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鈴本余一会 柳家小三治独演会

2007/10/31 @鈴本演芸場

  • 柳家ろべえ 「たけのこ」
  • 柳家三三 「五目講釈」
  • 柳家小三治 「百川」
    ―― 中入り ――
  • 柳家〆治 「お菊の皿」
  • 柳家小三治 「鰍沢」

※ 第五十九回/最終回


 まず 2 か月さかのぼります。
 8/31、横浜での 『ワールドコン』 から帰り、翌日 9/1 に今回のチケットを買うためチケットぴあへ。近所の店舗がなくなったんで、大阪へ出て買わねばなりません。
 万難を排して始発で行くも、すでに 20 人弱の列が。ひとりをのぞいて全員女性。「こらあかん‥‥」と思いつつも、このあと 『彦八まつり』 に行くつもりだったんで帰るものどうかと思い、とりあえず列ぶことに。
 そして 10 時。「ただただ待ってるだけではあかん!」と、携帯サイトでの発券に挑戦。これがまた遅々として進まず。
 1 分後、店員さんから「『○○』は完売しました」とのアナウンス。ジャニーズ出演の演劇だったらしく、ここでほとんどの女性が脱落。
 2 分後、携帯サイトでは枚数を入力して申し込みボタンを押すところまで進む。と、その直後、名前を呼ばれる。動揺を隠しきれず。
 3 分後、発券作業中にも携帯サイトにアクセスしつづけるも、こちらは 2 度ほどタイム・アウト。そのとき店員さんから「ご用意できました」のお言葉。思わず「ありがとうございます!」と力一杯の返事が口をついて出てました。
 そして、出てきたチケットがなんと 3 列目! 奇跡としか云いようがありません。その日はどうもサッカーの重要試合のチケット発売と重なってて、関東はそれで回線が飽和してたようです。

 で、今回の密航も「ぷらっとこだま」でビール片手にのんびり移動し、17 時頃に JR「御徒町」駅に到着。時間もあったんで、アメ横をブラブラしてみました。さすが名を馳せた商店街だけあって、活気がありますね。
 マクドで腹ごなしし、会場前で N さんと合流して入場。もちろん前売り完売で、立ち見のお客さんも。それよりも、カメラがたくさん入ってて、そっちの方が気になりました。ひょっとすると、ドキュメンタリー番組があるのかも。
 プログラムを見ると、小三治師匠は中トリとトリで、中トリの「百川」だけがネタ出し。トリは「おはなし」となってました。(ほかの出演者は「落語」) こりゃもう、誰しも「最後はたっぷり《ま・く・ら》や」って思いますよね。


 前回につづいて、今回もろべえがトップ。かなり緊張気味だったが、それでも噺の「たけのこ」に入るときっちり。隣から生えてきた筍をめぐって、隣家との間を行ったり来たり。一往復少なかったようだが、時間の都合?

 つづく三三はあまり頓着してないようで、マイペースな印象。今夏の浴衣事情をマクラに「五目講釈」へ。居候が講釈師になると云い出し、試しに一席演ってみるって噺。最初は「赤穂義士伝」を語り始めるも、途中からムチャクチャに。時事ネタやらなんやらてんこ盛りで、しかもそれがテンポ良く繰り出されるのが心地良い。

 小三治の 1 席目は、江戸の祭りと四神旗・四神剣の話から、ペリー来航の話をはさんで「百川」へ。田舎から出てきた百兵衛が料亭「百川」で働くことになるも、ひどい田舎弁で客との会話がことごとく食い違う。客の威勢の良さと百兵衛のぼんやり具合との切り返しがお見事。客に呼ばれたときの百兵衛の「うぅ~ひぇっ」って返事がなんともかわいい。

 中入りをはさんで、〆治は怪談の小咄をマクラ代わりに「お菊の皿」(上方の「皿屋敷」)をごくごく軽く。

 小三治の 2 席目は、仏教宗派の人気事情から、日蓮宗の総本山がある身延山、その近くにある句碑の里の話へとマクラをつなぎ、さらにその奥の「鰍沢」へ。
 雪の鰍沢で遭難しかかった旅人が、ようやく見つけた人家に宿を求める。そこに住んでいたのは、かつてあこがれた花魁と云う偶然。すすめられるままに卵酒を飲むと、疲れからすぐに寝入ってしまう。酒を買いに行った花魁と入れ違いに帰ってきた花魁の男が、冷めた卵酒を飲むとこれが毒入り。それを知った旅人は逃げ出す。追う花魁。
 笑いはほとんどなく、旅人の心情描写を軸に、偶然と運命、情と非情を淡々と、それでいて豊かに。ラストの、雪深い絶壁での緊迫感から、あまりにばかばかしいサゲへ、急転直下の緊張と緩和。
 小三治が描ききった落語世界に引き込まれた 1 時間。


 「百川」が 40 分、「鰍沢」が 60 分。たっぷりの《ら・く・ご》を堪能。
 最後だからと特別なことをせず、小三治師匠が出せる最高のカードを切ってきた、そんな印象でした。お得意のたっぷりマクラもなく、噺のためのマクラから本編へと云うスタンダードな構成が、逆に特別な会であることを感じさせました。
 22 年間続いたこれまでの 59 回の余一会を振り返る、なんてのは安易すぎる。それよりも、22 年間で培ってきた落語を高座で披露することで、お客さん自身に 22 年と云う年月を感じ取ってもらおう。そんな風に思われたのかもしれません。

 降りた緞帳のむこうから手締めが聞こえてきました。


 この会にしてはめずらしく 21 時過ぎの終演。その後、岐阜から密航されてた H さんと合流。さらに H さんと顔見知りの方々とも合流し、N さんもまじえて酒宴に。落語を肴におおいに盛り上がりました。
 私はその日の夜行バスを手配してたもんで、宴席を中座。後ろ髪引かれる思いで家路に。

鈴本演芸場

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コメント

小三治師匠の百川&鰍沢!羨ましい!
真打披露の興行で緞帳の向こうの手締めを聞きますが、いいものですよね。
いくら熱心な落語ファンでも観客では決して触れられない、「憧れの向こう側」という感じがします。

投稿: skri | 2007.11.03 11:14

>> skri さん
今回の小三治師匠の 2 席で、自分の落語経験値がスゴく上がったような気がします。
漏れ聞こえてきた手締めも、会の余韻に一役買ってるように思います。

投稿: わさび | 2007.11.03 23:51

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