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福楽の底力

2006/1/20 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 笑福亭 呂竹 「色事根問」
  • 桂 福楽 「長~い動物園」
  • 桂 小春團治 「大名将棋」
  • 桂 福楽 「親子茶屋」

※ Vol. 7


 この日はあちこちで好番組の落語会があり、ワッハホールでも『島之内寄席』が開かれていましたが、「ここはやっぱり福楽さん!」と上方亭へ。
 『年越しオールナイト落語会』でブレイクしたかも!?!?と早めに行ったんですが、考えすぎでした。入りは 18 人と、少なかった前回よりもさらに少なめ。残念。‥‥


 開口一番の呂竹は挨拶からいきなり噛むも、ネタの「色事根問」に入るとそこそこ安定。一生懸命で丁寧な感じが好印象。「三金」のところを膨らましておかしみが増した感じ。(以前はそんなに引っ張らずに演ってたような)

 福楽の 1 席目はマクラで「この会はただでは笑いません」と宣言してから『年越しオールナイト落語会』でベース漫談が大ウケしたことを。ここでも自虐的。サブリミナル効果による上方落語協会誌『んなあほな』の宣伝なども。
 「長~い動物園」は以前に茶臼山舞台で開催していた『桂小福 真剣勝負』で演ったそうで、文字どおり「動物園」の長尺版。無職の男が仕事をすぐ辞めてしまう訳や、愛生にある移動動物園へ朝から新幹線こだま号で行く段取りや、「俺も 1 万円で雇われたんや」の後日談など。無職男はアホではなく、いろいろとこだわりがあって、哲学的問答を仕掛けてきたり、一筋縄ではいかない。
 「動物園」は普通なら 15 分ほどの噺だが、この「長~い動物園」の初演時は 45 分くらいだったそう。今回も 30 分を超える長尺で、福楽ワールド全開。

 小春團治は噺家が師匠と呼ばれる話から上下関係の話へとマクラをつないで「大名将棋」を。大名が退屈しのぎに将棋をするも、無茶な手でむりやり勝ち、負けた部下を鉄扇で打ち据える。これをいさめるために堅物の石部金吉郎が名乗り出る‥‥って噺。小春團治の古典はめずらしい。自作の「さわやか侍」でも感じたが、小春團治のバカ殿は絶品。
 この噺は江戸の「将棋の殿様」でしか聴いたことなかったが、将棋に懲りた殿様が次は小咄に凝るというのは小春團治のアレンジか、上方らしくておもしろい。

 福楽の 2 席目は、ネタ出ししていた「不動坊」では「動物園」とネタが付く(別のものに化けると云う趣向が似ている)とのことで「親子茶屋」に変更。
 以前に 2 度観ているが、今回の高座は絶品。大師匠の春團治の芸をきっちりと継承しつつ、大旦那と若旦那との対比、大旦那のお茶屋での散財、お茶屋の女将と若旦那とのやり取り、どの場面も登場人物が活き活きと描かれていた。とくに「狐つり」で大旦那を階段から突き落とそうとする芸者が、大旦那を階段へ誘導しつつチラッと階段の方へ視線を送る様子が印象的。ほんの一瞬のこまかい所作だが、ゾクッとした瞬間だった。


 ゲストのおふたりも良かったですし、福楽さん独特の不思議な雰囲気が充満した「長~い動物園」もたのしめましたが、この日はなんと云っても「親子茶屋」でしょう。とにかく上々の出来で、うれしくなってしまいました。
 「長~い動物園」の方はその場のノリで噺を進めてる部分もありそうでしたが、もうちょっとネタが繰れてくれば十分持ちネタになり得ると思いました。ただ、笑いの方向性としてはやっぱりマニアックです。

 次回は 3 月 25 日(日)の予定です。

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