花丸・染雀 二人会
2007/9/14 @天満天神繁昌亭
- 桂佐ん吉 「いらち俥」
- 林家花丸 「千早振る」
- 林家染雀 「船弁慶」
―― 中入り ―― - 林家染雀 「豊竹屋」
- 林家花丸 「幸助餅」
※ 第 1 回
待ってました!ってな組み合わせの、ありそうでなかった兄弟会。前売り発売前から期待が高まってました。
今回はちょっと変わった座席指定システムでした。基本的に自由席で、希望者はプラス 500 円で座席指定できる、と云うもの。結果的に、1 階席は指定で埋まり、自由席で来た人は 2 階席になったそうです。当日は補助席も出る大盛況。指定しといて良かったです。
開口一番の佐ん吉は、ここ最近集中的に掛けている「いらち俥」。メリハリもあって熱演だったが、なぜか股引をはいていない。しかも裾の乱れを直そうとしない。なぜ?
つづく花丸は佐ん吉の乱れっぷりに軽く触れてから、在原業平の歌の解説をはさんで「千早振る」へ。いじくり倒しの花丸版は、爆笑ポイントがそこかしこに。
途中、花魁の千早太夫が乞食に身を落とすくだりがすっぽり抜けて崩れそうになるも、なんとか取りつくろいつつ進める。最後のいたこの口寄せ(降霊)は何度観てもおもろい。
中トリの染雀は今回の座席指定システムのフォローをしつつ、季節ネタで「船弁慶」。よどみない立て弁がやかましい‥‥と、これがこの噺の真骨頂で、テンポ良く聴かせる。
終盤、川一丸で遊ぶ喜六のもとへお松が通い舟で駆け付ける場面では、船頭の漕ぎ様にイラついたお松が「ちょっと貸しなはれ!」と艪を奪ってみずから漕ぎ出すと云う、これは桂あやめの演出を取り入れたよう。その後の喜六とお松による「弁慶と知盛の『祈り』」は凄まじくクサい芝居になってて秀逸。
中入り後、染雀の 2 席目は、音楽つながりでヒロポンズ・ハイの話をマクラに、音曲風呂の小咄から浄瑠璃の解説&サンプルをはさんで「豊竹屋」を。にわか浄瑠璃と口三味線の掛け合いが軽妙。
トリの花丸は「幸助餅」をたっぷりと。苦み渋みをたっぷり含んだ人情噺。真剣で重苦しい展開のなかにふりかけられたちょっとしたクスグリが花丸の良心だろう。最後のさわやかさがまた花丸らしい。納得の一席。
番組のバランスと云い、ふたりのカラーの対比と云い、満足度の高い会になりました。とくに染雀さんの「船弁慶」と花丸さんの「幸助餅」、いずれも何度か観てますが、たっぷりたのしませていただきました。
パンフレットにふたりの対談が掲載されてたんですが、どうせなら舞台で対談してもらった方がおもしろかったように思います。定期的に開催される意向もあるそうなんで、次回はぜひそんな企画も盛り込んでもらいたいです。
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