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しぶちん

しぶちん
しぶちん
山崎豊子
(新潮文庫)

 先月の 『五日のあやめ』 で桂あやめさんが演られた落語「船場ぐるい」の原作を読んでみました。
 山崎豊子の処女短編集 『しぶちん』 には、表題作のほかに「船場狂い」「死亡記事」「持参金」「遺留品」の全 5 編が収録されています。


 落語「船場ぐるい」の原作はもちろん「船場狂い」。堂島に生まれ育ち、船場の暮らしにあこがれる主人公・久女くめの執着心を描いている。この久女の心情描写が事細かで、船場に猪突猛進なところが滑稽に思えるほど。

 振り返って、落語「船場ぐるい」は(あたりまえだが)会話劇を中心に構成されており、船場への執着心を内に秘めながらも外面は船場風を装う久女の心情を、ときに必死に、ときにいじらしく、落語ならではの笑いもまじえていきいきと描写。近所の子供が「船場の真似したはる人の真似してんねん」と云うサゲに、世間の嘲笑も耳に入らぬほど、入っていたとしてもどこ吹く風で船場への想いを初志貫徹した久女の本気がうかがわれる。
 久女の船場マニアと云う極端なキャラクターが、時代劇に親和性のある落語に上手く溶け込み、原作のおもしろさが活かされたエンターテインメントとなっている。


 とまぁ、理屈はどうあれ、とにかくおもしろかったです。大阪商人の真骨頂を描いた「しぶちん」も落語になりそうなおもしろさを秘めてますし、その他の現代劇もなかなかにたのしめました。
 なによりも、短編集なんで通勤途中に手軽に読み切れたってのが良かったのかも。

 女席亭の一代記を描いた 『花のれん』 も読みましたが、こちらもおすすめ。往時の実在の噺家の名前も出てきたりして、リアルな寄席の風景が浮かびます。

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コメント

良いのを紹介してもらいました。是非読んでみます。

投稿: 高岳堂 | 2007.07.13 18:55

>> 高岳堂 さん
とくに「船場狂い」「しぶちん」は落語世界に近い話なんで、しかも舞台は大坂ですから、落語ファンなら存分にたのしめると思いますよ。

投稿: わさび | 2007.07.13 23:47

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