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二人のビッグショー in 大阪 柳亭市馬・柳家喬太郎 二人会

2008/1/27 @TORII HALL

  • 笑福亭由瓶 「狸の賽」
  • 柳亭市馬 「厄払い」
  • 柳家喬太郎 「稲葉さんの大冒険」 (作:三遊亭圓丈)
    ―― 中入り ――
  • 柳家喬太郎 「仏馬」
  • 柳亭市馬 「二番煎じ」

※ Vol. 5


 半期に一度のおたのしみ、市馬さんと喬太郎さんの二人会です。大阪でも定着してきたようで、前売り完売で 130 人ほどの大入り満員。


 開口一番をつとめる由瓶は、満席に気圧されてか、東京の噺家の客にアウェイの空気を感じてか、やや緊張気味。軽くマクラを振って「狸の賽」へ。子狸がえらいかわいらしい。最後は子狸が寝てしまうと云うサゲだが、前振りがクドいようにも。

 やわらかい物腰で登場する市馬の 1 席目は、与太郎の出てくる噺でしくじった話をマクラに「厄払い」へ。無職の与太郎がおじさんに促されて厄払いに行く、基本プロットは上方と同じだが、あちこちに見られる違いが興味深い。とくに、上方では喜六(的男)が御祝儀と豆を入れるのに用心カゴに紙を貼って持ち出すが、江戸では与太郎は手ぶらで。もらった豆をその場で食べたり、与太郎もおもしろい。

 ここんところ大阪での出番が重なり、ようやく大阪にも慣れたと云う喬太郎。バレンタイン・デーにたっぷり毒づいてから「稲葉さんの大冒険」へ。三遊亭圓丈が喬太郎の師匠の柳家さん喬(本名:稲葉稔)に書いた新作。
 生真面目なサラリーマンの稲葉さんが会社帰りにもらった風俗店の宣伝用ポケット・ティッシュ。それを捨てるのに右往左往。世話焼きのじいさんのキャラが秀逸。

 中入りを挟んで、喬太郎の 2 席目「仏馬」。酔いどれ坊主が小僧の持つ荷物をその場にいた馬に載せて帰らせ、自分は馬のいたところで寝てしまう。馬の持ち主があらわれると「自分は仏罰で馬にされてました」とごまかす‥‥ってな噺。坊主の酔っぱらい具合と、馬主に見つかってから必死にごまかそうとする様子がなんともおかしい。
 市馬によると、この噺は喬太郎が古い速記から復活させたそう。

 市馬の 2 席目は、「火事と喧嘩は江戸の花」とマクラを振って「二番煎じ」を。最初の夜回りからこまかく丁寧で、火の用心を謡や浪曲で唸るなど、自慢のノドを聴かせるサービスも。番小屋に戻ってからは猪鍋を囲んでの酒盛りもたっぷり。この猪鍋がなんとも美味そうで。見回りにきた侍が許してしまうのもうなずける。


 いずれもたっぷりですが、会全体のバランスがなんとも絶妙で聴き疲れなし。ここらはさすがですね。大満足でした。

 次回は 6 月 22 日(日)です。

柳亭市馬公式サイト

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カシミヤ落語会 笑福亭たまのカシミヤ 100 %

2008/1/26 @カシミヤ

  • 笑福亭たま 「阿弥陀池」
  • 笑福亭たま 「住吉駕籠」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭たま 「書割盗人」

※ 第 11 回/最終回


 梅田で腹ごしらえして中津へ。カシミアが昨年 12 月末に閉店し、それにともなってこの会も今回が唐突に最終回となりました。
 お客さんは 40 人くらいで、あいかわらず女子率高し。


 1 席目は、教会の余興でしくじった話から「阿弥陀池」。最近は端折られる《便所で新聞》のくだりも。決まり事の多い前半にミスが見られるも、テンションの上がる後半はたまらしいノリでグイグイ引っ張る。

 2 席目は、事務所(仕事場)開設にまつわる話や、アメリカの新聞記事からインコが防犯に役立った話から「住吉駕籠」。酔っぱらいを乗せて住吉街道を爆走。終盤はとにかくエグい。
 マクラで当時の駕籠事情と蜘蛛駕籠の解説を入れていたが、たまの場合は蜘蛛駕籠の代わりに住吉街道の解説を入れた方が良いかも。

 中入りを挟んでの 3 席目は、泥棒と盗人など、東京と大阪の言葉の違いあれこれから「書割盗人」。やもめが酒屋のお花と夫婦になると云う。もちろんこれもつもりで、実は‥‥。
 白紙を貼った家の内壁に描いてもらういろいろの注文が細かい。つもりの家に入った泥棒の困惑もいろいろ。見つかって庭へ逃げようとするも壁にぶつかり、なんとか表へ。やもめは泥棒に入られたことをたのしむも、最後は「鍵、描いといてもろたら良かった」。


 たっぷりたまさん 3 席で、カシミヤにしては反応多めでええ雰囲気だったと思います。それでもたまさん本人は満足できないんでしょうけど。
 とくにセレモニーのようなこともなく、普通に始まって普通に終了。ここらもたまさんらしいです。繁昌亭での『フレンドリー寄席β』も 2 月で終了されますし、重なるときは重なるもんですね。

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千朝落語を聴く会

2008/1/26 @太融寺本坊

  • 桂雀五郎 「池田の猪買い」
  • 桂千朝 「植木屋娘」
  • 桂勢朝 「桃太郎」
  • 桂千朝 「天狗裁き」

※ 第 45 回


 千朝さんの会も徐々にお客さんが増えてますんでちょっと早めに行ったんですが、すでに 15 人ほど列ばれてました。最終的には 140 人超。確実に固定客が付いてきてるようです。


 開口一番の雀五郎はいつものようにマクラも振らず「池田の猪買い」を、省略せずフル・ヴァージョンで。安定した語り口できっちり丁寧。あちこち工夫されててたのしい。

 勢朝は時間枠の関係か、低いテンションからスタート。いつもの「ご声援より 5 千円」から始まって、マクラいろいろ。桂米朝の話がかなりおもしろい。
 子どもの話からテンションを上げて「桃太郎」へ。父親の昔話の語りは猛烈なスピード。いまどきギャグも盛り込んで、テンション最高潮。

 千朝の 1 席目は、最近の結婚事情についてあれこれ考察してから「植木屋娘」へ。ゆったり噺に入り、植木屋の幸右衛門を活き活きと。「も~イヤ、こんな生活」とか「ドヒャ~」とか、オールド・ギャグが冴える。植木屋の女房が大事な話を段梯子の下でするあたり、桂枝雀の型がベースか。心地良い千朝ワールド。
 2 席目は、夢の小咄をいくつかマクラ代わりに「天狗裁き」を。女房、兄貴分、家主、奉行、天狗と、見てない夢を詮索する人物の造形がお見事。同じことの繰り返しをダレさせずに聴かせるのはさすが。


 2 時間弱で、千朝さんは 2 席たっぷり。この日はかなりノリが良かったと思います。雀五郎さんも良かったですし、勢朝さんも良い色変わりになり、満足度の高い会でした。

 次回は 3 月 29 日(土)です。

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アンジェラ・アキ - Concert Tour 2007-2008 “TODAY”

2008/1/25 @フェスティバルホール


 今回はチケット確保に苦労しました。「フェスティバルホールで 2 days やし、一般発売で大丈夫やろ」と思ってたんですが、発売日にチケットぴあへ行く途中で初日は電話予約のみと云うことが判明。あわてて帰って電話アタックを仕掛けるもあえなく玉砕。オークションで何度か入札するも、軒並み高騰で競り負け。「もうあかん‥‥」と思ったんですが、某 SNS 経由でチケットを譲っていただけました。ありがたかったです。
 で、もちろん満員御礼。女性率が高いです。


 定刻を 10 分ほど過ぎ、“TODAY”をアレンジした SE から“Again”“MUSIC”と、アップな曲をバンド編成で。
 客席を調査すると、大多数がアンジーのライヴに初めて足を運んだとのことで、「めちゃくちゃよぉしゃべるけど、引かんといてな~」とお願いしてから、やや抑え気味な“TODAY”“Rain”。

 POLICE の“Every Breath You Take”(邦題“見つめていたい”)では、サビの部分の字幕が下りてきて、毎度おなじみ《アンジェラ・アキの勝手に英語でしゃべらナイト》のコーナー。英語の歌詞はたいがい韻を踏んでるが、日本語の歌でサンプルを‥‥と、PUFFY の“アジアの純真”に B'z の“BAD COMMUNICATION”をノリノリで熱唱。最後は“Every ~”に戻って、会場全体でサビを大合唱。

 “Kiss Me Good-Bye”のあと、都内のバーでアンジー自身が大ファンの宮沢りえと遭遇した《サンタフェ事件》をたっぷりとしゃべりまくり。
 “乙女心”から“孤独のカケラ”までは弾き語りで。“愛のうた”の前には、ファン・クラブで募集した恋愛相談で本気トークも。
 本編終盤はバンド編成に戻り、“On & On”“たしかに”とアップな曲で盛り上がってしめくくり。

 アンコールではアンジーがギターを抱えて THE BLUE HEARTS の“TRAIN-TRAIN”を。有名曲だけに、会場の盛り上がりも上々。
 そして最後は、これを聴かねば帰れない、もはやアンジーのアンセムとなった“HOME”を弾き語りで。


 トータルで 2 時間半ほど。かなりたっぷりでした。アンジー、しゃべり過ぎかも。そのせいか、今回はショート・ヴァージョンに短縮された曲が多く、ここらはちょっと残念でした。ライヴ・ヴァージョンで違うアレンジがなされてるのは歓迎ですが、お気に入りの曲が短くされるとどうも‥‥。
 バンド編成時はピアノの音量をもう少し大きくしても良いかも、とか思いましたが、ヴォーカルはしっかり聞こえてましたし、全体としてはまとまった音量で良かったと思います。
 正直、新作『TODAY』は前半に単純なラヴ・ソングが集中してて、どうもしっくりこなかったんです。それはそれで現在のアンジーの気持ちが詰まってるんでしょうが、「ピアノがフィーチャーされた普通のポップス」って感じで、それほど印象が良くなかったんです。ところが、ライヴで既発曲と並んでも遜色ないですし、やっぱり曲としての完成度は高いんだなぁと感心しました。
 あと、やっぱり声は良いですし、歌は抜群に上手いです。しゃべりもおもろいですし、ライヴで真価を発揮するタイプの歌手ですね。


  1. Again
  2. MUSIC
  3. TODAY
  4. Rain
  5. Every Breath You Take
  6. モラルの葬式
  7. Kiss Me Good-Bye
  8. 乙女心
  9. This Love
  10. 愛のうた
  11. One Melody
  12. 孤独のカケラ
  13. サクラ色
  14. On & On
  15. たしかに

  16. TRAIN-TRAIN
  17. HOME

Angela Aki Official Web Site

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演芸ワールド

2008/1/24 @天満天神繁昌亭

  • おしどり 《音曲漫才》
  • 笑福亭鶴笑 《パペット落語》
  • 姉様キングス 《音曲漫才》
  • サウンドコピー 《声帯模写》
    ―― 中入り ――
  • 《トーク》


 繁昌亭にしてはかなり特殊な番組の会で、個人的にはかなりたのしみにしてたんですが、入りが心配でした。ところがフタを開けてみると、補助席こそ出ないものの、1 階席は 9 割ほど埋まり、2 階席にもお客さんが。大健闘じゃないでしょうか。


 まずはおしどり。ケンはスーツ姿、マコはマコリーヌ仕様のロング・ドレスで登場。ネタは『年越しオールナイト』のときとほぼいっしょ。ケンがやや走り気味でツッコミのタイミングが早い。針金アートのリクエストでミッキーと通天閣(「日立」入り)。

 つづく鶴笑がこの日唯一の落語。昔話の小咄で客席をほぐしてからパペット落語へ。
 宇宙からの侵略者、レッドモンスター(赤獅子)とブルーモンスター(青獅子)が地球をゴミだらけにしようとするのを阻止するため、地球防衛軍とグリーンマン(忍者)が立ち上がる。
 前半は環境問題を軽ぅ~く訴えながら、後半はいつもと同じ展開に。なんでもアリの鶴笑ワールドは何度観てもたのしい。

 姉様キングスはオープニングから調子が違っててビックリ。繁昌亭と云うことでネタは A 面仕様で、おしゃべり多めにまったりと。都々逸、ストトン節、阿呆陀羅経は「かい」尽くしで。

 サウンドコピーは動物の声帯模写で、懐かしい昭和の香りが漂う芸。初めて観るはずが、なぜかデジャヴ。元トリオ・ザ・ミミックと聞いて納得。(現在はコンビ)

 中入り後は出演者全員で海外公演にまつわるトーク。
 シンガポールとイギリスにそれぞれ 4 年間滞在した鶴笑。シンガポールではプール付きの豪邸に家政婦を雇って暮らしてたそう。物価の高いイギリスではそうもいかなかったが、それでもスタチュー(彫像パフォーマンス)で 1 日 4~5 万円、多いときには 7~8 万円を稼いだそう。おしどりも「イギリスは儲かる」と聞いて昨年イギリスへ。
 サウンドコピーは簡単な中国語を覚えてのぞんだ中国公演でウケるも、食事が合わずに苦労したそう。観客の感想は「中国語は下手だったが、ものまねは上手かった」。
 そのほか、姉様キングスのロシア公演の話や、国境なき芸能団のドミニカ共和国公演の話など。とくに英語圏外の場合は、言葉の障壁をいかに越えるか?が課題のよう。
 最後はなぜか“ドレミの歌”の替え歌でお開きに。


 なんともたのしい会でした。確かに落語(らしきもの)は 1 本でしたが、それを承知できてる人がほとんどだったようで、客席の雰囲気も良かったと思います。(隣のおっちゃんは酔っぱらってましたが)

 繁昌亭夜席のあり方が見直されてるようで、今後は今回のような感じの会はなくなるのかもしれません。あやめさんがプロデューサーとしての手腕を発揮する場を他所に求めるんではないかと、そんな気がします。

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坂口修一 Solo Act Live 『火曜日のシュウイチ』

2008/1/22 @in→dependent theatre 1st

※ Stage 82


 午後からの小雨で心が折れそうになりましたが、いつもより少しだけ遅めに会場へ。こんな天気でも常連さんは早くから列ばれてたようで、さすがです。
 入りは 40 人くらいでまずまず。


 この日のメニューは↓こちら。

  • オープニング
  • 『Radio on the Planet』
  • シュウイチの輪
  • SyuTube
  • 『ミッド・ナイト・エクスプレス』 第 41 話 「二律背反」
  • エンディング

月替わりゲスト作家作品 『Radio on the Planet』
 気になるあの娘との深夜のドライヴで緊張する大学生。裁判員制度による公判を翌日に控えた検察官。自分の誕生日にいつもより早く帰れたサラリーマン。ラジオに揺れる 3 人の男の、それぞれの物語。
[作・演出:岡野真大(KbZoffice)]

超短編連続ドラマ 『ミッド・ナイト・エクスプレス』 第 41 話 「二律背反」
 オープンが間近に迫った《駅ホスト ラガール》の運営方針で対立する田々南徹とシルバーフォックス。(全 50 話)
[作・演出:サシマユタカ]

 『Radio on the Planet』は、おなじラジオ番組を聴きながらも、あちこちで一喜一憂する男たちを描く。岡野真大の作品には初めて触れたが、約 1 時間の中編作品ながら好感触。坂口修一のシリアスな演技もなかなか。
 ただ、もうちょっと尺を詰めてテンポを出した方が良いような場面も。今回の構成なら、役者がすべてを語るんではなく、場面の間を観客に想像させることも可能かと。

 『ミッド・ナイト・エクスプレス』は、2 つのグループに分かれたホストを徹とシルバーフォックスがそれぞれ指導。車内環境改善による顧客の満足を第一に考える徹に対し、シルバーフォックスはなによりも利益を追求。両グループの対立する今後が気になる展開。

 終演後、1 月 18 日に誕生日を迎えた坂口修一を祝うスタッフのサプライズ企画が。27 歳のときの誕生日に坂口ひとりで♪Happy birthday to me と歌った録音を流され、スタッフに「こんな誕生祝いで良いんですか?」。会場全体で♪Happy birthday to you と歌ってお祝い。


 今回に限ったことではなく、これは他のゲスト作家作品にも云えるんですが、「30 分の短編作品」と云う制約に挑戦していただきたいです。どうも、なし崩し的に 1 時間枠になってる感じで。長くなればそれだけいろいろできるとは思いますが、短編ならではの味わいもあるんじゃないかなぁ、と。
 そう云う意味では『ミッド・ナイト・エクスプレス』もしかり。こちらはもう 10 分枠が最低ラインみたいな感じになってますから。もっとも、すでにラストまでのプロットが完成してそうですから、いまさら修正は利かないと思いますが。

 まぁでも、毎回たのしんでますけど。

火曜日のシュウイチ
坂口修一の日記

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売名高座 遊方・花丸・かい枝のチャレンジ落語会

2008/1/21 @道頓堀極樂商店街 ゑびす座

【「リレーする必要ないやんっ」な短いネタのリレー落語でエンタメチャレンジ!?】

  • 笑福亭智之介 「狸の賽」
  • 林家花丸 「壺算」
  • 月亭遊方 「公園の幼児ん坊」 (作:月亭遊方)
  • 桂かい枝 「胴乱の幸助」
    ―― 中入り ――
  • リレー落語 「犬の目」

※ 第 6 回


 前回はなぜか(と云うと失礼かもしれませんが)大入りだったんですが、今回はやや落ち着いて 30 人くらい。前回から配布されるようになったコピー本には「師匠と私」と云うテーマのエッセイが。


 開口一番の智之介は、マクラ代わりの小咄で苦労しながらも客席をほぐせず、そのまま「狸の賽」へ。きっちりテンポも良いが、なかなか笑いにつながらず。笑福亭だからか、口汚いセリフがチラホラ。

 花丸はまず、仕事で北海道へ行ったときの話をたっぷり。おもしろさ的にはまだまだで、ネタおろしのマクラだったのかも。
 「壺算」は、布袋さんの置物が水壺を割るところから。ちょこちょこと独自のクスグリも。終盤の、計算が合わずにイライラする瀬戸物屋の描写が割愛されてて残念。

 遊方は、繁昌亭の大入り袋に食い付くド厚かましい大阪のおばちゃんの話や、昭和のママさんの少年野球でのエグい応援の話など、こちらもマクラたっぷり。
 「公園の幼児ん坊」は、幼児を遊ばせるために公園へきた父親同士の会話劇。片一方の父親の非常識っぷりが笑いに。

 時間の都合で、かい枝はすぐさま「胴乱の幸助」を。前半で幸助の貫禄不足が気になったが、それ以上に稽古屋での浄瑠璃がどうもダメ。幸助がいざ京都へと云うところまで。

 中入りを挟んで、かい枝→花丸→遊方の順で「犬の目」のリレー。
 かい枝は、目を患った男が目医者へ行くところまで。ふらふらと歩く男が、最後は川に落ちてしまう。
 それを受けた花丸は、川に落ちて流される体でクルクルと客席まで。気が付くと、男は釣りにきていた目医者に釣り上げられたそう。目をくり抜いて治療してもらうも、犬に食われてしまう。
 目医者と助手がもめてるところで遊方に交代。患者の目を食べた犬の目を抜くも、花丸のときと抜き方が違う。犬の目を入れられた男の副作用が増量。困ったらすぐヤクザが出てくるのはなぜ?
 終わってから 3 人で公開反省会。


 19 時スタートで 22 時前まで。時間たっぷりでしたが、お客さんとの相性が悪かったのか、全体にやや盛り上がりに欠けました。
 リレー落語は初の試みにしてはなかなかだったと思います。前のふたりが元の噺にない設定をいろいろ入れ込めば、あとの出番の人が困ってもっとおもしろくなるかも。

 花丸さんも指摘されてましたが、この会場は空調の風切り音がヒドくて、常時「シュー」と云う音が耳に付きます。なんとか改善していただきたいです。

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初春文楽公演

2008/1/20 @国立文楽劇場

【第 1 部】

  • 国性爺合戦こくせんやかっせん
    • 平戸浜伝いより唐土船の段
    • 千里が竹虎狩りの段
    • 楼門の段
    • 甘輝館の段
    • 紅流しより獅子が城の段

【第 2 部】

  • 七福神宝の入り舩しちふくじんたからのいりふね
  • 祇園祭礼信仰記ぎおんさいれいしんこうき
    • 金閣寺の段
    • 爪先鼠の段
  • 傾城恋飛脚けいせいこいびきゃく
    • 新口村の段

※ 第 109 回


 おめでたい文楽初春公演は、正月用の飾りと睨み鯛がお出迎え‥‥は、第 1 部と第 2 部の入れ替え時に見ました。
 と云うのも、いつも直前に予約して当日に引き替えるんですが、今回はめずらしく事前に前売り券を買っておきました。第 1 部は 11 時開演で、目覚めたのが 10 時ジャスト。7 分で着替えて自宅を飛び出し、走りに走って開演 5 分過ぎになんとか着席。座った瞬間に舞台の幕が引き落とされました。


 第 1 部は『国性爺合戦』をたっぷり。唐土のセットや衣装が新鮮。
 唐土人の父と日本人の母との間に生まれた和藤内が、浜辺に唐船で漂着した栴檀皇女と出会う。和藤内の妻の小むつの悋気がかわいい。小むつを説得し、栴檀皇女を預け、和藤内は父母とともに唐土へ。
 唐土の竹林で、襲ってくる虎を和藤内が伊勢大神宮の御札を使って鎮める場面がたのしい。この虎が着ぐるみで、さながら落語「動物園」の様相。
 その後、生き別れた娘との再会し、娘の夫に援軍を頼むも立場上難しく、親孝行にと娘が自害。これに心打たれた夫が協力する旨を約束すると、母も自害。これがわからん。美談と云えなくもないが‥‥。


 第 2 部は『七福神宝の入り舩』からおめでたく。宝船に乗った七福神が順に隠し芸を披露する。大黒天の袋から飛び出した鼠がくわえていた掛け軸に「超大吉」。

 『祇園祭礼信仰記』は、小田信長(織田信長)の家臣・此下東吉(木下藤吉郎)の活躍。とにかく金閣寺のセットが圧巻。最上階に幽閉された人質を救出しにゆく東吉に合わせて、カメラが上方向へパンするがごとくセットが移動。また下へ下りてくる場面もあり、かなり大がかりな舞台転換に圧倒される。

 『傾城恋飛脚』は奈良の新口が舞台。田舎屋が舞台でやや地味な印象ながら、主題となる父と息子の親子愛をしんみりと。発端は端折って、息子の嫁が孝行するおいしいところを。


 第 1 部は長編をたっぷり、第 2 部はおいしいとこ取りって感じの番組でした。初心者でもたのしみやすいと感じました。
 七福神はお正月らしいですし、奈良が舞台の話はやっぱり興味がわきますね。『国性爺合戦』と『祇園祭礼信仰記』は、セットがスゴかったです。「金閣寺の段」でちょっとウトウトしてしまいましたが。

国立文楽劇場

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雀のおやどで白鳥さん。 三遊亭白鳥独演会

2008/1/15 @雀のおやど

  • 雀三郎・白鳥 《対談》
  • 三遊亭白鳥 「真夜中の襲名」 (作:林家彦いち)
  • 桂雀三郎 「哀愁列車」 (作:小佐田定雄)
    ―― 中入り ――
  • 三遊亭白鳥 「メルヘンもう半分」 (改:三遊亭白鳥)


 前日の SWA 公演から白鳥さんだけが居残っての独演会。観客は 40 人ちょいくらいで、なかなかええ感じの入りです。


 まずは白鳥と雀三郎の対談から。白鳥が用意したフリップ(スケッチ・ブックに手書き)に沿ってのテーマ・トーク。
 《出会い》は白鳥の師匠の三遊亭圓丈が主催していた『応用落語』の会で。東京公演もおこなってた『雀三郎じゃくさん製アルカリ落語の会』の話題から、《新作》についていろいろ。
 《落語ブーム》については、ふたりともそれほど感じてないよう。白鳥的には『大銀座落語祭』は初心者とマニアが集まって演りにくいそう。
 落語ブームで《弟子》も増えてるが、雀三郎はこれ以上はムリだとか。白鳥にも弟子志願者があらわれたが、メールで打診してきたため断ったところ、「誰か紹介して」と頼まれたそう。

 白鳥の 1 席目は、用意した出囃子が流れなくてあせったため、扇子と手拭いを忘れて登場。雀のおやどで演るときは《黒白鳥》として他所であまり演れないネタを掛けると宣言。立川談春の《黒談春》に対抗!?!?
 同期の柳家花緑と柳家小さん宅へ行ったときの話をマクラに始まった「真夜中の襲名」は、上野動物園でパンダウサギのピョンキチがパンダの大名跡カンカンを襲名しようとする噺。動物界に落語界をトレースしたストーリーで、たしかにこれは東京ではなかなか演れないかも。

 雀三郎は開口一番「白鳥さんの次はハゲタカです」。白鳥の高座を評して「落語でっか?あれ」。
 旅のいろいろから「哀愁列車」へ。失恋の痛手を癒やすため列車で雪国を旅する男の物語。旅先での出会いを期待するも、そうは問屋が卸さない。親子連れがしりとり歌合戦を始める場面が真骨頂で、本職のノドを聞かせる熱唱。

 中入りを挟んで白鳥の 2 席目。「江戸前の古典落語を」「登場人物を変えるだけで怪談噺もほのぼのとしたメルヘンチックな噺に変わる」と始まった「メルヘンもう半分」は、「ムーミン塚の由来」と冠した「もう半分」の白鳥版。ムーミンが出てくるにもかかわらず江戸時代の設定にこだわるあたりがこまかいクスグリに。ミイが恐い。


 白鳥さん、おもしろいですねぇ。とにかく恐いキャラが出てきて噺を転がすのが白鳥さんならではって感じな気がしてきました。雀三郎さんとの意外な接点も興味深かったです。
 雀のおやどでの《黒白鳥》、定期的に開催してほしいもんです。

三遊亭白鳥公式ホームページ

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SWA クリエイティブツアー

2008/1/14 @ワッハホール

【明日の朝焼け ~『たかし』 11 歳から退職までの物語~】

  • 《オープニング》
  • 三遊亭白鳥 「恋するヘビ女」
  • 春風亭昇太 「夫婦に乾杯」
  • 林家彦いち 「臼親父」
  • 柳家喬太郎 「明日に架ける橋」
  • 《エンディング》


 SWA の久々の大阪公演。私は初 SWA です。昼夜公演の夜の部に行きましたが、補助席も出る大入り満員。スゴいですね。


 オープニングは 4 人揃って初心者向けメンバー&背番号紹介。トップの白鳥が準備で引っ込むと、他のメンバーが「白鳥はいかにバカか」と云う事例を次々と。準備が整ったところでオープニング映像。
 今回のツアーは、別々に作られた新作の主人公を《たかし》に置き換え、彼の成長を俯瞰する構成。

 白鳥の「恋するヘビ女」は、青森の田舎で暮らす少年時代の《たかし》が《ヘビ女》と呼ぶ叔母に恋愛相談する噺。叔母の恐さに白鳥色濃厚。サゲで落とし切れず、時間を巻き戻して違うサゲに。

 昇太の「夫婦に乾杯」は、サラリーマンになって酒の商品企画部で働く《たかし》が、仲の良い夫婦のあり方に疑問を抱かされる噺。上司の指示でムリヤリ夫婦喧嘩するたかしにバカバカしいおかしさが。

 彦いちの「臼親父」は、リストラ候補になった《たかし》が、なぜか「猿蟹合戦」の世界へ入り込んでしまう噺。登場キャラクターの所作が特異で、とくに栗や臼の表現が特筆もの。蜂を演るときに扇子で針を表現。

 喬太郎の「明日に架ける橋」は、還暦を迎えて定年退職した《たかし》が、家族から年寄り扱いされるのに腹を立てて飲みに行く噺。未練を断ち切るために長年着続けた背広を川へ流そうと、みんなで結んで「親父の白線流し」。スッキリしてからオフィスを模した「会社酒場」へ。これまでのエピソードの小ネタの拾い方がさすが。

 最後に全員揃ってエンディング。近々の来阪公演紹介など。


 トータル・コンセプトで新作をリライトすると云うアイディアは、ネタをいっしょに作っている SWA ならではでしょうね。ただ、今回の趣向の枠に収めるために、各々の爆発力がそがれたようにも感じられました。期待感が膨らみ過ぎてたからかもしれませんが。
 まぁでも、やっぱり SWA は魅力的な団体ですから、また大阪公演をお願いします。こっちのできちゃった!メンバーとのコラボレーションなんかあれば、新作落語シーンもかなりおもしろくなると思うんですけどねぇ。

SWA!すわっ!

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初笑い快楽亭ブラック毒演会

2008/1/14 @TORII HALL

  • 快楽亭ブラック 「オナニー指南」 (作:快楽亭ブラック)
  • 快楽亭ブラック 「宿屋の仇討ち」
    ―― 中入り ――
  • 快楽亭ブラック 「紀州飛脚」
  • 快楽亭ブラック 「道具屋・松竹篇」 (作:快楽亭ブラック)


 SWA とのバッティングでちょっと心配した入りも、いつもどおり 40 人くらい。どうやらファン層が完全に違ってたようです。‥‥って、あたりまえ!?!?


 正月 1 発目のブラックは三番叟の格好で登場。浅草の古着屋で見かけて、正月用にと買ってきたそう。浅草の花柳界の話から稽古事の話へとマクラをつないで「オナニー指南」。《女偏に女》と書いて《レスビアン》ではなく《女 2》→《おんなに》→《オんナニぃ》→《オナニー》。もちろん「あくび指南」のパロディーで、バカバカしいおかしさ。

 青春 18 きっぷでの旅行にハマって肩書きを「旅人」とした名刺を作成中と云う話から、2 席目は古典で「宿屋の仇討ち」。江戸っ子 3 人連れのドンチャン騒ぎにハメモノが入らないんで、チとさびしい。ややタイミングの悪い場面があちこちに。

 中入りを挟んでの 3 席目は、マクラで小さん一門の正月の紹介。元日は談志宅から小さん宅へ年始の挨拶。2 日は小さんの誕生日で一門が揃って祝い、その席で前座が裸でホタル踊りをさせられたそう。そっから男のイチモツにまつわる話や小咄をつないで「紀州飛脚」へ。これは大阪時代に覚えたと思うが、やはりイントネーションが気になる。

 4 席目はリクエスト。客席から「名字なき子」との声が上がり、いったん降りて「道具屋・松竹篇」を。道具屋をベースに、前半は皇室ネタ、後半は松竹ネタ。最後に袂から真っ赤なロープを取り出すが、いったん降りたのはこれを仕込むため。


 ブラックさんの古典はなかなか雰囲気があって良いんで、毎回 1 席は演ってほしいところ。とくに「七段目」を観てみたいですが、次回はどうも下ネタ特集みたい。

 今年は大阪で 9 回開催予定だとか。次回は 2 月 11 日(月・祝)です。

快楽亭ブラックの出直しブログ

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新春林家一門顔見世興行

2008/1/13 @天満天神繁昌亭

  • 林家染吉 「つる」
  • 林家卯三郎 「時うどん」
  • 林家染二 「お血脈」
  • 林家染雀 「高尾」
    ―― 中入り ――
  • 林家そめすけ 「仏師屋盗人」
  • 林家花丸 《三題噺》
  • 林家染丸 「ふぐ鍋」


 毎年恒例の新春林家一門顔見世興行。毎回、大喜利と呼ぶには凝った趣向があるんですが、今年は染丸さんがドラマ『ちりとてちん』で忙しかったみたいで、普通の落語会に。その代わり 2 日興行になり、前日が若手中心、この日はベテラン中心と云った感じの構成。
 さすがに林染会関係のお客さんが多いようで、満員。


 開口一番は染吉。きちんとした挨拶からすぐさま「つる」に。落ち着いてきっちり丁寧で好印象。

 前日に染太と間違えられた卯三郎は「時うどん」を。清八のごまかし方をまねる喜六のとぼけ具合と、それに付き合わされてるうどん屋のイラつき具合に卯三郎らしさがしっかりと。最近、ますます味が出てきてる感あり。

 染二はいきなり噛みまくり。気を取り直して、染吉の入門秘話から、旅にまつわるいろいろでマクラをつないで「お血脈」へ。あちこちで脱線しつつ軽めの噺運び。
 閻魔大王の代替わりを最近の総理大臣にたとえ、閻魔の出御であらわしてみたり。その閻魔が魚尽くしで世相を斬るのもたのしい。

 中トリの染雀は、桂春團治の稽古にまつわる話をマクラに、実際に春團治に付けてもらった「高尾」を。マクラからそっくりそのまま。前半はやや硬かったが、反魂香から浮かび上がる高尾の様子は幽玄で絶品。そこからは硬さも取れ、おちょねを待つ喜六をたのしそうに。

 中入りを挟んでそめすけ。小ネタ数珠つなぎから「仏師屋盗人」へ。そめすけの落語は初めてかも。仏師屋と盗人のぶっきらぼうな感じがそめすけにぴったり。やや性急に感じられるところがチともったいない。

 花丸が三題噺を演るとお題を募ると、「朝青龍」「成人式」「(桂)雀三郎」「ハニカミ王子」と、なぜか 4 つ出る。どうにかこうにか 4 つとも盛り込んで。

 染丸はドラマ『ちりとてちん』の話をマクラに、直伝の「ふぐ鍋」を。やはり吉朝の型に比べて非常にシンプルだが、吉朝が作った、乞食の「しびれる~」のクスグリは採用。旦那と大橋を活き活きと。

 最後に全員揃って大阪締め。おめでたい雰囲気。


 トリの染丸さんがちょっと軽めで拍子抜けの感もありましたが、バラエティーに富んだ番組で良かったです。さすが林家一門ですね。
 花丸さんは落語も用意されてたそうで、おそらく前のそめすけさんが色物芸なら落語を、落語なら三題噺を、と考えられてたんだと思います。ここらの全体のバランスを見据えた配慮が花丸さんらしいです。

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南湖だんご 旭堂南湖話術研究会

2008/1/11 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

【赤穂義士伝 其の四 堀部安兵衛 2】

  • 旭堂南湖 『赤穂義士銘々伝』より「安兵衛の仇討ち」

※ 37


 開場後に到着したんですが、先客は 2 人。私のあとに 2 人きて、合計 5 人。ちょっとさびしいですねぇ。


 マクラ代わりに実家での餅つきの話、ラジオの話、講釈師の修行の話、等々。いろいろとたっぷり 10 分ほど。
 堅物の侍・中山安太郎と芸者・こさんとの間に生まれた子どもが安之助、後の安兵衛。母は病死し、父も病に伏す。安之助が偶然に祖父・中山安左衛門と出会い、父の薬代を融通してもらうも、その晩、強盗に父を殺される。それに気付いた安之助がその場で父の仇を討つ。天涯孤独となった安之助は越後の祖父を訪ね、その後、名を安兵衛と改めて江戸へ出る。
 ‥‥と、前回と同じところまで。幼少時代の安兵衛の、父親思いのけなげな様子を丁寧に。さすがに 2 度目だけあって、前回よりもスムーズな進行で聴きやすい。


 トータルで 80 分ちょいでしたが、出演者がひとりですから、中入りなしでしゃべれば時間的にはこんなもんでしょう。内容は前回とまったくいっしょでしたが、さすがに 2 度目だけあって、整理されててスムーズでした。
 が、内容が良くてもお客さんに聴いてもらわなければ、芸も宝の持ち腐れ。今年はなんとか安定して《つ離れ》するようになってほしいと願うばかりです。

 終演後、南湖さんを囲んでのプチ新年会。ビールで喉をうるおしつつ、講談界の話やできちゃった!メンバーの話なんかもいろいろ聞かせていただきました。

正直南湖

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新進落語家競演会

2008/1/10 @ワッハホール

【第 45 回 なにわ芸術祭新人賞選出】

  • 《オープニング》
  • 桂よね吉 「芝居道楽」
  • 笑福亭瓶生 「牛ほめ」
  • 笑福亭たま 「ドーベルマン刑事」 (作:笑福亭たま)
  • 桂しん吉 「鷺とり」
  • 笑福亭風喬 「千早振る」
    ―― 中入り ――
  • 林家笑丸 「看板の一」
  • 桂三弥 「英才教育」 (作:桂三枝)
  • 笑福亭喬若 「動物園」
  • 《クロージング》

※ 第 13 回


 観覧希望者は応募する必要があったんですが、開演が 18 時と早いんで見送ってました。ところが入場券が回ってきまして、せっかくですから行くことに。
 さすがにタダの会は満員で、後方通路の床几もいっぱいです。

 パンフレットによりますと、「出演者は、上方落語協会から推薦された入門 10 年前後の新進落語家で、月例の『上方落語定席 島之内寄席』に出演した人」です。
 審査員は、金森三夫(産経新聞社文化部)、河内厚郎(演劇評論家・『関西文学』編集長)、林家染丸(上方落語協会副会長)、松澤真木(関西テレビ放送プロデューサー)、の 4 名。(五十音順・敬称略) ただ、染丸さんには審査権はなく、オブザーバーであるとのこと。


 まずは笑福亭仁昇による解説から、出演者全員が登場して出番順決め。ところが喬若のみ入りが遅れていて不在。こんなんでええの?
 すでに環状の出演順が決められており、くじで赤玉を引き当てた者から高座を勤めると云うものだったが、順に引くも全員が白玉。不在の喬若がトップとなったが、2 番手のよね吉からと云うことに。こんなんでええの?

 トップのよね吉はくじ運(?)を嘆きつつ、「七段目」を短くまとめた「芝居道楽」。演り慣れてるネタだけに、芝居の所作もきれいに決まる。
 後半の若旦那と丁稚が七段目の真似をする場面をカットし、芝居に夢中の若旦那に詰め寄られた丁稚が 2 階から転落。親旦那が「『忠臣蔵』の真似して落ちたな? 五段目か? 六段目か?」に、丁稚が「いえ、階段のてっぺんから」でサゲ。

 つづく瓶生はネタを持ち時間の 14 分にまとめたことを訴えてから「牛ほめ」を。全体に余裕がなく、「ここが笑うところ」と云う記号がほとんど欠落した感じ。

 たまは学生時代の地下鉄でのエピソードでしっかり笑わせてから、自作の「ドーベルマン刑事」へ。名犬シナモンを相棒にする名刑事が実は‥‥ってな噺。
 白い粉の入った袋を発見したシナモンが、中身を舐めてジェスチャーで伝える場面。お好み焼きを焼く仕草、たこ焼きを焼く仕草のあと、顔を化粧するような仕草から「七段目」の丁稚が「芝居の真似を止めたらよし~」の所作を「ワワワワン~」と。もちろんきっちりハメモノ入り。さらにそこで「なにしてるんですか?」「芝居噺ができることも観てもらおうと思って」と、たま自身の思いを台詞に。出番順を活かしたギャグは大ウケ。

 しん吉はたまの空気を扇子で追い払ってから「鷺とり」を。鳥の捕り方いろいろは省略し、サギの捕まえ方から入って円頓寺へ。四天王寺の五重塔に掴まった男を見に集まる群衆のにわかも省略。坊主が用意した布団に飛び降りるも、トランポリンのように跳ね上がって、もといたの五重塔のてっぺんに戻って「あぁ助かった」でサゲ。手堅くきっちり。

 風喬の「千早振る」はオーソドックスながら、独自のクスグリが随所に。千早が嫌う相撲取りと上方の噺家は「どっちも協会がゴチャゴチャもめてる」、神代が嫌う相撲取りと亀田親子は「どっちもツッパリ過ぎ」。口跡も良く好印象。

 中入りを挟んで、笑丸はマクラでしっかり笑わせてから「看板の一」。前半の江戸っ子の親父っさんのカッコ良さと、後半のアホのハチャメチャさの対比が秀逸。以前観たときよりも格段に完成度アップし、おもしろさ倍増。

 三弥は「実は私、ガンでございます」と、同情票を集める作戦に。師匠・三枝の作の「英才教育」は、息子に医者になってもらおうとする夫婦の噺。演り慣れてる感じで、とくに妻の様子が良い。サゲの部分で詰まってしまったのが残念。

 トリの喬若は客席に一礼した後、楽屋の方にも一礼。「動物園」は、無職男の仕事への注文は省略し、すぐさま移動動物園へ。全体的にこなれてない感じで、ややメリハリに欠ける印象。園内放送の BGM が“ドナドナ”ってのはおもしろい。

 最後に出演者全員揃って一言コメントと、審査員 4 名の総評も。審査結果は 1/11 付けの産経新聞紙上で。


 個人的には、よね吉、たま、風喬、笑丸、の 4 人が候補に挙がりそうな印象でした。そのなかでも、たまファンであることを抜きにしても、笑いと云う点ではたまさんが頭一つ抜けてたように思います。さて、結果はどうなりますことやら。

 トータル 2 時間 15 分で、これなら 18 時半か 19 時開演で良かったんじゃないかと思います。なんでこんな早くに始めるのか、理解に苦しみます。

上方落語協会
産経新聞社


【結果】

新人賞: 笑福亭喬若
奨励賞: 林家笑丸

(産経新聞 2008/1/11 朝刊より)

 各賞選出に関する記事中の記載は結果のみで、あとは受賞者プロフィールと審査員紹介(氏名・肩書きのみ)だけでした。
 少なくとも、受賞者に対する講評や受賞ポイント、会の総評くらいは載せていただきたかったです。欲を云えば、出演者全員のクロス・レビュー(各出演者に対する各審査員の寸評)もほしいところ。審査員の見識を疑うわけではありませんが、あまりにも情報がなさ過ぎな記事だと思います。

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育っちゃったらくご!

2008/1/9 @天満天神繁昌亭

  • 桂三金 「神様の御臨終」 (作:逢坂まひょ/脚色:桂三枝)
  • 笑福亭たま 「矢橋船」
  • 月亭遊方 「憧れのひとり暮らし」 (作:月亭遊方)
  • 桂三風 「ロボ・G」 (作:桂三枝)
    ―― 中入り ――
  • 旭堂南湖 「あやめ一代記」 (作:旭堂南湖)
  • 桂あやめ 「猫の忠信」

※ 第 9 回


 こっちの気持ち的には年越しの余韻を引きずりつつって感じなんですが、2 階席は解放せず、1 階席が 9 割入り。まぁ常識的に考えたら、正月休み明けの夜席で、とくに優待もなく、できちゃった!メンバーの会ですから、これくらいが普通なんでしょうけど。それでもザックリ半分は初めてのお客さんのようで。


 三金はマクラで年末年始の全国各地での仕事の話。前座や余興や前説ながら、この日まで超多忙。
 ネタは師匠・三枝の「神様の御臨終」で、20 世紀の神様が亡くなり、21 世紀の神様の誕生に立ち会うことになった人類代表の男の噺。男を迎えにくる神様のとぼけ具合がおもしろい。なんとなくシスター・スリーゴールドの雰囲気が。

 たまは師匠・福笑との電話でのやり取りで笑わせる。(本人は笑えないところだろうが)
 「矢橋船」は何度か観てるが、今回はかなり整理され、スムーズな流れ。色問答に加わろうとする男の「あの~、私も‥‥」と云うときの下からのぞき込む表情がなんとも云えずおかしい。後半のしびん酒はどんぶり鉢で豪快に。

 遊方は以前住んでた福島のアパートの話をマクラに、ひとり暮らしの部屋を探しに不動産屋を訪れる「憧れのひとり暮らし」。前半のひとり暮らしにふくらむ妄想は遊方自身が投影されてるよう。不動産屋には釣り物件以外はまともな部屋がなく、出てくる物件がことごとくおもしろい。縦に 10 畳の部屋とか。物件は以前から入れ替えがあった模様。

 三風は酷い目にあった学校寄席の話をマクラに、師匠・三枝の「ロボ・G」を。娘の情操教育のために老人型ロボットを購入する噺。ラストへ近づくにつれてほのぼのとしてくるストーリーが三風のニンに合う。

 中入りを挟んで、南湖はトリのあやめの半生記をつづった「あやめ一代記」。実際のエピソードをつなぎ合わせ、立体的に、そしておもしろく。「講釈師 見てきたように 嘘を云い」と云うが、実際のエピソードがウソみたいな話だけに、どこまでも本当のように思える。

 トリのあやめはネタに合わせてネコの帯で。自身が通う小唄教室での稽古の話から「猫の忠信」へ。通りで出会う次郎貴と六が、ふたりでいっしょに稽古屋や常吉の家へ行く型は初めて。仲間内のワチャワチャした感じが出て、これもなかなかおもしろい演出。
 稽古屋でお静と常丸が《ぬくい造り》をするときの表情がリアル過ぎて気持ち悪いくらい。そして常吉のおとわの悋気が強烈で、常吉の浮気を知らされて豹変。ここらがあやめ落語の真骨頂。


 この日の番組は徐々に盛り上がってくる感じでええ雰囲気でした。前半は良くウケてましたし、中入り後もあやめさんの特集みたいな感じでたっぷりと云った感じ。トータルでかなり充実した満足度の高い会になりました。

 次回は 2 月 25 日(月)に『できちゃったらくご!』です。
 そして 3 月 29 日(土)は『育っちゃったまつり!』で、落語のほかに芝居(コント?)や踊りもあるそう。こちらもたのしみです。

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桂福團治一門会

2008/1/8 @天満天神繁昌亭

  • 桂福丸 「桃太郎」
  • 桂福矢 「牛ほめ」
  • 桂福楽 「代書屋」
    ―― 中入り ――
  • 虹友美 《津軽三味線》
  • 桂福團治 「蜆売り」


 新年最初の繁昌亭は、あきらかにいつもと違った客層。福團治さんのお客さんが結集した感じです。


 あいかわらず福丸ファンも多いようで、トップから声が掛かる。うるう年の話で軽く笑わせてから「桃太郎」を。納まりまくりの安定感抜群で、逆に「このまま小さくまとまってしまうのでは?」といらん心配をしてしまう。

 福矢は福丸の学歴をうらやみつつ、少年期の小遣い稼ぎの苦い思い出を赤裸々に告白してから、小遣い稼ぎの噺で「牛ほめ」。福矢が演ると喜六的男がちょっと生意気な感じで、また違った味わい。

 幇間のように登場した福楽は、かなりハイ・テンション。ドラマ『ちりとてちん』に出演中の桂吉弥に間違えられるとか。入院先でのエピソードで観客を引かせてから、四代目・桂米團治が「代書屋」を作った話なんかを交えて本題へ。
 どうなることかと思ったが、噺に入るとすごい集中力。代書屋と、そこへ履歴書を書いてもらいにきた男との対比・落差が明瞭。最初は冷静に、客の男の馬鹿さ加減を笑っていた代書屋も、徐々にキレてくる。「もうよろしい。適当に書いときます」「ちょっと余ったなぁ。『提灯行列の 3 年後、人を 8 人殺す』」となり、最後は履歴書を破り捨てると云う福楽ヴァージョン。やっぱりヤバい。

 中入りを挟んで、虹友美の津軽三味線。初々しいおしゃべりで THE VENTURES の“Diamond Head”やクラシックの“Csikos Post”(運動会でおなじみの曲)等を。選曲がおもしろい。

 トリの福團治はあいかわらずの自虐節をたっぷりと、物売りの売り声いろいろからえべっさんへとつなぎ、自然な流れで「蜆売り」へ。マクラから噺へのつなぎがシームレス。
 蜆売りの子どもにややムリが見られるも、親方の貫禄と下っ端の軽さで会話を転がし、ほとんど笑いのない人情噺で観客を引き込む技量はさすが。冬の寒さがしみる。


 福團治さんはたっぷりで大満足。ええもん観させてもらいました。福楽さんは浮き沈みがあるんでちょっと心配です。安定飛行を祈ります。
 この日の拾いものは色物で出た虹友美さん。ご本人のキャラクターや選曲でたのしませていただきました。昼席でもいけるんじゃないでしょうか。

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DDT - 大阪どうでしょうリターンズ

2008/1/6 @デルフィンアリーナ道頓堀

 文太さんの会が 16 時頃に終わり、DDT が 17 時スタートと思って会場に行ってみると、これが 18 時スタート。仕方なくマクドで時間潰し。チケットの手配をお願いしていた 某後輩 と合流し、頃合いを見計らって再び会場へ。
 大阪プロレスの本拠地が新世界から道頓堀に移転。場所は TORII HALL の東奥です。会場名も《デルフィンアリーナ道頓堀》とプチ・リニューアルし、以前は床座りだった客席はパイプ椅子ながら完全椅子席に。地階と 1 階を使い、地階に設置したリング上空が 1 階スペースに吹き抜けてます。客席は地階がメインで、1 階は吹き抜け周辺のボックス席(VIP ルーム)とバルコニー席と物販コーナーになってます。ちなみに、物販コーナーの壁面はスペル・デルフィンのお宝展示スペースです。
 ほぼ満席でええ感じの入り。リングアナによると、東京近郊からの遠征組もかなり含まれてたようです。


柿本大地 vs 松永智充
 若手の前座試合ながら、バチバチの展開がなかなか。もう少し大技を控えて試合を組み立てられるようになれば、前座としてベストだろうが。DDT、侮り難し。

中澤マイケル vs カブキキッド
 身体中にローションを塗りたくった中澤はとにかく気持ち悪いが、ヌルヌルで相手が技をかけられないと云うギミックはおもしろい。ただ、ローションやローションの瓶は凶器にならないの? 公認凶器? 途中、着ているシャツで中澤のローションを拭き取るカブキキッドの攻撃(?)に拍手。

KUDO&ヤス・ウラノ vs マサ高梨&星誕期
 元力士の星誕期はさすがにデカい! ダメなリーダーの高梨との組み合わせも良し。KUDO 組はタッグ慣れしていて試合をコントロール。タッグ的おもしろさのなかに笑いを適度にブレンドして、DDT の試合としては万人向けの展開に。

HARASHIMA&飯伏幸太 vs ポイズン澤田 JULIE&タノムサク鳥羽
 ポイズンが入ってるだけに漫画チックな展開になるかと思いきや、飯伏と鳥羽の対立にスポットが当たる好試合に。異種格闘技戦のような趣だが、いつも気になるのが鳥羽のパンチが途中からどうもグローブでひっぱたいてる感じになること。総合仕様の薄いグローブを使うと威力が強すぎるだろうし、ここらが DDT の難しいところ。
 ポイズン・ファンとしてはポイズンの目立つムーブもなく引き気味で残念だったが、その分、こちらも支持してる鳥羽が勝利して飯伏との今後につながる流れは良かった。

 ここで休憩。

アントーニオ“ザ・ドラゴン”本多&諸橋正美&塩田英樹 vs ディック東郷&大鷲透&諸橋晴也
 東郷組が強過ぎ(本田組が弱過ぎ?)て、あきらかにパワー・バランスが取れてない 6 人タッグ。劣勢のアントンに悲壮感が漂う。
 東郷組は《METAL VAMPIRE》と云うユニットでヒール軍団として活動してるみたいだが、普通に《悪い奴らの集まり》って感じ。どこらへんが《メタル》で、どこらへんが《ヴァンパイア》なのか? いまどきのプロレスに、ましてや DDT に必要なのか疑問。(遠征興行を単発で観てるとわからないところもあるんだろうが)

【DDT エクストリーム選手権試合】
〔王者〕男色ディーノ vs 高木三四郎〔挑戦者〕

 試合はレインボーフィニッシュルール(スクリーンに出される「誰々選手の何々」と云うお題に沿って前後のムーブまで再現しないとフォールやギブアップが認められないと云うルール)でおこなわれる。「飯伏幸太のフェニックススプラッシュ」と出た途端にふたりが「パス!」と云ったり、三四郎が観客を煽ってしまったり、ディーノが相手をまさぐったり股間で攻撃したりしてしまって認められなくなるなど、最初はおもしろかったが、これが延々と続くと途中からコントの様相。
 「ポイズン澤田 JULIE のガルストリーム」「塩田英樹のキャプチュード」「HARASHIMA の蒼魔刀」では、本人が出てきて試技。最後に三四郎が HARASHIMA、ディーノと立て続けに蒼魔刀を決められて敗戦。


 どの試合もプロレス的におもしろく、ここらに DDT のプロレス愛が感じられますね。新日本と DDT が同じ日に興行してたら、いまなら間違いなく DDT を観に行くと思います。
 ただ、メインがコントみたいだったのが残念。内容云々よりも、この試合を興行のどのポジションに置くかと云う問題。適材適所があると思うんですよ。これなら中トリの HARASHIMA 組 vs ポイズン組 と入れ替えた方がスッキリして帰れたと思います。

 次回は 3 月 20 日(木・祝)に、おなじくデルフィンアリーナ道頓堀にて。

DDT XXXch Official Web

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文太の会 in 高津の富亭

2008/1/6 @高津の富亭

【文太の贋作あれこれ】

  • 桂文太 《開口 0 番》
  • 桂文太 「代脈」
  • 桂文太 「高倉狐」
  • 桂米左 「たいこ腹」
  • 桂文太 「立ち切れ線香」


 ちょい早めに行って周辺散策。ついでに高津さんで初詣をと、お参りしておみくじを引くと、これが凶。ヘコまされるなぁ‥‥。
 なぜかこの日はお客さんが続々と詰めかけ、50 人以上は入ってたと思います。膝送りしてもらった方が良かったようにも思いますが‥‥。


 開演前に恒例の文太さんのおしゃべり。2007 年を「偽」から振り返っていろいろ。佐ん吉雨男説の検証が興味深い。
 文太が「高倉狐」を演る際には高倉稲荷をお参りするそうだが、荒れていた社がいつの間にかきれいになっていたそう。片岡孝夫が仁左衛門を襲名する際に改修したとか。

 文太の 1 席目は歯医者でのエピソードをおもしろおかしくマクラに、医者つながりで「代脈」を。大先生と州達の会話がほのぼの。芋や羊羹にこだわる州達がおかしい。若先生こと州達が人力俥に乗って先方へ。ええ加減だが憎めない州達のキャラがたのしい。

 つづけて文太の 2 席目「高倉狐」は、狐が化けるところを見た男が、逆に狐をだます噺。狐に騙されないかと疑いつつ飲み食いする男の首尾がお見事。サゲの、疑心暗鬼になった狐のセリフがなんともおかしい。

 ゲストの米左はマクラで幇間と噺家の人数比較。バカバカしい対比なのに興味深い。たっぷりめのマクラから「たいこ腹」へ。幇間の茂八にもう少し軽さがほしいところだが、若旦那の納まり具合はなかなか。

 文太の 3 席目は、師匠の桂文枝も得意にした「立ち切れ線香」。文太が演ると、若旦那をしつけようと云う番頭の厳しさよりも、全体にやわらかさが感じられる丁寧な語り口。セリフや演出で、吉朝の型との細部の違いが興味深い。


 文太さんはあいかわらずたっぷりで、この日もまんぷくでした。
 この日は今年のテーマ《「立ち切れ線香」を観る》の第 1 弾でした。文太さんのは若旦那をみんながやさしく包み込んでるようでした。米朝師匠と文枝師匠の違いもあちこちにあって、聴き比べのようなおもしろさもありました。

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そごう寄席 落語と浪曲

2008/1/5 @そごう劇場

  • 桂佐ん吉 「狸の賽」
  • 林家花丸 「阿弥陀池」
  • 月亭八天 「茶屋迎い」
    ―― 中入り ――
  • 春野恵子 「お夏清十郎」 (曲師:沢村さくら)
  • 笑福亭福笑 「軒付け」

※ 1 日目


 一心寺の会は春團治師匠登場と云えども下町の寄席って風情でしたが、そごう劇場はお上品な雰囲気が漂ってますね。
 空席がチラホラと 9 割入りって感じ。正月から福笑さんは濃い?


 開口一番は佐ん吉の「狸の賽」。演り慣れてるネタだけあって口跡良くトントンと。劇場の広さに合わせてか、アクションも大きめ。きっちり会場をあっためる。

 つづく花丸は、マクラでいろんな場所で会をした話を。郵便局では高座と客席の間に透明パネルがあり、焼き肉屋では名ビラがお品書きの並びに貼られて「上ロース」「塩タン」「ハラミ」「チシャ」「林家花丸」。
 「阿弥陀池」はスタンダードな構成ながら、花丸風味が濃厚。これがまた良くウケる。グイグイ引っ張って、最後の「その殺された竹はなぁ、ウチの嬶の実の弟や」「えぇ~!?!? ‥‥うそピョン」で爆発。

 中トリの八天は男女の道楽の違いをマクラに「茶屋迎い」。お茶屋に居つづけの若旦那を迎えに行く噺。ロボットのような堅さの杢兵衛が隠れキリシタンの子孫で「サタンよ退けー!」「見よ、このロザリオを!」に爆笑。
 下男に変装して若旦那を迎えに行く親旦那の「親不孝者め」の繰り返しでサゲをわかりやすくするも、ややクドい印象。ここらのさじ加減は難しいところ。

 中入りを挟んで、浪曲の春野恵子。「悲しい話ですいません」と謝ってから、好き合っているのに結婚できない男女の悲恋話の「お夏清十郎」。歌の部分は堂々とした唸りっぷりだが、語りの部分のイントネーションにまだ違和感が残る。

 トリの福笑は、時間の都合もあってマクラたっぷり。いつものように世相を斬りまくり。子年から猫の話へ、さらに三味線の話へと話題が転がり、さらには文楽の話も。
 「軒付け」は、流れはオーソドックスだが、とにかく「テーンツテンテーンッ!」が強烈。それに負けじと唸る浄瑠璃がまた凄まじい。おなかいっぱい。


 演者と観客との相性もあると思いますが、福笑さんにはみな圧倒されたよう。この日は花丸さんのウケがいちばんだったように思います。
 個人的には、落語はみな平均を軽く上回る満足度で、念願だったケイコ先生の浪曲も聴けて、なかなかの好番組でした。

そごう劇場

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上方落語一心寺亭

2008/1/3 @一心寺シアター倶楽

  • 桂阿か枝 「金明竹」
  • 桂団朝 「近日息子」
  • 桂小春團治 「アーバン紙芝居」 (作:桂小春團治)
    ―― 中入り ――
  • 海老一鈴娘 《太神楽》
  • 桂春團治 「高尾」

※ 3 日目


 前日に引き続き一心寺の会。この日のお目当てはもちろん三代目。「新年は春團治師匠の落語から」と云うお客さんも多いようで、遠方からはるばるこられた落語ファンのお姿も。
 この日はひな壇席の前のパイプ椅子が 2 列から 3 列に増えてました。もちろん大入り満員です。


 トップは阿か枝。「人にものを教えるのは難しい」と云うマクラでひと笑い取ってから「金明竹」へ。来客にムチャな断り方をする丁稚と、それを叱る旦那の対比がたのしい。後半、加賀屋の使いのたて弁はお見事。聞き取れない御寮人が困ってごまかす様子が秀逸。

 つづく団朝はトントントンとマクラをつないで「近日息子」へ。近所の連中がくやみに行こうとする場面、間違いを適当にごまかす男に腹を立てる男の怒りっぷりが団長のニンにぴったり。徐々に激昂する様がおかしい。

 中トリの小春團治は自作の「アーバン紙芝居」。脱サラで始めた紙芝居屋と、そこに集まった現代っ子たちのやり取り。子どもたちのキャラが立ちまくりで、ここらは小春團治の真骨頂。

 中入りを挟んで、鈴娘の太神楽。おなじみの包丁を使った皿回しでは、客席から感嘆の声が漏れる。正月にふさわしく、華やかな彩りに。

 トリの春團治は新年の挨拶から、すぐさま「高尾」へ。観客は笑うモードにスイッチし、ちょっとしたクスグリにも反応。
 序盤は所々でろれつの怪しい場面が見受けられるも、煙に浮かぶ高尾の登場はさすがの一言。その後の喜六と薬屋とのやり取りや、喜六がカンテキを前にしての妄想シーンは、喜六のウキウキ感がしっかり伝わる。


 春團治師匠は、観たかった「高尾」を演ってくれてラッキーでした。ほかのみなさんにもたっぷりたのしませていただきましたし、満足度のかなり高い会でした。

一心寺シアター倶楽

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上方落語一心寺亭

2008/1/2 @一心寺シアター倶楽

  • 桂ひろば 「兵庫船」
  • 林家染左 「ふぐ鍋」
  • 桂小春團治 「牛ほめ」
    ―― 中入り ――
  • 菊地まどか 「嫁ぐ日」 (作:宮本麗子/曲師:虹友美)
  • 林家染丸 「蛸芝居」

※ 2 日目


 正月に陽が昇って初めての会と云うことで、これが私の 2008 年の笑い初め。一心寺の正月公演は前売り千円とリーズナブルでうれしいですね。さすがに元旦のオールナイト直後はしんどいんで 2 日から。
 キャパ 300 くらいの会場ですが、ほぼ満席。


 トップのひろばはマクラ代わりに繁昌亭ですべったネズミの謎掛け。「兵庫船」はテンポ良く進むも、やや一本調子か。時間の都合で謎掛けまで。

 染左の「ふぐ鍋」は、おそらく林家直伝の原型に近い型と思われるが、吉朝の型と比べるとかなりクスグリが少ない。それでも、修まった旦那と幇間のような大橋の対比がたのしい。

 小春團治は、噺家は結婚式の司会が苦手だと、決まり文句にまつわる失敗談をマクラに、「牛ほめ」をきっちりたっぷり。喜六的男のボケ具合がもっちゃり。

 中入りを挟んで、色物で浪曲の菊池まどか。あちこちから声が掛かったり、花束が贈られたり、彼女目当ての客も多数。娘の結婚を許す父親を描く「嫁ぐ日」は、繁昌亭で演ったときに染丸からアドバイスを受けた部分もあるそう。あいかわらずのええ声。

 トリの染丸はマクラでドラマ『ちりとてちん』の話題をたっぷり。「蛸芝居」はさすがお家芸。芝居っ気たっぷりで、こまかいクスグリも効果的。ハメモノも入って賑やかに。


 値段を考えるとお得すぎる会です。華やか・賑やかでお正月らしい番組でした。とくに染丸・染左の師弟はさすがですね。まどかちゃんは他の演目も聴いてみたいです。

一心寺シアター倶楽

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通天閣年越しオールナイト落語家ライヴ!

2007/12/31~2008/1/1 @通天閣歌謡劇場

    【新世界・天王寺ご当地ネタ特集】
  • 桂あやめ 「串かつワン!」 (作:桂あやめ)
  • 林家市楼 「青空散髪」
  • おしどりマコ 《アコーディオン漫談》
  • 月亭遊方 《ご当地漫談》
  • 桂雀三郎 「神だのみ 青春編」 (作:小佐田定雄)
    ―― 中入り ――
    【亥から子へ、干支ネタ特集】
  • 旭堂南湖 「池田の学会」 (作:旭堂南湖)
  • 林家染雀 「豊竹屋」
  • おしどりケン 《針金パフォーマンス》
  • 桂福矢 「打飼盗人」
  • 笑福亭生喬 「ねずみ」
    ―― 中入り ――
    【2007 笑い納め極め付け落語】
  • 桂三風 「寿限無」
  • 笑福亭たま 《裏みやこ噺》
  • 桂福楽 《ベース漫談》
  • 林家小染 「試し酒」
  • 笑福亭福笑 「無いもん買い」
  • 《108 連発!除夜の鐘小咄》
  • 《カウントダウンで乾杯!》
  • 桂雀三郎 with まんぷくブラザーズ 《ライヴ》
    1. ミュージックコンサートのテーマ
    2. ヨーデル食べ放題
    3. コモエスタひとり鍋
    4. 反逆者の歌
    5. あぁ青春の上方落語
    6. それぞれの味
    7. 微風のラブソング
    8. 忘れん坊のサンタ苦労す
    ―― 中入り ――
    【おめでた演芸タイム】
  • 桂ぽんぽ娘 《メイド漫談》
  • おしどり 《音曲漫才》
  • 姉様キングス 《音曲漫才》
  • 《はなしか人生ゲーム》
    ―― 中入り ――
  • ヒロポンズ・ハイ 《ライヴ》
    1. ようこそ
    2. 上方落語ハッピー・ソング
    3. 雨上がりの夜空に
    4. タイガー&ドラゴン
    5. Johnny B. Good


 できちゃった!メンバーが中心になっての年越し落語会。前回は繁昌亭で開催されましたが、諸般の事情で場所を移すことになったそう。で、今回はディープ大阪の新世界。
 ちょっと早めに行ったつもりだったんですが、コアなお客さんが 10 人ばかり列ばれてました。さすがですね。


 まずはご当地ネタ特集から。あやめの開幕のごあいさつでスタートし、自作の「串かつワン!」。新世界の超有名串かつ店が赤犬の肉を使ってると云う、あくまでもフィクションの噺。全体に整理され、かなりコンパクトに。

 市楼は繁昌亭の出番の掛け持ち&会場 PA 担当で、すでにクタクタ。気を取り直し、直伝の「青空散髪」を。心地良く晴れた天王寺公園が目に浮かぶよう。

 おしどりマコはマコリーヌ・スタイルで登場。フランスを意識した(?)独自の歌ネタ連発で、勝手に先走りつつチラチラと後ろの様子をうかがってる感じ。新世界に住んでるだけに小ネタが秀逸。徐々に下ネタも。歌が上手い!

 ノドがツラそうな遊方は、マクラでよく使ってる天王寺界隈事情。パトカーの「そこの車、停まりなさい! 停まらんと‥‥知らんぞ」は大阪ならではか。車に見台セットを積み込んでいた遊方が職務質問を受けたときの話も、何度も聞いてるがおもしろい。

 雀三郎曰く「私が、ちょっと早い初日の出です」。最初にご当地ネタはないと断って「神だのみ 青春編」を。世界史の試験前に神様があらわれ、暗記を手伝ってくれる噺。歴史に毒づくあたりは、なんだか懐かしい。

 ここから干支ネタ特集。まずは南湖が去り行く亥年にちなんで「池田の猪買い」のパロディーで「池田の学会」。ネタに入る前に「自己紹介を忘れておりました。出て参りましたのは匿名希望でございまして、顔と名前をセットで忘れて帰っていただきたい」。前回の「はてなの原発」につづいてブラックなネタで、内容は‥‥。

 染雀は義太夫の丁寧な解説から「豊竹屋」を。豊竹屋節右衛門の浄瑠璃と花梨胴八の口三味線を演じる染雀自身がたのしそう。終盤にネズミが「チュウ、チュウ」。

 ねずみ男に扮したおしどりケンは妙なテンション。針金で妖怪を次々と作り、最後にミッキーを。

 福矢は「打飼盗人」をきっちり丁寧に。まったく動じない住人にイラッとする泥棒が、独特の口調にぴったり。泥棒がベリバリボリとやるところにチラリとネズミが。

 生喬は「蛸芝居」ならぬ「鼠芝居」を提案するもあやめに却下され、ストレートに「ねずみ」。ただし、時間割りの都合で、あらすじでつなぐダイジェスト版に。

 ここからは極め付け落語コーナー。三風の「寿限無」は寿限無‥‥長助がヤクザの息子。名前の繰り返し場面では早送り芸もフィーチャー。

 たまの《裏みやこ噺》は、上方落語協会事務局長(露の都の旦那)から聞かされるグチを。何度か聴いてるが、それでもかなりおもしろい。途中で都本人が乱入し、たまもタジタジ。

 パジャマ姿で登場した福楽は、入院先の主治医と喧嘩してムリヤリ出てきたそう。やや躁状態で、ベースを弾きつつ入院話や自虐ネタをおもしろおかしく。

 小染は酒飲みの噺を演るため、ここまでまだ 1 滴も飲まずで。十八番の「試し酒」は、奉公人が 1 升の杯を空けるごとに酔いどれるさまが秀逸。

 待ってました!の福笑はすでに酔っぱらってること告白してからスッと「無いもん買い」へ。構成自体はスタンダードながら、福笑ならではの勢いの良さ。
 立って立ってた男が味噌屋へ入って「泣き味噌あるか?」と云うと、店主が丁稚を泣かせて「これが泣き味噌」。叱責された立って立ってた男も泣き、いたたまれなくなった店主も泣き、最後には兄貴分までも泣き出す始末。豪快な泣きっぷりからサゲに。

 ここで恒例の 108 つ小咄。出演者が入れ替わり立ち替わり、手伝いの笑福亭生寿や桂さろめも。片目をつぶった酔いどれモードの桂ざこばも乱入。
 ところが途中で時間切れ。とりあえずカウント・ダウンで乾杯。あらためて最後まで小咄を続けようとするも、ざこばが「こんなもんが、なにがおもろいねん!」と大暴走。なんとか鎮めつつ、最後は福楽が謎掛け連発で 108 つまで完遂。

 108 つ小咄が終わってもざこばはステージから去ろうとせず、そのまま桂雀三郎 with まんぷくブラザーズの面々がセッティングを開始。準備ができたところでざこばはモニターの前に寝転び、仕方なくそのままスタート。“ミュージックコンサートのテーマ”が終わったところで、ざこばはようやく退場。やれやれ。
 マイクが足りなかったり、準備したセッティングと違ってたりだったが、雀三郎らはマイペースに演奏。どれも良くできてて、さすが本職。最後は勝手にアンコールで大晦日のサンタを歌った“忘れん坊のサンタ苦労す”で締め。

 中入りをはさんで演芸コーナー。トップのぽんぽ娘はメイド漫談で直球の下ネタ連発。

 つづくおしどりはいつものネタながら、海老一染之助・染太郎ばりの「おめでとーございますぅー」でハイ・テンションに。なぜかマコが笛を吹いたりも。

 演芸のトリは姉様キングス。時事ネタで 2007 年を笑い飛ばす数え歌と、ひさしぶりのちょんこ節。おにぎやかに。

 『できちゃったまつり!』で盛り上がった《はなしか人生ゲーム》は、小染とあやめの進行で、遊方、三風、生喬、たま、南湖が、賞金 1 千億円(の袋に入った 1 万円分の商品券)を目指す。ところが大型サイコロを忘れてきて、急遽、鉛筆に目を書いて使うことに。地味。
 分岐点で、古典コースを選んだ遊方やタレント・コースに進んだ生喬に「あこがれてんのかいな!」。遊方が弟子をとる(観客を背負う)ことになり、客席から立候補したのが女子大生で「罰ゲームちゃうやん!」。遊方はうれしそうだったが、そのまま腕立て伏せすることに。
 なんとなく前回と同じような展開になり、今回も南湖が人間国宝に。

 セット・チェンジを兼ねた中入りを挟み、大トリのヒロポンズ・ハイが“ようこそ”を演奏しながら登場。彩り鮮やかな着物に袴姿で。この時点で終了予定時刻の 2 時過ぎ。
 ヴォーカルの福笑が登場して“上方落語ハッピー・ソング”をうなるも、福笑のマイク音量が小さい。これは致命的。
 メンバー紹介をはさんで“雨上がりの夜空に”と“タイガー&ドラゴン”で本編終了。福笑の「マナーを忘れんように」に促されて手拍子がつづき、アンコールはこの日の出演者がズラッと勢揃いして“Johnny B. Good”の上方落語ヴァージョンでお開きに。


 終演は 2 時半頃で、トータル 6 時間半。こんだけ詰め込まれてて、ビール付きで前売り 3 千円。サービス満点です。特に今回、前半が落語、後半がライヴ&バラエティーと色分けされてたのが良かったんではないかと思います。
 歌謡劇場の公演が朝からあるため 2 時までの契約で借りられたそうなんですが、いきなり時間超過して、来年からの開催に支障がないか心配です。やはり終演時刻が(一応)決められてると、どうしてもバタバタした印象がありますね。終演時刻をあまり気にしなくても良い会場があれば云うことなしなんですが、次回はどうなりますことやら。

 帰りの新世界はかなり寒かったです。

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