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たま vs 吉坊 2 人会

2008/9/1 @天満天神繁昌亭

【たまの芝居噺 vs 吉坊の新作落語 決して誤植ではありません!】

  • たま vs 吉坊 《ごあいさつ》
  • 桂二乗 「牛ほめ」
  • 笑福亭たま 「蛸芝居」
  • 桂吉坊 「一文笛」
    ―― 中入り ――
  • たま vs 吉坊 《対談》
  • 笑福亭たま 「高津の富」
  • 桂吉坊 「その後のはてなの茶碗(仮)」


 たまさんと吉坊さんと云う、これまでなかった両極端な組み合わせの二人会と云うことで注目が集まったか、指定席券は完売で補助席も出る大入りに。夜席でこんなに入ってるのはひさしぶりな気がします。
 この会はお互いの得意分野のネタを演ると云うことで、たまが芝居噺を、吉坊が新作落語をと云う趣向になってます。


 緞帳が上がると定式幕が引かれており、その前へマイクを持ったたまと吉坊が登場。たまが「二度とない二人会へようこそ」と、笑いにはなるが、期待してる側からすると始まる前からいきなりテンション下がるような発言。自己紹介やら、たま恒例の観客調査やら。たまの企画による二人会のようで、「自分が有利になるような出番順にする」てなコメントも。
 能楽堂で定期的に会を開いている吉坊に、たまは「能っておもろいん?」と素朴な疑問。説明に困る吉坊の解説が、わかったようなわからんような。たまはたまで「私の落語は喫茶店でしゃべってるような‥‥」とか、これまたわかったようなわからんような。

 トップの二乗は極端なふたりの会の前座で、「能楽堂と喫茶店のあいだで、私は演芸場」と上手いこと云う。「牛ほめ」は安定感があってそつなく口跡良く。下がかったサゲの流れもスッキリひと工夫。

 たまの 1 席目「蛸芝居」は、魚屋が井戸端で鯛をさばきながら芝居に興じる場面をカットするも、前後のつなぎもスムーズに整理されていてる。登場人物の芝居はよりクサく、よりダイナミックに。最後の旦那と蛸の格闘シーンでは拍手が起こるほど。テンポも良く、私が観たなかではこれまでで一番の高座。

 吉坊は出てくるなり「あの後になにを演れと‥‥」。たまが出番前に「俺の『蛸芝居』はさっぱりしてるから」云ってたそうだが、吉坊曰く「私とたま兄さんとでは言葉が違うようで‥‥」。
 そんな吉坊の 1 席目は、たまのリクエストでたっぷりのマクラから。先日の『獅子十六の会』東京公演での道中記を。タクシーの運転手の話へとつないで「住吉駕籠」かと思わせといて、「どんな職業でもプロ意識が‥‥」とムリヤリ泥棒の話へ持っていって「一文笛」へ。ネタおろしして間がないようで、全体にリズムがちぐはぐな感じ。スリの秀が演説してるところへ兄貴分が訪れる場面は、上下の位置関係が逆のような‥‥。ネタはきっちり入っているので、高座に余裕が出てくればもう少し感情の抑揚も出てくるのかも。

 中入りを挟んで対談コーナー。
 たまは、吉坊が楽屋でしゃべらない=腹を割らないと感じてるようで、そのことについてひとしきり問い詰める。
 吉坊はこの日、たまがハメモノを合わせてるときに会場入りしするも、最初はなにを演ってるのかさっぱりわからなかったそう。そのうち聞いたことのあるセリフが出てきて、ようやく「蛸芝居」とわかったとか。

 たまの 2 席目は「高津の富」。導入部を端折り、高津の富で二番が当たると興奮する男をメインに。この男に絡む繰り返しギャグがなんともおもしろい。どんどん整理されてコンパクトになるが、ボヤ騒ぎは健在。

 吉坊の 2 席目は「はてなの茶碗」の続編。何代か後の鴻池家の宝蔵に眠る《はてなの茶碗》を帝へ献上しようと取り出したところ、水を注いだだけで欠けてしまう。繰り返しのおもしろさと、クルクル変わる表情がたのしい。
 アンサー・ソングならぬアンサー落語の趣で、もう少しクスグリを振りかけて、サゲをわかりやすくすれば、古典落語になり得る噺に仕上がりそう。


 なんなんですかね、この充実感は!
 たまさんとの会だったんで、吉坊さんの新作が擬古典でくるとは思いませんでした。当日完成したそうですが、なかなかどうして、しっかり落語になってました。さすがですね。たまさんが「吉坊の新作が完成しなかったら『ドーベルマン刑事』を演ってもらいます」と云われてたんですが、シナモンの「七段目」のジェスチャーだけが妙にリアルだったりしておもしろそうなんで、そっちも観てみたい気がします。
 たまさんも負けてられないと、2 席ともかなり気合い入ってました。
 ただただふたりの落語を列べるのではなく、前説や対談を入れることでふたりの関係性や会の趣旨なんかが伝わってきて、企画としての奥行き・立体感が出て良かったと思います。
 たまさんと吉坊さんは、嗜好ベクトルや方法論や言葉は違っても、落語に向き合うひたむきさに同種のニオイが感じられます。水と油ではなく、磁石の S 極と N 極のようで、相性は良いように思いました。第 2 回に期待!

 しばらく好番組の会がつづいたんで、なんとなくウキウキしてます。

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コメント

私も行きました~!

本当に充実した会でしたね。
正反対のお二人が、お互いの良さを引き出しあったというか。

(たまさんの「高津の富」のボヤ騒ぎには驚きました。)

今回限りと言わず、ぜひ続けて欲しい会でした。

投稿: は~と | 2008.09.05 21:59

>> は~と さん
二人会としての充実度も、お客さんの満足度も、どっちも高かったと思いますから、ぜひ第 2 回を開催してほしいですね。
たまさんプロデュースの会と云うことですから、たまさんの掲示板に要望をどんどん書き込みましょう。:o)

投稿: わさび | 2008.09.07 14:35

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