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氣樂堂寄席 桂千朝の会

2007/12/30 @氣樂堂

  • 桂佐ん吉 「いらち俥」
  • 桂出丸 「みかん屋」
  • 桂千朝 「仔猫」
    ―― 中入り ――
  • 桂千朝 「けんげしゃ茶屋」

※ 第 6 回


 うどんで軽く腹ごしらえし、京阪で氣樂堂へ移動。ゆったりのんびり行きましたが、時間的余裕があって早々に到着。まだ準備も始まってませんでしたが、ほかに行くとこもなく、開場まで外で待つことに。
 年末と云うこともあってか、この日は 50 人ほどの入りでややゆったりめ。氣樂堂だと、これくらいの方がお客さんは楽ですね。


 まずは佐ん吉。マクラで大地真央主演の舞台に出る話から、交通機関に上手くつないで「いらち俥」へ。前半の走れない俥屋がたのしい。後半の韋駄天は裾の乱れが気になったが、このネタでは致し方なし。演り慣れてて軽快なテンポ。

 つづく出丸はひさびさに見たが、氣樂堂の出番もひさびさの 3 年ぶりだとか。ざこば門下で流行り(?)の「みかん屋」だが、ざこばやさん都のとは細部に違いも。テンポは良いが、口跡がやや平板か。

 先のふたりと比べると、主任の千朝はゆったりとしたテンポ。
 1 席目は、マクラで何年か前の大晦日の夜中に「大巨獣ガッパ」を観てしまった話で千朝ワールドを醸し出してから「仔猫」へ。使用人同士のおなべの噂話からじんわりええ感じ。後半の、おなべと対峙した番頭のビビリ具合と、そのおなべの田舎弁で、怪談調の雰囲気たっぷり。
 中入りをはさんでの 2 席目は、最近の若者言葉についてマクラを振ってから、死語が演題になっている「けんげしゃ茶屋」を。ゲンの悪いことばかり云う旦那が貫禄十分で説得力あり。


 最後に出丸さんをナビゲーターに抽選会。景品は氣樂堂特製 CD が 9 枚でしたが、またまた千朝さんの CD をゲット! ラッキーでした。

 千朝さんはたっぷりの 2 席。堪能いたしました。
 終演後、前回いただいた CD と今回ゲットした CD に千朝さんのサインをいただきました。さらに、用意したミニ色紙にもサインをしてもらいましたが、こちらは噺家のイラスト入りでほのぼのした雰囲気です。

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桂佐ん吉 桂ちょうば 二人会

2007/12/30 @天満天神繁昌亭

  • 桂佐ん吉 「寄合酒」
  • 桂ちょうば 「昭和任侠伝」 (作:桂春蝶)
  • 桂佐ん吉 「高津の富」
  • 桂ちょうば 「肝つぶし」

※ 2 日目


 朝はどうも苦手なんですが、ラジオ大阪『まもなく夜明け 米朝事務所です』に佐ん吉さんがゲスト出演されたときにこの会の宣伝をされていて、中日の演目が師匠の吉朝さんに最後に付けてもらった“プレミアム”「高津の富」だそうで、それをたのしみに行ってみることに。ちょうばさんと組んでの会と云うのもプラス要因。
 朝に雨が降って、ラジオで「前売りが 3 日分合わせて 50 枚しか売れてない」と云ってたんで入りが心配でしたが、この日は 130 人くらい入ってたみたいです。なかなかの健闘でしょう。


 佐ん吉の 1 席目は「寄合酒」。この日がネタ下ろしだったそうだが、全部入りで基本どおり忠実に。「ぼんぼん、噛もか!」での小拍子を使った鰹節の見立ては、張り扇を高座へ持って出るのを忘れたがゆえの緊急措置だったそう。(他の噺家が演ってるように、手拭いを丸めて使っても良かったかも)
 2 席目は「寄合酒」の言い訳をしてから「高津の富」を。全体に軽い印象で、金持ちぶった男の貫禄なんかもまだまだ。それでもネタはきっちり入っていて、しっかり稽古をしたことがうかがえる。走ることもなく、所どころに独自のクスグリや佐ん吉らしさが見られ、好印象の高座。

 ちょうばの 1 席目は、映画「武士の一分」のストーリーをバラしてから「昭和任侠伝」。ヤクザ映画を観てその気になる男の噺。任侠にあこがれてなりきる男の調子の良さがちょうばにピッタリ。
 2 席目はマクラで、椎間板ヘルニアで入院したときの話。病気つながりで「肝つぶし」へ。前半の、兄貴分の男と恋わずらいした吉松とのやり取りは、兄貴分の貫禄もなかなか。その男が自宅に戻り、寝てる妹に包丁を振り上げる場面で流れてしまい、バタバタッと終わってしまって残念。


 おふたりともまだまだな部分も散見されましたが、まだまだ前座で出ることがほとんどでしょうから、この日に演ったネタを高座にかける機会もそれほどなかったと思います。それを考えると、いずれもこれからに期待できる高座でした。
 終演後、おふたりがお客さんをお見送りされてましたんで、記念の寄せ書きサインをミニ色紙にしてもらいました。

 このあと、うどんで腹ごしらえして一路、京都の氣樂堂へ。

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枝三郎冬の陣

2007/12/29 @天満天神繁昌亭

【未成年者入場禁止の会】

  • 桂枝三郎 「時計屋」
  • 桂三金 「尻餅」
  • 桂枝三郎 「女護ヶ島」
    ―― 中入り ――
  • 内海英華 《女道楽》
  • 桂枝三郎 「紀州飛脚」


 読売新聞の優待客が多数で、開場前はなんとなく混沌とした雰囲気。チケットぴあのシステム停止も混乱に拍車をかけた様子。
 入りは 1 階がほぼ埋まり、2 階にもお客さんが。ちょっと気になったのが、この会は艶笑噺特集で未成年者入場禁止のはずなのに親子連れがいたこと。すぐに帰られたようですが、しっかりされてる枝三郎さんの会にしてはチェックが甘かったですね。


 まずは枝三郎が、挨拶代わりに艶笑小咄から。地方ではちょいちょい演るそう。
 ネタの「時計屋」も短い噺で、妊娠したかもしれない女性が産婦人科と間違えて時計屋に電話をかけてしまい、双方勘違いでやり取りが進行。サゲはストンと。

 三金は『大銀座落語祭 2007』前後の運の悪さをマクラに、「尻餅」をたっぷり。三金が演ると貧乏世帯の夫婦も陽気な雰囲気に。

 枝三郎の 2 席目「女護ヶ島」は、絵本に出てくる女護ヶ島へ行ってみる噺。小人国、大人国、手長島、足長島なんかを経て、女ばかりの女護ヶ島へ。一眼国がクスグリになってたり、前半は不思議満載。女護ヶ島へ到着してからは楽園か苦園か。

 中入りをはさんで、英華が端唄や都々逸など粋なところを。

 枝三郎の 3 席目は、自分で企画したものの同じようなんばかり演るのはツラいと云いつつ、艶笑小咄をはさんで「紀州飛脚」へ。
 立派なイチモツを持った男が旦那に頼まれて和歌山へ飛脚仕事。途中で小便がしたくなるも、面倒くさいと走りながら垂れ流し。それが狐にかかり、親子狐が仕返しを‥‥と云う噺。後半の展開はかなりムチャで、バカバカしくもおもしろい。


 めずらしいところをいろいろ聴かせていただき、なかなかたのしめた会でした。いま、艶笑噺を演られる方は少ないんで、貴重な機会だったかも。染雀さんあたりと組んで、数人で艶笑噺の会をってのも良いかもしれませんね。

桂枝三郎の部屋

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生喬のスイートテン落語会

2007/12/27 @大阪市内某所

  • 笑福亭生喬 《ごあいさつ》
  • 笑福亭たま 《ショート落語》
  • 桂つく枝 「田楽喰い」
  • 桂こごろう 「水屋の富」
    ―― 中入り ――
  • 林家花丸 「鉄の誓い」 (作:佐和良春雄)
  • 月亭遊方 「酔いどれ交番所」 (作:月亭遊方)
  • 笑福亭生喬 「ぞろぞろ」
  • 生喬夫妻 《ごあいさつ》


 生喬夫妻の結婚 10 周年を記念した、生喬夫人プロデュースの会が実現。演者・演目はおたのしみでした。
 生喬さんの会(『生野弁天寄席』と『生喬まるかじりの会』)の DM 名簿から選抜されたお客さんに案内が送られ、会場には 50 人ちょいのお客さんが集まりました。


 まずは生喬による会の趣旨説明。開催には、周囲に情報が漏れないようになど、いろいろと気を遣ったそうな。

 落語の部のトップは生喬夫人のお気に入りのひとり、たま。生喬の会とたまの会がバッティングしたとき、夫人が生喬に「たまの会に行って良い?」と訊くと、生喬が「ほんだらおまえ、たまと結婚せえや!」とキレたとか。
 ショート落語も生喬夫人セレクション。いきなり「SM 夫婦」から始まり、ギリギリの「本質はいっしょ」や「ドラえもんとのび太が文枝師匠だったら」など。

 つづいてつく枝が「別にめずらしいことないでしょ」。生喬夫人とつく枝夫人の対比をマクラに、師匠の文枝に勧められて演るも「おまえに向いてへんわ」と云われた「田楽喰い」。つく枝が演ると、みなが飲み助と云うより食いしん坊に見えてくる。ん廻しの云い立てに独自の工夫が。ながながと歌ったわりに 1 本だけだったりがたのしい。

 中トリはこごろう。生喬とこごろうの入門前後の話から、もともとこごろうファンだった生喬夫人と生喬との馴れ初めを赤裸々に暴露。
 ネタはめずらしいところで「水屋の富」。床下に隠した富くじの当選金が気になって、水屋の仕事はおろか睡眠もままならなくなる男の噺。悪夢にうなされ徐々に疲労困憊となる水屋の表情をこまやかに。

 中入りをはさんで、長ぁ~いシャギリのあと、顔を両手で隠して登場した花丸は「なんの意外性もなくてすいません」。「鉄の誓い」は「優勝祝い」と云う新作台本に花丸自身が手を入れて以前に数回演ったことのある噺で、もう演ることはないと思ってたそう。
 学生相撲の孫とその祖父とのやりとり。ふたりのキャラクターが独特で、祖父の「いけるか? やれるか? 大丈夫か?」の繰り返しにおかしみが。この噺があったからこそ花丸の「幸助餅」がある‥‥とは、後の生喬の弁。

 つづいて登場した遊方は最近の生喬夫人のお気に入りで、生喬から夫人へのサプライズ・ゲスト。遊方自身も会の趣旨を前日まで知らなかったとか。場違いなところに出てきたなぁと云う表情で「よぉ考えたら、そない生喬のこと知りません」。
 夫人が生喬におもしろかったと云っていた「酔いどれ交番所」は、深夜の交番の警察官と、そこを訪れた酔っ払いとのやり取り。後半は紛らわしい通報をする酔っ払いを警察官が懲らしめる展開で、高座の上で七転八倒の大熱演。おもしろさパワー・アップ。

 トリの生喬は、マクラにここまでの番組についてあれこれ語りつつ、これが生喬から出演者への謝辞のよう。
 長い噺ではありませんと断ってから「このお噺は、大阪の野漠と云うところにいたラクダの卯之助と云う男が、一切関係ありません」としゃれのめしてから「ぞろぞろ」へ。茶店の老夫婦やそこを訪れる客、茶店の向かいの床屋の親父を表情豊かに。

 最後に夫婦揃ってごあいさつ。万雷の拍手で終演。


 ラクゴリラ+ゲストの構成で、しかもめずらしい噺も観られて、番組的にも美味しい会でした。お客さんの反応もあったかく、生喬夫妻にとって結婚 10 周年の良い記念になったと思います。客の立場としては 20 周年に期待!です。

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平穏亭 桂あさ吉お噺会

2007/12/26 @Gallery HAY-ON-WYE

【今回はぜんぶ英語落語だぜぃ!】

  • 桂あさ吉 「Time Noodle」
  • 林家染太 「Eye Doctor」
  • 桂あさ吉 「KAKIWARI」

※ 第 3 回


 開場前に到着したんですが、とにかくこの会は出足が悪いです。開演頃にもぞろぞろお客さんがくるんで、ちょい押してのスタート。
 結局 30 人くらい入ったんですが、そのうち 3 分の 1 くらいは外国人。ほかのお客さんもほとんどが英語学校関係者のようでした。


 まずはあさ吉がイントロダクションとして、お囃子紹介代わりに笛の演奏。三味線の稽古で譜面のめくり方をほめられたエピソードや、某元首相の失敗談をマクラに英語版「時うどん」。昔の時刻の解説はせずに、現在の 9 時と 5 時で。代金は 16 文とそのままだが、これでもとくに問題なし。うどんと出汁のすすり方はあいかわらずの超絶技巧。かまぼこは Fish Cake、やわらか過ぎるうどんを食べたときは“Umm... Becha-Becha”。最初から最後まで、ほぼ全編英語。

 染太は日本語で英語に関するマクラから、英語で「猿の運転」の小咄をはさんで、英語版「犬の目」を。ときどき日本語でフォローしながら。あさ吉に比べるとまだ演り慣れてない印象。

 あさ吉の 2 席目は、ビザ発行の面接で「物云う花」の小咄を英語で演ったときの話で爆笑を誘ってから、英語版「書割盗人」。描いてもらう家財はわかりやすく変えつつ、日本語も交えながら。盗人の“... in my mind”(~のつもり)の繰り返しがたのしい。


 3 席で 1 時間ちょい。英語落語の会としてはこれくらいの時間割りでちょうど良いと感じ。外国人もよく笑われてましたし、英語学習の教材として十分使えると思います。ええ雰囲気の会でした。
 英語できっちり演らなければならないこと、アドリブが利かないことを考えると、本来のあさ吉さんらしさが活かされないようにも思いますが、これもまたあさ吉落語なんですよね。不思議な噺家さんです。

 2 月 26 日(火)の『桂あさ吉英語落語独演会』では英語版「茶の湯」のネタ下ろしを演るそうです。こちらもたのしみ。

Gallery HAY-ON-WYE
桂あさ吉@ブログ

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できちゃったらくご!

2007/12/25 @天満天神繁昌亭

  • 《オープニング》
  • 旭堂南湖 「ミシュランガイドの由来」
  • 桂三風 「ミシュランが来たー!」
  • 月亭遊方 「あほーりーないと」
  • 桂三金 「奥野君の X'mas」
  • 笑福亭たま 「しつけ」
  • 《エンディング》

※ 第 39 回
※ とくに記載のない場合は自作ネタ


 クリスマスに『できちゃった!』レイトショー。
 年末やしクリスマスやし寒いし遅いしで、入りは 60 人ぐらい。それでも『できちゃった!』初体験っぽいお客さんがチラホラ。


 この日の進行のあやめがクリスマス・カラーの着物で登場し、前日の『姉様キングス クリスマスショー』のことをあれこれ。その後、三風、遊方、たま、南湖がうなだれながら登場し、ハイ・テンションの出番順決定ジャンケン。

 トップの南湖は動揺しつつスタート。遊方の弟子見習いの芸名あれこれをマクラに、『ミシュランガイド東京』を紹介してから、その由来を。それらしくもばかばかしい。「講釈師 見てきたように 嘘を云い」。

 三風は南湖とネタが付いて演りにくそう。緊張しいの料理長が勤めるとある料亭に『ミシュランガイド大阪』のための調査員が来る‥‥と云う噺。料理長の気を静めるために、スタッフ全員(観客)が童謡“故郷”を歌うと云う趣向。サゲは南湖に云われてしまう。

 遊方はマクラいろいろから、はずかしそうに本題へ。アホアホ星人の来襲に人類滅亡の危機に直面したとき、ひと組のカップルが逃げまどう‥‥と云う、遊方にはめずらしい SF 落語。序盤は小学生的発想ながら、映画「タイタニック」な展開の後半はきっちり“My Heart Will Go On”も流してなかなか。

 ここで別の仕事から戻れた三金が飛び入り参戦し、クリスマス・ケーキを売るアルバイトの噺。バカップルや酔っ払いにキレつつ、向かいのミニスカサンタの女の子に妄想。期間限定ネタ。いつもの《奥野君シリーズ》で、ちょこちょことやたらリアルな描写あり。

 たまもマクラで遊方の弟子見習いの話。弟子志願の 16 歳の男の子に付き添う母親を見た遊方が「友達か?」。
 ネタは、教育評論家の女性が自宅で取材されるも、帰ってきた息子がえらい不良息子だった‥‥ってな噺。隣部屋を扇子に隠れて声だけで。不良表現がやや古いか。

 最後に全員集合。あやめは姉キン・シャンソンの衣装にお色直し。サンタのなごみちゃん(あやめの娘)も登場し、ジャンケン大会でのプレゼントや、キャンディーのおみやげも。


 緊急参戦の三金さんもあって、終演は 23 時頃に。未完成な部分も多かったですが、そこらも含めて『できちゃった!』のおもしろさでしょう。ネタ披露のなかったあやめさんはいつも以上にノリノリでした。
 遊方さんとたまさんは前夜から、電話でネタの完成状況を確認しあってたそうな。会の直前にも繁昌亭の近所の喫茶店でネタのプレビューを大声でしてたそうで、かなりの難産だったようです。

 次回の『できちゃったらくご!』は 2 月 25 日(月)。その前に『育っちゃったらくご!』が 1 月 9 日(水)にあります。

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姉様キングス クリスマスショー

2007/12/24 @天満天神繁昌亭

  • あやめ・染雀 《ご挨拶》
  • 林家染雀 「宗論」
  • 桂あやめ 「営業一課の高田君」 (作:桂あやめ)
    ―― 中入り ――
  • 姉様キングス 《音曲漫才》
  • おしどり 《音曲漫才》
  • 姉様キングス 《シャンソンショー》
    1. エクスタシーいくよくるよ
    2. 嘆きのボイン
    3. カリンカ
    4. パルナスの歌
    5. Happy Xmas (War Is Over)
    6. いんじゃもん de コマンタレブー


 姉様キングスは何度も観てますが、洋装ヴァージョンでのシャンソンは今回が初めて。この日をどれだけたのしみにしてたことか!
 立ち見も出る大入り満員札止め。クリスマス・イヴに、みなさんどうしたんでしょう? 他人のことは云えませんが。


 まずはあやめと染雀でごあいさつ。染雀が「松づくし」ならぬ「もみづくし」を舞えば、あやめは電飾付きの星のオーナメントに。最初からサービス満点。

 染雀は何事にもある陰陽の解説をマクラに「宗論」。仏教徒の父親とキリスト教徒の息子が対立。特徴的なイントネーションで「○○であります!」を連発する息子が狂気じみていて『天才バカボン』的雰囲気を醸し出す。

 あやめはこれまでのクリスマスの思い出をマクラに、24 歳で結婚すると云う誓いを立てていた自分自身を投影した「営業一課の高田君」。見合いをすることになった OL が、その前に職場で気になる男性にアタックする。所どころに《いま》を散りばめた効果もあり、古くささを感じさせない。サゲもきれいに決まる。

 中入りをはさんで、お待ちかねの姉様キングス。この日はあやめが朱の着物、染雀が緑の着物でクリスマス・カラー。会場には姉キン初体験の観客が多数。姉キン誕生秘話をマクラ代わりに、都々逸、ストトン節、阿呆陀羅経。客層を意識してか、ネタはややマイルド。(あくまで「やや」)

 姉キンのお色直しの間におしどり。いつもと違うテンションのケンに、マコも若干とまどい気味。ケンのパントマイムがいつもより多めにフィーチャーされていて、初めて観るネタも多数。アドリブのおもしろさがふんだんに。

 再登場の姉キンは、金髪カツラに真っ赤なドレスに白のショール。メイクは『妖怪人間ベム』のベラのよう。音曲漫才ではあやめ小路ビッ千代&雀リーヌお染だが、シャンソンではマダム・アヤメビッチ&ミス・ジャクリーヌ。アコーディオン伴奏はマコリーヌことおしどりのマコ。
 基本はあやめがヴォーカルで、染雀はキーボード&コーラス。まずは“エクスタシーいくよくるよ”を朗々と歌い上げ、「実在の団体名とは一切関係ございません」。あやめが入浴中に天から歌が降りてきたと云うだけあって、歌詞がシュール過ぎる。サウンド・バランスはかなり悪いが、単発イヴェントでは致し方なし。
 ここで OBC『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』に生出演。梅田淳と原田年春(OBC)が登場し、ふたりとトーク。
 つづいて月亭可朝の“嘆きのボイン”も、キーが変わるとシャンソンっぽく聞こえるから不思議。
 ロシア民謡“カリンカ”はダジャレ替え歌に。ロシアつながりの“パルナスの歌”ではコーラス隊(桂三金、桂都んぼ、林家市楼、おしどりケン)が登場。つづく“Happy Xmas (War Is Over)”は大阪弁空耳。
 おしどりのミニ・コントの間にふたりはお色直し。あやめが白、染雀が黒のドレスに着替え、最後はオリジナルの“いんじゃもん de コマンタレブー”。おなかいっぱいになって大団円。


 いやはやとにかく大満足です。あやめさんの閃きと発想と企画力はさすがです。アイディアのすべてがおもしろさに昇華してます。
 こんなおもしろい企画は毎年開催していただきたいです。そして次回はシスター・スリーゴールドとのジョイントもお願いします。

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桂雀太ひとり会

2007/12/23 @TORII HALL

  • 桂さん都 「動物園」
  • 桂雀太 「遊山船」
  • かみじょうたけし 《漫談》
  • 桂雀太 「天災」
    ―― 中入り ――
  • 桂雀太 「池田の猪買い」

※ 第 3 回


 文の里から難波へ移動。開演時刻を間違えていて、えらい早く着いてしまいました。それでもわりと早めに列ができはじめたんで、怪我の功名?
 今回で『ひとり会』は 3 回目だそうですが、なんと前売り完売で、約 130 人の大入り。しかも客層が普段の落語会と違って 20 代のお客さんがほとんど。さらに女子率高し! スゴいね、雀太さん!


 開口一番のさん都は「動物園」。雀々型と思われるが、トラの男がもう少しはじけて、笑わせるところでもうちょっと盛り上げても良いかも。それでもネタはきっちりだったんで、今後のトラの成長に期待。

 雀太の間に漫談のかみじょうたけし。どっかで見たことあるような気もするが、ちゃんと観るのは初めて。前半はかなりアウェーの雰囲気だったが、後半のモノマネ(高校野球の監督や板東英二)がウケる。

 雀太の 1 席目は、夏の京都で写経をしたときの話をマクラに、真夏の噺で「遊山船」。師匠の雀三郎ゆずりのド派手なオープニングから、大川の橋の上で喜六と清八のやり取りを軽妙に。舞妓の振袖に南京豆を入れたら‥‥のくだりはしつこいくらいに。
 2 席目は、マクラで横浜での雀三郎と昇太の会での打ち上げの話。騒ぎまわる子どもを脅すも、横浜の子に大阪弁が通じず苦労する。昇太の弟子(?)の「アニさん、大変です」がおかしい。「天災」はいらちの男の「ここ(眉間)だ、バーン! 鼻血、ダー!」の繰り返しが効果的。
 中入りをはさんで 3 席目は、心理学者の話をマクラに「池田の猪買い」。猪肉を買いに行く男のお調子者ぶりが光る。


 前座以外で雀太さんを観たのは初めてだったんですが、引き芸タイプですね。ネタをきっちり作り込んでしっかり繰ったことが伝わってきました。ただ、もうちょっとはじけても良いかも、とも思いましたが。なんにせよ、もっと観たいと思わされたのは確かです。
 雀太さんは 3 席ともネタにつながるようなマクラを用意されてました。かなりマメな性格なんでしょうかね。しかもそれがどれもおもしろいんですから、さすがです。

桂雀太の“ネットでじゃくったれ!”

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月亭会

2007/12/23 @アークホール

  • 月亭八方 《ごあいさつ》
  • 桂雀喜 「子ほめ」
  • 月亭八天 「替り目」
  • 月亭遊方 「虚礼困惑騒動」 (作:月亭遊方)
  • 千樂奈美(舞踊千樂会) 《創作舞踊》
  • ジョニー広瀬 《マジック》
  • 月亭八方 「次の御用日」

※ 第 2 回


 遊方さんによると、第 1 回の打ち上げで第 2 回の年内開催が急遽決まったそうな。八方さん、気合い入ってますねぇ。
 今回は椅子席を増やしてキャパを 80 から 100 にアップ。ほぼ満席です。


 まずは八方がごあいさつ。前日まで声が出にくかったそうだが、当日になってなんとか出るようになったそう。年末に出版される 『八方の楽屋のぞきめがね』 絡みの話を中心に、前説から笑いたっぷり。

 鳴り物で呼ばれていた雀喜が八方のはからいで 1 席。自己紹介でいきなり噛むも、気を取り直して小咄をいくつか演ってから「子ほめ」を、時間枠の都合でやや端折って。丁寧な噺運びに好感。

 八天は酔っ払いの小咄から「替り目」を。亭主にはもうちょっと酔っ払い感がほしいところだが、こちらもいつもながら丁寧。亭主が女房に感謝する様子を見られて照れるところまで。

 遊方は八方目当ての客に最初は演りにくそうだったが、マクラでおもしろエピソードを話し始めればいつもの調子に。ネタは自作の「虚礼困惑騒動」。知り合いから送られてくる豚足饅頭に辟易する噺。あまりの不味さにとうとう電話で断りを入れる場面が秀逸。

 ゲストの千楽奈美(舞踊千楽会)は美空ひばりの“車屋さん”でひと舞。
 サプライズ・ゲストのジョニー広瀬は NGK で慣らしたトークもたのしく、マジックの不思議さもきっちり。

 八方はマクラで、市村正親と篠原涼子の間に子どもができたことについて熱く語る。八方自身が市村正親と年齢が近く、そのことが今年いちばんショックだったそう。
 落語は「次の御用日」のネタ下ろし。ややたどたどしい部分も見受けられたが、登場人物の描写はさすが。とくに丁稚の常吉がかわいい。天王寺屋藤吉の脅しは「あーーーーっ!」と長めで、奉行所での取り調べでは顔を真っ赤にしての熱演。八方独特の語り口が心地良い。


 サービス満点でサプライズもあり盛り沢山。中入りなしで 2 時間半になってしまいました。あまり疲れを感じなかったあたりにこの会の充実度がうかがえます。
 八方さんは声が出にくいのに、よりによって「次の御用日」とは皮肉でしたが、ネタ下ろしとしては及第点を軽くクリアしてましたね。さすがです。

 次回は 2 月中旬の予定です。

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雷 ON ハート

2007/12/22 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 桂ぽんぽ娘 「平林」
  • 雷門獅篭 「仕立おろし」
  • 雷門幸福 「紙入れ」
    ―― 中入り ――
  • 雷門幸福 「寿限無」
  • 雷門獅篭 「火焔太鼓」

※ 第 9 回


 以前から気になってた雷門のおふたり、獅篭さんと幸福さんの会へ初潜入。遠方からの追っかけファンもいて、入りは公式発表で 26 人。


 プログラムになかったぽんぽ娘が飛び入り前座。大須演芸場の思い出話をマクラに「平林」を。舌っ足らずなしゃべりも気にはなるが、それよりも標準語にときどき大阪弁が混じるのに違和感あり。どっちかに統一した方が良いだろう。

 獅篭の 1 席目は、松任谷由実の“恋人がサンタクロース”が現代のクリスマス観を変えたとボヤきまくりのマクラ。さらに忘年会の余興で酔っ払いの相手をするつらさをボヤいてから「仕立おろし」へ。
 前半は「親子酒」の息子とうどん屋とのやり取りと似てて、こちらは亭主と支那そば屋。亭主が家へ帰ってからは女房と「替り目」でのやり取り。最後は亭主にバカにされた女房が着物を仕立て始める。
 現代のクスグリがポンポン入るも、ネタ的にギリギリ OK ラインか。

 幸福の 1 席目は、会が『M-1 グランプリ』と日程が重ならなくて良かったと胸をなで下ろし、いろいろとマクラをつなぐ。艶笑小咄を 2 つ演ってから「紙入れ」を。間男を引っ張り込んだ女房が妙に艶っぽい。軽やかなテンポであっさり聴かせる。

 中入りをはさんで幸福の 2 席目は、中日ドラゴンズ考をマクラに「寿限無」を。
 寿限無‥‥長助が野球選手になったら‥‥と、懐から野球帽を取り出して被り、「プレイボール!」のかけ声とともに“燃えよドラゴンズ!”が流れ、クルクルッと着物を脱ぐと下には落合監督のユニフォーム。歌詞に出てくる選手名のところに寿限無‥‥長助をはさむと云う趣向。超営業用ネタにバカ負け。

 獅篭の 2 席目は開口一番「ただいまは、本当はジャイアンツ・ファンの落語を聴いていただきました」。
 トリの「火焔太鼓」でも現代のクスグリがあちこちに。そのなかにあった、大須演芸場にあるボロボロの締太鼓を古今亭志ん朝が悲しい顔で叩いていたと云うエピソードは興味深い。


 獅篭さんは以前に観たことありましたが、幸福さんははじめて。おふたりとも口跡良く、それぞれ味があってなかなか好感触でした。
 ただ、古典落語のクスグリに現代のネタを入れるのはどうなんでしょう。ネタによっては大丈夫なものもあるでしょうが、のべつまくなしってのがちょっと気になりました。笑えればなんでも OK って考え方もあるでしょうが、ここらのバランスは客層にもよるでしょうね。
 なんにせよ、私自身はたのしめましたから、次回も期待です。

雷門獅篭公式 HP
雷門幸福の伝統と私
ビビンパの会(落語会手伝いサークル)、高麗楼(朝鮮半島古典)共同ブログ

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福楽の底力

2007/12/21 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 桂佐ん吉 「狸の賽」
  • 桂福車 「掛け取り」
    ―― 中入り ――
  • 桂福楽 「死神」
  • 福楽・福車 《古今東西噺家形態模写》

※ Vol. 12


 繁昌亭での『たまのフレンドリー寄席β』とぶつかってかなり迷ったんですが、福楽さんが「死神」をネタ出ししてたんで、それをお目当てにこちらへ。
 心配した入りは約 30 人とまずまず。


 トップの佐ん吉はおなじみ星占いのマクラから、博打の小咄を演って「狸の賽」へ。ひさしぶりだったが、さすがに演り慣れてて安定感あり。

 チラシではここで福楽の「月並丁稚」だったが、福車が登場。福楽の気力がみなぎるまでしばらくかかりそうなんで、先に出てきた、と。楽屋の様子がちょっと心配。
 大師匠の春團治のエピソードが秀逸。同い年の文枝が亡くなって 1 か月後に春團治曰く「まぁ文枝君も年だしね」。
 12 月 13 日の《事始め》は正月の準備を始める日で、お歳暮は本来この日以降に持って行くべきだそう。
 いろいろとマクラをつないで「掛け取り」へ。追い返されたのは、狂歌好きの家主と、喧嘩好きの炭屋。クスグリで「今度はややこしいのが来た」「福楽か?」「違うがな。あの人もややこしいけど」とやったり、かなり演り慣れてて余裕のある口演。

 ここで中入り。この会で中入りは異例。

 中入り後にようやく福楽が登場するも、表情が硬い。「医者の誤診で違う薬を処方され、手足が震えて舌もつってる」と云う。声も出しにくそう。「死神」はイタリアのオペラを三遊亭圓朝が落語化したってな話をマクラで振るも、座布団を枕にして横になったり、本当にしんどそう。
 ようよう「死神」に入るも、それも所どころ休憩しながら。死神を退散させる呪文は「天満天神繁昌亭 福楽師匠はええ男」。死神が妙に陽気だったり、福楽らしさも散見されたが、なんとか演りきったと云う感じで、サゲもあやふや。

 おまけで古今東西噺家形態模写。まずは福車が、春團治、松鶴、五郎兵衛、文我(先代)、文紅、福團治。とくに春團治の「代書屋」の入りの部分が秀逸。《福車》は《複写》から来てるそうな。
 つづいて福楽が、談志、彦六、三平、小三治、圓楽、志ん朝。東京の噺家はあまり馴染みがないが、それでも談志や志ん朝などはなかなか。


 この日は魔日と云うほかないですね。福楽さん自身がかなりツラそうで、観ていて痛々しかったです。「死神」の 1 席だけになってしまいましたが、それでもあの状態でよく最後まで演れたなと思います。体調万全のときにまた「死神」をお願いしたいです。

 次回は来年 2 月 22 日(金)です。次回から会場が繁昌亭に移るそうです。ゲストは福笑一門のお二方。いまから期待させられてます。

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坂口修一 Solo Act Live 『火曜日のシュウイチ』

2007/12/18 @in→dependent theatre 1st

※ Stage 74


 シュウイチも定着してきたようで、毎回だいたい 40~50 人くらい入ってますね。年間パスの方も 10 人くらいおられるようです。


 この日のメニューは↓こちら。

  • オープニング
  • 『ビーチの真冬』
  • シュウイチの輪
  • SyuTube
  • 『ミッド・ナイト・エクスプレス』 第 37 話 「ホッとするステーションとは?」
  • エンディング

月替わりゲスト作家作品 『ビーチの真冬』
 真夏のクリスマス、ウクレレ片手にビーチでくつろぐひとりの男。こんな穏やかに過ごす日々の前には、配達を頼まれたお歳暮の箱をめぐる大騒動が。‥‥
[作・演出:山浦徹(化石オートバイ)]

超短編連続ドラマ 『ミッド・ナイト・エクスプレス』 第 37 話 「ホッとするステーションとは?」
 阪急「梅田」駅構内にホストクラブを新設しようとする中川専務の熱弁。(全 50 話)
[作・演出:サシマユタカ]

 山浦徹による『ビーチの真冬』は、猛烈な数のキャラクターが登場するスラップスティック・コメディー。連鎖的に発生するトラブルに宇宙人まで絡んで、雪だるま式に被害が増幅。それを坂口修一がひとりで演じることで、さながら耐久レースの様相。

 『ミッド・ナイト・エクスプレス』は、ホストクラブ設立までの内幕。シリアスなようでいて、よく考えるとバカバカしい。ホッとするステーションとは?
 各回 5 分のはずが、回を追うごとに時間が延びてるような。


 ここ何回かは終演後におまけがあったんで、普通に始まって普通に終わると、ちょっと物足りない感じもしますね。それでも 12 月の『ビーチの真冬』の展開が圧倒的で、こっちまでグッタリしました。

火曜日のシュウイチ
坂口修一の日記

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上方亭ライブ

2007/12/16 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 桂ちょうば 「世帯念仏」
  • 桂あさ吉 「茶の湯」


 出張の谷間の土日で、土曜は『田辺寄席』に行こうかと思ったんですが完全休養日に。日曜は出張の移動日で、その前にひさびさの『上方亭ライブ』へ。あさ吉さんがお目当てで、前がちょうばさんってのも個人的にはなかなかの組み合わせです。
 開場時は入りが少ないかと思ったんですが、開演時には 60 人くらいに。繁昌亭に入れなかったって人もおられました。


 まずはちょうば。小咄いろいろで様子を探りながら、エセ外国語講座などもまじえてマクラたっぷり。「韓国語で受験生のことはカミタノミダ」とか、なかなかおもしろい。
 漫談で終わるかと思いきや、ムリヤリな流れで「世帯念仏」へ。長々と演るようなネタでもなく、手堅く 5 分程度にまとめて。

 つづいてあさ吉。英語落語の会の宣伝がてら、もの云う花の小咄を日本語と英語で。ここらのセンスがあさ吉ならでは。
 三味線の稽古での実話をマクラに、稽古事つながりで「茶の湯」へ。知ったかぶりの隠居とお調子者の丁稚のやり取りがあさ吉のニンにピッタリ。要所々々にナレーションが入る構成ゆえ、笑いがそこで引いてしまう感じ。


 ちょっと短めの 50 分くらいでしたが、ほんわかした組み合わせに癒されました。
 とくにあさ吉さんは淡々とした感じで、そこがまた良かったりもしますね。もっとも、自分の勉強会なんかではもうちょっとリラックスした雰囲気なんで、そこはやっぱりお仕事モードで演られてるんだと思いますが。

 どっから情報を仕入れてくるのかわかりませんが、この会はサラのお客さんが多いですね。それは別にかまわないんですが、付き添いできてるような観る気・聴く気のない人は他所へ行ってほしいです。義務教育やないんですから。靴や持ち物でトントン音を鳴らしたり、演者を見んとあっち向いたりこっち向いたり。近くで観てるこっちがイライラして気が散ります。

上方亭ライブ

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RAKUGO BANK

2007/12/14 @りそな銀行御堂筋ビジネスソリューションプラザ

  • 桂三四郎 「お忘れ物承り所」 (作:桂三枝)
  • 林家花丸 「たいこ腹」
  • 桂小春團治 「池田の猪買い」

※ 第 9 回


 予定していた忘年会が延期になり、初めてこの会へ。出張先から直行しました。銀行のロビーでの会と云うことで、ソファー席もあります。そこだけなんだかゆったりゴージャスな雰囲気。
 50 席ほど用意されたところに 30 人くらいの入り。やや遅めにスタートの会なんですが、場所が転々としてるんで固定客の定着が難しいんでしょうか。


 トップはかなり長髪になってきた三四郎。たっぷりめのマクラから、師匠の三枝作品で「お忘れ物承り所」。演り慣れてる感じで口跡良く、時事ネタのクスグリを入れたりする余裕も。語り口にやわらかさが出てきた感じ。

 つづく花丸はおなじみのマクラで笑わせ、幇間の話から「たいこ腹」へ。幇間の調子の良さが花丸にピッタリ。旦那と幇間とのやり取りにも花丸らしいクスグリが随所に。極め付けはいよいよ旦那が幇間に鍼を打とうとする場面。旦那の練習台になって死んだタマと幇間があの世で邂逅。ここらのセンスがスゴい!

 トリの小春團治は薬のネーミングに関する考察から、薬つながりで季節ネタの「池田の猪買い」をきっちり丁寧に。喜六的男のとぼけ具合が上々。全体の流れが自然で、そこらに何気ない工夫が感じられる。


 それぞれ 25 分ぐらいの持ち時間で、トータル 75 分。3 席いずれもたのしめ、これで 1,000 円はお得ですね。
 とくに花丸さんの「たいこ腹」が、以前観たときよりもかなりヴァージョン・アップしてて爆笑。会場のウケもいちばん良かったです。

REENAL presents RAKUGO BANK

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上方寄席囃子 林家トミの記録

2007/12/12 @国立文楽劇場 小ホール

【文化財保護委員会作成の音声資料をめぐって】

  1. 無形文化財「上方寄席下座音楽」の位置
      飯島満(東京文化財研究所)
  2. 上方落語と寄席囃子
      荻田清(梅花女子大学)
  3. 林家トミの記録(1) 出囃子・はめもの
  4. 上方寄席囃子の人々 林家トミを中心に
      豊田善敬(郷土史・芸能史研究家)
  5. 林家トミの記録(2) 芝居噺
  6. 寄席囃子について 落語『軽業』解説
      石川裕美子(寄席囃子方)
  7. 落語『軽業』より 桂吉朝

※ 第 2 回 東京文化財研究所無形文化遺産部公開学術講座


 とある会で落語ファンの方らかチラシをもらって流し読みはしてたんですが、吉朝ファンの某 C さんに指摘されてビックリ! 囃子方の林家トミさんに関する講演会なんですが、プログラムの最後に《桂吉朝》の名前が! こらもう、ファンとしては行くしかないでしょう。
 で、いろいろ情報発信してから思ったんですが、プログラムには「落語『軽業』より 桂吉朝」と書かれてるだけで、どこにもビデオ上映と書かれてない。さらに、表記の《より》が気になる。「軽業」はハメモノがふんだんに入るが、ひょっとするとそのハメモノの入る部分だけの抜き出したものを観る(あるいは聴く)ことになるかもしれない。
 ‥‥とまぁ、いろいろ考えても仕方ないですし、ちょっとでも吉朝さんの芸に触れられるのならと、とにかく行ってみました。

 入場無料で先着 150 名と云うことでちょっと早めに行ったつもりが、すでに 20 人以上は列ばれてました。落語好きの方々に混じって噺家・囃子方・作家・研究者の姿も。行列からしてかなり濃い空間です。
 そんなワケで、座席はほぼ満席。


 宮田繁幸(無形文化遺産部長)氏の司会で、各講演とも 20 分割りで進行。講演会の詳細は wakadoshi さんのブログ記事 をご参照ください。

 興味深かったのは、上方寄席下座音楽が《記録作成等の措置を講ずべき無形文化財(いわゆる「記録選択」)》に指定され、囃子方の林家トミの記録に若かりし頃の松鶴や米朝が参加してたことでしょう。録音がおこなわれた昭和 39 年(1964 年)と云う時代を考えれば、当然と云えば当然なんでしょうが。惜しむらくは、おそらくその当時は記録用テープが高価なもので、落語を丸々録音するのではなく、ハメモノの入る部分だけしか録音されていないことでしょう。噺全体の流れのなかで、どのような場面で使われるのか、と云うことも研究材料としては必要かと思うんですが、こればっかりはどうしようもないですね。
 その録音テープには、橘ノ圓都「掛取り」「稽古屋」「片袖」、桂米朝「こぶ弁慶」「土橋万歳」「番部屋」、笑福亭松鶴「天王寺詣り」「網舟」「三十石」「月宮殿星都」の、それぞれ一部分が収録され、それを起こしたものがレジュメとして配布されました。実は「はめもの噺について」と云うテーマでおこなわれた、林家トミ・笑福亭松鶴・桂米朝・三田純一による座談会も録音されてたそうなんですが、こちらは省略。落語ファンとしてはこっちの方が気になったかも。

 「軽業」におけるキッカケとハメモノの解説のあと、いよいよ吉朝さんの「軽業」。ビデオ上映でひと安心。平成 13 年 4 月 6 日に東京国立文化財研究所実演記録室にて収録されたそうで、若干のお客さん(研究所員?)も入ってるんで、ビデオから拍手や笑い声も。下座は、三味線に大川貴子、鳴り物に桂米左・桂あさ吉・桂よね吉。
 前座がおそらく『東の旅』の「発端」「煮売屋」「七度狐」あたりから演られたのを受けて、マクラを振らずすぐさま「軽業」へ。ハメモノ入りのにぎやかな古典をきっちり軽妙な口跡で。記録用に取られたと云うことで、映像は真っ正面に据えられたカメラからのもののみで、実際の高座を観てるような錯覚に。


 ええもん観させてもらったと云うのが実感です。
 前座さんの口演は調整用で記録されてないかもしれませんが、「軽業」のあとに「蛸芝居」も収録したそうです。さらに、下座音楽の記録ですから、おそらく舞台横から演者と下座をいっしょに納めた映像も残ってるんじゃないかと思います。一般公開を前提に収録していないため、著作権の絡みで一般公開に際して難しいところもあるようですが、そう云った映像もなんとか公開していただきたいです。
 記録物のデジタル化は進められてるでしょうから、吉朝さんの録画だけでなく、先の松鶴師匠や米朝師匠の録音なんかも、東京文化財研究所を訪れれば閲覧できるようにしていただくとか、保有資産の国民への還元も検討していただきたいです。

東京文化財研究所無形文化遺産部

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新世紀落語の会

2007/12/11 @天満天神繁昌亭

  • 桂三幸 「初恋」 (作:桂三枝)
  • 旭堂南海 「名奉行鍋島新吾」 (作:小佐田定雄)
  • 桂九雀 「家の妖怪」 (作:北村謙)
    ―― 中入り ――
  • 月亭遊方 「わすれうた」 (作:月亭遊方)
  • 桂小春團治 「禁断の宴」 (作:くまざわあかね)

※ 第 34 回


 座席指定の会だったんで、ゆっくりめの会場入り。《むふふカード》が半分貯まったんで、入場時におみやげをいただきました。
 客席は 1 階にもポツポツと空きあり。ちょい寂しいですねぇ。


 トップの三幸はおなじみのマクラから、師匠の桂三枝・作で「初恋」。高校の国語教師とその生徒との、恋にまつわる噺。やや早口なんが気になるも、演り慣れてる感じで、新しいクスグリも入っててなかなか。

 つづく南海は、遠山の金さん、大岡越前とともに日本三大名奉行のひとり、鍋島新吾の話を。新入女子社員の歓迎会へ行こうとしたところ、窓際から 5 年ぶりにあらわれた鍋島新吾。この男が凄腕の鍋奉行で‥‥。
 鍋島が解説する鍋の作法がいちいちこまかくておもしろい。あまり高座に掛けないネタだからか、台詞を噛む場面が多かったのが残念。

 中トリの九雀は、作者の北村謙(ミュージシャン)を上げたり下げたりしてから「家の妖怪」へ。自宅の屋根裏で妖怪と出会った男が、人間がおどろいたときに吐き出すビックリ玉を集めるのを手伝うことに。
 おなじみの妖怪が多数出てくるも、古典的な妖怪の驚かせ方が現代では通じない。逆に簡単に人間にいなされてしまう妖怪がおかしい。

 中入りをはさんで遊方は、顔覚えの悪いスナックのママの話をマクラに、自作の「わすれうた」を。題名も作者もわからない歌の CD を買いにきた男の噺。おぼえてるのが「ラ~ラ~ラ~ララ~」だけで、これがどんどん笑いに。噺が進んで CD ショップの店長が出てきてから、さらにエキセントリックに。

 トリの小春團治は内弟子時代の失敗談をマクラに、自作の「禁断の宴」へ。定年退職を機に、送別会でカツラをカミングアウトしようと決意する男。まわりは禁句を気にし、別の人間がカミングアウトし出す始末。サゲが秀逸。


 九雀さん以降のベテラン勢もおもしろかったんですが、南海さんの「名奉行~」が好感触。小佐田定雄さんはスゴいですね。講談の特色を生かしたネタ作りができてます。ベスト・コンディションで観てみたいネタです。

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全日本プロレス - 2007 世界最強タッグ決定リーグ戦

2007/12/9 @大阪府立体育会館


 ひさびさの全日は、最強タッグの決勝で府立なのに、かなり席が潰されてて 2 階席は半分も入らず、チと残念。カードは魅力的だと思うんですけどねぇ。
 某後輩 が用意してくれたビールでええ心持ちになりつつ、なんじゃかんじゃとしゃべりながらの観戦に。


平井伸和 vs 征矢学
 全日らしい地味な前座戦。平井が裏 WAR スペシャルを極めると征矢が唐突にタップ・アウト。無我からくら替えしてきた征矢には、体躯を活かしたダイナミックなプロレスをめざしてほしい。

太陽ケア&ハワイアン・ライオン vs T28&真田聖也
 ヘビー vs ジュニア の構図で、太陽組が「そこまでして勝ちたいんかい!?」と云う大人気ないファイト。プロレスは結果もさることながら、そこにいたる過程で観客が魅了されるんやから、もうちょっと T28 組を受け止めてもええんとちゃう?
 ちなみに「T28」は「テツヤ」と読ませるそうです。

【2007 世界最強タッグ決定リーグ戦 優勝戦進出決定戦】
佐々木健介&川田利明 vs 小島聡&諏訪魔

 後に入場してきた佐々木組に VOODOO-MURDERS が乱入し、騒然としたまま公式戦がスタート。まったくもって全日らしくない展開。それでも反撃に転じる佐々木組。やはり健介&川田のタッグは圧巻。健介のストラングルホールドγと川田のストレッチプラムの絵になる競演にはシビレた!
 が、またも VM の乱入。大ブーイングのなか、小島がラリアットから 3 カウントを奪取。負けた川田がめずらしくマイクで「これが全日本か!」と怒りの叫び。伝統の公式戦が台無し。

 ここで休憩。(早っ!)

渕正信&荒谷つぼ八&大鷲透 vs ミゲル・ハヤシ Jr.&ペペ・みちのく&エル・ノサワ・メンドーサ
 「ビバ・メヒコ!」を連発する MEXICO AMIGOS は全員日本人!?
 なぜか『つぼ八』がスポンサーに付いてる荒谷がプチ・ブレイク。ロープを何往復もさせられて疲れさせられるのは往年のラッシャー木村みたい。長老の渕も相手の 3 人を代わるがわるのボディースラム連発で逆に疲労困憊。ここらの展開は新生ファミリー軍団って感じ。渕への(同一人物による)ヤジも、応援してんのかクサしてんのかわからん感じで、かなりおもろい。リングと客席の一体感がたのしい。
 最後に荒谷がムーンサルトプレスでフォール勝ち。意外な大技で大団円。

西村修 vs “brother”YASSHI
 試合開始前からマイクで煽る YASSHI だが、反響してなにを云ってるのかまったく伝わらず。そんな YASSHI を尻目に、西村は座禅で瞑想。ここらの切り返しがスゴい。西村の無我イズムに YASSHI タジタジ‥‥の展開。
 YASSHI が形勢逆転の脚 4 の字固めを極めるも、裏返って逆に YASSHI がタップ・アウト。やっぱり裏返ると極めた方が痛いんや!

アブドーラ・ザ・ブッチャー&鈴木みのる&MAZADA vs TARU&ゾディアック&近藤修司
 急造タッグのブッチャー組と、完全ヒールの VM の 6 人タッグ。
 ブッチャーはとても同じ人間とは思えない体型でノッシノッシと、やっと動けてるって感じ。それでも額から血を流し、ブル・ロープやフォークを手にした様はまことに絵になる。鈴木はさすがにキレのある動きと、あいかわらず良く通る声。
 一方、VM のゾディアックは完全な怪奇派のキャラながら、ブッチャーらの場外乱闘に全部持って行かれた感じで、リング上にいるのになんともいたたまれない。それでもキャラを通すのはプロやね。
 ブッチャーは一度もリングインせず、最後はブッチャー組が負けるも、それでもなんだかええもん観たなぁと云う感じ。試合後、鈴木がブッチャーといっしょに空手の型を演ったりと云うセレモニーがあり、鈴木もレジェンド・レスラーのブッチャーをリスペクトしてるんやなぁと、なんともほほえましい光景。

【2007 世界最強タッグ決定リーグ戦 優勝決定戦】
武藤敬司&ジョー・ドーリング vs 小島聡&諏訪魔

 メインを裁くのはやっぱり和田京平レフリー。ひさびさの「キョーヘー!」コール。試合開始前から動きがシャープで、セコンドに付こうとする VM 勢を追い払う。さすが!
 膝が悪い武藤は技も限られ、低空ドロップキックとシャイニングウィザードを多用。そんななか、フラッシングエルボーやスペースローリングエルボーなど、往年の技に歓喜。なぜか STF まで飛び出すサービスぶり。
 途中で VM が乱入するも、今回はセコンド陣が阻止。劣勢のジョーがなんとか盛り返し、そのジョーが諏訪魔を肩車で担ぎ上げ、コーナーポスト最上段から武藤がダイビング式シャイニングウィザード! ツープラトンにはぶったまげたが、これを返した諏訪魔もスゴい。武藤が諏訪魔をシュミット式バックブリーカーで横たわらせると、スルスルッとコーナーポスト最上段へ。そこからまさかまさかのムーンサルトプレス炸裂! 説得力十分の 3 カウント奪取で世界最強タッグ決定リーグ戦優勝!
 試合後はあっさり引き上げる武藤に対し、ジョーは喜びを爆発させる。ここらはふたりで検討を分かち合ってほしかったところですが、試合内容には大満足。


 カードを見た段階では、なんとなくインディー団体の決起集会みたいやなぁと思ってたんですが、「終わり良ければすべて良し」と云うか、終盤 3 試合の充実ぶりには大満足です。とくに、ここ一番で出し惜しみしない武藤はやっぱり天才だなぁ‥‥と、あらためて思いました。西村のセンスにも脱帽。
 結局、観客をヒートさせた VM の功績も認めないわけにはいきませんが、それでももうちょっとやり方があるように思います。シリーズを通しての流れを追ってない者が云うのもなんですが、いまどき極悪ヒール軍団ってどうなんでしょうね。そこんとこの評価を、生粋の全日ファンの方に訊いてみたいです。

全日本プロレス

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繁昌亭夜席 土よう寄席

2007/12/8 @天満天神繁昌亭

【染丸一門会】

  • 林家染吉 「子ほめ」
  • 林家竹丸 「千早振る」
  • 林家染丸 「小倉船」
    ―― 中入り ――
  • 林家笑丸 「看板の一」
  • 林家花丸 「幸助餅」


 昼席のあと、うどんで腹ごしらえして夜席へ。この日は染丸一門会で、しかも花丸さんがトリと云うことで期待大。
 会自体の発表が遅かったこともあって入りが心配でしたが、満員御礼。それでも、いつも見かけるお顔はほとんどありませんでした。おそらく雀三郎さんの会に結集してたんではないかと推測します。


 開口一番は入門 3 か月の染吉。繁昌亭初舞台とのこと。「子ほめ」を習ったとおりゆっくり丁寧に 20 分。おかしみよりもほほえましさが前面に出た高座。

 つづく竹丸の「千早振る」は、花丸と違ってごくオーソドックスに。物知りの男が歌の意味を知らないことをごまかそうとするくだりがたっぷりめで、途中から半ギレになるあたりがなんともおかしい。

 中トリの染丸は、マクラで今回の一門会の顛末をいろいろ。染丸一門が《染派》と《丸派》があって、今回は(前座の染吉は別として)丸派で組んでみたそう。師匠より先にネタを決めた花丸に対抗して(?)めずらしい噺をと「小倉船」にしたが、丸派はハメモノが打てない。唯一打てる花丸も出番なのに到着が遅れていて、仕方なく白塗りでポトフを作っていた染雀を急遽呼び出したとか。ドラマ『ちりとてちん』の話も。
 乗り物の話から酒手の位置付けを振っておいて本編へ。前半は軽快に、初めて聴く《風鳥火鳥》の噂話も。船客同士の《考えもん》もトントンと。
 落とした財布を捜しにフラスコに入って海の底へと降りてゆく後半は、ハメモノもふんだんに入って賑やか。芝居噺は染丸の真骨頂。サゲの「あんたら猩々やろ、酒手にたこつくわ」は理解されたか?

 中入りをはさんでの笑丸は、いつもよりややカタい印象。自虐的マクラいろいろから「看板の一」へ。前半は、親父っさんの江戸弁にややブレがあったのが残念。凄味ももう少し欲しかったところ。
 一方、お調子者が親父っさんのマネをして怪しい江戸弁で賭場に乗り込む後半は、どんどん上がるテンションが笑丸にピッタリ。お調子者へのツッコミが秀逸。

 トリの花丸は「幸助餅」をたっぷりと。人情噺で湿っぽくなりがちなところを、要所に笑いをはさんでほぐしつつ、幸助と雷とのやり取りを丁寧に。とくに雷の貫禄と、幸助の喜怒哀楽の描き方がお見事。
 最後に「持ち(餅)つ持たれつのお噂でございます」と、またまた花丸らしい幕引きに。


 いやはや、花丸さんの工夫はさすがですね。「三十石」と云い、今回の「幸助餅」と云い、締めくくりのちょっとした言葉でやわらかい雰囲気をよりいっそう際立たせています。
 今回は納得の花丸さんはもちろん、染丸さんもたっぷりでしたし、笑丸さんへの期待感も高まりましたし、充実の会でした。

天満天神繁昌亭
染丸@web

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繁昌亭昼席

2007/12/8 @天満天神繁昌亭

  • 森乃石松 「動物園」
  • 笑福亭たま 「時うどん」
  • 笑福亭生喬 「野ざらし」 《舞踊》 「奴さん」
  • シンデレラエキスプレス 《漫才》 
  • 笑福亭仁扇 「看護婦中川さん」 (作:笑福亭仁扇)
  • 桂小春団治 「猫の災難」
    ―― 中入り ――
  • 月亭遊方 「絶叫ドライブ ~彼女を乗せて~」 (作:月亭遊方)
  • 笑福亭瓶太 「大安売」
  • 菊地まどか 「嫁ぐ日」 (作:宮本麗子/曲師:虹友美)
  • 桂文太 「八五郎出世」

※ 第 63 週


 ちょっと早めに行ったつもりが、繁昌亭前が大混雑しててかなりあせりました。近づいてみると、小学生がたくさん。朝席で学校寄席みたいなんがあったようです。小染さんや文華さんがサインに追われてました。
 昼席も立ち見の出る大入り満員。いつまで続くんでしょうか?


 石松の「動物園」は、全体にザックリした感じながら、子ども連れの母親が妙に艶っぽいのがなんともおかしい。

 たまは“We Wish You A Merry Christmas”の出囃子で登場。時刻の数え方を強調しまくってから「時うどん」。やたらうどん量の多い福笑一門だが、前半の見せ方(うどんの食べ方)はバランスがやや悪いか。
 後半、喜六がひとりで「引っ張りな!」とやる場面の動作がたのしい。代金を多く渡してしまうところもしっかり強調。

 生喬は釣りの小咄から「野ざらし」を。骨釣りに出かける男が威勢良く、「スチャラカチャン」の調子の良さもたのしい。隣の男に針を引っかけて「今晩、あんたとこに嫁に行こ」でわーわーオチ。
 「持ち時間が余ったんで、寄席の踊りを」と「奴さん」。ねじりハチマキがツルッとすべって結べないと云う自虐的ギャグまでサービス。

 シンデレラエキスプレスの漫才はひさしぶり。前半はどうなるかと思ったが、『はじめてのおつかい』を材にした後半はなかなか。松井のボケともツッコミとも云えないアドリブがおもろい。

 “幻の噺家”仁扇は自虐的なマクラから、自身が入院したときのことを落語化した「看護婦中川さん」へ。ヤンキー上がりの看護婦さんにえらい目に遭わされる。きっちり落語になってるんで、フィクションの方が多いのかも。

 中トリの小春團治は、ごく軽いマクラから古典の「猫の災難」。酔態描写に終始する噺だけに、時間枠が長いような気も。

 中入りをはさんで、マクラからテンション高い遊方は「絶叫ドライブ ~彼女を乗せて~」を。時間を意識してか、やや走り気味だったが、それがまた運転の不安定感にも。固有名詞が抜かれてたのは 『ライブ繁昌亭』 のため?

 瓶太は鶴瓶一門の話から松鶴の話と、師弟関係の話から相撲へとマクラをつないで「大安売」へ。この位置でこのネタは軽いからか、マクラたっぷり。それでも物まね入りのトークでしっかり笑わせる。ネタの方もきっちり。

 菊池まどかは自己紹介から新作浪曲「嫁ぐ日」を。聴いてみたい演目だったんでラッキー。娘の結婚に反対する父親の話。唸りは力強く、登場人物の語り分けも明瞭でわかりやすい。
 浪曲は初めてだったが好感触。おっちゃんファンが多いのもうなずける。マイクのエコー(地声とスピーカーからの音声とのディレイ?)が気になったんで、ぜひマイクなしの会場で聴いてみたい。

 トリの文太登場に「待ってました、名人!」の声。友達のインド人の話をマクラに、笑わせつつ上手く話をつないで「八五郎出世」へ。殿様に嫁いで世継ぎを産んだ妹を訪ねて登城する八五郎の噺。あけっぴろげでまっすぐな八五郎がたのしい。「孫に会いたい」と云う母親の思いを殿様に伝えたり、八五郎が妹への思いを吐露したり、ちょっと人情掛かった噺ながら、湿っぽくならないところが文太らしい。
 最後に文太から扇子のプレゼント。「遠いところから来られた方へ」と云ってるのに「堺!」との声が上がるのは大阪ならではか。文太の客いじりは手慣れたもの。


 トリの文太さんは納得の高座で大満足。やっぱり上手いですねぇ。遊方さんやたまさんもおもしろかったですし、菊池まどかさんの浪曲も収穫でした。

天満天神繁昌亭

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師走しんおん寄席 桂こごろう独演会

2007/12/3 @そごう劇場

  • 桂雀五郎 「七度狐」
  • 桂こごろう 「牛ほめ」
  • 桂雀喜 「犬の目」
  • 桂こごろう 「替り目」
    ―― 中入り ――
  • 桂こごろう 「ちりとてちん」


 私にとって初めてのこごろうさんの独演会です。『しんおん寄席』はリサイタルホールやそごう劇場など、お上品な印象の漂う会場を使いますね。
 前日の『まもなく夜明け米朝事務所です』でも宣伝してたんで当日券ありだとは思ってましたが、入りは 9 割くらい。ポツポツと歯抜けに空席があったのは、販売ルートが複数あったからでしょうね。


 開口一番の雀五郎「七度狐」はしっかりきっちりテンポ良く。サゲは大根。

 こごろうの間にはさまれた雀喜は「そごう劇場は演りやすい。それに比べて‥‥」と、演りにくかった会の話題などをマクラに、「犬の目」を現代版で。眼科医の助手が長坂(ジャッキの本名)だったり、飼い犬がジャッキだったり。普通のサゲのあとに続きあり。

 雀五郎の出番中に簾内から会場の様子をうかがっていたこごろうの 1 席目は、そごう劇場での独演会に恐縮しつつマクラいろいろ。仕込んでバラす噺のタイプに合わせて、落語の稽古での失敗談。「兵庫船」で「船は岸を離れて沖へ沖へ」を「船は沖を離れて岸へ岸へ」と間違えたり。
 勉強会では牛をほめるくだりを抜いていた「牛ほめ」を、今回は完全版で。喜六的男が池田のおっさんの普請をほめる場面では、懐のあんちょこの読む場所を間違えて、戻ったり進み過ぎたり。「侮りなはんなー!」の連発に爆笑。最後は汚らしくなる場面を上手く抜いてサゲに。

 2 席目はやや緊張がほぐれた様子。酒飲みの小咄いろいろから「替り目」へ。前半の酔っ払い亭主と女房とのやり取りでは酔態でしっかり笑わせ、女房への思いを独白したり、うどん屋に友達の娘との思い出話を聞かせるくだりではしんみりほっこりさせる。愛すべき酔っ払いをサゲまでたっぷり好演。

 中入りをはさんでの 3 席目。「徐々に気が上がってきまして、あと 8 席くらい演りたいくらい」。マクラで「噺家になって、ええもんを食べられるようになった」と、食べ物の話から、師匠・桂南光直伝の「ちりとてちん」を。
 物喜びする喜六がハイ・テンションで幇間の様相。これは、旦那の誕生日に手ぶらできたため、冗談でも云って盛り上げようと云うところから。
 長崎名物の候補は「長崎へ行ってきました」に「黄色い恋人」に「黄色福」に「カスボン」。「黄色い恋人」に難色を示す旦那に喜六は「けどこれ、期限も切れております」と追撃。「ちりとてちん」の名が出ると、「ちょうどドラマでもやってる最中です」「そら本末転倒じゃ。まずこっちありきじゃ」と、タイム・パラドックスなやり取りも。
 物喜びしない竹がきて、家人がゲラゲラ笑いながら「ちりとてちん」を持ってくると、そのまま座敷に居座ってその後の顛末をみんなで観察。そこからサゲまでスパート。


 こごろうさんの 3 席はいずれも熱演。それぞれにこごろうさんなりの工夫が見られたのはさすがです。「牛ほめ」のクスグリも進化してましたし、「ちりとてちん」での時事ネタの入れ方も絶妙のバランス。そして、ほっこりした空気感に会場がつつまれた「替り目」が印象的でした。
 ぜひ来年も独演会を、と思わされました。

大阪新音

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たまのフレンドリー寄席α

2007/12/2 @ワッハ上方レッスンルーム

  • 笑福亭たま 「住吉駕籠」
  • 露の都 「みやこ噺」
  • 笑福亭たま 「蛸芝居」
    ―― 中入り ――
  • 桂まん我 「しじみ売り」
  • 笑福亭たま 「胎児」 (作:たまよね)


 たまさんのなかで『たまのフレンドリー寄席α』は、大衆向けの『たまのフレンドリー寄席β』に掛ける前の試運転実験の場と云う位置付けだそうです。客層によって会を使い分けつつ、精力的に勉強会(『~β』は独演会?)を開かれるたまさんには感服です。
 この日は各所で落語会があったため、たまさんの会にしては少なめの入り。それでも 60 人は入ってたと思います。ゆったり座って満席って感じ。


 長めの二番太鼓のあと、たまの 1 席目の出囃子は「長崎さわぎ」のあと「石段」へ。直前まで準備できておらず、つなぎに流していたよう。
 次の都のため、軽いマクラからすぐに「住吉駕籠」を。笑福亭三喬のクスグリと林家小染のサゲを譲り受け、さらにたまが再構成したそう。
 駕籠屋が茶店の親父にドヤされたあと、酔っ払いに絡まれる。この酔っ払いがなにを云うてるのかわからんくらいの酔いどれで、さらにはエズきまくり。で、これがまたリアル。たっぷり吐き出してスッキリしたところで駕籠に乗り込み、駕籠屋は酔っぱらいを乗せて堺へ。ここから見事な汚濁噺に。後半の展開が米朝一門の型とはまったく違い、当然サゲも異なる。激しいアクションとたっぷりのクスグリと強烈な汚濁で、たま落語の真骨頂。

 高座のあと、そのまま息子の結婚式へ走ると云う都は、曰く「お正月でもないのに」黒留袖で登場。自身の 2 度の結婚の話からいろんな失敗談など、矢継ぎ早に息が切れるほどのマシンガン・トーク。黙ってるとツラいと云う話など、とにかくおもしろ過ぎる。電話を切る常套句「天ぷら揚げてます!」のネタで締め。

 たまの 2 席目「蛸芝居」はアクション満載。芝居の真似事での型もさることながら、逃げるタコを追う旦那の絡みではタコが『北斗の拳』のケンシロウばりの連打突き。
 クスグリも満載で、丁稚が位牌を使った芝居の真似事では力みすぎて位牌を折ってしまう始末。芝居はクサめだが、そこがまたリアルかつコミカル。たまらしいアニメ的なおもしろさ満載。

 中入りをはさんで、まん我は翌日の自分の会を軽く宣伝し、スッと「しじみ売り」へ。冬の寒さを丁寧に描きながら、義侠心のあるヤクザな親分と親孝行なしじみ売りの子どもとのやり取りをしみじみと。重くなりがちな人情噺だが、子分を道化役に仕立てて笑いをふりかける。ここらのさじ加減が巧妙・絶妙。

 たまの 3 席目は、この日の番組構成の顛末から。番組編成時のまん我とのやり取りを再現してると、袖からまん我が横やりを入れる場面も。いろいろとしゃべりつつ、先の人情噺の空気を変える。
 たまよね作品の「胎児」は、初期の「Baby」からかなり構成が変わっている。妊娠 8 か月の妻とその夫とのやり取りから、産婦人科でのエコー画像を見る場面へ。ここから場面が妊婦のおなかのなかに移り、双子の胎児がおしゃべり。帯をヘソの緒に見立てたり、逆子のままやったらマズいと逆立ちしてやり取りしたり。双子が産まれてサゲに。独創的な演出と SF とも云える内容で、笑いも多し。


 たまさんは色の違う笑いを 3 席、そこに爆笑トークの都さんとたっぷりのまん我さんですから、かなりバラエティーに富んだ充実の会でした。ええ雰囲気でした。

 次回は 12 月 21 日(金)に繁昌亭で『たまのフレンドリー寄席β』があります。

らくごの玉手箱

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エレベーター企画 『ベルナルダ・アルバの家』

2007/12/1 @芸術創造館

【S.O.K. プロジェクト 1 オペラ・コンテンポラリー】

原作: ガルシア・ロルカ
翻訳: 牛島信明
演出: 外輪能隆
作曲: 大西有紀
出演: 当重茜、大橋ジュン、井門亜美、木澤香俚、本田華奈子
ピアノ: 榊原契保
リュート&ウード: 高本一郎

 アンダルシアのとある村で、夫の死を悼み、喪に服すことを 5 人の娘に強要する母親。長女の結婚を機に、牢獄のような家の均衡が崩れる。‥‥


 エレベーター企画初のオペラ作品。どんな感じになるのか、かなり気になるところでした。値段もちょっと高めの設定なんで入りも心配でしたが、最近はコンスタントに 100 人近くのお客さんが入ってるような気がします。


 長方形の舞台は会場を分断するよう中央に設置され、客席はその両側から舞台を挟むように設けられており、サンドウィッチ状の設営。
 舞台には床から 1 m くらいの高さに無数の金属製ボウルが仰向けに吊り下げられており、その中に仕込まれた電球で舞台に立った役者の上半身だけを照らし出せると云う演出効果。ほかにもできるだけ対面の観客を意識させないよう、照明には気を遣われてるよう。
 舞台中央にスクリーン代わりの暗幕。ここに白字の補助字幕が投影される。

 登場人物は喪に服していることを印象付ける黒ずくめの衣装。
 舞台は当然のことながら歌によって進行。5 人の娘を 5 人の役者が歌い、母親と祖母のパートは全員で歌うと云う趣向。この演出は、観劇時の混乱を避けるために事前に知らされていたが、なかなかおもしろい手法。母親の声が、抗うことのできない神の声のような印象を与える。
 40 歳近い長女の結婚に、心乱される 20 歳の五女。徐々に 5 人の姉妹の心情が変化することが歌い紡がれる。救いのないラストに五女の白い衣装が強いインパクトを与える。
 不安感を表現するためか、ピアノのパートは不協和音を多用した曲がほとんど。時折挿入されるリュートの音色が印象的。


 正直、オペラと云う様式には観る側に慣れが必要だとは思いましたが、外輪演出との親和性は高いと感じました。《S.O.K. プロジェクト》とは、外輪・大西・木澤の頭文字を取ったもので、《1》と付けてるくらいですから《2》への発展構想は持たれてると思います。今後の可能性に期待です。

 次回公演は来年 2 月 2 日(土) ~ 3 日(日)にプラネットホールにて『後瀬の花・安穏河原』が上演される予定です。

エレベーター企画

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