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らくご道 笑福亭生喬と桂こごろうの落語会

2007/1/30 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 笑福亭 生喬 《ごあいさつ》
  • 桂 こごろう 「かぜうどん」
  • 笑福亭 生喬 「植木屋娘」
    ―― 中入り ――
  • 生喬、こごろう 《対談:夕焼け日記》


 100 円ショップで出張前の買い物なんかをして会場へ。ちょっと早めに着きましたが、それでも数人が列ばれてました。開演前には 40 人弱くらいに。観る方としてはなかなかええ感じの入りです。


 まずは生喬がごあいさつ。今回はスカジャンで登場。これが偶然、遊喬と色違いだったそうな。某ホールとは相性が悪いってな話をして交代。

 こごろうは、高座で間違って演り直してもそれほど良い出来にはならないって話でひとしきり沸かせてから「かぜうどん」へ。
 子どもがうどん屋の灯を借りる場面はカットし、酔っ払いのくだりから。この酔っ払いも抜群におもしろかったが、うどん屋の様子から冬の夜空の寒さがええ具合に醸し出されてて、これが絶品。こごろうならではのやわらかさもあり、吉朝一門のとはまた違った味わいに。

 生喬は姪っ子の話をマクラに「植木屋娘」を。植木屋の幸右衛門が、職人ならではの一本気な性格に生喬ならではの迫力が加わって、えらい勢い。
 幸右衛門が娘のおみつに寺の伝吉をすすめる場面では、幸右衛門が「ええか? ええか? ええのんか?」と、鶴光のように詰め寄るのがおかしい。

 中入りを挟んでの対談はこの日の高座を中心に、落語のネタについてあれこれ。「佐々木裁き」に対するそれぞれの演出論も興味深い。
 生喬の「植木屋娘」は文枝系の型で、サゲは生喬が改変したとか。生喬の「ええのんか?」に対して、こごろうは「幸右衛門でおま!」まで云うてほしかった、と。
 こごろうは普段、うどん屋が出てくるネタでうどんを茹でる所作は省略しているが、この日は演りたい気分になり、会場入りする前に実際にうどん屋で観察してきたとか。


 今回は対談が充実。落語の演出についてあれこれ話が広がり、マニアックでかなり興味深かったです。
 落語は 2 席ともたのしめましたが、とくにこごろうさんの「かぜうどん」が絶品と云って良い高座でした。観終わってからの満足度がかなり高かったです。

 次回は 2 月 15 日(木)です。ハメモノ入りで、生喬さんが「池田の猪買い」、こごろうさんが「質屋蔵」を。

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朝日東西名人会

2007/1/29 @シアター・ドラマシティ

  • 林家 花丸 「時うどん」
  • 笑福亭 三喬 「まんじゅうこわい」
  • 桂 歌丸 「ねずみ」
    ―― 中入り ――
  • 柳亭 市馬 「七段目」
  • 笑福亭 仁鶴 「池田の猪買い」

※ 第四回


 余裕を持って入場し、腹ごしらえ。今回はなかなか観やすい席で、期待感も高まります。客席は 9 割入りって感じで、後方に若干空きがありました。番組は悪くないと思うんですけどねぇ。


 開口一番の花丸はいつものマクラで軽く客席をほぐしてから、時刻の解説を丁寧に「時うどん」へ。前半の喜六と清八のやり取りが丁寧で、後半の喜六のイチビリ具合が見事に映える。心地良い一席に。

 つづく三喬は新聞記事へ物申す話をマクラに「まんじゅうこわい」を。好き嫌いの訊ね合いでは独自のクスグリ満載。喜六は好きなものがグリコのポッキーなら、嫌いなものはグリコのプリッツ‥‥のところが不二家のシュークリームに。
 後半、まんじゅうが嫌いだと云う男の、ほん美味そうにまんじゅうを食べる所作がお見事。ほわっとしつつテンポ良く。

 中トリに歌丸。こちらはごく軽いマクラを振って、甚五郎物の「ねずみ」を飄々と。端正な語り口にウトウト‥‥。

 中入りを挟んで、市馬は相撲の呼出や行司のものまねで沸かせ、芝居の話へとつないで「七段目」。若旦那の芝居のまねがクサくて、それがまた芝居狂いの素人っぽくて良い。成田屋の襲名口上での睨みをまねたり、口上つながりで彦六のものまねをしたり、ここらは市馬独自の演出か。
 きっちりたっぷり、それでいて小気味良く、この日の秀逸。

 トリの仁鶴は湯たんぽやクジラ肉などの懐かしい話をマクラに、独特のフラで客席をつかんで、昔の大家族の鍋戦争へと話をつないで「池田の猪買い」へ。
 前半はわりと淡々としたペースで運ぶも、徐々に観客との波長が合い、冷え気の男が猪肉を買いに池田へ向かうあたりからええ感じのノリに。冷え気の男ののんきな性格と仁鶴のニンとがぴったりフィットし、牧歌的な雰囲気を醸し出す。


 とにかく申し分のない番組で、非常に満足度の高い会でした。なんとものんびりした空気が会場中に漂ってた気がします。
 とくに仁鶴さんはあの独特の語り口がなんとも云えずええ感じで、予想以上の高座に大満足です。独演会を NGK で始めたことが良い方向に作用しているのかもしれませんね。
 今回は花丸さんがお目当てだったんですが、もっとも印象深かったのが市馬さん。ネタが好きな「七段目」だったってのもありますが、これがまたええ感じで、爽やかさとクサさのバランスがお見事。たっぷりたのしませていただきました。

 ちょっと気になったのが遅れてくる観客のマナー。遅れてくること自体はいろいろ事情もあるでしょうから仕方ないと思いますが、客席への移動は演者の交代時にお願いしたいです。しかもこの日は遅れてくる客が多く、気になりまくりでした。
 シアター・ドラマシティは誘導係が配備されてますから、スタッフにも責任はあると思いますが、トップの花丸さんがお目当てだった私にとっては非常に不愉快でした。劇場スタッフは大勢おられるようですから、トップと 2 番手との間を長めにとって誘導するとか、それくらい簡単にできると思いますが、いかがでしょう?

 次回は 5 月 9 日(水)の予定です。

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吉田豪のジャングルファイト 5

2007/1/28 @cocoroom


 某後輩 からの情報で吉田豪(プロインタビュアー/プロ書評家)のトーク・イヴェントに初参戦。大阪で不定期に開催されてるようで、今回が 5 回目。内容がまったく不明でチと不安ではありましたが、そこは吉田豪、いろんな裏ネタを期待して。
 『ラクゲリラ ファイナル』終了後、C さんに時間つぶしに付き合ってもらい、開場前にフェスティバルゲートへ移動。到着後、ほどなく cocoroom へ入場。座席は指定で約 60 席がほぼ満席。いつもこんな感じなんでしょうか。


 19 時半の開演時刻を約 15 分遅れでスタート。吉田豪は、イヴェントの司会をすることはあっても、自分がメインになってトークをすることは滅多にないとか。
 内容は、吉田豪が類い希なるインタビュー技術で裏を取ってきたプロレス界や芸能界の裏ネタが中心。かなりきわどいネタが多くて詳細は書けないが、とくに Gackt 伝説がすばらしい。それを引き出した吉田豪もまたすばらしい。
 基本的には、吉田豪の各種記事やポッドキャストなんかでしゃべった事象に対し、観客からのリクエスト(事前アンケート)で本人が思い出しながらしゃべる、と云うスタイル。吉田豪に対する一問一答形式のインタビューのようで、やや底の浅い感じも。もうちょっとトーク内容が事前に繰られたネタも聴いてみたい。
 映像コーナーもあったが、スクリーンの位置が低くて観づらく、ストレスが溜まっただけ。会場が変わったようで(今回だけ?)ここらは改善の余地あり。
 途中で休憩を挟むが、その休憩後、真後ろの二人連れが会話を始めたり、後方の客がトークの内容にやたら相づちを打ったり勝手にコメントしたり、ここらの客のマナーの悪さも気になる。休憩が入ることが事前にアナウンスされてなかったため、トイレに立つ客が多発するなど、進行の不備も。


 終演は 22 時 45 分。たっぷりしゃべってくれて内容的にはたのしめたんですが、スタートはもうちょっと早めてほしいってのが正直なところです。
 終演後にチェックすると、後方の勝手に参加型の客はかなり酔っ払ってたようで、目が完全に据わってました。

豪さんのポッド
恋愛研究会。

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たまの出没!ラクゲリラ! さよなら茶臼山

2007/1/28 @茶臼山舞台

  • 笑福亭 たま 《ごあいさつ》
  • 旭堂 南湖 「阿弥陀池」
  • 笑福亭 たま 「二番煎じ」
  • 笑福亭 生喬 「質屋芝居」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「芝浜」
  • 生喬、たま、呂竹 《茶臼山の思ひ出》

※ ファイナル


 開場前の行列もこれまで以上ではありましたが、開場後もあとからあとから観客が詰め掛け、開演しても入りきらないくらいの人混み。60 人以上はいたんじゃないでしょうか。たまさんのひらめきで、舞台の真横から網越しに観ることになったお客さんも。マニアからビギナーまで幅広い客層で、なにに惹きつけられたのか興味深かったです。


 前説に登場したたまが、のっけから茶臼山舞台閉館の延長を報告。一応 1 月末で閉館だが、片付けのために 3 月末までは借りてるそうな。
 なんやかんやしゃべりつつ、会の案内に「入場拒否はありません。会場がいっぱいの場合は、無理からでもお客様を押し込めますので」と宣言してた手前、なんとか客を詰め込もうとするたま。立ち見の客も。

 あまりの入りにやや引き気味の南湖。観客からのアンケートで演し物を決めようと、古典講談、新作講談、「阿弥陀池」の 3 択。マニア層のほとんどが「阿弥陀池」をチョイス。「そこまで講釈を聴きたくないのか?」とは南湖の弁。
 大阪芸術大学の落語研究会の話、ラジオ出演の話、大須演芸場の話、とマクラっぽくつなぐ。客席がほぐれてきたところで「阿弥陀池」の、米屋に押し込み強盗が入るくだりを講談調に語って「仇討ち阿弥陀池」の前段とし、ここでちょうどお時間に。

 たまはマクラで「道具屋」での失敗談を。客が「その木刀、見せてくれ」と云ってしまったり、笛から抜けなくなった指が力みすぎて抜けてしまったり、ライヴならではのアクシデント。
 「二番煎じ」は筋立てをスッキリ整理するも、登場人物のキャラを立てきれず、絡みがチグハグになったような印象。ひとりで酒をグビグビ飲む男はおもしろく、侍が登場する後半の盛り上がりに期待。

 生喬は茶臼山の閉館に寄せて「実はここで、男性客だけを集めて酒を飲みながら艶笑噺の会をしたかった」と、サンプルをいくつか。これは是非、延長期間中に実現してほしい。
 「質屋芝居」は、たまの会に初めてゲスト出演したとき、たまがチョイスしたネタだそう。あいかわらずたっぷりで、定吉も芝居に入ると貫禄十分。大旦那のイチビリ具合がたのしいアクセントに。

 中入りをはさんで、たま版「芝浜」。初演時に比べてやや整理された感じ。もともと笑いどころの少ない噺だが、たまらしいクスグリを要所に。
 笑わせたいんだろうし、実際おもしろいが、もともとしみじみした噺だけに方向性が定まらない感じ。まだまだ刈り込める余地があるため、もうちょっと整理してテンポを上げても良いのかも。

 最後に生喬、たま、中入り時に到着した呂竹の 3 人で茶臼山の思い出話を‥‥のはずが、「池田の猪買い」や「動物園」の話や、繁昌亭の舞台裏など、マニア向けの芸談に。(もっとも、茶臼山の思い出話でもマニア向けだっただろうが)


 たまさんの 2 席はやや薄味でしたが、この日は高座云々よりも窮屈さを我慢するのが大変でした。そのなかにあって、南湖さんの自由奔放さが心地良く、最後の座談会も楽屋トークっぽくて興味深かったです。


 通し券で 4 日間通いましたが、そのなかで印象深かったのは初日の「Myselves」と 3 日目の「宿屋仇」の 2 席。「Myselves」はストーリーが整理され、ギャグもハマって笑い度がランク・アップしてました。「宿屋仇」はテンポが絶妙でたっぷり感もあり、会が終わってからも満足感に満たされてました。
 ゲストのラクゴリラのなかでは、なんと云っても花丸さんの「千早振る」でしょう。とにかく超爆笑で、この日は花丸さんが全部持っていった感じでした。
 これで通し券が 4,000 円ですから、十分元は取れました。

らくごの玉手箱

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たまの出没!ラクゲリラ! さよなら茶臼山

2007/1/26 @茶臼山舞台

  • 笑福亭 たま 《ごあいさつ》
  • 旭堂 南青 『水戸黄門漫遊記』より「牛盗人」
  • 笑福亭 たま 「書割盗人」
  • 桂 つく枝 「時うどん」
    ―― 中入り ――
  • 姉様キングス 《音曲漫才》
  • 笑福亭 たま 「宿屋仇」

※ その 3


 たまさんのサイトの掲示板にご本人から「飛び入りゲストに姉様キングス」の書き込みが! はやる気持ちを抑えつつ、いつもよりちょっとだけ早めに会場へ。でも、それらしい人影は見あたらず。
 この日は『つくしんぼ落語会』が大盛況のつく枝さんがゲストと云うことで混雑が気になりましたが、入りは約 40 人で、初日と 2 日目の中間くらい。満員ですが、それほどの窮屈感もなく。


 まずはたまがごあいさつ代わりにつく枝のことをいろいろと。とくにつく枝の笑顔にダメ出しした福笑のエピソードと、その後のふたりの関係もおもしろい。

 和泉元彌的事情で呂竹が出演できず、代演に南青が『水戸黄門漫遊記』から「牛盗人」。前半は入れ事で笑いを取り、後半は泣かせる話をじっくり聴かせる。ズルいほどに上手い構成。

 たまの 1 席目は「書割盗人」。クスグリを増やしつつ、さらに整理された感じ。とくに泥棒がたんすに手を掛けようとして壁を引っかいてしまって、黒板を引っかいたような音が出たのには悶絶。(この音はもちろんたまの声)

 ゲストのつく枝はたまの前説に対する弁解(?)から、マクラをいろいろ。ネタの「時うどん」はオーソドックスな型できっちりと、たっぷりと。しかしそこはつく枝、うどんを食べる所作が抜群に上手い。否、美味い。絶品と云われるあさ吉のはうどんそのものが美味しそうだが、つく枝の場合はうどんを食べる喜六と清八の表情が幸せそう。

 中入りを挟んで、姉様キングスが舞台袖ではなく会場入口から登場。一心寺近くでの余興があったそうで、茶臼山舞台の隣のホテルの喫茶店で待機していたとか。
 ネタは近代節にストトン節に阿呆陀羅経。阿呆陀羅経は《てん》尽くしで、天神橋筋商店街から天満天神繁昌亭へ。喫茶店で待機中に書いたと云うことで妙な間はあったが、繁昌亭向けとして内容はグッド。

 たまの 2 席目は「宿屋仇」。兵庫の三人連れのやり取りなど、かなり整理された感じ。隣のうるささに激怒する侍も怒りを超越して笑いに達するなど、繰り返しによる笑いにも変化を加えて。
 おもしろさもさることながら、ひとつのドラマとしての展開がスムーズになり、グイグイと引き込まれるたっぷりの高座に。この日の秀逸。


 姉様キングスの出演でこの日は寄席的な番組構成になり、最初から最後までの流れがガッチリかみ合い、会全体が良い雰囲気になったと思います。とくにトリのたまさんの「宿屋仇」が良い出来で、たまさんの云う《マシンのような落語》を体感しました。

 次回《ラクゲリラ ファイナル》は 1 月 28 日(日)、ゲストは生喬さんと南湖さんです。午後 2 時開演ですのでご注意を。

らくごの玉手箱

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初春文楽公演

2007/1/25 @国立文楽劇場


 予定をムリヤリやりくりして、最終日の第二部にすべり込み。平日で入りはどうかと思ってたんですが、某企業の優待客も入ってて 9 割くらいの入りでした。
 今回ももちろん、パンフレットで予習して挑みました。


『花競四季寿』
 四季折々をテーマにした踊りのような演目。「万才」(春)、「海女」(夏)、「関寺小町」(秋)、「鷺娘」(冬)で、とくに夏の「海女」で恋に悩む海女のところへ登場するタコがたのしい。
 このタコ、ひとりで操られてて 8 本足でも動くのは 1 本。タコと云うよりも安っぽい火星人みたいで。せっかく文楽なんやから、あえて 3 人掛かりで足をクネクネしてくれたらおもしろいのに。

『御所桜堀川夜討』
 義経への忠義で実の娘を殺さねばならなくなった弁慶を描く。身代わりであったり、複雑な生い立ちであったり、これはあらすじを知ってないときびしかったろう。知ってても難しかったが。‥‥
 弁慶の人形が圧巻。大きくて、あの特長のある髪形がなかなかの迫力。

『壺坂観音霊験記』
 盲目の夫・沢市と、それを支える妻・お里。眼病に効くと云う壺阪寺の観音様にお詣りをするお里を、浮気をしてるのではないかと疑う沢市。事実を知った沢市が‥‥と云う展開。
 あらすじを読んだだけでも人情味あふれるかなりええ話で、地元が舞台と云うこともあって興味深く鑑賞。


 慢性的な寝不足もあってウトウトする場面もありましたが、なかなかたのしめました。とくに『壺坂~』は地元が舞台だっただけに、また現地へも行ってみたい気にさせられました。

 次回の 4 月公演は、これまた地元の久米寺が舞台の『粂仙人吉野花王』があり、こちらも観てみたいです。

国立文楽劇場

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たまの出没!ラクゲリラ! さよなら茶臼山

2007/1/24 @茶臼山舞台

  • 笑福亭 たま 《ごあいさつ》
  • 桂 佐ん吉 「道具屋」
  • 笑福亭 たま 「七度狐」
    ―― 中入り ――
  • 林家 花丸 「千早振る」
  • 笑福亭 たま 「替り目」

※ その 2


 通路用の仕切りカーテンが取り払われて桟敷が広くなってたんですが、前回に比べて客足が悪く、結局は 30 人くらいの入りで桟敷はゆったり。やっぱり連続企画は最初と最後が人気なんでしょうか?


 まずはたまがパステル・カラーのキティちゃんの着物で登場。呂竹や花丸の話なんかで軽くほぐす。

 佐ん吉の「道具屋」は雛人形でバカウケ。それ以外はスタンダードなままで、ちょっともったいない感じ。もう少し工夫を加えて《佐ん吉の「道具屋」》とまで仕立てれば、と思うが。

 たまの 1 席目の「七度狐」はハメモノにさらなる工夫が。麦畑でおぼれる清八、あやしい尼さん、超不味いべちょたれ雑炊、お小夜後家の棺桶が来てからの騒動と、クスグリもふんだんにたまらしい演出のオンパレード。

 中入りを挟んでの花丸は、正月の一門会でのバラエティーショーのために年末年始はひとりでカラオケの特訓に明け暮れたとか。なんじゃかんじゃと軽快にマクラをつなぎ、歌つながりで「千早振る」へ。ここで観客が反応。やはりみんな期待してたか!?!?
 歌の本来の解説から始まってごく丁寧に進むかと思いきや、こまかいクスグリをこれでもかとてんこ盛り。歌の説明をしていた甚兵衛が、相撲の稽古の大変さから、落語の稽古の楽さを具体例を挙げて詳細に解説。突然、浪曲を唸りだし、ミュージカルで暴走。喜六が歌の最後の「とわ」を追求すると、いたこの修行を積んだ甚兵衛が千早の霊を呼び寄せて語らせる。とにかく大爆笑の連続で、以前に観たときよりも増補拡大版に。
 ただ笑わせるだけでなく、乞食におからを与えようとした竜田川が千早だと気づく場面で、普通ならおからを地面へ叩きつけるところを、花丸はそうせずに引っ込める。こんなちょっとしたところに花丸の人柄が見て取れるよう。
 花丸版「千早振る」は、福笑に「よぉあんなおもろない噺を、そこまで触ったなぁ」と云わしめた逸品。一見の価値あり。

 大爆笑の花丸のあとで演りにくそうなたま。2 席目はひさしぶりだと云う「替り目」。俥屋とのやり取りはカットし、サゲまで。
 酔っ払って帰ってきた亭主に対して女房が腹を立ててることが、その表情から如実に伝わってくる。酔っ払い亭主の酔態もなかなか。あとは目が据わってくれば完璧かも。


 それぞれ良かったんですが、とにかくこの日の MVP は満場一致で花丸さんでしょう。佐ん吉さんの「道具屋」の雛人形のくだりを聴いて「蔵丁稚」から急遽「千早振る」に変えたそうで、これはもう佐ん吉さまさまです。これを聴いた福笑さんが後日、たまさんに「『千早振る』覚えたいから、本、貸してくれ」と電話してきたそうな。このエピソードだけでも、花丸版がいかにおもしろいかと云うことがわかると思います。
 たまさんの「七度狐」はもう完成型だと思ってましたが、こまかくリニューアルされてました。「替わり目」もええ感じの仕上がりでしたが、今後さらに手が入るのかと思うと、期待せずにはいられませんね。

 次回《ラクゲリラ その 3》は 1 月 26 日(金)、ゲストはつく枝さんと南青さん(呂竹さんの代演)です。

らくごの玉手箱

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EVANESCENCE - Japan Tour 2007

2007/1/23 @なんば Hatch


 大阪公演の日程が発表されるも、前売り発売直前になって発表された『たまの出没!ラクゲリラ!』と日程が重なって断念。その後、追加公演が運良く『ラクゲリラ!』の谷間に決まってラッキーでした。「待てば海路の日和あり」です。
 ところが、こちらの日程がなかなか定まらず、前売りを買ったのが公演 1 週間前。ところがところが、整理番号が 2 組 40 番台。公演直前になっても 200 枚も売れてないってことです。会場のなんば Hatch は 1,500 人収容の会場で、2 階席に入れなくても 1,200 人規模になるはず。かなりさみしい状況です。

 そんなこんなで「ゆったり観られるやろ」と、開場時刻を過ぎた頃に会場へ到着。ほどなく入場し、がら空きのグッズ売り場で T シャツを買い、客席へ。前方両サイドは潰してましたが、それでもやっぱり少ない。開演直前になってもホントに 200 人くらいでした。
 ちょっとびっくりしたのが、客層が異常に若いこと。高校生・大学生が中心層で、しかも女子率高し。制服姿の女子高生までいました。最近のメタルのライヴ会場ではなかなかお目にかかれない光景です。
 ただ、どうもメタル・ファンってわけでもなさそうで、うしろにいた大学生風の男女 4 人組が開演前に流れてた METALLICA の“Master Of Puppets”を聴いて、「どっかで聴いたことあると思ったら、これ METALLICA や」。さらに、映画『ロッキー 3』のテーマ曲としても有名な SURVIVOR の“Eye Of The Tiger”を聴いて、「これなに?」「これも METALLICA かなぁ」。転けそうになりました。


 開演は約 15 分押しでスタート。前方の幕が開くと、ステージ後方にバンド・ロゴのバック・ドロップ。それ以外にはこれと云った装飾はないが、上手側にグランドピアノが置かれているのが目に付く。
 初めて生で見るエイミー・リー(Vo)は、ちょっとぽっちゃり。それでも(って云い方もないが)、1 曲目からメロイック・サインを掲げまくりぃの、ステージ上を右へ左へ動きまくりぃの、観客を煽りまくりぃの、ってな感じで、会場も一挙にヒート・アップ!
 バンド・サウンドはアルバムよりもかなりヘヴィで、エイミーの歌も力強く、想像以上にヘヴィ・メタルな雰囲気に。しかもゴシック・メタルだから、とにかくどの曲も荘厳でドラマティック。ヘヴィなグルーヴに身をゆだねる心地良さを体感。
 メガ・ヒット曲“Bring Me To Life”での男声ヴォーカルとの掛け合いは最小限に抑えられてて、ここらはチと残念。途中、何曲かでエイミーのピアノ弾き語りもあり、とにかく彼女の歌の上手さを前面に押し出した構成。MC ではちょこちょこと日本語をはさみ、サービス精神も旺盛。


 とにかくヘヴィなこととエイミーの歌唱力におどろかされました。約 75 分と短めのステージでしたが、大満足の内容です。かなり前方の、しかも中央で観られたってのも良かったです。
 観客が少なかったのがもったいなかったですが、ファン層を考えると平日に追加公演はキツいでしょうね。これはこれで、個人的にはラッキーでしたが。


  1. Sweet Sacrifice
  2. Weight Of The World
  3. Going Under
  4. The Only One
  5. Cloud Nine
  6. Lithium
  7. Good Enough
  8. Whisper
  9. Call Me When You're Sober
  10. Imaginary
  11. Bring Me To Life
  12. Haunted
  13. All that I'm living For
  14. Lacrymosa

  15. My Immortal
  16. Your Star

EVANESCENCE
EVANESCENCE (日本)
Netabare Board <<< Thanks!

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たまの出没!ラクゲリラ さよなら茶臼山

2007/1/22 @茶臼山舞台

  • 笑福亭 たま 《ごあいさつ》
  • 旭堂 南青 「大塩、出世の裁き」
  • 笑福亭 たま 「Myselves」 (作:たまよね)
    ―― 中入り ――
  • 桂 こごろう 「花筏」
  • 笑福亭 たま 「子は鎹」

※ その 1


 たまさん自身の人気はもちろんですが、ゲストにラクゴリラのメンバーを迎えた会と云うことで、ちょっと早めに行ったつもりでしたが、すでに数名が列ばれてました。開演後にも続々と詰めかけ、最終的には 50 人近くに。
 通し券はサイン入りミニ色紙なんですが、予想以上に通し券のお客さんが多かったようで、あわてて追加のミニ色紙に一生懸命サインされてました。


 まずはたまがごあいさつ。茶臼山舞台の思い出をちょこっと話してから、繁昌亭昼席でいっしょだった花丸の家族ははおもしろいって話。これで次回の宣伝に。

 上方講談師のなかの好男子、南青は大塩平八郎の誕生日に「大塩、出世の裁き」を張り扇で威勢良く。子どもの頃の盗っ人とのエピソードなど、おもしろいところを抜き読み。あいかわらず口跡が良く、聴きやすい。そろそろ色がほしいと思うのは贅沢か?

 たまの 1 席目は『たまよね』生まれの「Myselves」。20 歳のニートの男のもとに、30 歳の自分、40 歳の自分、‥‥があらわれる噺。以前よりクスグリがかなり増えており、おもしろさも倍増。
 某所での会でこの噺を掛けたところ、まったくウケなかったとか。好きずきもあろうが、これで笑えなければ客の方が悪かろう。

 中入りを挟んで、こごろうが「花筏」をたっぷり。
 手当の二分に目がくらんだ提灯屋の徳、大関の花筏に扮して色紙に手形を押し、「休んだっていいじゃないか 人間だもの」と相田みつをチックな名文句を添える。その後の色紙ネタも秀逸。脇役ながら、やたらテンションの高い客とやたら冷めた客とのやり取りもたのしい。たまの「Myselves」の一場面を引用したクスグリをアドリブで入れてくるあたりはさすが。
 不要な部分をそぎ落とし、ここぞと云うところを膨らませ、ガッチリこごろう落語に。

 たまの 2 席目は「子は鎹」。以前よりもさらに構成が整理され、ストーリーの流れは自然に。ちょいちょい噛むのは気になったが、亀ちゃんを始めとして登場人物の表情が豊かで、とくに鰻屋での夫婦の目配せはなかなかの雰囲気に。


 満員のお客さんがええ雰囲気で、高座の出来も良く、とくに「Myselves」の進化は目を見はるものがありました。ゲストのこごろうさんも汗だくの熱演で、南青さんも心地良く、大満足の 2 時間でした。

 次回《ラクゲリラ その 2》は 1 月 24 日(水)、ゲストは花丸さんと佐ん吉さんです。

らくごの玉手箱

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田辺寄席

2007/1/21 @大阪市立阿倍野青年センター

【ラクゴリラ、田辺に出没! 新・じっくりたっぷりの会 林家花丸の段】

  • 桂 文太 《開口 0 番 文太の前ばなし [へ]ヘタリ》
  • 桂 三幸 「立候補」 (作:桂三枝)
  • 林家 花丸 「幇間腹」
  • 《三代目桂歌之助襲名披露口上》
  • 桂 文太 「悋気の提灯」
  • 《笑呆亭 出題編》
    ―― 中入り ――
  • 桂 歌之助 「しびんの花活け」
  • 林家 花丸 「幸助餅」
  • 《笑呆亭 解答編》

※ 第 413 回


 普段から狂ったように落語会へ行ってるため意外に思われるかもしれませんが、今回が私の『田辺寄席』デビューでございます。どんな会でもそうですが、やっぱりきっかけがないとなかなか足を運べないもんで、今回は花丸さん特集と云うこともあって出掛けました。
 近鉄「北田辺」駅からテクテクと、だいたい徒歩 15 分くらい。あとからわかったんですが、どうも「今川」駅の方が便利そうです。会場前には出番表やのぼりがええ感じの雰囲気に。

田辺寄席 (第 413 回)

 今回はなんと京都の H さんの招待券で潜り込ませていただきました。最終的に私のもとへ話がまわってきたような按配でしたが、なにはともあれ「ありがとうございます!」です。浮いたお金で田辺寄席の会員になりました。
 入りはほぼ満席で、終演後のクイズの解答数からザッと 120 人と云ったところ。詰めたら 150 人くらいは入れそうな会場です。


 まずは文太が開演前によもやま話。《ヘタリ》とは、鳴り物を担当するため下座にへたり込んでるところに由来するそう。文太が若い頃、鳴り物を稽古するために角座へ通ったとか。(当時、他の小屋ではテープに変わってたため) その当時のエピソードをいろいろと。

 開口一番の三幸は、師匠の三枝の新作「立候補」を。小学生の息子が生徒会長に立候補し、その演説原稿を父親が作ると云う噺。現在の政界のパロディを盛り込んで、なかなかたのしい一席に。

 花丸の 1 席目は男芸者の噺で「幇間腹」。幇間の茂八の軽薄さが秀逸。腹に刺された鍼が抜けずに痛がる茂八の発する奇声を受けた若旦那の「お前、どこの裸族やねん」がツボ。ほかにも花丸流のクスグリがあちこちに。

 ここでプログラムになかった《三代目桂歌之助襲名披露口上》。下手より、小米、あやめ、歌之助、南左衛門、進行の文太。小米、あやめ、南左衛門につづいて歌之助もひと言。

 中トリの文太は、男と女の小咄をいろいろとマクラに、贋作「悋気の提灯」(「権助提灯」の移入)。嵐の晩、旦那が本妻に「妾の家へ泊まってやって」と進言され、下男の権助を提灯持ちに妾宅へ行くも、妾の方も「ご自宅へお泊まりください」と追い返され、あっちへウロウロ、こっちへウロウロ‥‥と云う噺。軽快なテンポで心地良い。
 ここで《笑呆亭》の出題。この旦那が風邪が原因で死に、妾宅へ泊まらせなかった妾を本妻が訴えたら、妾は罪になるか、ならないか?と云うもの。クイズの解答用紙を中入りの間に提出。

 中入りを挟んで、歌之助の「しびんの花活け」は、おさまった武士と調子の良い道具屋との対比がたのしい。

 トリの花丸は黒紋付きに袴姿で「決して口上に並び忘れた訳ではありません」。先代と当代の歌之助との思い出を口上代わりにマクラで。
 花丸の 2 席目は裸芸者の噺で「幸助餅」。妹を郭に沈めて作った三十両を手にした幸助が、贔屓にしていた力士の雷の大関昇進祝いにやってしまい‥‥と云う噺。花丸は幸助の苦労と雷への複雑な思いを丁寧に描く。最後の「皆の笑い声が浪花の空に響き渡ります」と云うセリフが目に浮かぶようなハッピー・エンド。

 最後に《笑呆亭》の判決。文太の判断では「罪にならない」とのこと。(実際には、責任範囲が争点になる微妙なところのよう)
 そのまま大抽選会に突入。が、惨敗。‥‥


 とにかくお客さんの雰囲気があったかく、たのしもう、笑わせてもらおうと云う空気が会場中に満ちてました。さすが 400 回を超える長寿寄席です。地域に根ざしてるなぁってのが感じられました。
 文太さんはひさしぶりでしたが、やはりホームと云うことでリラックスされており、軽快なおしゃべり。《笑呆亭》では天然ボケ(?)の三幸さんにツッコミまくりで、普段の高座とはまた違ったたのしさを演出されてました。
 中入りではぜんざいが振る舞われました。餅好きにとっては、つきたての餅は非常に魅力的でしたが、豆嫌いなために断念。口直しに出されてた塩昆布をアテにお茶を一杯いただきました。
 番組も充実してましたし、中入りでのサービスや抽選会などのおまけ要素も豊富で、サプライズの口上もありましたし、たっぷりたのしんだ 3 時間でした。

 次回は 3 月 17 日(土)、18 日(日)の予定です。

上方落語の地域寄席 田辺寄席

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ビガロ、逝く

Bam Bam Bigelow passes away (WWE)

 プロレスラーのクラッシャー・バンバン・ビガロ選手が自宅で亡くなっているのを発見されたそうです。享年 45 歳。リング上での側転など、《動けるデブ》の元祖的レスラーで、入れ墨頭とファイヤー・パターンのコスチュームが印象的でした。

 個人的に好きなレスラーのひとりでした。ファイヤー・パターンが好きなのもビガロの影響ですし、なんと云っても学生時代の高座名が萬蛮亭美我郎でしたから。他のレスラーにはない愛着がありました。
 近年は活躍の場が与えられてなくて不遇との印象でしたが、プロレスラーとしてまだまだ活躍できた年齢だけに、ほんとに残念です。

 ご冥福をお祈りするばかりです。合掌。

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福楽の底力

2006/1/20 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 笑福亭 呂竹 「色事根問」
  • 桂 福楽 「長~い動物園」
  • 桂 小春團治 「大名将棋」
  • 桂 福楽 「親子茶屋」

※ Vol. 7


 この日はあちこちで好番組の落語会があり、ワッハホールでも『島之内寄席』が開かれていましたが、「ここはやっぱり福楽さん!」と上方亭へ。
 『年越しオールナイト落語会』でブレイクしたかも!?!?と早めに行ったんですが、考えすぎでした。入りは 18 人と、少なかった前回よりもさらに少なめ。残念。‥‥


 開口一番の呂竹は挨拶からいきなり噛むも、ネタの「色事根問」に入るとそこそこ安定。一生懸命で丁寧な感じが好印象。「三金」のところを膨らましておかしみが増した感じ。(以前はそんなに引っ張らずに演ってたような)

 福楽の 1 席目はマクラで「この会はただでは笑いません」と宣言してから『年越しオールナイト落語会』でベース漫談が大ウケしたことを。ここでも自虐的。サブリミナル効果による上方落語協会誌『んなあほな』の宣伝なども。
 「長~い動物園」は以前に茶臼山舞台で開催していた『桂小福 真剣勝負』で演ったそうで、文字どおり「動物園」の長尺版。無職の男が仕事をすぐ辞めてしまう訳や、愛生にある移動動物園へ朝から新幹線こだま号で行く段取りや、「俺も 1 万円で雇われたんや」の後日談など。無職男はアホではなく、いろいろとこだわりがあって、哲学的問答を仕掛けてきたり、一筋縄ではいかない。
 「動物園」は普通なら 15 分ほどの噺だが、この「長~い動物園」の初演時は 45 分くらいだったそう。今回も 30 分を超える長尺で、福楽ワールド全開。

 小春團治は噺家が師匠と呼ばれる話から上下関係の話へとマクラをつないで「大名将棋」を。大名が退屈しのぎに将棋をするも、無茶な手でむりやり勝ち、負けた部下を鉄扇で打ち据える。これをいさめるために堅物の石部金吉郎が名乗り出る‥‥って噺。小春團治の古典はめずらしい。自作の「さわやか侍」でも感じたが、小春團治のバカ殿は絶品。
 この噺は江戸の「将棋の殿様」でしか聴いたことなかったが、将棋に懲りた殿様が次は小咄に凝るというのは小春團治のアレンジか、上方らしくておもしろい。

 福楽の 2 席目は、ネタ出ししていた「不動坊」では「動物園」とネタが付く(別のものに化けると云う趣向が似ている)とのことで「親子茶屋」に変更。
 以前に 2 度観ているが、今回の高座は絶品。大師匠の春團治の芸をきっちりと継承しつつ、大旦那と若旦那との対比、大旦那のお茶屋での散財、お茶屋の女将と若旦那とのやり取り、どの場面も登場人物が活き活きと描かれていた。とくに「狐つり」で大旦那を階段から突き落とそうとする芸者が、大旦那を階段へ誘導しつつチラッと階段の方へ視線を送る様子が印象的。ほんの一瞬のこまかい所作だが、ゾクッとした瞬間だった。


 ゲストのおふたりも良かったですし、福楽さん独特の不思議な雰囲気が充満した「長~い動物園」もたのしめましたが、この日はなんと云っても「親子茶屋」でしょう。とにかく上々の出来で、うれしくなってしまいました。
 「長~い動物園」の方はその場のノリで噺を進めてる部分もありそうでしたが、もうちょっとネタが繰れてくれば十分持ちネタになり得ると思いました。ただ、笑いの方向性としてはやっぱりマニアックです。

 次回は 3 月 25 日(日)の予定です。

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元祖大阪名物 あほの会

2007/1/15 @天満天神繁昌亭

  • 桂 勢朝 「桃太郎」
  • 笑福亭 由瓶 「釜盗人」
  • 桂 福矢 「みかん屋」
  • 笑福亭 仁福 「崇徳院」
    ―― 中入り ――
  • 露の 都 「正月丁稚」
  • 露の 吉次 「夢見の八兵衛」
  • 《大喜利》

※ 第 5 回


 この週は勤労週間で、初日から慣れない肉体労働でヘロヘロになりましたが、ちょっと早めに行って(って、どこが勤労やねん!)差し入れのバナナを購入し、なんとか繁昌亭へ。
 あいかわらず整理券配布をしてくれてるんですが、お客さんが少なくて、ありがたいやら申し訳ないやら。入りは 1 階席の 7 割程度。ちょっとずつ減ってます。


 開口一番の勢朝はいきなりのハイ・テンション。あまりの勢いに客は虚を突かれたか、反応が鈍い。おなじみの「桃太郎」では父親がそのまんまのテンションで、あれでは息子は眠れないだろうが、観てるこちらはそこがおもしろい。

 由瓶は『あほの会』の入りを増やす秘策を考案。(大丈夫か?)
 マクラのくだけた感じとはうって変わって、ネタに入ると教わったとおりにきっちりと演ってる印象。「釜盗人」は江戸落語(「釜泥」)しか聴いたことなかったが、序盤の盗っ人同士のエピソードが上方らしく膨らんでてたのしい。最初はなまりが少し気になったが、後半はそれが盗っ人にとぼけた味を加えていた。

 福矢はマクラで最近ハマってるテレフォン・ショッピングのマーフィー岡田について。ネタとしてはおもしろいが、実演販売の文句をきっちり覚えてなかったために笑いが半減。もったいない。
 ネタの「みかん屋」に入るとテンポ良くスムーズに。上手さが光る。

 独特の空気を醸し出す仁福が中トリに。うだうだマクラから「崇徳院」へ。熊五郎がなんとも頼りなさげで、それがまた仁福の持ち味で、旦那から無理難題を云い渡されての「とほほ‥‥」と云うセリフが印象深くてツボに。

 中入りを挟んでの都は、いきなりおまじないや占いを全否定。どないやねん!
 自身も好きだと云う「正月丁稚」は持ちネタだと思ってたが違ったそうで。(と云うことはネタ下ろし?) 噺が進むにつれて、かなり怪しい部分が‥‥。丁稚のかわいらしさは都ならでは。

 この日が誕生日の吉次がトリに登場。軽いマクラから、師匠の五郎兵衛の得意ネタだと云う「夢見の八兵衛」(「夢八」)を。一生懸命のおしゃべりが好印象。首吊りの場面がなかなか。

 最後に恒例の大喜利。出演は下手より、司会の仁嬌、染太、勢朝、三若、都、笑丸。お遊びは、名前のあいうえお作文で今年の抱負、即興小咄で風船ゲーム、相撲の数え歌。あいかわらずグダグダで、三若のフォローが光る。


 いつもながらリラックスした会でした。リピーターはこのゆる~いグダグダ感に癒されてるんだと思います。
 ただですねぇ、都さん、もうちょっとネタ繰りしてきてください。観てるこっちがハラハラしてしまいます。まぁ、それも見どころっちゃあ見どころなんですけど。
 それにしても今回、客席がかなり重いと云うか固いと云うか、反応の鈍さが気になりました。落語会自体が初めてってお客さんもおられたのかもしれませんが、それにしても笑いが少ない。噺家に引っ張り込む技量が必要であるとともに、観客にも引っ張り込まれる度量が必要だなぁ‥‥と思いました。

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新春 林家一門顔見世興行

2007/1/14 @ワッハホール

  • 林家 笑丸 「看板の一」
  • 林家 染二 「不動坊」
  • 林家 小染 「時うどん」
  • 林家 染丸 「軒付け」
    ―― 中入り ――
  • 《バラエティショー 歌とコントでつづる昭和歌謡史》


 自由席だったんで開場 30 分前くらいに到着したんですが、すでに入場を待つお客さんが 30 人くらい列ばれてました。その後も続々詰めかけ、ちょと早めに行って正解でした。
 座席数をちょっと上回るくらいの入りで、大入り満員。あふれたお客さんは後方通路の床几に。


 開口一番の笑丸の「看板の一」は、江戸っ子の親父っさんの手口をまねる男のバカさ加減がニンに合ってて、親父っさんをまねて中途半端な江戸弁になるのがなんともおかしい。

 つづいて染二がたっぷりと季節ネタの「不動坊」。テンションは高いが仕立ては基本形で、たまのと比較できて興味深い。さらにその比較で染二の丁寧さも浮き彫りに。

 小染は軽めのネタで「時うどん」。しかし、ネタは軽めだがたっぷり感のある演出で。うどんのダシをすする音が独特でおもしろい。

 染丸の「軒付け」は、口跡の良さからか軽やかな印象。こまかいクスグリも効いてて、軒付けで修行中の浄瑠璃のクサさも上々。

 中入り後の第 2 部は「歌とコントでつづる昭和歌謡史」と題したバラエティショー。赤いスーツに身を包んだ花丸を司会に、出演は染丸、そめすけ、染雀、染弥、竹丸、染左、笑丸、卯三郎、染太、林家和女、山澤由江、ゲストに桂三ノ助、特別ゲストに酒井くにお・とおる。
 染丸とくにお・とおるによるコント『お富さん』も良かったが、なんと云っても染丸が唄う“乱れ髪”のうしろでしなやかに踊る染雀の美しさに溜め息が。逆に三ノ助と染太の今くるよ風ピンクレディーは悪夢のよう。最後は“祭”の替え歌でフィナーレ。


 いやはやなんとも、そこはかと漂うグダグダ感も心地良く、芸達者な林家一門にたのしませていただきました。花丸さんは司会だけでしたが、軽妙な進行で良かったです。
 それにしても、染雀さんは姉キンのときと違って梅沢富美男ばりのメイクできれいでした。

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カシミヤ落語会 笑福亭たまのカシミヤ 100 %

2007/1/13 @カシミヤ

  • 笑福亭 たま 「池田の猪買い」
  • 笑福亭 たま 「佐々木裁き」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 たま 「不動坊」

※ 第 5 回


 正月休み以降、寝る時間がズレて寝不足。スッキリしない天気で頭もスッキリしないんですが、バタバタッと準備して出発。もちろん会は予約済みです。
 入りはザックリ 40 人くらい。女性率が高く、落語デートのカップルも。


 微妙な出囃子でたまが登場し、まずは亥年にちなんで「池田の猪買い」。ややクドい演出で、とくに終盤のイノシシを撃とうとする場面でのやり取りはもう少しテンポがほしいところ。会話のあちこちに散りばめられたこまかいクスグリがたまらしくてたのしい。ダルマみたいな格好の男に「(そんな格好で)どこ行くんや‥‥」「池田へ」「わかってるわ!」ってやり取りがツボ。

 つづいての 2 席目はマクラで遊方のおもしろエピソードをたっぷりと。話の流れで即興で小咄を作ったり、なんとなく『たまよね』な雰囲気に。
 「佐々木裁き」は、御奉行事を眺めていたのが佐々木信濃守のことを知ってたのに、御白州での対面ですぐさまわからいと云う矛盾もあったが、頭の回転が速い四郎吉のこまっしゃくれ具合が秀逸。後半の信濃守と四郎吉との問答でのやり取りはたまらしい工夫で再構成されるも、もう少し整理が必要かも。星の数と砂利の数のやり取りで、あきらめた信濃守の「星の数はよい」に「砂利の数もよい」と返す四郎吉はあっぱれ。

 中入りを挟んで、遊方のおもしろエピソードその 2 をマクラに「不動坊」を。数日前に観たが、この日はやや流し気味に演ったか、あっさりした印象。それでも利吉が風呂屋へ行く前の結婚に対するワクワク感と、風呂屋で妄想を爆発させるくだりは秀逸。


 たまさんが 3 席たっぷりの独演会で、ちょうど 2 時間くらい。
 ご本人もあちこちで話されてますが、ここの会では観客の反応の薄さに四苦八苦してる感がかなり伝わってきます。高座の出来は決して悪くないと思うんですけどねぇ。新作を 1 本入れても良いかも。
 遊方さんの天然エピソードはかなりおもしろいんで、気になる方は たま日記 をどうぞ。

 上品な客層なんかもしれませんが、会場の照明が落とされて、舞台(高座)を映画的に《観る》ことに集中してしまって《笑う》空気になりづらいってのもあると思います。
 あと、ここのエアコンはちょっと旧式なのか、わりと高温の温風の ON/OFF で室内温度を自動調整しているようで、ON になったときは暑いし、数分毎に ON/OFF が切り替わるんで ON になったときのノイズが気になるし、いっそのこと上演中は切っといてほしかったです。
 ガサガサ鳴る靴袋も気になりますし、会の運営面でもうひと頑張りほしいところ。

 次回は 3 月 24 日(土)の予定です。

らくごの玉手箱
カシミヤ

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南湖だんご 旭堂南湖話術研究会

2007/1/12 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 南湖、おしどり 《対談:おしどり夫婦とは!?》
  • 旭堂 南湖 「正月松飾り 細川の福の神」
  • おしどり 《音曲漫才》
    ―― 中入り ――
  • 旭堂 南湖 「黒田節の由来」

※ 第 33 回


 ひさしぶりに南湖さんの勉強会。開場ちょい前に到着しましたが、やはり少ない。最終の入りは 14 人でした(が、中入りでおひとり帰られました‥‥)。それでも前回は 3 人だったそうですから、まずまずでしょうか。
 チラシなどの露出情報では第 32 回となっていましたが、直前に第 33 回だったことを南湖さん本人が確認したそうです。なんとものんびりしてます。


 まずは南湖とおしどり(マコ&ケン)の 3 人でトーク。おしどりのふたりが出会って 1 週間で結婚した話から、夫婦生活のいろいろを南湖がおうかがい‥‥と云った感じで進行。大阪市の新婚向け家賃補助の話から、ケンが隠していた借金の話など、金にまつわる話題で盛り上がる。

 そのおしどりは中入り前にいつもの音曲漫才。『年越しオールナイト落語会』のときのネタをベースに、パリへご招待のネタを挟み込んで賑やかに。

 南湖の 1 席目はまず、ここ最近の仕事の話を中心にマクラをたっぷりと。前回の入りの悪さに引きこもってたが、四国巡業での大ウケに気を良くし、年末の『できちゃったらくご!』東京公演でまたヘコんだ話や、1/1 からラジオ大阪 『街角ステーション 僕らのラジオ』 のレポーターとして苦労している話など。
 「正月松飾り 細川の福の神」は、地元が飢饉で貧乏をしていた細川家が、行商から買った松飾りが縁で繁栄すると云う、正月にちなんだめでたい話。行商が手にした小判の使い道がたのしい。

 中入り後の 2 席目は今年の目標「タクシーに乗らない」から。大阪市内に住むようになってから飲む時間がかなり延びたそうな。
 酒の話題から黒田節へとつないで「黒田節の由来」へ。黒田家の武士・母里太兵衛もりたへいが、福島正則の命令で酒を飲む替わりに天下三名槍のひとつ、日本号を譲り受ける話。日本号が手から手へ渡る話を、天下三名槍の解説や、南湖の実家の餅つきの話を挟みつつ。


 ラジオのレギュラーは南湖さんにとってかなり大きな出来事だったようで、苦労もまた経験と試行錯誤しながらがんばっておられるようです。午後 3 時から午後 9 時までの 6 時間にスポットで数回登場するそうです。だいたいのスケジュールは こちら を。基本的に月・水は南湖さん、火・木はたまさんが担当されるそうです。

 次回は 3 月 9 日(金)です。入りが読めないため、次回からはゲストなしで『赤穂義士伝』の続き読みをスタートさせるそうです。毎回 1 時間半くらい、たっぷり語られるそうですよ。(「いつまでつづけられるか、わかりませんが」とも云うてはりましたが)
 その前に、1 月 28 日(日)には『名探偵ナンコ』もあります。こちらも楽しみ。なんとか行きたいです。

正直南湖

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ちりとてちん

今秋の朝ドラは「ちりとてちん」=福井、大阪が舞台 (時事通信)

 NHK の朝ドラを観る習慣はないんですが、今秋からのはちょっと観つづけることになりそう。若狭で育ったヒロインが大阪で噺家をめざす話だとか。

 福井が舞台になることは小耳に挟んでたんですが、まさか落語絡みの話になるとは思いませんでした。いま放送中の『芋たこなんきん』にもあやめさんや勢朝さんが出演されてますから、ストーリーからしたら本職の噺家さんも多数出演されるでしょう。落語ファンは要チェックかも。

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生喬まるかじりの会 生喬の上方落語勉強会

2007/1/8 @ワッハ上方レッスンルーム

  • 笑福亭 生喬 「牛ほめ」
  • 笑福亭 三喬 「月に群雲」 (作:小佐田定雄)
  • 笑福亭 たま 「不動坊」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭 生喬 「佐々木裁き」
  • 生喬、たま、喬介 《対談:笑福亭でちょいしゃべり》

※ 第 30 回記念


 あまりにも部屋が寒すぎてなかなか布団から出られず、折れそうになる心をむりやり引き起こして家を出ると、外はちょっとあったかい感じ。なんとも変な天候です。(家が変なんかも)
 開場前に到着し、ほどなく入場。前回よりも入りが良いなぁと思ってたら、あれよあれよと云う間にお客さんが詰めかけ、えらい大入りに。最終的には 131 人だったとか。落語会で《お膝送り》はひさびさ。しかも 2 度も。落語ブーム?


 まずは生喬がごあいさつ。前回は 40 人ほどだった入りが、今回は予約だけで 80 人以上あったそう。生喬が描いた猪の絵争奪ジャンケンのあと「牛ほめ」へ。
 一方的にほめ言葉を並べる男に対し、半ギレでツッコむその家の主人が生喬らしい。最後は牛が屁をこいて「ここの御札を貼りなはれ。屁除け魔除けになって‥‥」と、サゲにもひと工夫あり。

 三喬は新聞記事に物申した話をマクラに「月に群雲」を。盗品流しを請け負う古道具屋でのなんやかんや。ちょっと抜けた盗っ人の下っ端もさることながら、貫禄があるようで秘密がもれまくってる道具屋の親父が三喬のニンに合ってる。前半でまいたクスグリを後半で拾ったり、盗っ人の下っ端がやたらことわざを使ったり、こまかい積み重ねが上手く構成されててたのしい。

 たまはショート落語をマクラに「不動坊」へ。嫁をもらうことになった利吉は、風呂屋でノロケを超えた妄想爆発。その利吉にクサされたやもめ三人組が、利吉の家の屋根の上であきらかに下に聞こえる大喧嘩。こまかいクスグリもそこここに、とにかくたっぷり、たま流のアレンジが随所に。

 中入りを挟んで、生喬の「佐々木裁き」は、とにかく佐々木信濃守の一挙手一投足が貫禄十分。なんともかわいい四郎吉との対比もおもしろい。チョイ役ながら、桶職人の四郎吉の父親も雰囲気があってグッド。

 最後に《笑福亭でちょいしゃべり》と題し、出演者 3 人で座談会‥‥のはずが、三喬が別の仕事に行ったため、生喬とたまの対談に。途中で手伝いに来ていた喬介も師匠の三喬に代わって高座に。
 前回のアンケートへの回答のあと、会による客の反応の違いなど、なかなか興味深い(耳の痛い?)話も。


 観客の熱気にやられそうでしたが、三者三様の味をたっぷり堪能できた会でした。最後のトークはもうちょっといろいろしゃべってほしかったですが、生喬さんが繁昌亭夜席の出番だったんで時間的制約があったのかも。
 それにしても、携帯電話が 2 度も鳴ったのには参りました。うっかり切り忘れることもあるでしょうが、普段からマナー・モードにしておく習慣はないんでしょうか?

 次回は 5 月 3 日(木・祝)の予定です。


 トークが物足りなかったからってわけでもないんですが、きのうのメンツでちょいしゃべり。今年も落語三昧な予感です。

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atto おどろく落語会

2007/1/7 @太極拳処“atto”

【三代目桂歌之助襲名披露公演】

  • 桂 しん吉 「七段目」
  • 桂 しん吉 「かぜうどん」
    ―― 中入り ――
  • 幹部連中 《桂歌々志改メ三代目桂歌之助襲名披露口上》
  • 桂 歌之助 「祝いのし」
  • 《鏡開き》

※ 第 21 回


 LIC はびきのから吉朝ファン 3 人連れが車で atto へ移動。時間的にタイトだったため、かなり荒っぽい運転でビビらせてしまったかもしれません。なんとか開演ギリギリに滑り込み。(ひょっとすると、ちょっと開演を待ってくれてたのかもしれません)
 atto がいまの場所に移っていちばんの大入りだったとかで、40 人近くのお客さん。休みの日だったのと、歌之助襲名披露公演ってのが良かったのかも。


 まずはしん吉。年末は音楽、年始はお笑いと云う世の中の嗜好から、歌舞伎の話へとマクラをつないで「七段目」へ。しん吉の芝居噺はほとんど記憶にないんで、ひょっとするとネタ下ろしかも。きっちり吉朝の型で、所作にもう少し流れがほしいところだが、口跡が良く観やすい。要所のクサすぎる演出がたのしく、今後がたのしみ。
 そのまますぐに「かぜうどん」へ。こちらは季節ネタで、安定感あり。酔っ払いの絡み具合が秀逸。うどんも美味そう。

 中入りを挟んで、幹部連中‥‥とは歌之助としん吉が、黒紋付きに袴姿で登場。ふたりで襲名披露口上‥‥と云うか対談。先代の歌之助の思い出話を中心に。もうちょっと当代のこれからってのを聞きたかったような。

 トリの歌之助は、かなり練られた様子のマクラをいろいろとつないで、おめでたい「祝いのし」を。クルクルと表情の変わる喜六のキャラがおもしろい。最後はいろいろな種類ののしのいわれから、生貝を祝いに持ってきた甲斐(貝)があった、でサゲ。

 最後に小さい 5 合入りの樽酒で鏡開き。振る舞い酒でおめでたく。


 歌之助さんの襲名を記念した趣向の会で、なんともええ雰囲気でした。しん吉さんのお人柄がうかがえました。

 次回は 2 月 15 日(木)、ゲストは佐ん吉さんです。

しん吉くん、色々と大変ねぇ。

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りっくぷち寄席

2007/1/7 @LIC はびきの ホール M

【新春落語会】

  • 林家 卯三郎 「千早振る」
  • 林家 染左 「二人癖」
  • 林家 染丸 「子は鎹」
    ―― 中入り ――
  • 林家 笑丸 《紙切り》
  • 林家 染雀 「佐々木裁き」
  • 《大喜利》

※ 第 11 回


 染丸さんも出る林家一門会が前売り 500 円と云う破格値。これは行かねば損でしょう。
 朝から猛烈な寒さと風雨。雨はなんとか止みましたが、風は強いまんま。近鉄「古市」駅から徒歩 10 分くらいなんですが、この日はハシゴってこともあって車で会場へ。
 チケットを 12 月上旬に買ったんで席はかなりうしろの方でしたが、途中から階段状の座席になってて観やすい劇場です。もともとオペラ向けに設計されてるような印象で、2 階席にはバルコニーもあります。この日は 1 階席のみの設定で、キャパの約 450 席がほぼ満席に。


 開口一番の卯三郎は「千早振る」をきっちり丁寧に。

 つづく染左は軽いマクラから「二人癖」。「つまらん」が口癖の男に「つまらん」と云わせる計略の「この樽に大根 100 本、詰まろかな?」に節が付いててたのしい。その後もテンポ良く。

 中トリの染丸はなにを演ろうかと逡巡し、親子にまつわる小咄や自身の夫婦生活の話から「子は鎹」へ。母親が亀ちゃんを引き取る型で、離縁する場面からたっぷりと。すみずみまできっちりとした描写ながら軽いタッチで聴き疲れなし。

 中入り後は笑丸の紙切りから。女性にちなんで「嫁入り」と思いきや「土俵入り」、リクエストの「イノシシ」にちなんで「ウサギ」と、おきまりのネタもひと工夫で笑いに。切りながらも自虐ネタで笑わせ、ウサギは器用に後ろ手で。

 染雀の「佐々木裁き」はこまかい解説がやや重く感じるも、きっちり丁寧で初心者には親切な高座に。子ども連中の演じ分けはお見事。

 最後の大喜利は住吉踊り。「松づくし」「奴さん」「姐さん」「かっぽれ」などを。さすがは林家一門、みな達者なもんで、とくに染雀の「姐さん」が見どころ。途中に謎掛けなどのお遊びも挟んで賑やかに。
 最後の最後にプレゼント抽選会も。(残念ながら外れる)


 番組内容も盛りだくさんで、落語もきっちりたっぷりで、2 時間半を超える会に。これで 500 円はお値打ちです。

 次回は 3 月 24 日(土)に【落語のぬくもり】と題して開催。出演の花丸さんとつく枝さんによる対談もあるそうです。

羽曳野市立生活文化情報センター LIC はびきの

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正月吉例 上方落語一心寺亭 (二日目)

2007/1/2 @一心寺シアター倶楽

  • 桂 阿か枝 「狸の賽」
  • 笑福亭 銀瓶 「手水廻し」
  • 桂 小春團治 「職業病」
    ―― 中入り ――
  • 植村 なおみ 「平林(前編)」
  • 横須賀 ゆきの 「平林(後編)」
  • 桂 春團治 「親子茶屋」


 今年の笑い初めは粋な春團治師匠で。
 前日は『年越しオールナイト落語会』のあとに家族の飲み会で疲労困憊し、肝心のこの日に寝坊。なんとか開場前に会場へ行きましたが、すでに長蛇の列。もちろん満員で、立ち見のお客さんもいました。
 一心寺シアターへは改装後初になりますが、かなり近代化されててびっくり。客席にも段差があって観やすく、良い劇場です。


 開口一番は年男の阿か枝。名前の由来から文枝一門の紹介、干支すら知らない噺家の話なんかをマクラに「狸の賽」。口跡良くきっちりと、聴いてて心地良い空気に。

 つづく銀瓶は登場時に声も掛かる人気。家族の嗜好の違いや年賀状の宛名の話なんかをマクラに「手水廻し」。ややあっさり味ながら、こちらも口跡良くきっちりと。

 中トリの小春團治は 3 日間の『一心寺亭』に毎日出演。繁昌亭の話、着ぐるみショーの話と、仕事の話をマクラに「職業病」へ。
 新規開店のファミリー・レストラン『キングダム・ホステス』に採用された店員が、みな前職を引きずってるって噺。葬儀屋が暗く、ハンバーガー・ショップ店員はポテトを勧め、自衛隊員は敬礼する、と云った具合。かなりおもしろかったが、葬儀屋の出てくる噺は正月にはどうか?

 中入りを挟んで、《局アナ正月落語バトル》と銘打って、よみうりテレビのアナウンサー、植村なおみと横須賀ゆきのがリレー落語を披露。
 まずは植村アナが今回参加することになった経緯や職場での失敗談をマクラに「平林」の前半、丁稚の定吉が使いに出るところまでを。短期間で落語の間や演出までは習得できなかったようだが、ネタがきっちり入ってたのは好印象。会場の状況に動じずしゃべるあたりは、さすがアナウンサーだなと思わされる。
 つづいて横須賀アナが、植村アナから扇子をバトン代わりに受け取って高座へ。マクラなしで「平林」の後半を。ネタがきっちり入っていて、《平林》の読み方を訊ねる相手が変わるたびにきちんと演じ分けもあって、こちらも好印象。笑い所が多い分、後半の方が演りやすかったかも。

 トリの春團治は黒紋付きに羽織袴で登場。袴姿もめずらしかったが、先の女子アナの高座に触れたり、軽くマクラを振ったのもめずらしい。
 いつものようにシュッと羽織を脱いで「親子茶屋」へ。安定した高座は相変わらずで、お茶屋での「狐つり」では目隠し用に用意した紫の小振りな扇子を使い、所作もきれい。


 春團治師匠はてっきり「祝いのし」だと思ってただけに、うれしい誤算でした。正月早々、良い高座を拝ませていただきました。
 前半 3 席も(小春團治さんのチョイスには疑問もありますが)おもしろかったですし、女子アナのリレー落語も予想以上の好印象で、良い趣向だったと思います。満足度の高い笑い初めとなりました。
 これで前売り 1,000 円ですから、なんともコスト・パフォーマンスの高い会です。

一心寺シアター倶楽

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年越しオールナイト落語会

2006/12/31 ~ 2007/1/1 @天満天神繁昌亭

    【今年の新作コレクション】
  • 桂 あやめ (2006 年総集編の噺) (作:桂あやめ)
  • 桂 三風 「テレショップパニック」 (作:桂 三風)
  • 桂 福楽 《ベース漫談》
  • 笑福亭 仁智 「ハードラック」 (作:笑福亭仁智)
  • 露の 五郎兵衛 「掛け取り」
    ―― 中入り ――
    【珍品ネタ特集】
  • 旭堂 南湖 「はてなの原発」 (作:旭堂南湖)
  • 笑福亭 生喬 「花の都」
  • 笑福亭 猿笑 《珍芸》
  • 笑福亭 松枝 「除夜の雪」
    ―― 中入り ――
  • 《108 つ!除夜の鐘小咄》
  • 《カウントダウン!》
    ―― 中入り ――
    【新年余興大会】
  • 上方笑女隊 「ダンス・ペコリナイト」
  • 舞踊隊 「せつほんかいな」
  • 露の 都 《都の今年を占う!》
  • ヒロポンズ・ハイ 《ライヴ》
    ―― 中入り ――
    【干支落語特集】
  • 林家 染左 「五段目」
  • 笑福亭 仁勇 「動物園」
  • おしどり 《音曲漫才》
  • 桂 三枝 《御挨拶》
  • 月亭 遊方 「絶叫ドライブ ~彼女を乗せて~」 (作:月亭遊方)
  • 林家 小染 「二番煎じ」
  • 桂 ざこば 《御祝儀》
    ―― 中入り ――
    【福笑いタイム】
  • 《年男大喜利》
  • 笑福亭 たま 「Smell」 (作:たまよね)
  • 姉様キングス 《音曲漫才》
  • 笑福亭 福笑 「珍宝堂奇譚」 (作:笑福亭福笑)
  • 《お年玉争奪クイズ合戦!》


 年末最後のイヴェント、『年越しオールナイト落語会』が会場を茶臼山舞台から繁昌亭に移して開催。キャパが 5 倍になっても前売り完売。準備万端で挑みました。ちょっと長くなりますが、時系列でご紹介。


 まずは総合プロデューサーのあやめがごあいさつ。2006 年の出来事を盛り込んだ新作を。闇金からの借金の形に臓器を取られる噺家の噺。短いながらもテンポ良く、上々のオープニング。

 つづく三風は観客参加型落語「テレショップパニック」を正月ヴァージョンで。テレビのテレホン・ショッピングが押し売りに来る噺で、練習から観客のノリが良く、三風もたのしそう。

 福楽はベース漫談。「ベースですから、弾く(引く)芸です」と、客が引くようなネタを連発。上方落語協会誌『んなあほな』編集委員会の暴露話や、自身の躁鬱病ネタと、独特のテンポで。最後に“涙そうそう”の替え歌の“鬱躁々”で締め。

 仁智は福楽のあとで演りにくそう。「ハードラック」は不運を苦にして自殺を試みるもそれすらとことん成功しない男の噺。死刑執行直前に掛かってくる電話にやきもき。

 五郎兵衛は暮れの噺で「掛け取り」。貧乏長屋を訪れる掛け取りの好きなものは、芝居、芝居、喧嘩。最初はたっぷり芝居の真似事、つぎは面倒なんですぐさま追い返すと云うめずらしい型で。

 中入りを挟んで、南湖は「はてなの原発」。音羽の滝の前の茶店で茶道具屋の金兵衛が隣に建っている原子力発電所を見ながら茶を飲みつつ「はてな?」。マクラから危ないネタを連発。快楽亭ブラックの影響か?

 生喬の「花の都」は、無精な男が能勢妙見山へ御百度詣りし、鼻を高くする扇と低くする扇を手に入れる噺。ばかばかしい展開ながら、ハメモノも入って賑やかに。

 猿笑は御座敷芸をいろいろ。小道具を使って見立てをしたり、生喬を相手に野球拳をしたり。「最後に『奴さん』を」と、踊るのかと思わせて、道具屋筋で買ってきた冷や奴の見本を。ばかばかし過ぎてたのしい。

 松枝は大晦日の寺を舞台にした「除夜の雪」でしんみりと。

 臨時休憩を挟んで小咄大会。参加者が入れ替わり立ち替わり小咄を披露し、銅鑼を打つ。これを 108 つ。遊方がウルトラマン・シリーズでがんばり、福楽は鬱病ネタを引っ張る。シスター・スリーゴールドも登場。

 小咄が年越し前に無事終了してカウントダウンに突入。が、ここらからグダグダに。スポンサーの意向で、今回はビールでなくお茶で乾杯。これだとちょっと盛り上がりに欠ける気が‥‥。

 中入りを挟んで余興大会。上方笑女隊(都、あやめ、三扇、山澤由江、おしどりマコ)が“PECORI NIGHT”で揃わないダンス。勢いで賑やかに。

 舞踊隊(生喬、染雀、染左)の踊りは「せつほんかいな」。最後に両脇で染雀と染左が逆立ちし、猪の人形をかぶった生喬が大見得を切って決め。

 引き幕の前で都が年男の福楽、三金、阿か枝を占う時間つなぎコーナー。みな北へ行ってから西へ行かねばならないよう。

 余興のトリはヒロポンズ・ハイのライヴ。メンバーは、福笑(Vo)、福楽(B)、あやめ(Per/Acc)、岐代松(Ds)、遊方(G)、染雀(Key)、市楼(G)で、オリジナルの“上方落語ハッピー・ソング”と、“Johnny B. Good”の上方落語ヴァージョンを熱唱。

 中入りを挟んで、猪の出てくる噺特集。まずは染左が「五段目」。十一屋のご隠居の古希の祝いで長屋連中が芝居をする噺で、忠臣蔵の五段目からを八段目までを演ると云う趣向。上方で演るのは師匠の染丸と染左くらいだそうで、後半の素人芝居のくだりで笑える場面が減るからだろう。

 仁勇の「動物園」は干支が順番に出てきてそれにちなんだ小咄をすると云う趣向で、雇われた男がイノシシに扮する。最後にイノシシとトラの対決となり、トラのなかから‥‥と云う展開に。なかなかおもしろい趣向。

 おしどりはいつものワイヤー・アートをまじえた音曲漫才。新趣向の阿呆陀羅経や、観客からイノシシのリクエストもあり、賑やかな色変わりに。

 ここで飛び入りの三枝が登場して「新年、あけまして、いらっしゃ~い!」。挨拶のみだが、会場もひときわ盛り上がる。

 遊方は新作「絶叫ドライブ ~彼女を乗せて~」。免許取り立ての男が新車に彼女を乗せて海へ行く噺。国道や高速にまでイノシシが登場。勢いに乗ったままラストまで。

 小染は猪肉ボタン鍋の出てくる「二番煎じ」をきっちりと。

 またも飛び入り。こんどは泥酔状態のざこばが登場し、茶碗酒を飲みながらのおしゃべり。還暦やら 9 月生まれの観客に手拭を大放出。

 中入りを挟んでの《福笑いタイム》は年男による大喜利から。三金を司会に、下手から三ノ助、染左、阿か枝、由瓶(飛び入り)、三弥、福楽の並び。風船ゲームと一から十を。ツッコミボケの阿か枝と、マイペースな福楽が秀逸。

 たまはショート落語から「Smell」へ。途中でハメモノが合わず止めかけるも、なんとか最後まで。

 姉様キングスは繁昌亭初登場。松竹梅の都々逸から、映画『寝ずの番』でメジャーになった(?)ちょんこ節を。かなりきわどいネタも。

 大トリの福笑は前回と比べると酒量は控え目の様子。ネタは深い時間帯向けの「珍宝堂奇譚」。自分のイチモツに自信を持てない男が、モノを取り替えてくれると云う珍宝堂へ‥‥と云う噺。たっぷりと。

 最後はお年玉ギャラ争奪クイズ合戦。観客不在でグダグダに。


 12/31 の 21 時開演で 1/1 の 3 時終演の予定が、きっちり遅れて 4 時半終了で 7 時間半の長丁場に。2006 年のテンポの良さに比べ、2007 年に入ってからのゆるぅ~いグダグダ感が心地良かったです。番組構成も出演者もバラエティに富んでいて、とにかく賑やかな会でした。
 番組の目玉は《福笑いタイム》だと思うんですけど、どのコーナーもおもしろかったです。そのなかでも福楽さんが鬱病ネタで引っ張りまくってウケまくってました。
 前回は茶臼山舞台に寿司詰め状態で《荒行に挑む修行僧》の心持ちでしたが、今回は繁昌亭と云うことで比較的ゆったり座れて楽でした。長時間の興行ですから、ここらは重要なポイントだと思います。次回はどうなる!?!?

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