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鈴本余一会 柳家小三治独演会

2007/5/31 @鈴本演芸場

  • 柳家 ろべえ 「元犬」
  • 柳家 喜多八 「おすわどん」
  • 柳家 小三治 「小言幸兵衛」
    ―― 中入り ――
  • 柳亭 燕路 「だくだく」
  • 柳家 小三治 「お茶汲み」

※ 第五十八回


 昨年打ち立てたテーマ《小三治を観る》ですが、昨年は 10 月の鈴本余一会を目前に病に倒れ(やや大げさな表現)、志半ばで頓挫(これも大げさ)。しかもその会がかなり興味深い内容だったようで、ほぞをかんでおりました。で、今年もテーマを継続。
 この日は新宿末廣亭の余一会も狙ってたんですが、あんまり無理して小三治師匠で寝てたら世話ないんであきらめることに。なもんで、正午出発でのんびり密航。余裕の会場入りです。現場へは 17 時過ぎに到着したんですが、立ち見の当日券を求めるお客さんがかなり列をなしていました。
 ちなみに、座席指定の前売り 3,800 円に対し、立ち見は 1,700 円。ここらは良心的だと思いました。

 会場前の看板にこの日の出番があって、小三治師匠が 2 席あってひと安心。観たかった喜多八さんの名前を見つけて「ラッキー!」とほくそ笑んでおりました。他のお二方も未見で、そこらもうれしい。


 開口一番は喜多八の弟子のろべえ。シュッとした男前。名前の由来をマクラに、脱ぎかけた羽織を着直して「元犬」を。人間になったシロと出会った口入屋の旦那が、裸のシロに羽織を貸してやる‥‥ところであらためて羽織を脱ぐ。
 シロは元気良く、周りの人々は親切な雰囲気が良く出ていてなかなか。サゲは吠えるシロに「それじゃ犬みたいじゃないか」「今朝方、人間になりました」。

 噂どおり、けだるい雰囲気で登場の喜多八。「怪談噺を‥‥」と、妾にまつわる小咄なんかから「おすわどん」へ。女房公認で妾のおすわを自宅へ囲った徳三郎。その後、女房は急死したが、夜な夜な「おすわどん‥‥」と呼ぶ声が聞こえてくるように‥‥ってな噺。
 クサくなり過ぎず良い引き具合で、怪談噺にビクビクする家の様子がありありと。終盤は「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」で、そこからサゲへ至るくだりはストンストンと落ちまくりで心地良い。

 小三治の 1 席目は、なんとも云えない間を置いてから「とくにお話ししたいことはないんですが‥‥」。そう云いつつ、ハワイ旅行と時差ボケの話、7 月に出る DVD を「あれはハッキリ云っておすすめできない」と謙遜しつつ、『TBS 落語研究会』に対する世代による意識の違い、秋に歌うために練習中の“青葉の笛”をひと節と、それにまつわる話、等々。たっぷりの《ま・く・ら》を堪能。
 いつの間にやら「小言幸兵衛」へ。こちらは幸兵衛のイライラをたっぷりと。最初に部屋を借りにきた口の悪い豆腐屋は説教で追い返し、次にきた丁寧過ぎる仕立屋にはホクホクで冗談まで飛び出すお調子者ぶり。手前勝手な幸兵衛の小言の妙な押しの強さがたのしい。

 中入りを挟んで、燕路は「開演から 2 時間 10 分。東京駅で新幹線に乗った方は、名古屋を過ぎて、そろそろ京都に着く頃です。このまま新幹線は進みまして、きょうは広島あたりまで‥‥」。
 軽いマクラから「だくだく」(上方の「書割盗人」)に入り、トントントンとテンポ良く。家財道具の絵を描く場面での所作が筆をチョンと置くだけと云うのは江戸流か。

 小三治の 2 席目、マクラは若い頃に「明烏」を演る参考にと、弟弟子に案内させて吉原へ繰り出したときのエピソード。やや照れくさそうに軽く話し、サッと「お茶汲み」へ。吉原で女が部屋へ入ってくるなり声を上げる。訊くと、死に別れた男と生き写しだと、そう云って泣く女の目をよく見ると茶がらが。
 後半、茶がらに興ざめして帰ってきた男のツレがその女を訪れ、逆に同じような身の上話をすると云う趣向。それを聞かされる女のバツの悪そうな、困ったような表情が秀逸。同じことの繰り返しでダレそうなところだが、この小三治の表情で後半になんとも云えないおかしみが。


 小三治師匠の独演会形式の会は初めてでしたが、たっぷりのマクラを堪能。やっぱりたのしかったです。もちろん落語もすばらしいです。もっともっと観たい! 小三治師匠を寄席で観られる東京がうらやましいです。
 行きは新幹線、帰りは夜行高速バスの、1 泊 2 日(車中 1 泊)ツアー。正直、新幹線のなかで「こんだけ旅費使ってまで観に行く必要あるんかな?」と自問自答してたんですが、終わってみれば「必要はないかもしれんけど、それだけの値打ちはある!」と実感しました。行程はキツかったんですが、内容的には大満足です。

 次回は 10 月 31 日(水)です。次回で鈴本余一会での独演会は最終回。チケットが取れるのか、ちょっと心配です。


 終演後、外は猛烈な豪雨に。その雨も、新宿の地下街でカレーを食べてバス乗り場へ向かう頃にはやんでました。

 今回のチケット獲得には うるうさん に大変ご尽力いただきました。ありがとうございます。こうやって落語バカは皆様に支えられておるわけでありますです、はい。

鈴本演芸場

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コメント

わー!
東京遠征で、しかも小三治師の独演会で、たっぷりの「ま・く・ら」とは!
羨ましい!!

投稿: 高岳堂 | 2007.06.01 14:24

>> 高岳堂 さん
某師匠のこともありますから、しっかりした高座を観られるうちに‥‥と云う思いで観に行ってます。
やはり独演会だとマクラがたっぷりで、これぞ小三治!と感激でした。
今年はあと 2~3 回は小三治師匠のために密航しそうです。

投稿: わさび | 2007.06.02 17:27

鈴本にいらしてたと知っていたらご挨拶に伺いましたものを…
ええなぁ〜、まくらたっぷり&小言幸兵衛…
近日、横浜でも独演会があるんで楽しみになって来ました。
自由闊達、変幻自在、自由気儘な師匠なんで。

投稿: 三浦家権太郎 | 2007.06.02 23:55

>> 三浦家権太郎 さん
ご挨拶などもったいないです。
小三治師匠は名人会なんかでも観てますが、やっぱり独演会ですね。

投稿: わさび | 2007.06.03 01:35

1泊2日で小三治師匠の会ですか!
何となくいつでも行かれるかしら?なんて、生意気にも有り難味が薄れてしまっておりましたが、ブログを拝見して、やっぱり、今のうちに行っとかなくちゃ、と思った次第です!

投稿: 築地の柳 | 2007.06.03 21:54

>> 築地の柳 さん
やっぱり噺家さんですから、大御所で気になる師匠は落語を演れてるうちに観といた方が良いと思います。
そう云う意味で、談志師匠もまた観に行きたいと思ってます。
以前みたいに、大阪で独演会してくれたらうれしいんですけどねぇ。

投稿: わさび | 2007.06.03 23:43

お疲れ様でした。
なんといっても、小三治師匠を勧めていただいたのはわさびさんですから、チケット取るなんてお安い御用です(でも、当日はドキドキでした)次回も頑張りますので、どうぞよろしく。

投稿: うるう | 2007.06.04 16:38

>> うるう さん
お勧めもなにも、三三さん観られてたらたどり着く道でしょうから。
次回、競争必至だと思いますんで、またよろしくお願いします。(他力本願)
いや、もちろん私もがんばりますよ。
秋は『ディズニー・ワールド・オン・アイス』はないハズです。:o)

投稿: わさび | 2007.06.04 16:58

小三治師匠の独演会2008年のスケジュールを教えてください。

投稿: 入江 弘 | 2008.01.08 14:49

>> 入江 弘 さん
私も小三治師匠のスケジュールについては詳しくありません。
落語協会へ問い合わせれば、決定分は教えてもらえるのではないでしょうか。

投稿: わさび | 2008.01.08 23:18

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