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桂吉朝三回忌追善落語会

2007/10/25 @天満天神繁昌亭

  • 吉朝一門 《口上》
  • 桂吉の丞 「軽業」
  • 桂千朝 「鴻池の犬」
  • 桂南光 「胴切り」
    ―― 中入り ――
  • 《偲い出トーク》
  • 桂吉朝 「くっしゃみ講釈」
  • 吉朝一門 《御挨拶》


 吉朝さんがあっちへ行ってもう 2 年になるんだなぁと、しみじみ。《偲ぶ》と云う言葉がまだピンとこないまま、あっと云う間でした。そう考えると、まだ受け入れられてないと云うか、受け入れたくないと云うか、信じ切れてないんだなぁと云う思いです。
 追善の会には吉朝ファンの面々が、遠方からも集結しました。直前でもチケットを買えたようで、入りが心配だったんですが、補助席も出る大入りに。


 まずは吉朝一門が勢揃いし、代表してあさ吉が口上。「こう云った口上の台詞は苦手なんですが、きょうはなるべく手短に、要点だけをかいつまんで」と、吉朝のよく使っていたギャグを。
 演者として、また客として、吉朝がよく国立文楽劇場へと足を運んでいたこと、師匠の米朝との二人会をとても喜んでいただろうこと、米朝のもとで内弟子生活をした吉朝一門にとって、『米朝・吉朝の会』はダブル師匠の会と云う感じで、喜びも 2 倍なら、楽屋へ戻ってからのダメ出しも 2 倍だったこと。
「トークのコーナーは豪華なメンバーで、おそらく延びるだろうと思います。あんまり延びた場合は、師匠のビデオが早送りになる場合もございます」
「師匠は舞台が大好きで、そしてお客さんのことが大好きでした」
 あさ吉らしいやわらかい語り口で、心にしみる口上。
 よね吉はいまにも泣き出しそうな表情。みなが国立文楽劇場での前座を経験しているなか、唯一未経験の吉の丞がこの日の前座を務めると名前が出たとき、吉の丞は涙をこらえるのに必死だった様子。

 落語の前座は吉の丞の「軽業」。もぎとりは一間の《大イタチ》と《取ったり見たり》でちょい短縮。軽妙な口跡が心地良く、見世物小屋の呼び込みの怪しい表情など、雰囲気作りが上手い。後半の軽業興行は綱渡りの所作にバランス感覚の良さを発揮。口上もきっちりと。

 千朝はペット・フードや盲導犬の話をマクラに「鴻池の犬」。前半は船場の大店の番頭と鴻池善右衛門の手代とのやり取りを丁寧に。後半はワンワン連合にホネ吸い遊びなど、独特の千朝ワールド全開。独特の口調で犬社会の描写に違和感なし。

 ざこばに替わって南光が中トリ。南光と吉朝は同じ高校の出身で、南光が 3 年先輩。噺家入門後も住まいが近所だったのでよくいっしょに飲みに行ったが、老け顔の吉朝がいつも先輩に見られてたそう。
 さらにマクラいろいろから「胴切り」へ。辻斬りにあった竹ののんびり具合がおもしろい。胴は風呂屋の番台として、足は麩を踏む職人として、それぞれ就職したところで「みなさん、付いてこられてますか?」。胴からの伝言で足のところへ行くと、足が「あんまり茶を飲まんように。おしっこが近ぅなります」。

 中入りをはさんで《偲い出トーク》は、下手側の床几に司会の三代澤康司アナウンサーとわかぎゑふ、中央の床几に桂米二、桂米朝、桂ざこば、上手側の床几に笑福亭鶴瓶、桂小枝。小枝は吉朝と同期だが、鶴瓶は以前に『ぴあ』で対談した程度。床几で別れてて離れてるのが不自然と、真ん中の床几に全員が寄り添って。
 口々に吉朝をクサしたり持ち上げたり。総論は「落語は上手いが、いたずらやシャレの度が過ぎる」。
 途中で南光や吉弥を呼び出してムリヤリしゃべらせたり。吉弥は、吉朝が失敗した話はないのか?と振られて、吉朝が江戸落語に挑戦すると云う趣向の会でダダスベリし、平謝りしてリクエストで追加の 1 席を演ったエピソードを披露するも、「失敗話ちゃうやん、美談やん!」とツッコまれる。
 ざこばと鶴瓶の脱線が多く、それはそれでおもしろかったが、もうちょっと米朝から話を引き出すようにしてもらいたかったかも。

 消灯した会場に出囃子の「外記猿」が流れる。スクリーンに高座が映し出されただけで拍手が起こり、吉朝が登場して再度拍手。着座したところで「グレート吉朝!」の大向う。
 落語のオチの分類から講談の話へとマクラをつないで「くっしゃみ講釈」へ。喜六(的男)と兄貴分の政とのやり取りがいきいき。のぞきからくりの「八百屋お七」や講釈の「難波戦記」も雰囲気たっぷり。うまおもろい高座を堪能。
 吉朝がそこにいた。

 最後に再度吉朝一門が揃って、代表のあさ吉がごあいさつ。
「もうなにもしゃべることはございません。我々弟子 7 人はもう、あとは芸の道を精進するだけでございます。これからも吉朝一門をどうぞよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました」


 大御所の集まった大会場での会で、出番が少なかったとは云え吉朝一門の 7 人はやや緊張気味だったかも。それでも《らしさ》で場をなごませたあさ吉さんの口上と最後の挨拶には心打たれました。
 目玉のトーク企画ですが、たしかに盛り上がったんですけど、もうちょっと吉朝さんのあれこれを聞きたかったと云うのが正直なところ。事前にいろいろ取材しておくとか、いっしょに会をしてた千朝さん、雀松さん、南左衛門さんあたりも入れるとか。落語を 1 席減らしてでもトークをもっと、と思いました。そんななか、同期の小枝さんの話は新味があっておもしろかったです。

 追善の余韻もそこそこに、繁昌亭へ猛ダッシュ。

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