいちばん頼りない感じ。それでも施術の手際は鮮やか。おもしろいのに、早口で客が笑う間がないのがもったいない。

 つづく三若はマクラでの客のコントロール術はピカイチ。フィットネス・ジムの話はいちいちおもろく、怒濤の波状攻撃がスゴい。
 ネタの「晴夫の遺書」は、遺書を残して家から消えた息子の晴夫を両親が心配する‥‥って噺。とにかく母親のテンションが高くて、過保護すぎる母親にツッコみまくる父親がおもろ過ぎ。

 都はマクラで噺家数名で大吉方の北へ旅行した話。先日、染雀も話してたが、都は思い付くままに話してるようで、しっちゃかめっちゃかだったと云うことだけが伝わる。
 興味津々だった「七段目」は、高座に掛けるのは 10 年ぶりとか。大旦那を御寮人に変えて都らしい工夫もあったが、とにかくネタが繰れてなくてグダグダ。

 中トリの仁嬌はゆったりとした安定感あり。ネタの「くっしゃみ講釈」もごくオーソドックスにきっちりと。講釈師・後藤一山に復讐しようと云う喜六のキャラがおっとりしてるのがおもしろい。所々に師匠の仁鶴の雰囲気も。

 中入りを挟んで、仁福はマクラで先日の 24 時間落語会の愚痴を。新ネタ「寿限無」も補充してがんばった割には報われず、近所から「やかましい!」と苦情も。
 ネタの「商売根問」は出だしからつまずき、得も云われぬグダグダ感に包まれる。出てきた商売は爪楊枝削りに鳥(スズメ)捕りにガタロ(河童)釣り。コンパクトにあっさりと。

 トリの右喬は「アイロンを切り忘れてきた」と、いつも以上に気もそぞろな様子。
 こちらも 7 年ぶりに演ると云う「胴切り」は、試し切りに襲われて身体を上下に切り離された男が別々の仕事に就くと云う、ただでさえシュールな噺が、独特のイントネーションでさらにシュールな雰囲気に。

 最後に、裁判長(司会)の仁嬌を中心に、仁福チーム(露の吉次、笑丸)、都チーム(三若、右喬)に分かれての《あほ裁判》。
 どんなんかと思ってたら「まずは《古今東西》を」って、普通の大喜利やん! これがまた素でわからないメンバー多数で盛り上がらず、笑いを求める三若がイライラハラハラ。
 つづいての《あほ裁判》は、相手チームの誰でもええからあほさ加減を暴露すると云う趣向だが、これはやはり被告人(ターゲット)をひとり決めておいた方がネタの準備ができて盛り上がるだろう。それでも最後は仁福ネタに収束して爆笑に。


 いやはや、いままでにないグダグダさでした。まぁそれを承知で観に行ってるってのもありますし、そこに文句を云うつもりはありません。観客は「このグダグダさをたのしめるか?」と云うところがリピーターに成るか否かの分岐点でしょう。
 それにしても三若さんが気になります。顔もキャラも濃いんでちょっと敬遠してたんですが、とにかくおもろい。要チェックかも。

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春風亭昇太独演会 オレスタイル

2006/12/14 @ワッハホール

  • 春風亭 昇太 「時そば」
  • 春風亭 昇太 「伊予吉幽霊」 (作:雨治隆介)
    ―― 中入り ――
  • 春風亭 昇太 「明烏」

※ Vol. 7


 6 時半開演と思ってあわてて行ったら 7 時開演でガックリ。とりあえず下に戻り、波屋書房にて『笑maga』の No. 52 を、ジュンク堂書店にて吉川潮の『浮かれ三亀松』を購入。なかなかに充実。
 気を取り直して会場へ。普段の落語会とはちょっと違う雰囲気で、落語ファンと云うより昇太ファンと云った感じの若いお客さんが多い感じ。やはりと云うか、女性率がやや高め。前売り完売と云うことで満員。補助席も出てました。


 携帯電話撲滅キャンペーンのビデオ(自分を無視して携帯電話に出るたい平にキレた昇太が‥‥)上映につづいて昇太登場。「大阪は変わってる」ってマクラから、「時そば」を大阪スタイル(2 人ヴァージョン)で。袖を引っ張って 1 杯のそばをめぐるやり取りが昇太のニンに合ってるが、もうちょっとはじけても良いかも。

 好評だと云う生着替え(文珍のイタズラあり)を挟んで、第 2 回『全国落語台本コンクール』最優秀賞作品の「伊予吉幽霊」を。船舶事故で死んでしまった男が幽霊になって友達のところに行き、実家の母親のところへ付き添ってくれと頼む‥‥って噺。ちょこちょこと笑い所はあるも、全体に薄い感じ。もっと昇太なりに膨らませてほしい。

 中入りを挟んで、師匠の柳昇の話や弟弟子の柳好の話なんかをマクラに「明烏」へ。世間知らずの若旦那がなかなか良く、郭噺を軽い感じで聴かせる。源兵衛の目配せに気付かない太助が「俺のこと好きなのか?」とか、二宮金次郎のクスグリは秀逸。


 終演は 9 時前。初オレスタイルでしたが、まずまずの感触でした。
 大阪遠征と云うこともあってか、ややよそ行きの雰囲気で探りさぐり演ってる感じもありました。ただ、マクラのおもしろさは抜群で、噺の内容と関係なくいろいろと数珠つなぎに。ネタの方はもうちょっと振り切れるのを 1 席入れてもらえるとありがたいかも。自作の新作も観てみたいです。
 今後は年 2 回ペースで来阪したいとか。定期的に来てもらって、徐々に大阪に慣れていただきたいです。

チビ師匠をつかまえろ! (ファン・サイト)

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東芝が東芝 EMI を売却、の余波

東芝が東芝 EMI 全株売却へ、売却益は来期上半期に計上 (ロイター)
東芝:東芝 EMI 株を売却 音楽・映像から撤退へ (毎日新聞)


 東芝が東芝 EMI の全持ち株を共同出資の英 EMI に売却する、とのことです。
 記事を整理すると、音楽・映像コンテンツ事業と東芝本体の事業との関連性が低下し、音楽・映像事業からの撤退を検討するなかで、英 EMI から全株式売却の提案があり、売却を決定した、となっています。実際には逆(EMI からの打診を受け、事業撤退を決定)なんじゃないかと思います。

 音楽関連コンテンツについては、私自身が聴くのは洋楽がほとんどなんで「輸入盤でもなんとかなるわ」ってなもんですが、気になるのが落語関連コンテンツ。とくに米朝一門の CD、DVD 等はほとんどが東芝 EMI から出てますから、従来のコンテンツがいつでも買えるのか、新しいコンテンツが企画・発売されるのか、そこらがかなり気になります。落語部門だけ別会社として切り離しても事業性が低いでしょうし、取り扱いがなくなっても不思議ではありません。
 落語のコンテンツが海外で商売になるとは思えませんので、ひょっとすると株式売却前に落語関連部門だけ日本のメーカー(ビクターかキングあたり)に売却されることも考えられます。そこらあたりも含めて、日本人アーティストに対するフォローがどうなるのか、英 EMI が日本での営業をどのようにおこなうのか、今後注目していく必要があると思います。

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染雀花舞台

2006/12/9 @上方亭

  • 林家 染雀 「商売根問」
  • 月亭 遊方 「虚礼困惑騒動」
  • 林家 染雀 「質屋芝居」
    ―― 中入り ――
  • 林家 染雀 「三枚起請」

※ 第 21 回


 雨がポツポツと云った天気で、昼間に回ろうと思ってた予定は次週に持ち越し、夕方より出掛ける。天候のせいか忘年会のせいか、入りは約 50 人。


 この日のゲストは遊方。声の方はすっかり戻ったよう。月亭一門のしきたりや、サラリーマンの飲み会での無礼講に意見しつつ「虚礼困惑騒動」を。愛想があだとなり、定年退職して実家の和菓子屋を継いだ昔の上司から頻繁に送られてくる激マズの豚足まんじゅうに辟易する噺。
 秋の独演会でも観たが、この日の方がノリノリな感じ。とくに豚足まんじゅうが何度か送られてきてキレた嫁がまんじゅうを亭主に投げつける場面が秀逸。この嫁はんの変なたとえ話もおもしろい。

 染雀の 1 席目「商売根問」は、茶栗柿麩の売り子から、スズメ、ウグイス、ガタロ(河童)を捕まえようとした失敗談へ。スズメを捕まえるのに使う「こぼれ梅」を云えずに「ひょこべんべ」になるのがおかしい。
 2 席目は落語会での大向こう・リクエストの掛け方をマクラに「質屋芝居」をたっぷりと。先日、生喬ので観たときより芝居部分が長かったようにも。
 3 席目は起請とサゲに掛かる都々逸の解説をマクラに「三枚起請」を。お山の小輝から起請をもらったいつもの三人(喜六、清八、源兵衛)の性格付けが明確でわかりやすい。妹に借りた金を小輝に貢いだ清八が独白する場面はもう少し重みとたっぷり感がほしかったかも。


 染雀さんは充実の 3 席、遊方さんもノリノリで、たっぷりの 4 席で満足度の高い会に。染雀さんは単純な滑稽噺よりも芝居噺がやっぱりたのしいですね。

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ピッコロ寄席 桂吉朝一門会

2006/12/8 @ピッコロシアター大ホール

【桂吉朝追悼】

  • 桂 吉坊 「厄払い」
  • 桂 しん吉 「池田の猪買い」
  • 桂 あさ吉 「抜け雀」
    ―― 中入り ――
  • 吉朝一門 《口上》
  • 茂山あきら、小佐田定雄、吉弥、よね吉 《トーク》
  • 桂 吉朝 「住吉駕籠」


 毎年この時期に吉朝さんが独演会をしていたピッコロシアターにて、追悼の意を込めての一門会。満席です。


 まずは吉坊が「自分の会ではマクラが長くなる」と、ここではマクラも手短に「厄払い」へ。きっちりきっちり、安心して聴いてられる。たっぷり感もあったが、時間調整か、厄払いが帰って雨が降ってきてからは端折って手短に。

 しん吉は師匠の形見分けの話をマクラに「池田の猪買い」を。こちらもきっちり。ときおり吉朝の雰囲気が感じられる。こちらも時間の都合か、甚兵衛の家から池田への道中で道をたずねる場面は端折って。猪買いの男が銃を構える山漁師の六太夫の横でオスかメスかで逡巡する場面がたのしい。

 あさ吉はあいかわらずマイペースで、パキスタン巡業の報告から。依頼者からのリクエストで持ちネタにない「動物園」を演ることになり、10 日間で英語版に仕立て、パキスタンでネタ下ろししたそうな。
 駕籠かきの解説から「抜け雀」へ。絵師にもう少し貫禄がほしいところだが、宿屋の亭主(婿養子)の頼りなさはニンに合っててええ感じ。

 中入りを挟んで、一門が勢揃いし、総領弟子のあさ吉が代表しての口上。来年からは師匠のビデオなしで一門会を開くとの報告。やや頼りないあさ吉に、吉弥がツッコミやらフォローやら。

 つづいてのトークは、吉弥とよね吉を進行役に、狂言師の茂山あきらと落語作家の小佐田定雄を迎え、おもに落語と狂言の共演の会『お米とお豆腐』の話題を中心に吉朝のあれこれを。なぜか小佐田定雄に対して「(よね吉が唐突に)小佐田先生はなにしてはる人なんですか?」「(落語処女作「幽霊の辻」を指して吉弥が)いちばんピークでしたね」とイジられ役になる場面も。

 最後に吉朝の「住吉駕籠」のビデオ上映。(『平成紅梅亭』より) やっぱり上手い。セリフのつなぎのタイミングと間、いちびり具合、それらのさじ加減がええ感じで。


 トークがグダグダな感じでしたが、それがまたおもしろかったです。約 30 分でしたが、ゲストを入れ替えながら 1 時間でも 2 時間でも語ってもらいたい、そう云う思いが強く感じられました。
 来年からの一門会にも行きたいと思います。その年の集大成として、それぞれの個性が花開いてくるのをたのしめるのではと思います。

ピッコロシアター

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出没!ラクゴリラ

2006/12/7 @ワッハ上方レッスンルーム

  • 笑福亭 喬介 「犬の目」
  • 桂 つく枝 「狸さい」
  • 笑福亭 生喬 「崇徳院」
    ―― 中入り ――
  • 林家 花丸 「あくびの稽古」
  • 桂 こごろう 「二番煎じ」

※ 第 65 回


 今回のラクゴリラ、『花ちゃんの会』で大爆笑だった花丸さんの「あくびの稽古」への期待もさることながら、他のお三方のネタもどれも未見だっただけにたのしみで、たのしみで。なのに、雨でバスが遅れると云うトラブル発生。早めに出てたんで開場過ぎぐらいに到着できましたが、焦った~。
 で、到着時点でやや薄い入り。最終は 71 人だったそう。天気が悪かったんで敬遠された方が多かったかも。


 開口一番の喬介の「犬の目」は、師匠の三喬の口調までをも継承。ややたどたどしいところも見受けられるが、つっかえたりするところもなく安心して観ていられる。ここでも眼科医は元たこ焼き屋であることが発覚。

 つく枝は犬嫌いだったのが内弟子時代に犬好きになった話をマクラに、「動物との出会いを‥‥」と始まった「狸さい」は近所の子どもたちにいじめられてた子狸を助ける場面から。子供に「おっさん、仲間とちゃうか?」と云われる男(=つく枝)。前半の流れで噺にふくらみが出た感じ。
 サゲも従来の 5 で「天神さんの紋みたいなん」ではわかりにくいからか、1 で「おかしい。このサイ、なんかニオうぞ。‥‥うわっ、ホンマにクサい!」「いま屁ぇこきよった」。このサゲ、学校寄席向けかも。

 生喬は繁昌亭の朝席での学校公演に対してひとしきり毒吐き、噺家の寿命が短いのは学校寄席が原因では?とまとめて「崇徳院」へ。
 こちらもかなり変えられていて、熊五郎に焦点を当ててスッキリした流れに。若旦那の悩みはすでに旦那が聞き出しており、相手のお嬢さんが書いた歌も下の句まで書かれている。たくわんを突っ込まれたおひつを首から掛けられ放り出された熊五郎は、手づかみでご飯をほお張り、たくわんをボリボリ。サゲは散髪屋の鏡を割ってしまうパターン。

 中入りを挟んで花丸は、小学生時代のそろばん塾での思い出からマクラをつないで「あくびの稽古」へ。稽古好きの男のこれまでの稽古歴も独自のクスグリに変えて、これがまたおもろい。ガオー! 花丸版の御欠伸稽古処は「売りゃせん家の微笑流」。あくびをしたあとにニヤッとほくそ笑むのが流儀。
 全体の構成やその流れが以前よりきっちり整っており、あくびの所作もより自然に。これは花丸の代表作になるのでは?

 こごろうは開口一番「ラクゴリラ、おもしろいですねぇ」。冬の話題で、風邪の話から火事の話へとマクラをつないで「二番煎じ」。こちらは基本に忠実に、丁寧にたっぷりと。多数の登場人物を上手い具合に演じ分けで、充実の一席に。


 いやはやスゴいですわ、ラクゴリラ。存分に楽しませてもらいました。それぞれが刺激し合って全体が高みに登ってゆくような会です。位置付けとしては《勉強会》ではなく《研鑽会》なんでしょうね。
 今回、つく枝さん、生喬さん、花丸さんはそれぞれのアレンジ・ヴァージョンで、ある意味、実験的な高座でしたが、それをこごろうさんが最後にスタンダードな古典でグッと引き締めた、そんな感じでした。

 次回は来年 2 月 20 日(火)の予定です。

出没!ラクゴリラ

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繁昌亭夜席 文華・生喬 二人会

2006/12/6 @天満天神繁昌亭

  • 桂 佐ん吉 「狸の賽」
  • 笑福亭 生喬 「質屋芝居」
  • 桂 文華 「はてなの茶碗」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 生喬 「替わり目」
  • 桂 文華 「仔猫」


 二人会の最後は、こちらも《はやかぶ vs ラクゴリラ》で文華さんと生喬さん。未見の文華さんは某 Y さんがおすすめされてて以前から気になってたんで、この二人会はそう云う意味でもたのしみにしてました。
 開場前の待ち行列は前日よりちょい少ないかなって感じ。それでも最終的には 1 階に 9 割ほど入ってええ感じになりました。この日は知った顔がいちばん多かったです。


 開口一番に佐ん吉。占い、落語界の○○、ご祝儀と、佐ん吉マクラのフルコース。客イジリの余裕もみせて、スルッと定番の「狸の賽」へ。高座に掛ける頻度の高い噺だけに軽快なテンポでたのしい雰囲気に。

 生喬の 1 席目はたっぷりめのマクラから「質屋芝居」。丁稚の定吉が質種を取りに行った蔵で芝居に没頭してしまうが、これが貫禄十分すぎて丁稚でなくなってたのがちょっと‥‥。一方、木戸番に扮してしまう旦那のばかばかしさはなんとも云えずおもろい。
 2 席目の「替わり目」はサゲまで演るフル・ヴァージョン。生喬がタチの悪い酔っ払いに大変身。酔っ払いながらもおかしな理屈で絡みまくりで、生喬のニンに合った感じ。よく聴いてると、サゲへ向けてのこまかいネタ振り・伏線張りがそこかしこに。

 初の文華、適度に力の抜けた語り口にややしゃがれた声がええ感じ。1 席目の「はてなの茶碗」は基本に忠実ながら、茶屋で茶碗をムリヤリ譲り受ける場面や金兵衛の茶道具屋での一連のやり取りでの油屋の気持ちの揺れを大きくしてキャラを立てる演出。
 2 席目の「仔猫」は、おなべの前半での脳天気さが後半の怪談めいた告白とのコントラストでええ具合に。その後の番頭の「猫捕り? 人間は大丈夫?」とセーフのポーズが秀逸。押し入れに突っ込んであった汚れたフンドシの理由まで語られ、噺が立体的に。


 初の文華さんは好感触。基本はきっちり押さえつつ、無理なくクスグリを入れてくるあたりが上手いですね。落語ビギナーの方にもおすすめできると思います。銀瓶さんも要注目ですし、『はやかぶの会』へも行かんと、と思いました。
 一方の生喬さんは、酔っ払いネタは初めて観たかも。安定感はあいかわらず抜群で、これまたええ感じでした。

天満天神繁昌亭

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繁昌亭夜席 銀瓶・つく枝 二人会

2006/12/5 @天満天神繁昌亭

  • 銀瓶、つく枝 《対談》
  • 笑福亭 銀瓶 「七段目」
  • 桂 つく枝 「食通夜」 (作:小佐田定雄)
    ―― 中入り ――
  • 桂 つく枝 「七度狐」
  • 笑福亭 銀瓶 「胴乱の幸助」


 前日と同じ頃に到着すると、すでに 30 人くらいの行列が。開演前には 1 階が 9 割くらいの入り、2 階は数名。この日はおふたりのファンが集まった感じの客層でした。
 この日と翌日は《はやかぶ vs ラクゴリラ》の様相。毎度おなじみのつく枝さんもさることながら、近頃気になってる銀瓶さんを 2 席観られるのがチとたのしみで。


 まずは銀瓶とつく枝が対談。同い年ながら銀瓶が 4 年先輩と云うことで、単なる先輩後輩と云う関係とも違う雰囲気が感じられる。
 それぞれの同期会の話、それぞれの師匠の話、つく枝が出演中の上本町ハイハイタウンの街頭 CM の話、銀瓶のラジオの話、等々。とくにそれぞれの師匠の稽古の付け方が興味深く、稽古の形にこだわる鶴瓶に対し、稽古を付けるのが嫌いな文枝。入門から稽古にまつわる銀瓶のぶっちゃけ話も。

 銀瓶の 1 席目はマクラで「好きなドラマや映画はまねしたくなる」と、いろんな作品で上手く笑いを取りつつ、「昔はこれが歌舞伎で‥‥」と「七段目」へ。これがまたきっちり吉朝の型で、芝居の台詞まわしはなかなか堂に入ったもの。ただ、芝居の所作はもう少しやわらかさがほしい。ここらは素養がものを云うところだろうから、日本舞踊を習いに行ってもらいたい。

 つく枝の 1 席目はマクラで食にまつわるエピソードの数々を。子どもの頃、自転車に乗ってたら口のなかへ飛び込んできたカメムシの味とパクチーの味が同じと云う体験談に共感。
 ネタの「食通夜」は、世話になったご隠居が亡くなり、その通夜の席で食いしん坊の男がとにかくやたらめったら食べまくる噺。とにかく食べる、食べる、食べる、‥‥。どれもこれも美味そうに食べる、これぞつく枝の真骨頂。以前にも観たことがあったが、こちらの腹もどんどん減ってくるような、それでいて胸焼けしてくるような。

 中入りを挟んでつく枝の 2 席目は「煮売屋」を絡めた「七度狐」。喜六のキャラが秀逸で、イカの木の芽和えにべちょたれ雑炊と、ここでも食べまくり、清八の偶然のダジャレに敏感に反応。つく枝らしさが上手く散りばめられていて、なんともたのしい。

 トリの銀瓶は開口一番「食べてばっかりや」。
 「胴乱の幸助」は基本に忠実に。浄瑠璃の稽古屋の場面もクサさ満点で雰囲気あり。割木屋の親父が「お半町」を仲裁に京都入りしてからグイグイ盛り上がり、帯屋の番頭とのやり取りで大爆笑。ええ一席に。


 ふたりがそれぞれ 2 席ずつに対談で 3 時間弱と、たっぷりの会に。
 シュッとした銀瓶さんにコロコロしたつく枝さんの対比もおもしろかったです。対談もええ感じに話題が転がってたのしめましたし、またこの二人会を開催してほしいと思います。

天満天神繁昌亭

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繁昌亭夜席 花丸・都んぼ 二人会

2006/12/4 @天満天神繁昌亭

  • 桂 さん都 「つる」
  • 林家 花丸 「厩火事」
  • 桂 都んぼ 「ふぐ鍋」
    ―― 中入り ――
  • 桂 都んぼ 「掛け取り」
  • 林家 花丸 「三十石」


 繁昌亭ではこの日から 3 日間、ラクゴリラのメンバーを主軸に若手の二人会が企画されてます。まずは花丸さんと都んぼさん。
 開場 15 分前くらいに到着すると、会場前には 3 人。その後にぼちぼち列びましたが、やはり月曜にこれだけ冷え込むと当日の客足は鈍るのかも。入りは 1 階席が 8 割って感じ。
 花丸さんや都んぼさんのファンがこぞって来場‥‥かと思いきや、そう云う雰囲気でもなさそうな団体も。


 開口一番はちょっと風邪気味のさん都。軽めの自虐ネタをマクラに「つる」を。あいかわらずテンポが良く、それでいてちょっともっちゃりしてる口調がええ感じ。

 花丸の 1 席目はマクラをいろいろつないで客席を探ってる感じ。自身の 2 度目の結婚披露宴の話をマクラに「厩火事」。兄貴分に説教されて揺れる嫁はんの心情がうまく表現されてて、あいかわらずおもしろい。兄貴分がふたつのたとえ話をする場面で、「ひとつは唐土もろこしの話や」「クビナガドリの伝説でっか?」と、さん都の「つる」を受けたアドリブに爆笑。

 ひさしぶりに観る都んぼ。まず 1 席目は、噺家は今どきやない、日常で芸名は恥ずかしいってなマクラから、「ふぐ汁や 鯛もあるのに 無分別」の句を忘れるアクシデントを経て「ふぐ鍋」へ。時々しゃべりも所作も早送りのようになるのは気になるが、幇間ノリの客人・大橋にはこれが合ってる感じ。

 中入り後、都んぼの 2 席目は歌舞伎と落語の価格比較から「掛け取り」。掛け取りが 2 人で、その道楽が落語と歌舞伎。落語は東西の噺家の名前尽くし、歌舞伎は掛け取りに芝居をさせる。芝居の場面では拍手も起きる。普通は 3 パターンが多いと思うが、少し短かったのは時間調整?

 トリの花丸の直前に、最前列を陣取ってた十数名の会社員風の団体が退場。出てきた花丸は両手を合わせて「最前列のお客様が交通事故に遭われないことを祈るばかりです」。軽く交通機関のマクラから「三十石」を。船宿でのやり取りがたのしく、三十石船の風情が心地良い。乗船名簿を付ける場面では、村主章枝、伊藤みどり、浅田真央とフィギュアスケート選手の名前が並び、「ウケまへんでしたなぁ。そら、みな上手にスベる人の名前」。三十石で船頭が艪を漕ぐ場面、花丸が木のきしむ音を出すと少し笑いが起こるのは、まだまだ芸に貫禄や重みが足りないせいか?


 客席がやや重いのが気になりましたが、個人的には花丸さんの 2 席に大満足。「三十石」の後半の、夜が更けて、やがて明けてくる雰囲気が花丸さんから伝わってくるのが快感です。トリを観なかった団体さんは入場料の半分は損してると思います。
 都んぼさんはしゃべりに性急感があって、このままではフィットするネタが限定されるんじゃないでしょうか? 引くべきところで引けるようになれば、もっといろいろ可能性が見えてきそう。

天満天神繁昌亭

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極付十番

極付十番 三代目 桂春團治 DVD-BOX
極付十番
三代目 桂春團治
DVD-BOX

 三代目の『極付十番落語会』の高座を収録した DVD-BOX が来年 3 月 9 日(金)に発売されます。
 5 枚組 240 分収録と云うことで、春團治師匠の高座のみのようです。ゲストも良い高座が多かっただけにチと残念。まぁ小朝さんや志の輔さんの権利関係をクリアするのも大変でしょうし、それで値段が跳ね上がったらまた大変ですし。

 桐の箱に入ってることもあってか、価格が 19,800 円とお高い。Amazon.co.jp で 14,850 円。迷うなぁ‥‥。でも買うてまうんやろなぁ‥‥。
 気になってるのが「皿屋敷」。最終日だったんですが、かなり出来が悪かったんです。で、直後の『島之内寄席』でも「皿屋敷」演ってるんです。ひょっとすると‥‥。
 そこらを確かめるためにも、やっぱり買う必要ありですかね。自分が映ってるかチェックするってたのしみもありそうですし。

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上方亭ライブスペシャル

2006/12/3 @上方亭

  • 桂 吉の丞 「子ほめ」
  • 桂 佐ん吉 「御公家女房」
  • 桂 あさ吉 「茶の湯」
  • 《ビデオ上映:桂吉朝の物まね漫才》


 この冬いちばんの寒さだったそうで、寝坊。あわただしく準備して家を出るも、腹が減ってフラフラ~。虫養いを買って会場に行くと、すでに待ち行列に。上方亭ライブにしてはめずらしいと思いつつ、ここらがスペシャルの重みかな、とか思ったり。吉朝ファンの元 O さんや F さんも早々に来られてました。
 入りは 80 人くらいでしょうか。この前の 『上方演芸サロン』 のときよりは少ない感じ。


 まずは吉の丞は「吉朝一門のなかでも暇な 3 人が集まりました」と、マクラから軽妙。観客調査ではやはり『特別展 桂吉朝の魅力』を観に来た客が多い。「訊いたからと云うてネタを代えるてな高度なテクニックは持っておりません」と「子ほめ」へ。
 途中で見知らぬ男に声を掛けるところだけを端折り、あとはフルサイズで。口跡も良く、独自のクスグリもあちこちに入っててたのしい。

 つづいて佐ん吉。この日はこの高座が 5 回目と云う。笑福亭仁福がメインの 24 時間耐久落語会『都島寄席』に真夜中の 1 時、2 時、3 時、4 時の出番で出演したとのこと。
 ネタの「御公家女房」はきっちり板に付いてる感じ。以前に観たときよりクスグリも増えており、終始たのしい雰囲気。噺が進むにつれて徐々にスピード・アップしていった感じで、ここらはチともったいない。新婦が公家言葉を使うところでもっとゆったりしゃべらせればメリハリにもなって良いかも。

 トリは総領弟子のあさ吉。マクラにパキスタン公演でのエピソードを。ひとしきり話したあと、羽織を脱ぐときの独特の間で笑いが起きるのがなんともあさ吉らしい。
 ネタは十八番、先代の歌之助に付けてもらったと云う「茶の湯」。隠居のたたずまい、長屋の連中のそわそわ感、どこを切り取ってもあさ吉に合った噺で、やわらかい笑いに包まれる。サゲはもうちょっとためた方がストンと落ちそう。
 最後に師匠から譲られた能管の演奏も。

 ここで舞台をバラし、吉朝が噺家仲間と漫才の物まねを演ったときのビデオを上映。 『上方演芸サロン』 のときと同じものだったが、たのしそうに演じる吉朝の姿がなんともほほえましい。


 トータル 1 時間半。落語は 3 席とも楽しめましたし、物まね漫才のビデオをまた観られてラッキーでしたし、お得な会でした。
 やっぱりですねぇ、あさ吉さんのええ意味で力の抜けた高座、これが心地良いです。吉の丞さんと佐ん吉さんにトントントンと運ばれて、あさ吉さんでほわっとなる、この構成は良かったように思います。もちろん吉朝一門の他の面々もそれぞれ持ち味があってええんですけど、あさ吉さんの空気感がなんとも云えませんね。現在は英語落語に注力されてますけど、古典落語の勉強会をまた開いてほしいです。(できれば大阪市内で)


 それにしても、上方亭の音響設備は問題ありです。この日も吉の丞さんが始まってすぐにハウリング。若干は調整されるもハウリングは最後までつづき、途中からは接触不良のようなノイズも。考えられる原因は、

  1. スピーカーの音量が大きすぎる。
  2. マイクの入力レベルが高すぎる。
  3. 音響設備が老朽化している。

あたりでしょうか。

 とくに気になるのがスピーカーの設置方向。会場後方の両角から会場中央へ向けて設置してあるんですが、あれでは高座のマイクがスピーカーからの音をもろに拾ってしまい、ハウリングするのはあたりまえ。スピーカーを真横に向けるだけでも改善効果がありそう。
 スピーカーの音量もやたらと大きく、前でしゃべってるのにうしろから声が聞こえてくる感じに。後方のからくり劇場のスピーカーは必要かもしれませんが、上方亭のスピーカーは出囃子以外では不要でしょう。もっと云えば、ここより広いレッスンルームではマイクなしで演られてるんですから、上方亭でマイクは不要だと思います。会場の状態をモニタリングしながら調整できないならマイクの使用は控えてほしいです。

 スタッフの方々には、音響設備がせっかくの高座を台無しにしていることを認識していただいて、なんとか改善していただきたいと思います。

上方亭ライブ
特別展 桂吉朝の魅力

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神田愛山独演会

2006/12/2 @茶臼山舞台

  • 旭堂 南湖 『難波戦記』より「冬合戦」
  • 神田 愛山 『男伊達昔風俗 幡随院長兵衛』より「芝居の喧嘩」
  • 神田 愛山 『赤穂義士外伝』より「忠僕元助」
    ―― 中入り ――
  • 神田 愛山 講談私小説「真剣師」


 午前中に演劇と落語のチケットを手配し、空き時間は天王寺界隈をぶらぶら。買い物はしませんでしたが、なかなかええもんを発見。
 開場頃に会場へ行き、しばし休憩。入りは 20 人弱。「講釈場 いらぬ親父の 捨て処」てなことを云われますが、どうしてどうして、お客さんの半分が女性です。


 まずは南湖の前講から。デニムに南湖ワッペンの着物の話をマクラに、『難波戦記』の「冬合戦」を。あちこち脱線しながら徳川家康の逃走譚をおもしろく。

 愛山は中入り前に古典を 2 席。講釈師の成立などたっぷりめのマクラから、まずは『幡随院長兵衛』のなかから「芝居の喧嘩」。長兵衛の舎弟が間違いで芝居小屋の若い衆に殴られたことを発端に、町奴の幡随院長兵衛一派と旗本奴の水野十郎左衛門一派との喧嘩に発展。次々と恐ろしい男たちが出てきて大騒動に。この男たちのキャラクターが詳細に語られるあたりが聴きどころ。
 つづけて 2 席目は『赤穂義士外伝』のうち「忠僕元助」を。片岡源五右衛門は討ち入りの前に下僕の元助に暇を出したいが、忠義からどうしても聞き届けない元助。あれこれ手を変えて元助を納得させようとする源五右衛門がおもしろい。東京では「忠僕直助」の演り手は多いが「忠僕元助」の演り手は少ないそう。

 中入り後は、《講談私小説》と称して自身のアル中の経験談を講談化した、その処女作「真剣師」。千葉の営業先でヤクザに殴られたアル中の講釈師・品川陽吉が、中野のアパートへ戻る前にいつも寄る深夜スナック「夜明け」で真剣師(賭け将棋指し)の島田と出会う。陽吉の怠惰な生活を、微に入り細に入り克明に描写。ここらは講談の真骨頂。真剣師・島田の怪しさも相まって、陽吉の生活にグイグイ引き込まれる。


 これまで愛山先生の高座は 1 度しか観たことなかったんですが、やっぱり良いですねぇ。とくに「真剣師」の持つ独特の雰囲気、これは一聴の価値ありです。《講談私小説》と云うネーミングもまたグッド。また聴きたいです。
 南湖さんは「独演会にしては会場が小さいように思うが、数年後には大阪ドームで」と云われてましたが、愛山先生は「私の会の特徴は、だんだん会場が小さくなる」と。はてさて、次回の会場はどうなる?

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