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遊方のゴキゲン落語会

2007/11/27 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 月亭遊方 《幕開前戯噺》
  • 笑福亭鉄瓶 「テープレコーダー」 (作:笑福亭鉄瓶)
  • 月亭遊方 「酔いどれ交番所」 (作:月亭遊方)
    ―― 中入り ――
  • 月亭遊方 「訪問者」 (改:月亭遊方)

※ 第 23 回


 『月亭会』でも爆笑を届けてくれた遊方さんの定例勉強会。ザッと 45 人ほどと、なかなかの入り。遊方ブームの兆しあり、です。


 まずは遊方のトークから。会場アンケートを取ると、遊方の落語が初めてと云う客が 4 分の 1 くらい。遊方自身がちょっと動揺。
 電車の座席をめぐる「事実は小説よりも奇なり」な体験談をいろいろ。しっかり笑わせてもらう。

 落語は鉄瓶から。初めてだが、ジャニーズ崩れみたいな男前。鉄瓶ファンも多数詰め掛けてた模様。
 自作の「テープレコーダー」は、鉄瓶自身の中学生時代の体験談を落語化した、いわば《私落語》。母親のいびきを録音したことに端を発する噺。エピソードの特異性が弱いため、もうちょっと脚色が必要か。口跡は良いだけに残念。古典も聴いてみたい。

 遊方の 1 席目は、よく職務質問されるって話から、警察や交番にまつわる話いろいろをマクラに、自作の「酔いどれ交番所」を。交番に酔っ払いが訪れて‥‥って噺。前半の酔っ払いが警官に絡むくだりもさることながら、後半の帰りかけた酔っ払いが事件を知らせにくるくだりがおもしろい。事件性がないとわかってても現場へ行かなければならない警官のつらさが、繰り返しとともに笑いに。警官にお仕置きとばかりに耳を引っ張られる酔っ払いがおもろい。

 中入りをはさんで遊方の 2 席目は、弟子修業時代に気が回らなくて怒られた話や、病院で堂々と携帯電話を使う空気の読めない男の話をマクラに、古典「嫁の下駄」を現代版に改作した「訪問者」を。初めての結婚記念日を夫婦ふたりで祝おうとしたところに、空気の読めない男が訪ねてくる噺。男の空気の読めなさ具合もさることながら、だんだんリアクションが大きくなる妻のツッコミがおもしろ過ぎ。


 遊方さん自身は「アルバムからシングル・カットできるか試してるネタ」みたいなことを云われてましたが、なんのなんの、どっちもなかなかのおもしろさ。今回は 2 席ともイライラが笑いに転換するパターンの噺でしたが、遊方さん独特の所作がたのしかったです。

 次回は来年 2 月 1 日(金)です。

遊方 FOR YOU!

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月亭会

2007/11/25 @アークホール

  • 月亭八方 《ごあいさつ》
  • 月亭八光 「ちりとてちん」
  • 月亭遊方 「絶叫ドライブ ~彼女を乗せて~」 (作:月亭遊方)
  • 千樂一誠(舞踊千樂会) 《創作舞踊》
  • 八方・一誠 《対談》
  • 月亭八方 「稽古屋」

※ 第 1 回


 八方さんが中心になって一門の会がスタート。八方ファンには朗報です。
 事前に前売り券を買いに会場へ行ったんですが、かなり狭い空間でビックリしました。前売りも 80 名程度で締め切ったそう。


 開演 20 分前から八方が登場し、客と会話しつつ、あれやこれやとおしゃべり。照明や高座セット、座席作りに急遽レンタルした畳 20 枚と、設営だけでもかなりお金がかかったそう。「畳 1 枚 2 千円ですわ。ここらのぶっちゃけ具合は大阪ならではか。
 八方がラジオで 1 度だけ宣伝したのを聴いて来た客も多く、落語が初めての客がほとんど。そう云う意味では繁昌亭昼席に近い客層。

 開演時間になって、引き続き八方がごあいさつ。この会のルールとして「火事になったら、まず芸人から」。あとは番組案内を簡単に。

 落語は八光から。登場するなり客席から「八光ちゃんや」の声。さすがはテレビの人気者。町で出会った「ど~でもええ」話でしっかり笑わせる。
 「ちりとてちん」は南光の型だが、序盤の喜六の物喜びを(なぜか)ナレーションであらすじ紹介。あとはきっちりだっただけに、なぜ序盤をムリヤリ端折ったのか疑問。笑いが減るように思うが‥‥。

 テレビの人気者にはさまれて、知名度の低い遊方は不利な状況だったが、マクラのバス・ガイドの営業や教習所でのエピソードから笑い多し。
 乗り物つながりで、自作の「絶叫ドライブ ~彼女を乗せて~」へ。運転免許取り立ての男が彼女を乗せて初めてドライブ・デートに行く噺。緊張しまくりでメチャクチャな運転になる様子に、客席は大爆笑。

 “きよしのズンドコ節”に乗って千楽一誠が登場。白塗りメイクで艶っぽい。丸々 1 曲分きっちり踊る。
 八方が登場して対談に。ふたりが出会ったきっかけから、日本舞踊を中心に稽古事についてあれこれ。千楽会流のストレッチなんかも紹介。八方に云わせれば、日本舞踊には「ゴルフが上手くなる」「落ちてる物が拾いやすくなる」効能があるそう。

 トリの八方は、対談に続いて稽古事の話から。娘婿に習っている長唄にまつわる話をたっぷり。「鼻濁音(が行で鼻から息を抜く)が難しい」ってだけでしっかり笑わせる。
 「稽古屋」は最近よく掛けてるだけに手慣れたもの。前半の色事根問は軽快なテンポ。現代を思わせるクスグリも違和感なく、ここらは八方ならでは。後半は、営業後の稽古屋に喜六的男が訪れる設定で、稽古屋の師匠と男とがサシで稽古。踊りはダメ、長唄もダメ、サジを投げかけた師匠が地唄の「すり鉢」を覚えてくるようにと宿題に。サゲはその「すり鉢」の歌詞から。


 ちょうど 2 時間ぐらいでしたが、サービス満点の八方さんのトークもありましたから、実質 2 時間半くらいのボリュームでした。八方ファンにはたまらん会です。
 今後は月 1 回くらいのペースで開催し、勉強会としてネタ下ろしもするそう。落語に燃える八方さんの今後がますますたのしみです。できれば大師匠の可朝さんも引っ張り出してほしいところです。

 次回は 12 月 23 日(日)の予定です。

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千朝落語を聴く会

2007/11/24 @太融寺本坊

  • 桂佐ん吉 「いらち俥」
  • 桂千朝 「八五郎坊主」
  • 月亭八天 「おごろもち盗人」
  • 桂千朝 「三枚起請」

※ 第 44 回


 ちょっと早めに行こうと思ってたんですが、モタモタしてる間に予定してた電車に乗り遅れ、結局到着したのは開場直後。すでに 80 人ほど入ってたと思います。最終的には 150 席ほどがほぼ満席状態に。


 開口一番の佐ん吉は電車内での携帯電話のマナーについて笑わせてから、乗り物つながりで「いらち俥」。頼りない俥屋は佐ん吉ならではのかわいい感じ。威勢の良い俥屋もなかなかの勢い。集中的に掛けてることもあってかなりこなれた感じで、着物の裾の乱れも少ない。

 千朝の 1 席目は、会の案内で《月亭八天》を《桂八天》としてしまったことのお詫びから、自身も「《千朝》を《干朝》と書かれることがある」と浣腸ポーズ。
 「八五郎坊主」は、八五郎のとぼけたキャラクターが千朝のニンにぴったり。さらにズク念寺の和尚が、八五郎の頭を剃りながら「切れた。‥‥いまのは冗談じゃ」と云ったり、水鏡をのぞいてボヤく八五郎に「それは私じゃ」と云うときの表情など、ちょっとイチビリな性格に味付け。千朝独特の語り口がハマる。

 八天は名前のことからいつもの「月亭八天と云う男が出てハッテン」。さらにマクラをつないで「おごろもち盗人」へ。
 見台なしの型はひさしぶり。基本どおりきっちりと、途中に《おごろもち》の解説を入れる構成は無駄もそつもない。それでいてクスグリを上乗せし、お調子者の女房もたのしく、しっかり繰られていることがうかがえる。それだけに、途中の上下の乱れがもったいない。

 千朝の 2 席目は、現代のクリスマスにおける男女の在り方に物申してから「三枚起請」を。喜六・清八・源兵衛の性格付けが明確で、3 人のやり取りが漫才のようでたのしい。後半に登場するお山の小輝は、強がったり居直ったりとキツいようでいて、最後は客商売のつらさをこぼしたり、人間らしさがにじみ出た好演。


 休憩なしの 1 時間 45 分くらい。満足度高し、です。
 千朝さん、やっぱり良いですねぇ。地味と云えば地味なんですけど、奇をてらわないおかしみと云うか、ネタとニンがハマったときのノリは独特のもんがありますね。

 次回は来年 1 月 26 日(土)です。

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たまクラブ

2007/11/22 @大阪市内某所

  • 笑福亭たま 《ごあいさつ》
  • 笑福亭生寿 「つる」
  • 笑福亭たま 「ちりとてちん」
  • 瀧川鯉之助 「お血脈」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭たま 「愛宕山」

※ 第 4 回


 第 1 回に行ったきりだった、たまさんの秘密倶楽部へ。案内が会の 1 週間くらい前だったんで入りが気になるところでしたが、最終的には 20 人くらいに。緊急集会としてはまずまず?
 受付に座ったたまさんが、その場で二番太鼓の笛を吹かれてました。


 まずたまから簡単な番組案内。手伝いにきていた桂あやめの弟子の練習のために、ゲストの鯉之助以外は「石段」で上がるとアナウンス。

 落語のトップは生寿で「つる」。生寿自身のキャラクターと喜六的男の口汚さとの対比でおかしみ倍増。生き地獄の御隠居に「蚊ぁはションベンしたら血尿でっか?」。ネタがきっちり入ってるんでトントントンと口跡も良く、安心して聴いてられる。

 たまの 1 席目は「ちりとてちん」の解説から。現在よく演られているのは桂南光の型がベースになってるが、たまのは林家の流れをくむ型がベースで、「ふぐ鍋」同様に大橋さんが出てくる。
 旦那の誕生祝いにきた大橋にワサビを食べさせ、旦那のいたずら好きの前振りに。「隣、稽古屋さんでっか? テーンツテンテン。‥‥軒付けやってます」と、マニアックなクスグリ。最後は変わらずえげつなく大噴火。

 ゲストに東京から鯉之助。たまより 1 年先輩で、この会が大阪での初高座だとか。それなのにチラシもない秘密倶楽部でちょっとボヤく。探りさぐりな感じの語り口。
 前夜、鯉之助+たま+桂ぽんぽ娘+αで飲んだときの話のイントロダクションをマクラに、日本人の宗教観から「お血脈」へ。仏教の起こりからダジャレ満載だが、淡々とした語りでなぜか説得力あり。善光寺の血脈の印のおかげで閑古鳥の鳴く地獄から派遣された石川五右衛門が最後に大見得を切るも、ここはもう少しクサさがほしかったところ。

 中入りをはさんで、たまの 2 席目は前夜の飲み会の概要を。詳細はラジオ大阪『たまの袋とじ!』で、とのこと。
 ネタの「愛宕山」は 3 日前から繰り始めたと云うことでか、あちこちにスッキリしない部分が見られるも、たま版ならではの《京都の旦那 vs 大阪の幇間》の対比がたのしい。


 落語はたっぷり、秘密倶楽部ならではって感じのマクラもたっぷりで、なかなかに充実の会でした。

らくごの玉手箱

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坂口修一 Solo Act Live 『火曜日のシュウイチ』

2007/11/20 @in→dependent theatre 1st

※ Stage 66


 ぼちぼち寒くなってきたんで列ぶのも苦痛ですが、この日はアフター・トークがあると云うことで混雑が予想されたため、ちょっとだけ早めに会場へ。案の定、えらい行列になりました。予約はそれほどでもなかったそうですが、当日のお客さんがわんさか。おかげで開演が 15 分押しです。


 この日のメニューは↓こちら。

  • オープニング
  • 『スタンリーの受難』
  • シュウイチの輪
  • SyuTube
  • 『ミッド・ナイト・エクスプレス』 第 33 話 「クラブ レジェンド」
  • エンディング
  • おまけ:シュイチの部屋

月替わりゲスト作家作品 『スタンリーの受難』
 臆病で泣き虫で方向音痴のスタンリーが迷い込んだ森で出会ったわがまま姫。彼女のわがままをかなえれば、自分の願いがひとつかなうと云う。親友たちを助けに行くために、スタンリーは制限時間内に森を脱出できるか?
[作・演出:末満健一(ピースピット)]

超短編連続ドラマ 『ミッド・ナイト・エクスプレス』 第 33 話 「クラブ レジェンド」
 ホストとなった田々南徹。そこで出会ったキャバクラ嬢のユウキとの関係が‥‥。(全 50 話)
[作・演出:サシマユタカ]

 『スタンリーの受難』は、ピースピットの『呪いの姫子ちゃん』のスピンオフ作品。『呪い~』のなかで一時行方不明になるスタンリーが、実はこんな目に遭ってました‥‥って感じの構成。
 ものまねをさせたり、観客からの《わがまま》をこなしたり、アドリブ要素の強いお遊び多し。実際に制限時間 40 分を設定し、その中でドラマを完結させると云う趣向で、今回はギリギリセーフか。完全アウトの回もあったそう。

 『ミッド・ナイト・エクスプレス』は、もはや行方が読めない展開。なぜかホストになってる田々南徹にロマンスが。オチが辛辣。

 「シュウイチの輪」は、やっぱりつながらないときもあるんですね。それでもムリヤリつなげてゆく、その姿勢やあっぱれです。(そうせんと企画自体が破綻しますからねぇ)

 終演後、アフター・トーク。『呪い~』関連で、末満健一(ピースピット)、宮川サキ(pinkish!)、片岡百萬両(ミジンコターボ)、真心(Giant Grammy)が登場するも、宮川サキがええ感じの酔っ払いに。グダグダと云うよりグデングデンで、これがまたハラハラさせられるおもしろさ。この模様は シュウイチのシュウロク で聴けるかも!?!?


 スタートが遅れたこともありますが、アフター・トークが終わったときには 22 時半を回ってました。状況を見極めた進行を考えていただきたいところです。
 もっとも、今回の大入りは完全に想定の範囲外だったみたいですが。坂口さん本人がいちばんびっくりされてたみたいです。

火曜日のシュウイチ
坂口修一の日記

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繁昌亭夜席 大阪大学同窓落語会

2007/11/19 @天満天神繁昌亭

  • 林家染左 「みかん屋」
  • 林家染雀 「掛け取り」
  • 旭堂南海 『赤穂義士銘々伝』より「矢頭右衛門七」
    ―― 中入り ――
  • 中川桂(大阪大学講師)・南海・染雀・染左 《座談会》
  • 笑福亭福笑 「葬儀屋さん」 (作:笑福亭福笑)


 ここんところ企画会が続いている繁昌亭夜席。今回は大阪大学出身の芸人の会とのこと。なぜか福笑さんがゲスト出演です。
 月曜の夜で正直、入りが心配だったんですが、2 階席にも入ってそこそこの入りに。阪大関係者もかなり詰めかけてたようです。


 トップは染左。まわりから「なんちゅう嫌味な会や」と云われてたそうな。「みかん屋」を小気味良いテンポで。人物表現がきっちりしてるんで、安心して聴いてられる。

 つづいて染雀。マクラで羽織に関する豆知識。寄席で次の演者が来ると楽屋口に放ってあった羽織が引かれたと実際に放ってみると、すぐに引かれてドンドン。染雀はあわてて「時間いっぱい演りますよ」と「掛け取り」を。狂歌、浄瑠璃、歌舞伎の好き者を見事に追い返し。演ってる染雀本人がいちばんたのしそう。

 中トリの南海は逆に「IQ が高い」と強調しつつ、学生時代の引越の思い出を。唯一の持ち物である布団一式を持って阪急電車に乗ろうとするも、駅員に止められる。一計を案じ、布団を身体に巻き付けて「服です」と云うと、すんなり通してもらえたとか。
 たっぷり笑わせてから、『赤穂義士銘々伝』より孝行息子の矢頭右衛門七の話を、ウソかマコトか、笑いたっぷりでグイグイ引き込む。

 中入りをはさんで、中川桂(大阪大学講師/染左の実兄)氏の進行で南海・染雀・染左と座談会。3 人とも、阪大出身で得をしたようなことはほとんどないそう。うだうだ話にもどことなく知性が感じられたような。

 トリは(なぜか)ゲストの福笑。観客の雰囲気を掴みかねてるようで、いろいろとマクラを振るも、どうも演りにくそう。
 微妙な空気感のまま「葬儀屋さん」へ。噺に入ればさすがは福笑、徐々に観客を福笑ワールドへ引き込む。ただ、やはり意識しすぎてたか、いつもの爆発力は発揮できてなかったかも。それでも「手ぶらでは来はらへんがな」「そや、祝儀持って来よる!」では客席から「祝儀!」のリアクションあり。


 前半にきっちり、最後に爆笑、色変わりに南海さんの講談や座談会もあって、番組構成も良かったと思います。満足度高しの会でした。

天満天神繁昌亭

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安養寺寄席

2007/11/18 @安養寺

  • 笑福亭たま 「寄合酒」
  • 笑福亭たま 「厩火事」
  • 笑福亭たま 「禁酒関所」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭たま 「ちりとてちん」

※ 第 5 回


 年 2 会開催でひさびさの安養寺です。
 この会は近所のおばちゃんが時間ギリギリに集結する印象がありましたが、いつもお見かけする落語ファンが数名、近所のお客さんにも男性客がチラホラと、客層にもちょっとした変化が。最終的には 50 人弱くらいだったと思います。


 たまがひとりでなんと 4 席。
 「寄合酒」では、鰹節屋の息子と鬼ごっこではなくかくれんぼをして「も~い~かい?」「も~い~よ~」で黙って持って帰る。味噌の真贋を確かめるくだりや、最後にレンゲ(スリコギ)を取らすくだりで引っ張ったり、たまらしい工夫。
 「厩火事」は、自分本位で勝手気ままな亭主に対し、それでも惚れてる女房が、亭主の真意を引き出そうと画策。クルクル変わる女房の表情がたのしい。
 「禁酒関所」は侍の酔態もさることながら、最後の場面が凄まじい。酔っ払った侍が「丼鉢、持ってまいれ!」と、これに小便をなみなみと注いで一気飲み。

 中入りをはさんで「大安売」か「いらち俥」を演ろうと思っていたが、住職が「ちりとてちん」のネタ下ろしを観たいと云うことで、会場アンケートに。結果、「禁酒関所」とネタは付くが「ちりとてちん」に。
 なんでも「初めてです」と喜ぶ大橋っさんにワサビを食べさせ、旦那のいたずら好きを強調。ふたりで共謀して憎たらしい竹に豆腐の腐ったのを食べさせようと混ぜ物を作ってると、奥からもう 1 丁出てきて、《ちりとてちん》が大量に完成。
 数珠を持って駆け付けた竹は、旦那に「《ちりとてちん》知らんのかいな?」と云われて「朝昼晩、丼に 3 杯、一気食い!」と啖呵を切る。えげつないのが出てきても引っ込みがつかなくなり、丼の《ちりとてちん》をムリヤリかっ込むが‥‥。エズキまくりながらも完食する竹の食いっぷりが凄まじく、最後に爆弾投下。


 とにかく「ちりとてちん」がエグいのなんの。これはもう観てもらうしかありません。評価は真っ二つに分かれると思いますが、私はエズキ芸がたまさんらしくておもしろかったです。
 中入り前はマクラで話す内容を選んだり、ネタに合わせた小咄を演ったり、初心者向けの配慮がいつになく営業モードで、ちょっとかしこまった感じもあったんですけどねぇ。最後に大爆発でした。

らくごの玉手箱

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染雀珍品堂

2007/11/17 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 林家染雀 「位牌丁稚」
  • 桂文華 「高宮川天狗酒盛」
  • 林家染雀 「綿屋火事」
    ―― 中入り ――
  • 林家染雀 「染替桜姫雀文章」 (歌舞伎「桜姫東文章」より)


 繁昌亭からワッハ上方へ移動。今回の染雀さんの会は《珍品堂》と銘打ってめずらしいネタを掛けると云うことで、たのしみにしてました。
 上のワッハホールが『桂雀三郎独演会』と云うことで入りが心配でしたが、なんやかんやで 50 人くらいになりました。なかなかの入りです。


 まずは染雀がごあいさつ。この日は各所で落語会が多いこともあってか、手伝いがまったくおらず、楽屋は染雀とゲストの文華(と三味線さん)だけとか。雑事も多く、パンフレットも作れなかったそう。
 ケチの小咄から「位牌丁稚」へ。ケチの旦那の芋の値切り方を真似て、仏師屋へつかいに行った丁稚が位牌の代金を値切る。旦那のケチり具合がかなりムチャ。それを真似る丁稚もおかしい。サゲはエグいが。

 ゲストの文華の「高宮川天狗酒盛」は『東の旅』の一節とのこと。汚い格好で旅する喜六と清八が金持ちの振りして宿屋へ泊まるも、引っ込みがつかなくなって夜逃げ。その途中に山賊に出くわし‥‥って噺。木の上に逃げた喜六と清八だったが、喜六が小便を漏らすわ大便を漏らすわ‥‥。途中からの展開も汚いが、サゲもバカバカしい。

 ふたたび染雀。「綿屋火事」は艶笑噺。火付けや偽金が大罪だった時代背景をマクラに。綿屋の旦那が亡くなり、後家のお絹が綿屋の旦那の弟と結婚することになるが‥‥と云う噺。途中からのなんともバカバカしい展開が艶笑噺らしい。

 中入りをはさんで、歌舞伎「桜姫東文章さくらひめあずまぶんしょう」を桂あやめが落語化した「桜姫花菖蒲文章さくらひめあやめぶんしょう」を、さらに染雀が手を入れて「染替桜姫雀文章そめかえてさくらひめすずめぶんしょう」に。副題が「仕方噺百均劇場」で、百均ショップで買ってきた小道具を使っていろいろに見立てると云う趣向。
 マクラ代わりに「五段返し」を謡い、さらに踊りも披露。噺の方は、桜姫の数奇な運命をたっぷりと。


 染雀さんが演りたいことをたっぷり盛り込んだ感じでした。
 ネタはいずれも廃れる理由がわかるような気がしましたが、そう云うことも含めて伝え残してゆくことも、文化・風俗の伝承として必要かもしれませんね。

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繁昌亭昼席

2007/11/17 @天満天神繁昌亭

  • 森乃石松 「動物園」
  • 桂楽珍 「老婆の休日」 (作:桂文珍)
  • 林家竹丸 「豊竹屋」
  • 佳恵 《奇術》
  • 笑福亭晃瓶 「始末の極意」
  • 笑福亭鶴瓶 「Always お母ちゃんの笑顔」 (作:笑福亭鶴瓶)
    ―― 中入り ――
  • 林家染弥 「ふぐ鍋」
  • 笑福亭仁嬌 「八五郎坊主」
  • 笑福亭鶴笑 「パペット落語 立体西遊記」 (作:笑福亭鶴笑)
  • 笑福亭鶴志 「寝床」

※ 第 60 週


 鶴笑さんをたのしみに繁昌亭昼席へ。立ち見券も完売の大入りです。


 石松は「動物園」をコンパクトに、独特の味で。

 楽珍は最前列で寝てる客を気にしつつ、おばあちゃんネタの小咄いろいろ。

 竹丸は「笑いは身体に良い」と云う話から、義太夫の笑い方をマクラに「豊竹屋」へ。こちらも時間枠に合わせてコンパクトな印象。

 奇術の佳恵は初めて観たが、ハンカチ(薄い布)を使った手品中心。早替わりもあり。懐かしい感じ。

 晃瓶も初めて。「始末の極意」を丁寧に。安心して聴ける安定感。

 客電が落ちて鶴瓶の登場。紅白歌合戦の司会抜擢に関する裏話をマクラに「Always お母ちゃんの笑顔」を。学と母親とのビックリさせ対戦。何度か観てるが、それでも最後にホロリとさせる、良くできた噺。

 中入りをはさんで、染弥は「ふぐ鍋」をテンポ良く。もうちょい丁寧に演ってほしい場面もあったが、染弥カラーが出てて好印象。

 仁嬌は独特のやわらかい雰囲気で「八五郎坊主」を。サゲは「のりかす」で。

 お待ちかねの鶴笑は、マクラ代わりの紙切りで観客を十分に掴んでから、パペット落語の「立体西遊記」。孫悟空と赤獅子・青獅子の戦いを熱演。何度観てもおもしろい。
 出てきたときの拍手はまばらだったが、終わってみれば拍手喝采。前の席の男性客は笑い過ぎて咳き込みまくり。抜群の観客コントロール。

 十分にあったまったところにトリの鶴志が登場。貫禄十分で見台が小さく見える。「きょうは演りやすい」「これぐらいが丁度良い」でさんざん引っ張ってから「寝床」へ。あの体型でドスの効いた声なのに、すねる旦那がどことなくかわいらしい。ガッチリたっぷり、納得の高座。


 終盤の盛り上がりも良かったですし、テレビの人気者も観られましたから、きょうのお客さんは大満足だったんじゃないでしょうか。
 個人的には、鶴笑さんは期待通りのおもしろさで、鶴志さんのトリも納得。意外と云っては失礼ですが、染弥さんは他のネタも観てみたいと思いました。

天満天神繁昌亭

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育っちゃったらくご!

2007/11/16 @天満天神繁昌亭

  • 月亭遊方 「うなぎや」
  • 笑福亭たま 「厩火事」
  • 桂あやめ 「てなもんや左近ショー」 (作:桂あやめ)
  • 旭堂南湖 「魔術師」 (原作:江戸川乱歩)
    ―― 中入り ――
  • 桂三風 「下町の散髪屋さん」 (作:桂三風)
  • 桂三金 「まんじゅうこわい」
  • 《エンディング》

※ 第 8 回


 ちょっと早めに行ったつもりが、すでにえらい行列ができてました。どうも某新聞社のばらまいた優待券の影響がまだ残ってるようです。(あらたに配ってる?) 1 階席はガッチリ埋まり、2 階席にもお客さんが。最終的には 208 人と、これまでで最高の入りになったそう。


 トップの遊方の「うなぎや」は、遊方版と云える独自スタイル。暴れたウナギが女将さんの懐に飛び込んで、気持ち良くなってそのままどっかへ。腕を使って極太のウナギを表現し、これを追いかけて舞台袖へ消えてゆく。息切れの熱演。

 たまがマクラで遊方のことに触れると、舞台後方を遊方がモソモソ。瀧川鯉朝のことや、あやめがこの日のネタの台本を本番 2 日前に発見したことなんかも報告。
 「厩火事」は気分がコロコロ変わる夫婦がたのしい。

 あやめは弟子の話から、毎年恒例の年越しイヴェントのお知らせなど。昨年は繁昌亭で開催されたが、今年は諸般の都合により別所でとなったそう。
 「てなもんや左近ショー」は、博多出身の双子の姉妹漫才師のエピソードと、地下世界のバクテリアのエピソードがパラレルに展開。漫才師が瓜破霊園で稽古する振り付きギャグ「ボボンバボンボンパーコパコ」がなんともあやめテイスト。

 南湖は江戸川乱歩の「魔術師」を。講談として口演するに際し、乱歩の息子に許可を取ったそう。南湖らしく、ところどころに笑いを交えながら。一度は捕らわれた明智小五郎が大海原へ脱出するところでお時間に。このあとがかなり気になる。

 中入りをはさんで、三風は自身の髪型の話から「下町の散髪屋さん」へ。下町の散髪屋に町内出身の力士が訪れ、マスターに断髪式をしてくれと頼む噺。断髪式の司会が葬儀屋で、これがまた陰気でおもしろい。

 トリの三金は「まんじゅうこわい」をたっぷり。好きなもんの云い合いから怖いもんの云い合いへ。ここで怪談調になるかと思いきや、瓜破霊園で「パーコパコ」。最後にまんじゅうを食べる場面がなんともおいしそうで、ここらは肥満体ならではの説得力。

 最後に全員揃ってエンディング‥‥のはずが、なぜか遊方だけが不在。次回の『できちゃったらくご!』のチケットのプレゼントも。


 独特の語りで引き込んだ南湖さんや、熱演の遊方さんも良かったんですが、なんと云ってもトリの三金さんが秀逸。体型を活かした、抜群の説得力でした。この勢いで、夏には「蛇含草」を演ってほしいなと思いました。

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繁昌亭夜席 文福仲よし落語会

2007/11/12 @天満天神繁昌亭

  • 桂まめだ 「子ほめ」
  • 桂坊枝 「ちりとてちん」
  • 桂勢朝 「ハイウェイ歌合戦」 (作:小佐田定雄)
  • 千田やすし 《腹話術》
  • 桂文福 「豆屋」
    ―― 中入り ――
  • 《座談会》
  • 桂福楽 「上燗屋」


 最近の繁昌亭主催の夜席はテーマを設定した番組が多いようで、この日は文福一座興行。福楽さんや勢朝さんが出演と云うことで行ってみました。
 立ち見も出る盛況は販促をがんばったようで、夜席にもかかわらず 100 人の団体客が。取ってくるのもスゴいですが、それを受け入れられてしまう前売り状況ってのも‥‥。


 開演前にお茶子の桂ぽんぽ娘が上方落語協会誌『んなあほな』と上方落語協会手拭いの販売。これが長過ぎ。

 トップのまめだは「子ほめ」を訥々と。

 つづく坊枝は、まずまめだに関するエクスキューズ。曰く「リハビリ中です」。ネタの「ちりとてちん」は、まめだとの対比でえらい勢いに聞こえる。

 そして勢朝はあいかわらずのハイ・テンションで「ハイウェイ歌合戦」。商店街の慰安バス旅行の噺で、某球団 T ゆかりの名前が次々に登場し、ええ歌声を聞かせる。なぜかこの商店街に関係ない亀田さんも登場。

 吉田拓郎の“結婚しようよ”にのって千田やすしが出オチで登場。腹話術の方はごくスタンダードに。

 中トリの文福は、ダジャレづくしに落語教室に相撲甚句と、いつものフルコース。そのまま終わるかと思いきや、売り声いろいろから「豆屋」へ。ドスの効かせ具合がなかなか。

 中入りをはさんで、出演者が全員揃っての座談会はこれと云ったテーマもなくグダグダに。そこがまたおもしろかったりするから不思議。泊まりが好きな文福座長のエピソードがなんともたのしい。近所で飲んでた桂都丸も飛び入り。最後にまめだがぽんぽ娘に叱責されながら皿回しをサービス。

 トリの福楽は文福座長に軽くボヤいてから「上燗屋」を。追い燗させた酒が熱すぎるから冷や酒でうめろと云う酔っ払いに、上燗屋の親父は「勘定がややこしくなるから」と拒否。それに怒った酔っ払いが「この屋台、潰したる」とガタガタさせて脅し、それで豆が盛り皿からこぼれると云う、福楽らしく因果もきっちり。付き物のおからを食べるのに鰯をめくったり、ここらも芸が細かい。
 酔っ払いが道具屋で両替代わりに仕込み杖を買ってきて、上燗屋をビックリさせるところまで。押してたんであっさりめに、それでも酔っ払いの酔態や、それに応対する上燗屋や道具屋を丁寧に。


 全体にゆるぅ~い雰囲気の会でした。そんななか、福楽さんはさすがですねぇ。会の雰囲気はそのままに、それでいて細かいところまできっちり。時間があれば「首提灯」まで演っただろうと思うとチと残念でしたが、満足感の得られた高座でした。

天満天神繁昌亭
文福部屋

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文楽 11 月公演

2007/11/11 @国立文楽劇場

【第 1 部】

  • 近江源氏先陣館おうみげんじせんじんやかた
    • 和田兵衛上使の段
    • 盛綱陣屋の段
  • 艶容女舞衣はですがたおんなまいぎぬ
    • 酒屋の段
  • 面売りめんうり

【第 2 部】

  • 源平布引滝げんぺいぬのびきのたき
    • 音羽山の段
    • 松波琵琶の段
    • 紅葉山の段
  • 曽根崎心中そねざきしんじゅう
    • 生玉社前の段
    • 天満屋の段
    • 天神森の段

※ 第 108 回


 10 月末に予約しようと思ったんですが、とくに第 2 部の『曽根崎心中』が人気のようで、土日はかなり席が埋まってました。で、11/3 に窓口へ行くと、平日もえろう変わらん。考えあぐねてても仕方ないんで、かなり後方の席になりましたが、予定していたこの日に通しで。ちなみに今回の『近江源氏先陣館』と『曾根崎心中』は《吉田玉男一周忌追善狂言》と銘打たれてます。そう云う意味でもチケットの出足が速かったのかもしれませんね。
 いざ行ってみると、やはり後方席は若干空席あり。歌舞伎に比べると文楽は地味な印象がありますから、まぁこんなもんなんでしょうね。


 『近江源氏先陣館』は大坂冬の陣を鎌倉時代に移した時代物。登場人物が多いうえに朝が早かったもんで、ついウトウト‥‥。余計に話がわかりません。小四郎のけなげさだけは伝わってきました。

 『艶容女舞衣』は世話物。お園と云う妻がありながら、女舞太夫の三勝と恋仲となり、子供までもうけた半七。両家の父親によってバラバラにされた 3 人だったが、半七は三勝と別れきれず、お園が半七を思う心も変わらず。最後には心中へ‥‥。
 落語「住吉駕籠」で酔っ払いがうなる「今頃は 半七っつぁん どこにどうして ござろうぞ」(お園が半七を思って云う台詞)が出てきて、ちょっと得した気分です。

 『面売り』は、面売り女とおしゃべり案山子の踊り。女が、天狗、福助、ひょっとこ、おかめ、と次々に面を付けて踊る様が、遠目で見ててもかわいかったです。とくに福助がかわいい!


 約 4 時間半で第 1 部終了。毎度のごとく CoCo 壱番屋で腹ごしらえして第 2 部へ。こちらも似たような入り具合。さらに後方の席でしたが、2 等席には外国人のお客さんもチラホラ。


 『源平布引滝』は「平家物語」や「源平盛衰記」に取材した時代物。登場人物は少ないんですが、誰かが誰かに化けてたり、ややこしい。食後の満腹感も手伝って、ついウトウト‥‥。
 最後の「紅葉の段」は圧巻。大立ち回りの末に敵味方が横一列になって大見得を切ると云う、あり得ないけどカッコ良いエンディング。

 『曽根崎心中』は近松門左衛門の世話物の初作品。遊女お初と深い仲の徳兵衛が、九平治に金をだまし取られたばかりか、詐欺の汚名を着せられる。お初のいる天満屋を訪れた徳兵衛が死ぬ覚悟を伝えると、お初も同調。そして道行き‥‥。
 切羽詰まった徳兵衛が悲嘆に暮れた表情を編笠に隠して天満屋を訪れる姿、その徳兵衛をかばうお初。「もう死ぬしかない」と云うに十分な説得力です。


 第 2 部は約 4 時間。
 やっぱり最後の『曽根崎心中』は良かったです。これだけでももう 1 回観に行きたい気分です。自殺・心中を礼讃するつもりは毛頭ありませんが、日本人が忘れかけている美意識がそこに感じられるように思いました。

国立文楽劇場

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カシミヤ落語会 笑福亭たまのカシミヤ 100 %

2007/11/10 @カシミヤ

  • 笑福亭たま 「Myselves」 (作:たまよね)
  • 笑福亭たま 「寄合酒」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭たま 「初天神」

※ 第 10 回


 行けなかった前回はかなり入りが悪かったそうなんですが、今回は 40 人近い入り。しかも 8 割以上が女性客。たまさんもアイドル的人気が出てきた!?!?
 今回はたまさんが 3 席で、ひさびさの完全独演会。


 1 席目は客席アンケートから。「カシミヤのお客さん?」「落語ファン?」「繁昌亭で(たまを)観た?」などと訊くも、いまいち客層を掴みきれず。大阪弁のイントネーションの話から上方落語界での上下関係などいろいろ話すも、初心者向けに固有名詞を入れず言葉を選びながらで伝わりづらい。先日発表された繁昌亭大賞の裏話なんかも。
 ネタはたまよね作品で「Myselves」。20 歳でニートの男のところに、30 歳の自分や 40 歳の自分が現われる噺。タイム・パラドックスがクスグリになったりするが、細部をもうちょっと固めた方が観る側が安心できるかも。個人的ツボの《第 3 次 蛾次郎ブーム》が飛びそうになってヒヤヒヤ。

 2 席目の「寄合酒」はたまでは初めて。持ち寄り散財は「ぼんぼん噛もか!」が最初からえげつなく恐い。全体に下ネタ指数が高く、味噌の真贋を確かめるくだりはかなりスリリング。最後はレンゲ(スリコギ)で引っ張りまくり。

 中入りをはさんでの 3 席目は「初天神」。マクラで初天神や羽織の解説も。
 寅ちゃんにかなり知恵が付いてる感じで、隣のおっさんにある夜の出来事をしゃべる場面での表情がかなりいやらし。それにつられて隣のおっさんも調子にのる。
 寅ちゃんと父親が初天神に出掛けてからは、父親の心情変化がたのしい。最初は怒ってたのが、途中からおもしろがって、最後は必死に凧揚げ。


 今回はたまさんが最初に会場照明を明るくするよう指示されましたが、それでも客席はやや重め。笑いが単発で連鎖しない印象でした。とくにマクラで初心者を意識した解説を心がけているようでしたが、ネタに入ってからも意識し過ぎてたかもしれませんね。どのネタも緩急とネタ固めがほしいように思います。とは云え、「寄合酒」の味噌のくだりと「初天神」の後半はたまさんらしさが出てて良いですね。
 ただ、この会、結局いつの間にか値上げなんですよね。ゲストも入る『フレンドリー寄席』と同じ値段って、どうなん?

らくごの玉手箱
カシミヤ

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羅宇仕替屋

羅宇仕替屋

 落語ファンならご存知かと思いますが、煙管(キセル)の雁首と吸口の間の竹の筒を羅宇(ラオ)と云い、その交換職を羅宇仕替屋(ラオしかえや)と云ったそうです。
 写真はその羅宇仕替屋の道具だそう。某寺で見せていただきました。

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MEGADETH - Tour Of Duty

2007/11/6 @大阪厚生年金会館 大ホール


 落語会のチケットを買いにチケットぴあへ行ったときに偶然 MEGADETH の先行販売を目にし、奇跡的に 3 列目をゲット! テンション上がりましたねぇ。実際に席に行くと、かなりステージに近い! こんな前で観られることはもうないでしょう。
 2 階席には人がいましたが、3 階席はほんの数名。1 階も後方に若干空席があったようですが、まぁいろいろあったバンドですからこんなもんでしょう。


 19 時 5 分過ぎくらいに客電が落ち、新譜『UNITED ABOMINATIONS』から 1st トラック“Sleepwalker”でスタート。演奏はともかく、デイヴ・ムステイン〈Vo・G〉の声がほとんど聞こえん。
 ジェームズ・ロメンゾ〈B〉はマッチョな感じでなかなか雰囲気があるも、グレン・ドローヴァー〈G〉は普通過ぎる。「ギターって、まっすぐ立ってても弾けるんですよー」って感じ。もちろん曲によってはフロントの 3 人が前後に脚を開いてフォーメーションって場面もあるが、衣装も地味でスターらしさが薄い。‥‥と、逆に気になってたりして。

 私のようなにわかファンは“Hangar 18”なんかでテンションが一気に上がる。終盤、“She-Wolf”からのたたみ掛けは圧倒的で、首が勝手にヘドバン・モードに突入し、最後の“Holy Wars”まで振りまくり。
 最後にデイヴのピックばらまきがあるも、ゲットできず残念。


 終演は 21 時ちょい前くらいで、2 時間弱のセット。大阪は日本最終公演と云うことで、他の会場よりも演奏曲がちょっと多めだったようです。人気曲もしっかり組み込まれてましたし、心地良い疲労感で会場をあとにしました。
 ただ、デイヴの声は最後まで聴き取りづらく、そこだけが残念でした。おそらく座席位置の問題なんでしょうが、もうちょっとバランスの良い位置で聴きたかったかも。‥‥と、こんなこと云うと後方席の方に怒られそうですが。

  1. Sleepwalker
  2. Take No Prisoners
  3. Wake Up Dead
  4. Skin O' My Teeth
  5. Washington Is Next!
  6. Kick The Chair
  7. In My Darkest Hour
  8. Hangar 18
  9. Gears Of War
  10. A Tout Le Monde
  11. Tornado Of Souls
  12. Ashes In Your Mouth
  13. Never Walk Alone... A Call To Arms
  14. Black Mail The Universe
  15. Devils Island
  16. Trust
  17. Burnt Ice
  18. She-Wolf
  19. Symphony Of Destruction
  20. Peace Sells

  21. Holy Wars... The Punishment Due

MEGADETH

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桂都丸色々の会

2007/11/4 @誓願時

  • 桂都丸 《ごあいさつ》
  • 笑福亭たま 「ドーベルマン刑事」 (作:笑福亭たま)
  • 内海英華 《女道楽》
  • 都丸・英華 《色々トーク》
    ―― 中入り ――
  • 桂都丸 「船弁慶」

※ 第 3 回


 ラジオ・フリークの C さんがゲットされた招待券のおこぼれにあずかりました。毎度ありがとうございます。
 慣れない京都の町をぐるぐる。迷って思案してる目の前が誓願寺でした。もう 5 時を過ぎると寒いくらいですね。京都だから?
 本堂の立派な大仏の前にしつらえた客席に、入りは 100 人くらいでしょうか。前方の座布団にやや空きがありましたが、まずまずでしょう。


 商店街の方と誓願寺の方の挨拶につづいて、都丸が前説。自身の 30 周年の話から「今年は当たり年で‥‥」と、色々と。

 たまは「時うどん」と「ドーベルマン刑事」を会場アンケートに掛けて後者に。犬飼警部と田中刑事がドーベルマンのシナモンとともに事件に挑む噺。言葉を理解するシナモンのジェスチャーが漫画的でおもしろい。形としてはかなり固まってきた感じ。

 英華は三味線を手に色々おしゃべり。落語「愛宕山」に出てくる「愛宕山坂」や「淡海節」を歌ったり、都々逸を演ったり。艶やかにたっぷり。

 トークは都丸が英華に色々訊くスタイル。最初は旭堂南蝶の名で講釈師としてスタートし、漫談なんかも演ってたってな話を。ハメモノの例として「皿屋敷」の一節を実演したり。こちらもたっぷり。

 中入りをはさんでの都丸は、世話人からのリクエストで季節外れの「船弁慶」。全体的にかなりザックリした印象だが、またそこに都丸色が感じられるから不思議。人間味があふれた一席に。


 古典に新作に色物にトークと、幕の内弁当みたいな落語会で、まさに《色々の会》でした。都丸さんのお人柄が会全体に漂った感じで、色々をたのしめました。

 この会は年 1 回のペースで開催されてるそうですから、次回は来年の今頃だと思います。

都丸倶楽部
新京極商店街

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柳家三三 桂吉弥 ふたり会

2007/11/3 @天満天神繁昌亭

  • 桂吉の丞 「子ほめ」
  • 桂吉弥 「ちりとてちん」
  • 柳家三三 「不幸者」
    ―― 中入り ――
  • 柳家三三 「釜泥」
  • 桂吉弥 「くっしゃみ講釈」


 こちらではなかなか観る機会のない三三さんと、お仕事きっちりな吉弥さんの組み合わせ。東西注目の中堅若手ふたりの競演で、ハズレ指数の極めて少ない会です。
 カメラが入ってて 1 階後方の補助席は少なめでしたが、2 階に立ち見も出る盛況ぶり。座ってみられる幸せをかみしめました。(大げさ)


 開口一番の吉の丞は「米朝の弟子の吉朝の弟子の吉の丞」を念押し。「子ほめ」は大人をほめる(年を若く云う)くだりは仕込みのみで、伊勢屋の番頭とは会わずに自分の家へ帰り、すぐに子どもが産まれた隣の竹やんの家へ。あいかわらず口跡良く、極端な入れ事がなくても吉の丞らしさがそこここに。
 この日は前座で短縮版だったが、全長版が観たい。

 吉弥の 1 席目は、ネタ出ししていた「持参金」に替えて「ちりとてちん」を。NHK の『ちりとてちん』絡みのマクラで掴んでから本編へ。
 幇間風の喜六もさることながら、旦那が最初っからイチビリな感じに。嫌味な竹が長崎を「長ぁ~い町です、ヨッ!」と話すあたり、南光から付けてもらったか。安定感抜群だが、クサいと云うかクドいと云うか、前半はやや演出過剰な感じ。後半はそれがぴったりはまってくるんで、バランスも難しいところ。

 三三の 1 席目は、今夏の浴衣事情から「近頃の若者は‥‥」みたいな話へマクラをつないで「不幸者」を。芸者遊びが過ぎる道楽息子を下男に化けて迎えに行った旦那が、偶然にもそこで昔の女と出会う。物置のなかで旦那と女が誤解を解き合い、手に手を取って‥‥と云う大人の恋を艶っぽく。告白し合うふたりの心情の揺れを見事に。いやらしくなる手前でサゲる、粋な噺。

 中入りをはさんで三三の 2 席目は、『ちりとてちん』に出演する吉弥に対抗して映画出演した(けど、まったく気付いてもらえなかった)話からいろいろと、たっぷりのマクラ。さらに犯罪の話から「釜泥」へ。豆腐屋の老夫婦のやり取りがのんびりほのぼのとたのしい。

 吉弥の 2 席目は、なんじゃかんじゃとマクラを振ってから「くっしゃみ講釈」を。師匠の吉朝の型を継承しつつ、軽快なテンポで。後藤一山の「難波戦記」がくっしゃみにいたる前、修羅場読みとは云え後半は速すぎるようにも。


 三三さんも何度目かになりますが、上方にはなかなかないタイプのあっさりした芸風で、しかもきっちりしてて上手いですし、良いですねぇ。もっと観たいです。
 三三さんと組むと、吉弥さんでも濃いですね。しかもこの日はちょっと肩に力が入りすぎてたような気がします。ネタのチョイス次第なところもあるとは思いますが。
 とは云え、この日は前座の吉の丞さんも含めて「これぞ落語会!」って感じの高座で、満足感はかなり高かったです。このふたり会、ぜひ今後も継続してもらいたいです。

 ところで、三三さんの「釜泥」、観た記憶はないけどどっかで聴いたような‥‥と思ってたら、 ぽっどきゃすてぃんぐ落語 で聴いてました。

柳家三三 オフィシャルサイト
桂吉弥 ホームページ

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笑福亭三喬独演会

2007/11/2 @大阪厚生年金会館 芸術ホール

  • 笑福亭喬若 「へっつい盗人」
  • 笑福亭三喬 「ちりとてちん」
  • 笑福亭三喬 「我家のアルバム」
    ―― 中入り ――
  • 松旭斉小天正 《マジック》
  • 笑福亭三喬 「一文笛」

※ 第八回


 吉朝ファンで、いまではすっかり三喬派の C さんに誘われるまま、初めて三喬さんの独演会へ。芸術ホールでどれくらい入るのかな?と思ってたんですが、さすがに 2 階席はパラパラでしたが、1 階席(600 席)はほぼ埋まった感じ。スゴいですね。
 入場時にしっかりしたプログラムを手渡されました。なかにある三喬さんのごあいさつもシャレてて(ダジャレの連発で)おもしろいですし、豊田善敬(芸能史研究家)さんによる「『一文笛』のはなし」も興味深い。こう云ったちょっとした読み物も嬉しいですね。


 まずは三喬一門の筆頭弟子、喬若。独特の間で携帯電話オフを促してから「へっつい盗人」を。金のない喜六と清八が、宿替えの祝いの品にしようとへっついを盗みに行く。この喜六のボケ具合が強烈で、ちょっとクサいくらい。

 三喬の登場に「待ってました!」の声が掛かる。今年の東京での独演会で「ちりとてちん」を演ったところ、アンケートに「もっと上方らしいネタが観たかった」と書かれ、意地になって大阪でも演ることにしたそう。
 東京・秋葉原のメイド喫茶へ行った話でたっぷり笑わせてから、その「ちりとてちん」へ。なにを出されても「初めてでございます!」と喜ぶ喜六の様子がたのしい。後半の、なにを出しても「しょーもない!」と切り捨てる竹も、三喬が演るとどことなく憎めない感じがチラホラ。竹が長崎名産の《元祖》と《本家》の違いを説明するに《赤福餅》と《御福餅》を引き合いに出し、旦那が「それ、どっちもあかんのと違うか?」。竹曰く、ちりとてちんは「目ピリ鼻ツン」が食べ頃。

 着替えた三喬がつづけて「我家のアルバム」。三喬一家(三喬、妻、娘、息子)のエピソードをおもしろおかしく。「日本人として日本の歴史は知っとくべき」と云う三喬に対し、受験に関係ないことはまったく勉強しない子どもたちとのやりとりがたのしく、なぜか弟弟子の右喬も登場。これがまたおもろい。ビールにまつわる妻のエピソードから、最後はビールづくしでシャレのめして締め。

 中入りをはさんで、小天正のマジック。初めて観たがしゃべくりがおもしろく、コメディー・マジックと云うよりもマジック・コメディーの趣。それでも最後はちょっと不思議に。お見事。

 トリの三喬は、元刑事に聞いたスリの話をマクラに「一文笛」。桂米朝の作だが、三喬が「お古いところを聴いていただきます」と云ったのに違和感がない、もう古典と云って差し支えない噺。
 スリが主役で泥棒噺と云えなくもないが、職人としてのプライドを持つスリの心情描写がメイン。人情味よりも人間味に焦点を当て、入れ事なくきっちりと丁寧に、それでも三喬らしい空気・雰囲気が高座に。ネタ下ろしとは思えない、上手さが光る一席。


 たっぷり三喬ワールドを堪能した、そんな感じの独演会でした。三喬さん独特のやわらかさが心地良かったです。
 喬若さんの「へっつい盗人」はトリの三喬さんの「一文笛」とネタが付くようにも思うんですが、素人と玄人やから OK なんかな?とか、三喬一門では泥棒ネタなら OK なんなんかな?とか、ちょっと考えてしまいました。
 会場の大阪厚生年金会館が来年 9 月末で閉館になりますんで、次の会場がどこになるのか気になるところ。大阪城ホール?

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