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たまのフレンドリー寄席β

2007/9/28 @天満天神繁昌亭

【大井川を越えてやって来た!! 江戸輸入版特集】

  • 笑福亭たま 「船徳」
  • 桂まん我 「井戸の茶碗」
  • 笑福亭たま 「厩火事」
  • 桂文太 「明烏」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭たま 「子別れ」


 たまさんプロデュースのこの会は、独演会とは銘打たれてませんが、独演会と云っても良い番組構成。たまさんからの案内によると《β》は《ベタ》とかけてるそうで、繁昌亭目当てで番組を確認せずにきたようなお客さんにも笑ってもらえるようなネタをそろえる会にするそう。そのわりには今回《江戸輸入版特集》と銘打って、落語マニアの集客も忘れないところがたまさんらしい。
 固定座席が 1 階も 2 階もちょうど埋まるくらいの入り。パッと見たところ、文太さんがお目当てのお客さんも多かったような印象です。


 たまの 1 席目はマクラで、前日の『旭荘寄席』で旭堂南左衛門から聞いた桂千朝の几帳面なエピソードをいろいろ。昔、噺家がみな貧乏だったときに、千朝が旭荘に水炊きを伝えたそう。
 「船徳」は何度か観てるが、とにかく所作がコミカル。棹を流し、同じところをぐるっと一周し、川へ落ちた客の顔を艪で打ちまくり。
 ひとりで船頭をする若旦那を見つけた船頭仲間が「大丈夫か!?」と云う表情と、それを見た客の不安そうな表情、さらに若旦那の気楽そうな表情との対比がおもしろい。ここらはたまの顔芸の真骨頂。

 まん我は、正直・本音では生きにくい世の中、と軽くマクラを振ってから「井戸の茶碗」へ。行き掛かりで貧乏浪人の家と武家屋敷の間を行ったり来たりさせられてしまう紙屑屋の災難。武士の生真面目さと紙屑屋の人の良さを丁寧に。まん我らしいわかりやすさでたっぷりと。

 たまの 2 席目。出番前に楽屋番の笑福亭喬介に「この襟、いやらしいかな?」と訊くと、喬介曰く「全部がいやらしいです」。
 まん我との交遊話から、気の回らない繁昌亭チルドレン(繁昌亭開席以降の入門者)の話など。下の者が増えてきて、上の者としての振る舞い方に迷いがあるのかも。
 たまの「厩火事」は初めて。旦那がひと言しゃべるたびに一喜一憂する女房の表情が秀逸。またもたまの顔芸が光る。仕込みのクスグリ追加で笑いどころ増量。後半は女房の心持ちが無限ループにはまり込み、そのままぐるぐる‥‥。

 中トリの文太登場に、あちこちから声が掛かる。喬介に「この襟の色、どうや?」と訊くと、喬介曰く「たまさんよりマシです」。
 マクラをいろいろと振りつつ、観客を転がす。花魁の話から新町の様子を紹介しつつ「明烏」へ。舞台を吉原から新町へ移し、世間知らずの若旦那が源兵衛と清八に連れられて遊郭へ。文太らしいやわらかさでたっぷりと。充実。

 中入りをはさんで、たまの 3 席目は「子は鎹」を、今回は趣向で江戸風に「子別れ」と表記。
 亀ちゃんのけなげさが上手く描かれ、笑いと涙がない交ぜになった、松竹新喜劇のような雰囲気に。別れた父親と母親の想いをひとり息子の亀ちゃんがつなぐ、まさしく《子は鎹》であることに説得力十分の高座。


 江戸輸入版と銘打った会で、大坂の街と人情が描かれてたと思います。中入りまではたまさんが笑いを担当してゲストはたっぷり、中入り後はたまさんがたっぷりと、番組構成もお見事。大満足。
 とくに今回、文太さんの良さを再確認させられました。キャリアの違いももちろんですが、会場の雰囲気づくりが抜群に上手いです。安心して身をゆだねられる高座でした。

 次回は 12 月 21 日(金)です。
 その前に、ワッハ上方レッスンルームにて『たまのフレンドリー寄席α』が 12 月 2 日(日)に。こちらはちょっとマニアックなネタも掛かるそうです。

らくごの玉手箱

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コメント

あの日、ご一緒してたんですね。
山葵さんの記事を拝見して、あの楽しい会の記憶が蘇りました。
本当に文太師匠、素晴らしかったです。
「厩火事」の「無限ループ」、うけました!
さすが山葵さんの表現力は凄い。大好きですー。^^

投稿: は~と | 2007.10.19 23:34

>> は~と さん
おほめいただきありがとうございます。
ちょっとこそばゆいですね。:o)
たまさんのゲストのチョイスは秀逸でしたね。
文太さんはやっぱり良いです。

投稿: わさび | 2007.10.19 23:46

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笑福亭たまさん主宰の落語会を初めて聴きに行く。 今回「江戸から来た落語」をテーマに、友人の桂まん我さん そして「鉄人」桂文太師匠というおいしいメンバーを揃えた 会でした。 開口一番は、本日の主役たまさんの「船徳」。 まくらで、今日は仁鶴師匠の独演会もあるというのにこちら へおいで下さって、と感謝の言葉。 テンポ良くてご陽気な雰囲気が楽しく、船の揺れッ振りがす ごくて 360° 廻るは、煙草に火を付けるのに七転八倒するは でもう大騒ぎ。(笑) 思わず見ているこちらの身体も揺れる、大熱演の一席でした。... [続きを読む]

受信: 2007.10.19 23:35

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