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花ちゃんの会

2007/9/29 @ワッハ上方レッスンルーム

  • 桂三四郎 「大安売」
  • 林家花丸 「お父っつぁんは魔法使い」 (作:小佐田定雄)
  • 林家染左 「借家借り」
  • 林家花丸 「幇間腹」


 ちょっと早めに行ったつもりがかなり早かったようで、しばらく待ってから入場。最初はお客さんが少ないかなぁと思ってたんですが、開演前には 70 人くらいでええ感じの入りに。


 開口一番の三四郎は、いつものマクラ(ミカンの話や学歴の話など)も繰れまくってて、さらにおもしろポイントが増加。師匠の三枝とのエピソードもおもしろい。
 ネタの「大安売」も掛けまくりの繰られまくりで安定感抜群。しかもクスグリが増えてて噺の成熟度もアップ。ええ具合に客席を温める。

 花丸の 2 席にはさまれた染左は軽いマクラから「借家借り」(江戸の「小言幸兵衛」)をたっぷり。のべつ幕なしに誰彼の区別なく意見する癇症病みの幸兵衛が秀逸。小言を超えた妄想にも貫禄と説得力があり、幸兵衛の手前勝手な理屈が笑いに昇華。

 花丸の 1 席目は、落語会の宣伝で“言葉の魔術師”浜村淳の番組に出たときのエピソードをマクラに、小佐田定雄・作の「お父っつぁんは魔法使い」を。借金で頭を抱える亭主が父親に相談すると、実は父親が魔法使いだと云うことがわかり‥‥と云う噺。父親のおとぼけぶりが花丸のニンに合ってて、亭主との漫才のようなやりとりがたのしい。
 2 席目は、内弟子時代は師匠の機嫌を取ることが大事と云う話から、それ自体が仕事になった幇間の噺で「幇間腹」へ。幇間の茂八の調子の良さがまた花丸にぴったり。病人の手本を見せる若旦那と、それを真似て死後の世界まで夢想する茂八の病人顔が秀逸。


 2 時間弱のコンパクトな会ですが、中身は濃厚でした。お目当ての花丸さんはもちろん堪能しましたし、染左さんもたっぷり。さらに、三四郎さんのネタがヴァージョン・アップしてたのにはビックリ! 本当の意味での勉強会だなぁと思いました。
 『花ちゃんの会』は今回が今年最後だそうです。『林家亭』(林家の噺家さんの会)はどれも不定期な感じで、ファンはヤキモキさせられますね。花丸さんの場合、ネタ下ろしの準備ができたら会を催されるのかもしれませんね。来年にも期待です。

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たまのフレンドリー寄席β

2007/9/28 @天満天神繁昌亭

【大井川を越えてやって来た!! 江戸輸入版特集】

  • 笑福亭たま 「船徳」
  • 桂まん我 「井戸の茶碗」
  • 笑福亭たま 「厩火事」
  • 桂文太 「明烏」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭たま 「子別れ」


 たまさんプロデュースのこの会は、独演会とは銘打たれてませんが、独演会と云っても良い番組構成。たまさんからの案内によると《β》は《ベタ》とかけてるそうで、繁昌亭目当てで番組を確認せずにきたようなお客さんにも笑ってもらえるようなネタをそろえる会にするそう。そのわりには今回《江戸輸入版特集》と銘打って、落語マニアの集客も忘れないところがたまさんらしい。
 固定座席が 1 階も 2 階もちょうど埋まるくらいの入り。パッと見たところ、文太さんがお目当てのお客さんも多かったような印象です。


 たまの 1 席目はマクラで、前日の『旭荘寄席』で旭堂南左衛門から聞いた桂千朝の几帳面なエピソードをいろいろ。昔、噺家がみな貧乏だったときに、千朝が旭荘に水炊きを伝えたそう。
 「船徳」は何度か観てるが、とにかく所作がコミカル。棹を流し、同じところをぐるっと一周し、川へ落ちた客の顔を艪で打ちまくり。
 ひとりで船頭をする若旦那を見つけた船頭仲間が「大丈夫か!?」と云う表情と、それを見た客の不安そうな表情、さらに若旦那の気楽そうな表情との対比がおもしろい。ここらはたまの顔芸の真骨頂。

 まん我は、正直・本音では生きにくい世の中、と軽くマクラを振ってから「井戸の茶碗」へ。行き掛かりで貧乏浪人の家と武家屋敷の間を行ったり来たりさせられてしまう紙屑屋の災難。武士の生真面目さと紙屑屋の人の良さを丁寧に。まん我らしいわかりやすさでたっぷりと。

 たまの 2 席目。出番前に楽屋番の笑福亭喬介に「この襟、いやらしいかな?」と訊くと、喬介曰く「全部がいやらしいです」。
 まん我との交遊話から、気の回らない繁昌亭チルドレン(繁昌亭開席以降の入門者)の話など。下の者が増えてきて、上の者としての振る舞い方に迷いがあるのかも。
 たまの「厩火事」は初めて。旦那がひと言しゃべるたびに一喜一憂する女房の表情が秀逸。またもたまの顔芸が光る。仕込みのクスグリ追加で笑いどころ増量。後半は女房の心持ちが無限ループにはまり込み、そのままぐるぐる‥‥。

 中トリの文太登場に、あちこちから声が掛かる。喬介に「この襟の色、どうや?」と訊くと、喬介曰く「たまさんよりマシです」。
 マクラをいろいろと振りつつ、観客を転がす。花魁の話から新町の様子を紹介しつつ「明烏」へ。舞台を吉原から新町へ移し、世間知らずの若旦那が源兵衛と清八に連れられて遊郭へ。文太らしいやわらかさでたっぷりと。充実。

 中入りをはさんで、たまの 3 席目は「子は鎹」を、今回は趣向で江戸風に「子別れ」と表記。
 亀ちゃんのけなげさが上手く描かれ、笑いと涙がない交ぜになった、松竹新喜劇のような雰囲気に。別れた父親と母親の想いをひとり息子の亀ちゃんがつなぐ、まさしく《子は鎹》であることに説得力十分の高座。


 江戸輸入版と銘打った会で、大坂の街と人情が描かれてたと思います。中入りまではたまさんが笑いを担当してゲストはたっぷり、中入り後はたまさんがたっぷりと、番組構成もお見事。大満足。
 とくに今回、文太さんの良さを再確認させられました。キャリアの違いももちろんですが、会場の雰囲気づくりが抜群に上手いです。安心して身をゆだねられる高座でした。

 次回は 12 月 21 日(金)です。
 その前に、ワッハ上方レッスンルームにて『たまのフレンドリー寄席α』が 12 月 2 日(日)に。こちらはちょっとマニアックなネタも掛かるそうです。

らくごの玉手箱

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育っちゃったらくご!

2007/9/26 @天満天神繁昌亭

  • 旭堂南湖 「風林火山」
  • 桂三風 「米揚げ笊」
  • 桂三金 「読書の時間」 (作:桂三枝)
  • 笑福亭たま 「宿屋仇」
    ―― 中入り ――
  • 月亭遊方 「隣人(ネイバーズ)」 (作:月亭遊方)
  • 桂あやめ 「桜姫花菖蒲文章」 (歌舞伎「桜姫東文章」より)
  • 《エンディング》

※ 第 7 回


 今月は『育っちゃった』。繁昌亭になってから、毎回そこそこ入ってますねぇ。


 トップの南湖は派手な柄の着物で登場。ラジオ生出演を控えているため手短に。ラジオの話いろいろで会場をほぐしてから「風林火山」を。上杉謙信が敵の武田信玄に塩を送る話を、あちこちに笑いをまじえて。

 三風は用意した米揚げ笊の実物を紹介してから「米揚げ笊」へ。きっちり丁寧だが、小さくまとまり過ぎてたかも。笊の売り子がしくじる前に下げるパターン。笊に付いた粉を叩いて落とす所作が逆だったような。

 三金は、最近のつらかった話いろいろをマクラに、三枝・作の「読書の時間」。きっちりそつなくこなすが、やはり三金にはデブネタを期待してしまう。それっぽいクスグリを盛り込んでも良いかも。(改変は三枝から OK が出ないのかもしれないが)

 中トリのたまは、たっぷりめにマクラをいろいろ振るも、観客をつかみきれないまま「宿屋仇」へ。観客がカタかったことを意識してか全体にテンション高めで、兵庫の三人連れの騒ぎが派手なら、キレる侍も恐ろしい。声張りすぎでやや空回り。

 中入りをはさんで、遊方が天王寺周辺の人々の話をマクラに、マンションのご近所さんの正体を勝手に妄想しまくる「隣人(ネイバーズ)」を。とにかくムリヤリ悪い方へ悪い方へと妄想を広げる夫に妻が辟易。妄想しまくる夫が遊方にオーヴァーラップ。

 トリのあやめは、山形県出身・愛知県在住・既婚の女の弟子が付いたと報告。兄弟子の三枝やきん枝や文福に相談したそう。
 演し物は芝居噺(?)の「桜姫花菖蒲文章」。途中、人物名があやふやになったあたりからやや散漫に。

 最後に全員揃ってエンディング。抽選会も。


 みなさんたっぷりで、ちょっと長めの約 3 時間に。
 この日は演者と観客の波長が微妙にずれてた感じで、全体に盛り上がりに欠ける感じでした。高座自体はみなさんきっちりと演られてたと思うんですけど、ここらがライヴの難しさなんでしょうね。

 次回はレイトショーの『できちゃったらくご!』が 10 月 25 日(木)に。笑福亭福笑さんがゲスト出演です。

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坂口修一 Solo Act Live 『火曜日のシュウイチ』

2007/9/25 @in→dependent theatre 1st

※ Stage 50


 とうとう折り返し地点に到達。記念イヴェントがあるためか、多めの入りで 60 人くらい。
 ステージ中央に迫り出しが新設され、後方にはスクリーンが。開演前や舞台の合間に月替わりゲスト作家からのビデオ・レター上映も。


 この日のメニューは↓こちら。

  • オープニング
  • 『煙突』
  • シュウイチの輪
  • SyuTube
  • 『ミッド・ナイト・エクスプレス』 第 25 話 「バビロンの空中電車」
  • エンディング
  • おまけ:シュイチの部屋

月替わりゲスト作家作品 『煙突』
 一度聞いた台詞は忘れない、代役専門の老俳優。
[作・演出:淵野尚]

超短編連続ドラマ 『ミッド・ナイト・エクスプレス』 第 25 話 「バビロンの空中電車」
 空中につり下げられた列車の中で、田々南徹らは絶体絶命のピンチに。(全 50 話)
[作・演出:サシマユタカ]

 『煙突』は、昭和の薫りと重みを感じさせる、なんとも濃厚で雰囲気のある作品。約 1 時間の作品だが、あっという間にラストまで。迫り出しに飛び出してきて迫力あり。

 『ミッド・ナイト・エクスプレス』はクライマックスに突入。空中につり下げられた列車の外壁が外され、出題されるクイズに間違えると床が傾いてゆく。新入社員教育とのことだが、なんとも理不尽な展開。

 折り返しを記念した終演後のおまけコーナーではサプライズの連続。まずはスタッフが用意した、観客の寄せ書き。(私も書きました) つづいて対談のために登場したサシマユタカの手にバースデー・ケーキが。この日の数日前、9/23 が田々南徹の誕生日という設定で、折り返し記念を兼ねて祝おうと云う趣向。坂口修一は終始キョトーンとした表情。
 対談では、サシマが坂口にダメ出しの連続。坂口はタジタジ。最後に大抽選会もあってお祭りムードで終演。


 なんやかんやあって、2 時間を超える長丁場に。メインの『煙突』も良かったですし、いろいろあって賑やかなステージになりました。後半にも期待です。

火曜日のシュウイチ
坂口修一の日記

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無我ワールド・プロレス大阪大会 M-LIVE

2007/9/23 @大阪府立体育会館 第二競技場

※ ケロプロデュース・プロレスザウルス提供


 前回行けなかった無我に。いま、もっともプロレスらしいプロレス‥‥と云うか、昭和の雰囲気を醸し出すプロレス団体だと思います。この日は『FIGHTING TV サムライ』の収録も入って、試合も盛り沢山。
 ‥‥ってことで、軽く雑感を。結果は こちら をどうぞ。


長井満也 vs 倉島信行
 倉島をしごく長井、の図。試合数が少ない団体で、これを実践提供してて良いのか?と云う疑問も。

KUSHIDA vs くいしんぼう仮面
 ハッスル vs 大阪プロレス。KUSHIDA を見て「ハッスルにまともなレスラーがいたのか!?!?」と云うおどろき。くいしんぼうはやや精彩を欠いた感じ。

竹村豪氏 vs 青柳政司
 とにかく青柳館長の打撃に説得力あり。それを受けた竹村もプロレスラー。
 終盤、青柳館長がキックの応酬からまわし受けで気合いを充電してからの一蹴に感動! これぞリアリティーとファンタジーの融合! 最後は竹村に丸め込まれて疑惑の高速 3 カウントを取られるあたりもプロレス然としててグッド!

グラン浜田&アジアン・クーガー vs 後藤達俊&政宗
 わかりやすいベビーフェイスとヒールの構図。後藤が身体に染み込んだヒール・テクニックを全開に。
 しかしパートナーの政宗が使えなさすぎ。線が細く、基本的なレスリングの組み立てがまったくできていない。基本を飛ばして応用だけ身に付けたような、付け焼き刃感が。最後も、後藤が決めようとするところでタッチを要求し、逆にやられる始末。フラストレーション溜まりまくり。

藤波辰爾&征矢学 vs ヒロ斉藤&高木功
 藤波は要所でドラゴン・ムーヴを決めるも、征矢がまだまだでドラゴンリングインは発動せず。ひさびさのヒロのセントーンに大盛り上がり。

吉江豊 vs 川田利明
 アツい! チョップの撃ち合いから始まり、とにかくゴツゴツした展開。途中、吉江が川田を追い込み、あわや!?!?と云う場面もあり、見応え十分。最後は地力で勝る川田が蹴りで勝利を収めたが、吉江のがんばりに拍手。

【US ヘビー級タイトル・マッチ】
西村修 vs TAJIRI

 王者の西村に試合巧者の TAJIRI が挑む選手権試合を、無我名物の 60 分 3 本勝負で。
 1 本目。立ち上がりの地味な攻防すらも見どころになってしまう、ここらがこのふたりの組み合わせの醍醐味。TAJIRI は西村の左腕に照準を絞り、執拗な攻撃。防戦一方の西村も、アリキックで TAJIRI の左脚を狙う。丸め込み合戦を TAJIRI が制して 1 本先取。
 2 本目。集中攻撃の応酬から TAJIRI がタランチュラに誘うも西村は寸前で脱出。逆に TAJIRI を脚 4 の字固めで捕獲。万事休すか!?!?との場面で TAJIRI が赤い毒霧を噴射! 直後にゴングが鳴って TAJIRI の反則負け。厳しい裁定。
 3 本目。西村の脚 4 の字固めに悶絶する TAJIRI にすがりつかれたレフリーが投げ倒されてダウン。その隙に TAJIRI が緑の毒霧を噴射して脚 4 の字固めから脱出し、弱った西村をフォールするも、レフリーがダウンしたままでカウントされず。ゴチャゴチャしてる間に復活した西村が再度脚 4 の字固めを決めて TAJIRI がギブアップ。
 結果は 2 - 1 で西村の防衛。TAJIRI が 3 本勝負の組み立てに馴染めば、さらにおもしろくなりそう。


 試合数が増えて内容が薄まった感はなく、無我らしさが伝わってくる良い興行だったと思います。とくに休憩後の 2 試合は見応えあり。小規模会場でも小さくまとまってなくて良かったと思います。
 敢闘賞は青柳館長。感動しました!

無我ワールド・プロレスリング

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東西落語名人選

2007/9/22 @神戸文化ホール 中ホール

【昼の部】

  • 三遊亭王楽 「読書の時間」 (作:桂三枝)
  • 笑福亭松喬 「道具屋」
  • 柳家小三治 「青葉の笛」
  • 桂春團治 「いかけ屋」
    ―― 中入り ――
  • 月亭八方 「稽古屋」
  • 桂歌丸 「質屋庫」

【夜の部】

  • 三遊亭王楽 「鼓ヶ滝」
  • 桂歌丸 「尻餅」
  • 月亭八方 「始末の極意」
  • 桂春團治 「お玉牛」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭松喬 「花筏」
  • 柳家小三治 「青葉の笛」

※ 第三十三回


 昨年同様、小三治師匠をお目当てに昼夜通しで。この会はホール主催興行なんで、良い席は劇場がほとんど押さえてます。なもんで、発売日にわざわざ劇場まで買いに行きました。そのおかげで最前列です。

 まずは昼の部。


 トップの王楽は、父・好楽を「兄さんと呼びたかった」から圓楽に入門した‥‥ってな話から、かなり繰られてて淀みない(観客にツッコむところまで計算され尽くした)マクラ。ネタは桂三枝の「読書の時間」をそつなく。

 松喬は、上方落語の起こりから古典芸能と大衆芸能の違い、さらには関西の言葉のいろいろをマクラに、ネタの「道具屋」は笑福亭流の全部入り。安定感抜群。

 お目当ての小三治。歌の話、軽井沢でのリサイタルが台風で中止になった話、そこで歌う予定だった“青葉の笛”の話。1 番を歌い、歌の主題となっている平敦盛の解説。「歌に出てくる一の谷を見に、これから須磨へ行く」と、再度歌っておしまい。ま・く・ら。

 中トリの春團治が「私も歌いたくなりましたが、私は酒飲まんとよぉ歌いません」。親子の小咄から「いかけ屋」へ。「おったん、とらとやな~」がかわいいやら憎たらしいやら。お見事。

 八方は、住むには大阪がええと云う話から、生まれ変われるなら女がええと云う話へとマクラをつないで「稽古屋」へ。習い事を始めるおっちょこちょいが八方のニンにぴったり。下座との打ち合わせが十分でなかったか、稽古屋の場面でハメモノのタイミングがちぐはぐに。

 トリの歌丸は『笑点』がらみの話で観客の興味を引いてから、質屋での体験談をマクラに「質屋庫」を。上方の「質屋蔵」と比べると、基本ラインは同じだが、全体にかなりあっさり味。


 ちょうど 3 時間くらい。2 時間の休憩をはさんで夜の部へ。


 トップの王楽は昼とまったく同じマクラから「鼓ヶ滝」。全体に軽い感じだが、そつなくきっちり。

 歌丸は軽いマクラから「尻餅」へ。餅つきのこまかい描写をきっちりと。熱演で所作が大きくなり、最後に湯飲みを倒してしまうアクシデント。下がるときに舌をペロッと出してご愛敬。

 八方は「女性がええなぁ」ってな話を昼より詳細に話し、自分の母親の節約法から「もったいない」について紹介して「始末の極意」へ。うなぎの匂いを袋に詰めて保存しておくのが八方流。
 始末の名人にその極意を教えてもらう場面では、木にぶら下がった男が指を 1 本ずつ離す描写を省略し、始末の名人の視点で固定。これが想像力をかき立て、なかなかの好演出。

 中トリの春團治は「お玉牛」。牛の尾に見立てた扇子の動きは芸術品の域。お見事。

 松喬は草野球チームの話やゴルフの話から相撲の話へとマクラをつないで「花筏」へ。安定感抜群。

 トリの小三治は、名古屋の独演会でもしゃべってた『天皇の世紀』の話から。今回は開国あたりを詳しく語る。その当時に開港した横浜や神戸が似た雰囲気があって洒落てるって話から、須磨へ行ってきた話へ。
 映画『無法松の一生』の話に入ったところで「きょうは落語はありません」。その映画のなかで歌われた“青葉の笛”の話に。ま・く・ら。


 こちらも 3 時間くらい。

 さすがに好番組でどれも良かったですが、とくに八方さんの「始末の極意」が印象に残りました。ちょっとした工夫が光ってたと思います。
 で、小三治師匠。昼夜ともマクラですよ、ま・く・ら。喜ぶべきか、悲しむべきか。なんとなく「いま、これを話したいんです」って空気が高座にみなぎってて、とくに夜の部は須磨に行ってきた直後で気持ちが入ってたんだと思います。これもまた小三治落語なんじゃないか、とムリヤリ自分を納得させてます。
 緞帳が下りるさなか、小三治師匠の「やっちまったなぁ」って表情がかわいらしくもありました。

神戸文化ホール

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柳家小三治独演会

2007/9/20 @名古屋市青少年文化センター アートピアホール

  • 柳家禽太夫 「たらちね」
  • 柳家小三治 「蒟蒻問答」
    ―― 中入り ――
  • 柳家小三治 「一眼国」

※ 第 5 回


 小三治師匠のホール独演会は初めて。微妙に遠い名古屋ですが、たっぷりのマクラを期待して行ってみることにしました。
 朝から用事を済まして名古屋入り。ぶらぶらと名古屋城見物なんかをして会場へ。2 階席も入れて 700 席ほどのキャパは満員。1 階席後方から。(前の方の席はおそらく劇場が押さえてたと思われます)


 禽太夫は初めて。「たらちね」を丁寧に、会場をあたためると云うよりも、観客を古典落語の世界の入口へ案内する、と云った風。

 小三治の 1 席目は、女子中高生相手の学校公演の話から。観る気・聴く気のない観客向けに演ることの難しさや、ひょんなことから小三治夫人との馴れ初めを話すことになったことなど。夫人との出会いのきっかけを作った林家木久蔵(現・木久扇)に話題が移り、女子中高生にも認知されてる「木久蔵は大スターです」。大喜利の話から、立川談志は謎掛けが上手かったってな話も。そこから大喜利で問答なんかもやったってとこから、問答の小咄をはさんで「蒟蒻問答」へ。
 蒟蒻屋の主人のすすめで風来坊が寺の和尚を始めることになるくだりからたっぷり。が、途中、うとうと‥‥。なんのために名古屋まで来てるのやら。約 70 分。

 中入りをはさんでの 2 席目は、軽井沢で予定していた仕事が台風で中止になったって話から、振袖火事の話へ。さらに、数年かけて読み続けている『天皇の世紀』の話をたっぷり語って、振り返って日本の政治はどうか?と。これらの話がゆるぅ~くリンク。
 と、気付けば 21 時。唐突に「一眼国」へ。旅人から一つ目の少女と出会った話を聞いた見世物興行師が、その少女を捕まえてやろうとする噺。いざその少女を捕まえてみると、その途端にまわりを取り囲まれ、袋叩きにされて代官所へ。そこで「百姓風の男が、どいつもこいつも‥‥。役人を見ると‥‥。『‥‥こんなにいなくったっていいんだよ』」。ここらの刈り込み具合は絶品。こちらの想像力を絶妙にかき立てる。約 50 分。


 いやはやスゴいですね。途中、ちょっとウトウトしてしまいましたが、たっぷりのマクラは小三治ワールドって感じで、やっぱりたのしいです。あの年齢で、ひとりでたっぷり 2 時間しゃべってるんですから、恐れ入ります。

 で、あわてて新幹線で帰るわけです。嗚呼、貧乏人の悲しい性。

名古屋市青少年文化センター

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月亭遊方・三遊亭白鳥 二人会

2007/9/19 @天満天神繁昌亭

  • 笑福亭たま 「兵庫船」
  • 三遊亭白鳥 「戦え!おばさん部隊」 (作:三遊亭白鳥)
  • 月亭遊方 「たとえばこんな誕生日」 (作:月亭遊方)
    ―― 中入り ――
  • 三遊亭白鳥 「トキそば」 (改:三遊亭白鳥)
  • 月亭遊方 「わすれうた」 (作:月亭遊方)


 京都に引き続き、遊方さんと白鳥さんの二人会。繁昌亭での会は『遊方のゴキゲン落語会』で発表されたときからたのしみにしてました。


 開口一番のたまは遊方のおもしろエピソードをマクラに、上方らしくハメモノの入る「兵庫船」を賑やかに。謎掛けの場面では喜六の「やりますぅー!」の繰り返しがたのしい。この喜六の勢いに引っ張られてか、全体的にテンション高し。後半のフカに魅入られた者探しの場面も独自のクスグリが随所に。
 新作派の二人会だったんで、新作の方が良かったんでは?とも思いましたが、会場をええ具合にあっためる。

 白鳥の 1 席目は、マクラで大阪での思い出。ホモに狙われたり、キャバレー『ミス大阪』でおののいたり。女性の話から自分の母親の話へと爆笑でつなぎ、自作ネタ「戦え!おばさん部隊」へ。隊員不足になった自衛隊がおばさん層をパートで雇うと云う噺。おばさん連中のバイタリティが凄まじく、なかでもリーダー格のおばさんが恐ろしい。ドラム缶体型なのに S サイズの制服を着てしまう《女体の神秘》に爆笑。イラクの反政府ゲリラを蹴散らす様がまた強烈。
 中入りをはさんでの 2 席目は、東京寄席事情をマクラに、古典の「時そば」‥‥かと思いきや、後半がエグい。前日に見たそば屋での 1 文ごまかしを真似ようと発見したのが、佐渡島出身の地球に優しいリサイクルそば屋。骨拾いの箸にヘルメットの丼。刺激臭のある緑色のそばつゆに、直径 10 cm はあろうかと云う極太そば。座布団をそばに見立ててそば打ちし、打ち立てをご提供。白鳥流を堪能。

 遊方の 1 席目は、マクラで遊方に持ちかけられた見合い話のエピソード。そのときは家族にいじられまくって腹を立てて断ったが、遊方自身が妄想する《理想の見合い》がまたおもしろい。そこから年齢の話につないで「たとえばこんな誕生日」へ。交通事故にあった青年が、この日が誕生日だった‥‥って噺。救急隊員がそれを知って気を遣ってくれるが、それが逆に感に障る。「小さな親切大きなお世話」が笑いにつながるパターンが、最後はなんとなくええ噺に。
 トリの 2 席目は、遊方以上に顔覚えが悪いスナックのママの話をマクラに、こちらも自作の「わすれうた」を。CD ショップにうろ覚えの曲を買いにきた男の噺。「ラ~ラ~ラ~」とか「ウォウウォウ」とかしか思い出せず、店員も四苦八苦。客に思い出させるのに店員がムチャをしだすくだりがおかしい。「うろ覚えを思い出す」だけでここまでふくらますか!?!?


 いやはや、やっぱり白鳥さんはおもしろいです。京都と今回の 2 回で確信しました。それに負けじと遊方さんも熱演で、おおいに盛り上がりました。双方とも刺激になるでしょうし、これはもう次回に期待せずにはおれません。

遊方 FOR YOU!
三遊亭白鳥の湖

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BONNIE PINK Tour 2007 - Thinking Out Loud

2007/9/17 @フェスティバルホール


 市馬さんの会のあと、腹ごなしをしてフェスティバルホールへ移動。長蛇の列をスルスルとパスして入場し、物販コーナーを尻目に殺して客席へ。
 チケット購入時に座席表で確認してるんで覚悟はしてたものの、前は前なんですがメッチャクチャ端! 上手側のスピーカーの真ん前です。ステージからは外れてるし、ドラムス・セットなんて完全に見切れてます。サウンド・バランス云々の場所やないです。
 前回のツアーの会場が BIG CAT だったんで入りが心配でしたが、蓋を開けてみれば 2 階席の奥までいっぱい。えらい人気です。


 で、ちょい遅れでショウがスタート。BONNIE PINK はシロのパンツ・スーツ姿。パンツはタイトなんですが、ややムッチリ感増加? ジャケットの下のシャツにはピンクがあしらわれてます。
 基本的にセンターのスタンド・マイクの前で歌うスタイル。ときどきギターやピアノを弾いたりするものの、見た目的に派手さが少ない。前回が BIG CAT だったことを考えると、シアター・クラスの会場でのパフォーマンスに慣れてないのかも。フェスティバルホール自体、初めてだったとか。
 新譜『Thinking Out Loud』からの楽曲中心。旧譜からの曲はベスト盤未収録曲が多く、完全に予習不足でした。それでも楽曲の良さとヴォーカルの安定感でたのしめましたねぇ。
 本編は基本セットをきっちりと。新曲の“Imagination”とクラシックの“Heaven's Kitchen”がメドレー風に演奏されたのが印象的でした。アンコールはややリラックスした雰囲気で 1 曲ずつ紹介しながらって感じで、さすがにヒット曲“A Perfect Sky”は盛り上がりますね。


 新譜が出たんで新曲中心のセットは真っ当だと思いますが、ベスト盤からもうちょっと演った方が(私も含む)にわかファンには優しかったんではないかと思います。それでもロック・テイストのサウンドが心地良く、十分たのしめました。もうちょっと左右に動いてほしかったですが。

  1. Broken hearts, citylights and me just thinking out loud
  2. Burning inside
  3. 坂道
  4. Ocean
  5. 日々草
  6. 5 more minutes
  7. Chances Are
  8. Just a Girl
  9. Lullaby
  10. Rope Dancer
  11. 再生
  12. Imagination
  13. Heaven's Kitchen
  14. Water Me
    --- Talk ---
  15. Thinking Of You
  16. Catch the Sun
  17. Private Laughter
  18. Gimme A Beat
  19. Anything For You

  20. Bedtime Story
  21. A Perfect Sky
  22. Do you crush?

BONNIE PINK Official website

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柳亭市馬独演会

2007/9/17 @TORII HALL

  • 柳亭市朗 「狸の鯉」
  • 柳亭市馬 「締め込み」
  • 桂雀松 「口入屋」
    ―― 中入り ――
  • 柳亭市馬 「味噌蔵」


 何度か観るうちにその端正な芸風が気になってきてた市馬さんの、関西初の独演会。かなりたのしみにしてました。そんなお客さんがたくさん集まりまして、会場の TORII HALL はええ感じでいっぱいに。


 開口一番は市馬の弟子の市朗。「狸の鯉」は、助けられた狸が恩返しにいろいろと化ける噺。初の大阪で師匠の前と云うこともあってか、かなりカタく、教えられたとおりそのまま演ってる印象。

 ゲストの雀松は江戸の噺家の会でやや演りづらそう。マクラを振りつつ少しずつ自分の空気に変えて「口入屋」へ。軽妙なテンポでトントントンと。ちょっとした入れ事がたのしさをふくらませる。

 市馬の 1 席目は、丁寧な挨拶から。泥棒の話あれこれから、師匠の柳家小さん宅に泥棒が入ったときのエピソードなど、マクラもたっぷり。「締め込み」は上方の「盗人の仲裁」がさらに続く感じで、仲裁に入った泥棒を亭主が気に入り、酒を振る舞い泊めまでする。ここらのありえない展開がなんとも自然な流れで、ありえそうに見えるところがさすが。
 中入りをはさんでの 2 席目は、ケチの小咄から「味噌蔵」へ。ケチな味噌屋の旦那が留守の間に、番頭を筆頭に散財しようと企む。旦那が嫁をもらうくだりから、旦那のケチっぷりもたっぷり。旦那に内緒の宴会が始まると、磯節に大阪の歌(曲名不明)を自慢の声で聴かせるサービスも。


 市馬さんは長講 2 席、たっぷり堪能させていただきました。独特のやわらかい語り口が心地良いですね。「味噌蔵」は得意の歌入りで、雀松さんの「口入屋」とドガチャガつながりってのも趣向のようで、なんだかたのしかったです。
 本人は謙遜されてましたが、大阪でも十分通用する芸だと思います。年に 1 回でも独演会を大阪で開いていただきたいもんです。

柳亭市馬公式サイト

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桂三若・雷門獅篭 危険なふたり会

2007/9/16 @天満天神繁昌亭

【落語界のジュリー対決】

  • 笑福亭松五 「天狗さし」
  • 桂三若 「初恋」 (作:桂三枝)
  • 雷門獅篭 「寝床」
    ―― 中入り ――
  • 立川志の吉 「松竹梅」
  • 雷門獅篭 「三枚起請」
  • 桂三若 「七度狐」
  • 《お囃子でジュリー》
  • 《エンディング ~時の過ぎゆくままに~》


 ジュリーこと沢田研二に似ているともっぱらの評判のふたりが“危険なふたり”会。お囃子コーナーもあって、ジュリー好きとしては見逃せないだろうと、たのしみにしてました。
 直前に前売り完売となったようで、上々の入り。


 開口一番の松五は「天狗さし」をきっちり丁寧に。

 三若の 1 席目は“背中まで 45 分”で登場。マクラからトップ・スピードで武者修行のエピソードをいろいろ。さすが毎日しゃべってるだけに、かなり繰られてておもしろい。
 演し物は師匠の桂三枝の作で「初恋」。授業で島崎藤村の「初恋」を教える国語教師が、生徒の助けを借りて英語教師に告白する噺。国語教師と生徒の山田とのやり取りが軽妙。

 獅篭の 1 席目は“酒場で DABADA”で登場し、「ひさしぶりに人が爆笑する声を聞きました」。恒例の似顔絵から、大須演芸場の紹介がもの悲しくもおかしい。
 演し物は三若に付けてもらったと云う「寝床」。ネタ下ろしだったようだが、きっちり入ってる感じ。各々の喜怒哀楽が明確でわかりやすく、しっかりと笑いにつながる。

 中入りをはさんで、ゲストの志の吉は落語立川流の話いろいろから、獅篭を頼って大須演芸場に出演したときの話へ。客席に自分の友人 1 人だけだったこともあったそう。
 演し物はおめでたいところで(?)「松竹梅」。松に竹に梅の 3 人が御祝儀に謡いを演るも、案の定ムチャクチャに。心地良いテンポで。

 獅篭の 2 席目は“勝手にしやがれ”で登場。マクラに、立川談志からの芸人としての教えや破門騒動の顛末をものまねをまじえて。噺に入っても談志風味がチラホラと漂う「三枚起請」。切れ味良くトントンと。

 三若の 2 席目は“ス・ト・リ・ッ・パ・ー”で登場。旅先でのつらかった落語会の話をマクラに、旅ネタの「七度狐」へ。とにかく喜六・清八が賑やかでドタバタ度が高い。大根でサゲ。

 注目の《お囃子でジュリー》は、獅篭の出囃子の「酒場で DABADA」で、森乃石松(司会)、吉崎律子(三味線)、松五(鳴り物)が登場。石松の下ネタにつづいて「勝手にしやがれ」を演奏して終了‥‥って、それだけかい!

 最後にそれっぽい格好に着替えた三若と獅篭がギターの生演奏をバックに“時の過ぎゆくままに”を熱唱。なんとなくグダグダな雰囲気に。


 とにかくお囃子コーナーが消化不良。ここで数曲聴けると思ってたのに、出囃子のぞいたら 1 曲ですよ。この程度ならチラシに載せないでほしかったです。でもまぁ落語の部はかなりたのしめたんで、そっちは良かったです。
 《落語界のジュリー対決》ってことでしたが、パッチリしたタレ目ならたいがいジュリーっぽいのかな、と思います。濃いめの顔ってのも要件に入るかな? なにはともあれ、ジュリーの曲がいろいろかかったのはうれしかったです。

ビビンパの会
桂三若探偵団通信
雷門獅篭公式家頁

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繁昌亭昼席

2007/9/16 @天満天神繁昌亭

  • 笑福亭呂竹 「寄合酒」
  • 笑福亭猿笑 「ラブレター」
  • 桂しん吉 「道具屋」
  • チキチキジョニー 《漫才》
  • 月亭八天 「千早振る」
  • 笑福亭呂鶴 「青菜」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭恭瓶 「転失気」
  • 月亭遊方 「絶叫ドライブ ~彼女を乗せて~」 (作:月亭遊方)
  • 桂春之輔 「まめだ」
  • 笑福亭鶴笑 「パペット落語 侍出世物語」 (作:笑福亭鶴笑)
  • 笑福亭福笑 「延陽伯」

※ 第 51 週


 繁昌亭 1 周年記念興行と云うことで、この週の昼席はなかなかの好番組。とくに 15 日は 1 周年当日で超豪華でしたが、先に THUNDER のチケット取ってしまってたんで断念。鶴笑さんが観たかったんでなんとかこの週は観に行きたかったんですが、最終日のトリが福笑さんと云うことで押さえました。あいかわらずの超満員です。


 開口一番の呂竹は、なぜか鯉の餌の小咄をしてから「寄合酒」へ。金を集めようとするくだりは端折り、すぐさま持ち寄り散財に。時間枠を意識してか、徐々に早送りに。

 猿笑は「痴楽綴方狂室」を紹介し、柳亭痴楽の「恋の山手線」を大阪環状線に変えて猿笑流に。さらに、彼女からもらったラブレターを友人に読ませる噺。これも痴楽の「ラブレター」が元ネタのよう。

 しん吉は「道具屋」をトントンと笑い多し。見るだけの客を符丁で「小便」と云うのは「蛙(買わず)の面に小便」から。さらに「夏の蛤」は「夏の炎天下、蛤は身腐って(見くさって)貝腐らん(買いくさらん)」から。

 チキチキジョニーは初見。女 2 人組。ネタはゆるいが賑やか。

 八天は正調「千早振る」。スタンダードなんを聴くのはひさしぶり。噺の世界の構築にブレがなく、きっちり丁寧でメリハリもあって心地良い。

 中トリの呂鶴は酔っ払いの小咄から、酒つながりで季節ネタの「青菜」。植木屋の勢いがすごく、後半のおさまり具合でギャップが大きく、おかしさ倍増。クスグリもふんだんで笑い多し。貫禄十分。

 中入りをはさんで、恭瓶は「転失気」をきっちり。

 替わって遊方は自作ネタで「絶叫ドライブ ~彼女を乗せて~」。免許取り立てで彼女を乗せてドライブに行く男の噺。妄想か実体験か、かなりハイ・テンション。

 春之輔は独特のフラで、ぶっちゃけトークのマクラは毎回かなりおもしろい。桂米朝とのエピソードから、予定していた噺を米朝に付けてもらった「まめだ」に変更するも、これが荒い。せっかくの良い噺が、あれでは初心者に伝わりきらないのでは?

 待ってました!の鶴笑は、袴姿に頭陀袋を首から提げて登場。さっそく右脚から忍者が登場し、頭陀袋からもいろいろ出てくる。内容的には以前に観た「立体西遊記」とほとんどいっしょだが、とにかくおもしろい!
 客いじりも上手く交え、身体全体を使ったパペット落語は唯一無二のおもしろさ。アクシデントのようできっちり演出として仕込まれてるあたりはさすが。

 トリの福笑はいつものように世情をいろいろ盛り込んだマクラから存分に笑わせる。
 演し物は「延陽伯」。言葉が丁寧過ぎる娘を嫁にもらおうと云う男が、風呂から帰って妄想爆発。大騒ぎして近所の代表・宗助はんに何度も意見されるくだりが福笑の真骨頂。長い名前にビックリし、風呂に行く場合と火事になった場合をシミュレートするところまで。爆笑。


 昼席は通常 10 コマですが、特別興行と云うことでか 11 コマ。たっぷりたっぷりでした。ここまでガッツリ組んでいただくと満腹です。
 お見送りに鶴笑さんが出られてたんで今後の出演予定をお訊きしたんですが、11 月 12 日(月)の週に繁昌亭昼席に出演とのこと。たのしみが増えました。

天満天神繁昌亭

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THUNDER - The Devil Goes East - Live in Japan 2007

2007/9/15 @BIG CAT


 京都から京阪電鉄で大阪へ。乗り合わせた某噺家さんの奥さんとおしゃべりしつつ、いろいろと情報交換。退屈せずに移動できました。
 で、軽くおなかに入れてから会場へ。すでに開場時刻は過ぎていて入口に行列もなくスムーズに。フロアーはわりとゆったりしてて、最終的にはザッと 500 人くらいでしょうか。ええ感じだと思います。


 暗転し、不思議な SE から 1 曲目の“Loser”へ。あいかわらず安定感抜群。サウンド・バランスは良好。ルーク・モーリー(G)はちょっと太った? ダニー・ボウズ(Vo)はあおりまくり。ここらはライヴ・バンドとしての面目躍如。
 復活後の曲と 1st アルバムからの曲がほとんど。ダニーは観客によく歌わせ、観客もそれに応えられるところがすばらしい。ダニーもうれしそうに「Fantastic!」。とにかく聴いてて心地良く、自然と身体が動く感じ。もちろん、ダニーののせ方が上手いってのも要因。
 アンコールはお約束の“A Better Man”。最後はハリー・ジェイムズ(Ds)がヴォーカルを取っての「When I'm looking at myself in the mirror, I see a bald man」もお約束。
 で、やっぱり最後は“Dirty Love”。これしかないって感じの盛り上がり! 大合唱もあって大団円。


 ちょうど 2 時間ぐらいでした。一時解散とかあって、以前に比べると客は減ってるようには思いますが、なんだかんだ云っても満足度の高いライヴを演ってくれるバンドですから、定期的に来日してほしいですね。


    --- Opening ---
  1. Loser
  2. Dirty Dream
  3. What A Beautiful Day
  4. Until My Dying Day
  5. The Devil Made Me Do It
  6. Gimme Some Lovin'
  7. Low Life In High Places
  8. Robert Johnson's Tombstone
  9. You Can't Keep A Good Man Down
  10. Fade Into The Sun
  11. Love Walked In
  12. I Love You More Than Rock 'n' Roll

  13. A Better Man
  14. Tumbling Dice
  15. Dirty Love

THUNDER Online

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三遊亭白鳥・月亭遊方 2 人会

2007/9/15 @Live Spot RAG

【古典と新作のアンビバレントな宴】

  • 《オープニング》
  • 三遊亭白鳥 「マキシム・ド・呑兵衛」 (作:三遊亭白鳥)
  • 月亭遊方 「オーサカ・シネマロケンロール」 (作:月亭遊方)
    ―― 中入り ――
  • 月亭遊方 「ちりとてちん」
  • 三遊亭白鳥 「死神」 (改:三遊亭白鳥)
  • 《エンディング》

※ RAKUGO 京都スタイル Vol. 1


 期待と不安の白鳥さん初体験。この日から 19 日(水)の繁昌亭での遊方さんとの二人会まで、関西のあちこちに白鳥さんが出没されるとのこと。私は最初と最後を捕獲です。
 ライヴ・ハウスでの昼公演で入りがまったく読めませんでしたが、ザッと 40 人ほど入ったと思います。会場はわりと広めなんですが、大きめの丸テーブルがいくつか置いてあるんで、お客さんはあちこちに散らばってます。


 まずはふたりで登場してごあいさつ。この日のネタ紹介からいろいろとぶっちゃけトーク。白鳥は想像以上にまともそうな印象。

 初白鳥。羽のような袂に白鳥の紋が入ったオリジナル着物が妙にかわいい。実家のある新潟の話あれこれから、緊張をほぐすために観客参加型の《お笑い落語健康体操》を。
 食べ物屋の話いろいろから「マキシム・ド・呑兵衛」へ。孫に連れてってもらったフランス料理店に感動し、自分の居酒屋でも同じようなサービスをと試みる噺。ここへやってくる常連の留さんのツッコミが分析的に鋭い。爺さん婆さんの緩と、留さんの急との対比がメリハリに、心地良いテンポ。

 遊方は、自身が出演した映画『極道の妻たち 危険な賭け』や V シネマ『売春暴力団』の撮影秘話をマクラに「オーサカ・シネマロケンロール」を。
 大阪のたこ焼き屋で映画のロケ撮影がおこなわれる噺。たこ焼き屋の夫婦がなんやかんやと言い訳し、野次馬も味方に付けて映画に出演しようとするのがおもしろい。たこ焼き屋のおっさんの大阪弁指導も的確。

 中入りをはさむも息が上がったままの遊方は、いろいろとマクラを振りつつ息を整える。
 演し物の「ちりとてちん」は、遊方らしいアクション満載。腐った豆腐に段ボールや古い肉やエグいもんを混ぜ込み、それを食べさせられた竹は七転八倒の末に吐き出す始末。なんとも胸が悪くなるおもしろさ。

 トリの白鳥は《白鳥版》と冠される「死神」。リストラされた医師とその妻。この妻が強欲で、とにかくド迫力の恐ろしさ。偶然出会った死神から、死神を追い払う呪文「ミーちゃんケイちゃん叶姉妹、おっぱいムチムチ見ちゃいや~ん」を教えてもらったリストラ医師が、強欲妻に尻を叩かれて金儲けに手を染める。理性と欲とのせめぎ合いからふたりは欲にまみれ、凄まじい展開に。
 随所に散りばめられたムリヤリなクスグリも、不条理な展開のなかではおさまるところにおさまってる感じ。アッとおどろく怒濤のラストまでたっぷり。

 最後にふたりでごあいさつ。丁寧な締め。


 いやはや白鳥さん、すんごくおもしろかったです。もっとハチャメチャなんを想像してたんですが、クスグリはムリヤリ突っ込んでてもストーリー展開はしっかりしてて、良い意味で裏切られた感じ。とくに「死神」は関西でも十分通用する噺に仕上がってると思いました。遊方さんとの相性も良いと思います。
 なんだか以前に大阪でしくじったようなんですが、どんどん大阪にも進出してもらって、上方勢に刺激を与えていただきたいです。

RAG Web Site
三遊亭白鳥の湖
遊方 FOR YOU!

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花丸・染雀 二人会

2007/9/14 @天満天神繁昌亭

  • 桂佐ん吉 「いらち俥」
  • 林家花丸 「千早振る」
  • 林家染雀 「船弁慶」
    ―― 中入り ――
  • 林家染雀 「豊竹屋」
  • 林家花丸 「幸助餅」

※ 第 1 回


 待ってました!ってな組み合わせの、ありそうでなかった兄弟会。前売り発売前から期待が高まってました。
 今回はちょっと変わった座席指定システムでした。基本的に自由席で、希望者はプラス 500 円で座席指定できる、と云うもの。結果的に、1 階席は指定で埋まり、自由席で来た人は 2 階席になったそうです。当日は補助席も出る大盛況。指定しといて良かったです。


 開口一番の佐ん吉は、ここ最近集中的に掛けている「いらち俥」。メリハリもあって熱演だったが、なぜか股引をはいていない。しかも裾の乱れを直そうとしない。なぜ?

 つづく花丸は佐ん吉の乱れっぷりに軽く触れてから、在原業平の歌の解説をはさんで「千早振る」へ。いじくり倒しの花丸版は、爆笑ポイントがそこかしこに。
 途中、花魁の千早太夫が乞食に身を落とすくだりがすっぽり抜けて崩れそうになるも、なんとか取りつくろいつつ進める。最後のいたこの口寄せ(降霊)は何度観てもおもろい。

 中トリの染雀は今回の座席指定システムのフォローをしつつ、季節ネタで「船弁慶」。よどみない立て弁がやかましい‥‥と、これがこの噺の真骨頂で、テンポ良く聴かせる。
 終盤、川一丸で遊ぶ喜六のもとへお松が通い舟で駆け付ける場面では、船頭の漕ぎ様にイラついたお松が「ちょっと貸しなはれ!」と艪を奪ってみずから漕ぎ出すと云う、これは桂あやめの演出を取り入れたよう。その後の喜六とお松による「弁慶と知盛の『祈り』」は凄まじくクサい芝居になってて秀逸。

 中入り後、染雀の 2 席目は、音楽つながりでヒロポンズ・ハイの話をマクラに、音曲風呂の小咄から浄瑠璃の解説&サンプルをはさんで「豊竹屋」を。にわか浄瑠璃と口三味線の掛け合いが軽妙。

 トリの花丸は「幸助餅」をたっぷりと。苦み渋みをたっぷり含んだ人情噺。真剣で重苦しい展開のなかにふりかけられたちょっとしたクスグリが花丸の良心だろう。最後のさわやかさがまた花丸らしい。納得の一席。


 番組のバランスと云い、ふたりのカラーの対比と云い、満足度の高い会になりました。とくに染雀さんの「船弁慶」と花丸さんの「幸助餅」、いずれも何度か観てますが、たっぷりたのしませていただきました。
 パンフレットにふたりの対談が掲載されてたんですが、どうせなら舞台で対談してもらった方がおもしろかったように思います。定期的に開催される意向もあるそうなんで、次回はぜひそんな企画も盛り込んでもらいたいです。

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桂千朝独演会

2007/9/13 @ワッハホール

  • 桂吉の丞 「時うどん」
  • 桂千朝 「本能寺」
  • 桂歌之助 「うなぎや」
  • 桂千朝 「愛宕山」
    ―― 中入り ――
  • 桂千朝 「馬の田楽」


 出張先から直行。毎年恒例、千朝さんの独演会へ。ザッと 200 人くらいが会場にまんべんなく。


 開口一番の吉の丞は「時うどん」を、ひとりヴァージョン(江戸の型)でテンポ良く。汗をかきかきの熱演で、それをちょっとしたクスグリに使ったり、余裕のある高座。

 千朝の間に歌之助が「うなぎや」。基本に忠実にきっちりとさわやかに。店主の執拗な「どうぞお二階へ」もさわやか。

 千朝の 1 席目は、歌舞伎界と落語界との比較から、《青田》=《タダ観の客》の解説をマクラに、芝居噺の「本能寺」。わかりやすく丁寧で、ハメモノも入って雰囲気たっぷり。
 2 席目は、幇間のサンプルをマクラに「愛宕山」。舞妓さんのビラビラの簪の動きがやや不自然だったが、ちょっと憎たらしい幇間の一八を中心に、人物描写がこまやか。
 中入りをはさんでの 3 席目は「馬の田楽」。小品ながら、いたずら盛りで生意気な子どもらがたのしい。


 千朝落語をたっぷり堪能したんですが、ちょうど 2 時間くらい。もたれない軽さも千朝さんの魅力かもしれませんね。
 前の 2 席はいずれも吉朝さんが得意とされてたネタで、千朝さんからのちょっと早めの三回忌追善の意を込めたネタ選びだったのかなぁ‥‥とか、そんなことも考えてしまいました。

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上方笑女隊の秋 大當り!菊花ショー

2007/9/9 @天満天神繁昌亭

  • 都・あやめ・三扇 《御祝儀舞》
  • 桂三扇 「つる」
  • 桂あやめ 「サカイで一つだけの花」 (作:桂あやめ)
  • 露の都 「眼鏡屋盗人」
    ―― 中入り ――
  • 《夢のシャミセニスト大競演!》
  • 《大喜利》
  • 《総揃い!菊花ショー》


 女だらけの落語会。3 月のときは行けなかったんですが、今回はなんとか参加できました。落語ももちろんですが、趣向もたっぷり入ってるようで、たのしみにしてた会です。
 前売り完売だったそうです。補助席も出る大入り満員に。


 まずは都、あやめ、三扇の 3 人が黒紋付きで登場し、御祝儀代わりにひと舞い。

 つづいて、あわてて着替えてきた三扇が登場。自身の子どもの通信簿の話から、主人公を子どもに変えた「つる」を。近所の甚兵衛さんに教えてもらったつるの由来をいそがしく内職してる母親にムリヤリ教えようとするくだりも自然な流れで、ちょっと生意気な感じがまたたのしい。

 あやめは笑女隊の楽屋風景をマクラに、華やかに元祖フラワー・アレンジメント落語の「サカイに一つだけの花」。花屋の店先にならんだ花たちが大もめする噺。擬人化された花のおしゃべりで、ボタン・ユリ・バラのフラワーショウや脳天気なアマリリス、自身を投影したアヤメがなんともおかしい。

 上方笑女隊隊長の都は、会の準備の話から矢継ぎ早にいろいろと話をつないで「みやこ噺」で終わるかと思いきや、ネタを逡巡しつつ、いきなり「眼鏡屋盗人」へ。眼鏡屋の丁稚がニンに合ってる。とぼけた盗人たちのやり取りもたのしい。

 中入りをはさみ、《夢のシャミセニスト大競演!》と題したお囃子紹介コーナー。林家和女、山澤由江、中田まなみ、脇坂新子、勝正子、吉川絹代の 6 人がズラリ。進行役は林家染雀、太鼓に笑福亭喬介、笛に(舞台袖から)桂阿か枝。「石段」「じんじろ」「鞍馬」などを演奏。さすがに三味線が 6 棹も入ると音が分厚く、普段よく耳にする曲でも印象が変わる。

 つづいて大喜利。桂きん枝が司会で、都&由江チームとあやめ&三扇チームに分かれて対戦形式。花を織り込んだ自己紹介から、まずは童謡「兎と亀」の替え歌で「もしもし都、都さん」と問答するも、都と三扇の歌が酷すぎてゲームとして成立せず。でも、そこがおもしろくて爆笑に。その後の古今東西風船ゲームはワチャワチャの大騒ぎ。

 最後に《勢揃い!菊花ショー》。山澤由江、花登益子、中田まなみ、勝正子、脇坂新子、吉川絹代の三味線に、都、あやめ、三扇、林家和女、早川久子が踊りを披露。菊をあしらった編み笠を頭と両手に、「松づくし」ならぬ「菊づくし」。最後は菊満開に。


 いやはやなんとも華やかに賑やかに、趣向も盛りだくさんなたのしい会でした。都隊長のお人柄もさることながら、プロデュース能力にたけたあやめさんの存在が大きいと思います。大々満足です。

 毎年 3 月 3 日と 9 月 9 日を《上方笑女隊の日》としたそうですんで、次回は来年 3 月 3 日(月)の予定です。おたのしみに~。

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南湖だんご 旭堂南湖話術研究会

2007/9/7 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

【赤穂義士伝 其の三 堀部安兵衛】

  • 旭堂南湖 『赤穂義士銘々伝』より「安兵衛誕生」
    ―― 中入り ――
  • 旭堂南湖 『小夜衣草紙』より「蛤の吸い物」
  • 旭堂南湖 『赤穂義士銘々伝』より「安兵衛初の仇討ち」

※ 第 36 回


 7 月の『南湖だんご』は『講談文月毎日亭』でお休みだったため、4 か月ぶり。『本伝』の続き読みだったはずが、7 月の『講談文月毎日亭』でたっぷりしゃべったからか、『銘々伝』にチェンジ。まぁそれも一興かも。
 入りは 8 人。つ離れしませんでしたが、前回の 4 人からは倍増。


 まずはラジオのレポーターのエピソードや『彦八まつり』で困った話をマクラに、堀部安兵衛の話へ。父・中山安太郎の堅物ぶり、芸者・こさんとの馴れ初めと駆け落ちをたっぷり語り、安太郎とこさんとの間にとうとう安兵衛が産まれるところまで。

 中入りをはさんで、ボーナス・トラックのアンケート。『寛政力士伝』の「越ノ海勇蔵」か『小夜衣草紙』の「蛤の吸い物」かで、季節物の怪談に。老舗呉服問屋の子息・源次郎と深い仲だった花魁・小夜衣。源次郎の縁談のため、金で小夜衣をあきらめさせるが‥‥と云う話。婚礼の席で、なぜか蛤の吸い物が紛失する珍事。

 『銘々伝』に戻り、安兵衛誕生の続きから。母は 5 歳のときに亡くなり、父は 7 歳のときに病に伏し、貧困に苦しむ。偶然、祖父に助けられるが、盗人に金を奪われ、父は殺される。その直後、安兵衛は脇差で盗人を殺す。


 南湖さん自身が 1 か月の続き読みでヴァージョン・アップした感じで、「堀部安兵衛」にしても「蛤の吸い物」にしても、とにかく心地良い口跡でたっぷり語っていただきました。この芸がこの入りでは、かなりもったいない気がします。

 次回は 1 月 11 日(金)に「高田馬場十八人斬り」の予定です。芝居にもなる有名な場面ですから、途中からでもたのしめると思いますよ。

正直南湖

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新世紀落語の会

2007/9/6 @天満天神繁昌亭

【8 周年記念公演】

  • 桂ざこば・松尾貴史 《飛び入り前説》
  • 桂しん吉 「長尾さん」 (作:くまざわあかね)
  • 桂蝶六 「娘の結婚」 (作:浪江裕史/ギター演奏:安部俊秀)
  • 春風亭昇太 「人生が二度あれば」 (作:春風亭昇太)
    ―― 中入り ――
  • 桂福楽 《ベース漫談》
  • 桂雀松 「マキシム・ド・ゼンザイ」 (作:小佐田定雄)

※ 第 33 回


 出張先から直行。今回が 8 周年記念と云うこともあってか、はたまたお客さんからの要望が強かったのか、座席指定になりました。


 開演前に緞帳が上がり、片目をつぶった桂ざこばが登場。昼席に出て、飲みに行って、その場のノリで出てきたよう。うだうだしゃべってるところに、遊びに来ていた松尾貴史も登場。ふたりでうだうだ。

 つづいてトップのしん吉がスーツ姿で登場。羽織を脱ぐようにジャケットを脱ぐも、半袖のカッターシャツに違和感。
 男ふたりが飲み屋で同窓会の打ち合わせをしてると、一方の携帯電話にジャンジャン電話が掛かってきて‥‥って噺。携帯時代に内容がフィット。ちょくちょく高座に掛けてるようで、電話を受けるサラリーマンのお調子者ぶりがたのしい。

 蝶六はギター奏者を従えての高座。酔っ払いの熟年サラリーマンが自宅に近いバーに寄って愚痴をこぼす噺。このバーはギターの生演奏が BGM で、客の注文で曲を変えると云う趣向。
 娘の結婚相手が自分の上司と云う、なさそうでありそうな微妙なシチュエーション。酔っ払って愚痴る熟年サラリーマンとその妻が、なんとも古典落語の雰囲気たっぷり。

 中トリの昇太は、ざこばの現状報告から。師匠の春風亭柳昇が戦争に行ったときのエピソードをマクラに自作を。
 昔を思い出しながら「人生が二度あればなぁ‥‥」と悔やむ老人の前に松の精があらわれて‥‥って噺。SF 的な展開で、知らない方が良かった現実が笑いに。

 中入りをはさんで、おたのしみの福楽。座布団に紋付きで座り、普通の落語スタイルでベースを弾きながら、ときにベースを横へ引きながら、すごいペースであれこれおしゃべり。

 トリの雀松は十八番ネタ。フランス料理店を思わせる究極のぜんざい屋で甘味の洪水。聴いてるだけで口の中が甘くなってくる感じ。店員のスカした感じがたのしい。


 趣向もいろいろで、《新世紀》の名に恥じない番組構成だったと思います。蝶六さんは初めてだったんですが、古典も観てみたいなと思わされました。

 次回は 12 月 11 日(火)です。出演は、桂小春團治、桂九雀、月亭遊方、他、となっております。

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通天閣アングラ亭

2007/9/3 @通天閣歌謡劇場

【通天閣の地下で、何かが生まれる、笑いの新世界!】

  • 桂あやめ 《ごあいさつ》
  • 桂ぽんぽ娘 《メイド漫談》
  • 笑福亭たま 「ドーベルマン刑事」 (作:笑福亭たま)
  • シスター・スリーゴールド 《懺悔漫談》
  • 三遊亭丈二 「公家でおじゃる」 (作:三遊亭丈二)
    ―― 中入り ――
  • 瀧川鯉朝 「動物園」 (改:瀧川鯉朝)
  • おしどり 《音曲漫才》
  • 桂あやめ 「ルンルン大奥絵巻」 (作:桂あやめ)

※ 第 1 回


 仕事の都合で行けないと思ってたんですが、直前になって奇跡的に行けることになりました。いやぁ、「念ずれば通ず」です。
 会場は通天閣の地下にある歌謡劇場で、文字どおりアングラな会に。150 人か、後方の仕切りカーテンを外せば 200 人は入りそうなスペースに、この日は 100 人くらい。マニアックな会場でのマニアックな会に、近郷近在のマニアが集まりました。


 あやめの番組案内につづいて、ぽんぽ娘がメイド姿で登場。以前、「おさなぎ色」と云う名で演っていたメイド漫談を。内容は‥‥ほとんどエロ系の下ネタ。この手のネタは萌え系のヴィジュアルとの対比が笑いになると思われるが、ぽんぽ娘が演るとギャップがなくて妙にリアルで笑えない。客はどんどん引きまくり。
 とても萌え系とは云えない。どう見ても萎え系だ。

 つづくたまはどうにも演りにくそう。ぽんぽ娘の師匠の桂文福のおもしろエピソードで空気を変えつつ、「ぶりぶり」か「ドーベルマン刑事」か観客アンケート。それでも腹はほぼ「ドーベルマン刑事」に決まってたよう。
 犬飼警部の相棒、ドーベルマンのシナモンが大活躍。シナモンのゼスチャーを犬飼警部が見事に翻訳。犯人を捕らえるときには凶暴なシナモンだが、なにかを伝えようとするときには突然かわいくなる。

 ひさびさのシスター・スリーゴールド懺悔ネタがあまりたまっていなかったか、ほとんど既発ネタ。客席で鳴った携帯電話に「ここで携帯を鳴らすと神の罰が下ります」。神に捧げる小咄や、おまけのバルーン・ショーも。
 キャラ押しだけでなく、やはりネタも重要。年末に期待。

 中トリに東京からの丈二。師匠の三遊亭圓丈の話から、圓丈の飼っている犬の話へとマクラをつないで噺に突入。
 ペットとして公家を飼っている小学生たちのもとへ突然 UFO が降りてきて‥‥と云う噺。設定の奇抜さ以外のクスグリが弱く、出オチのよう。

 中入りをはさんで、こちらも東京からの鯉朝。瀧川一門のバカさ加減を紹介し、「動物園」の改作へ。内容は観てのおたのしみだが、とにかくマニアック。似てないものまねもたのしい。

 おしどりはイギリス帰りだそうで、パンキッシュな衣装。パンクと云うより SM のノリで、いつものネタをにぎやかに。

 あやめは前日の『彦八まつり』の打ち上げの影響か、ハスキーな声。通天閣への思いをマクラに、ドラマ『大奥』の話から「ルンルン大奥絵巻」へ。
 大奥にて、綾小路殿と河内殿との利権争い。キレると河内弁全開になる河内殿が凄まじい。河内殿のもとに来た暴走馬賊の女頭、お竜のキャラもそれに負けない強烈さ。
 お竜に懐柔された上様の声は、もちろん林家染雀。いつもより激しい。


 場から醸し出される空気感って、やっぱりありますね。客層がマニア中心ってのもあるとは思いますが、全体的になんとなく猥雑な感じがして、そこがまた良かったりします。キャパが大きくなった分、茶臼山舞台とはまた違った展開も期待できるでしょうし、今後も定期的に開催してほしいです。
 前売り券には通天閣の無料入場券が付いてたんで、そのうち登ってみたいと思います。

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TORII 講談席

2007/9/2 @TORII HALL

【講談 風・林・火・山 不幸なること後藤一山の如し!】

  • 旭堂南青 「我輩ガ後藤一山デアル」 (作:旭堂南海)
  • 桂こごろう 「くっしゃみ講釈」
  • 旭堂南華 「後藤一山の逆襲」 (作:旭堂南海)
    ―― 中入り ――
  • 小佐田定雄・南海 《ゲストトーク:講談の明日を語る》
  • 旭堂南海 「帰ってきた後藤一山」 (作:旭堂南海)

※ 第 15 回


 落語「くっしゃみ講釈」に登場する講釈師・後藤一山を、講談で立体的に浮き彫りにしよう!と云う、なんとも落語マニア向けの企画です。ちょっと気になった私は、やっぱりマニア!?!?
 初の『TORII 講談席』でしたが、いざ行ってみるとやっぱり落語会でよくお見かけする顔・かお・カオ‥‥。さすがに今回の企画は引きが強かったようです。客席もええ感じで埋まりました。


 まず登場した南青は、なにやら仰々しい表情で手で太腿あたりを叩きながら『難波戦記』の一節を。‥‥と、これは後藤一山が稽古をしている場面から。東京から流れてきた一山が、家主のすすめで化け物屋敷を講釈小屋にして大当たり。千秋楽も近づき、定席からの誘いもあって順風満帆‥‥のはずが、喜六・清八が訪れる運命の日へ。
 やや説明的ながら、一山と喜六との因縁の場面はつづく「くっしゃみ講釈」への期待をふくらませ、前日譚として申し分なし。

 つづくこごろうは、講談席で講釈師の出てくる噺を演る心境を《『五木ひろし歌謡ショー』に呼ばれた三木ひろし》とたとえ、演りにくそうに「くっしゃみ講釈」を。
 のぞきからくりの『八百屋お七』や、講釈の『難波戦記』など、決まり台詞にやや苦手意識があったようだが、この日はなかなか。喜六のチョカぶりがこごろうのニンにぴったりでいきいきと。

 講談に戻って、南華が「くっしゃみ講釈」の後日譚を。喜六に唐辛子の粉をくすべられて高座をしくじり、定席との約束もフイに。化け物屋敷は落語の定席になり、そこで掛かる新作落語「くっしゃみ講釈」が一山自身の噺であることを知る。過日の恨みを晴らすべく、逆に唐辛子をくすべようとする。くっしゃみがトラウマとなった一山に不幸が。
 話はおもしろいが、南華の語りに女性が出過ぎていて集中できず。とくにくしゃみがかわいらし過ぎ、話の世界に入りきれず。

 中入りをはさんで、小佐田定雄(落語作家)氏と南海の対談。新作講談に関する話を中心に、たっぷりいろいろ。

 トリの南海は、逆襲に失敗し、一山が大坂を離れて 10 年後、ふたたび大坂に戻ってきた一山が探偵となって大活躍する(?)話。
 外伝的なストーリーをたっぷりと。これはこれでおもしろいが、時を隔てたことで連続性が希薄に。


 企画もさることながら、作品自体もなかなかよくできててたのしめました。
 それぞれの話はもうちょっとふくらませそうですし、「~逆襲」と「帰ってきた~」の間を補完することで『悲運の講釈師 後藤一山』とかなんとか云う長編の続き読み作品になりそう。今回だけってのはなんとももったいないと思います。

TORII HALL

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彦八まつり奉納落語会 ドラマヒロイン落語家入門

2007/9/1 @生國魂神社

  • 貫地谷しほり・染丸・都・桂吉弥 《座談会》
  • 露の団姫 「松山鏡」
  • 桂三扇 「又も華々しき華燭の典」 (作:桂三枝)
  • 林家染丸 「悋気の独楽」
    ―― 中入り ――
  • 桂あやめ 「アタック!ナンバ一番」 (作:桂あやめ)
  • 露の都 「初天神」

※ 第 17 回 上方はなし 彦八まつり


 横浜から帰った翌日、早朝からチケットぴあで一喜一憂。(このことについては、また後日) その後、そのまま生國魂神社へ。上方落語協会のお祭り、彦八まつりです。
 暑いにもかかわらず、すでにいっぱいの人出。文太さん&南湖さんの店へごあいさつ。田辺寄席会員先着特典の扇子をいただきました。
 メイン・ステージの周辺も 11 時からのオープニングを見ようと黒山の人だかり。なんとか隙間からチラチラと。三枝会長の「いらっしゃ~い」のあと、10 月からの NHK 連続テレビ小説『ちりとてちん』のヒロイン、貫地谷しほりちゃんが浴衣姿でごあいさつ。三枝会長のムチャ振りでしほりちゃんが耳の遠い老夫婦の小咄を披露。うぅ~ん、かわいい。
 奉納落語会は、一般のお客さんは入場券整理券を確保するのに列ぶ必要があるんですが、招待券を持ってる人は優先的に入れてもらえるとのこと。プチ優越感。ビール片手に、しばし時間を潰して入場。かなり前の方です。


 桂都丸(彦八まつり実行委員長)の前説のあと、林家染丸の進行で、ドラマ・ヒロインの貫地谷しほりと、女性噺家代表の露の都に、『ちりとてちん』に出演する桂吉弥が飛び入りし、4 人で座談会。
 東京出身の貫地谷しほりは、ドラマの発端となる福井の小浜弁、上方落語の大阪弁、落語、三味線と、覚えることが多くて大変だとか。急遽覚えたとおぼしき、カラスとニワトリの小咄を披露。

 落語の部は団姫から。初めてだったが、「松山鏡」をきっちり丁寧に。かなりしっかりした印象で、柳亭こみちと同様の感触。今後の成長に期待。

 三扇の「又も華々しき華燭の典」は以前にも観たが、独特のおかしみが。結婚が 4 度目の新郎と 3 度目の新婦の結婚披露宴の噺だが、新婦の恩師がやわらかい物云いで新婦をくさすくだりが秀逸。

 中トリの染丸は、遊びにきていたと云う青木崇高と加藤虎ノ介(ともに『ちりとてちん』に出演)を招き入れ、即席の座談会。
 逡巡しつつ、演し物は女性がメインの「悋気の独楽」に。きっちりたっぷり。御寮人さんと女中のお竹のやり取りや、定吉の困惑ぶりがたのしい。

 中入りをはさんで、袴姿のあやめ。マクラでドラマ『大奥』の話からスポコン物のドラマの話へと話題をつないで「アタック!ナンバ一番」へ。《稲妻落とし》に《天満天神繁昌亭こけら落とし》に《京鹿子娘道成寺釣鐘落とし》。派手なアクションで立体的に。

 トリは都。「みやこ噺」かと思わせるほどたっぷりのマクラ。何度聴いてもおもしろく、場内も大爆笑。そして唐突に「初天神」へ。寅ちゃんがかわいい。


 女流落語会と云うことで、華やかな会でした。団姫さんも収穫でしたし、なにより貫地谷しほりちゃんがかわいい。(そればっかり)

 このあとは福笑さんの店の奥で休憩させてもらい、ヒロポンズ・ハイのライヴを観たところでギヴアップ。ほとんど食べずにビールばっかりでよく持ちこたえたもんです。

(社)上方落語協会

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