桂福楽ひとり舞台
2008/10/31 @天満天神繁昌亭
- 桂福丸 「狸の賽」
- 桂福楽 「二人旅」
- おしどり 《音曲漫才》
- 桂福楽 「算段の平兵衛」
―― 中入り ―― - 桂福楽 「代書・アメリカ版」
※ 第 2 回
たのしみにしていた福楽さんの独演会‥‥なんですが、世間ではそうでもないようで、観客は 1 階席に 5~6 割と、チとさびしい入り。
開口一番の福丸は「狸の賽」を、子狸を助けるくだりから丁寧に。手堅くきっちりそつはないが、後半はもうちょっと「博打で儲けたるぞ~!」と云うワクワク感がほしいところ。
おしどりは持ち時間たっぷりで、新ネタたっぷり、テルミン演奏たっぷり。福楽がおしどりの家に押しかけてきた話なんかも。マコがフリーな感じでしゃべり出すと、ケンが挙動不審に。
福楽の 1 席目「二人旅」は、『東の旅』の「発端」を端折って「野辺」から「煮売屋」のくだりを。福楽らしいふくらませ方が随所に見られてたのしい。一周回ってくるようなサゲもあり。
2 席目の「算段の平兵衛」は死人の出る噺で、しかも殺害場面も描写されるが、福楽独特のふわふわ感で殺伐とした感じは薄め。死んだ(正確には平兵衛が殺してしまった)庄屋の後始末を見事な算段で処理し、懐に五十両と云う金が入った平兵衛も、贅沢三昧ですぐにからっけつ。女房に「どないすんのん?」と詰め寄られた平兵衛は‥‥と、ここで「粗忽長屋」的なサゲ。
中入りを挟んでの 3 席目は、お待ちかねの「代書・アメリカ版」。全長版の「代書」を再構成し、大家の旦那、外国人、履歴書の男、の順に登場。外国人は、元はアジア人だが、これをアメリカ人に。とくによく知られた履歴書の男のくだりではマニア向けにクスグリがひねられまくりだが、全体の流れは整合性が取れており、緻密に計算されていることがうかがえる。アメリカ版ならではのサゲもあり。
やっぱり福楽さんの落語はいろいろ考えられてますね。とくに、どのネタにもきちんとわかりやすいサゲが付けられているのに好感を持ちました。
お客さんの入りがもうちょっと多ければ福楽さんのテンションももうちょっと高かったかも‥‥とも思いましたが、たっぷり福楽ワールドを堪能させていただきました。
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コメント
はじめまして。私も初めての生福楽さんだったので楽しみにしていました。山葵さんがおっしゃるように算段の平兵衛は計算高いが少し抜けた点もあるような人物として描かれており,今まで聞いたことがないような味わいでした。
また機会を設けて福楽さんの高座を聞きたいと思います。
投稿: けさきち | 2008.11.05 23:22
■ けさきち さん
繁昌亭で福楽さんなら大きく外すことはないと思いますが、初生福楽が独演会とはなかなか思い切ったチョイスですね。
福楽さんは「代書」とか「野崎詣り」あたりがおすすめで、繁昌亭昼席ならわりとまともに演られると思いますよ。
もっとも、まともじゃないところがおもしろかったりするんですが。:o)
投稿: わさび | 2008.11.06 18:21
たしかにまともじゃない面白さも求めていたのかもしれません。まともな福楽さんも見てみたい気がします。アドバイスありがとうございました。
投稿: けさきち | 2008.11.07 01:28
■ けさきち さん
まともじゃないおもしろさを求めてたんですか!?!?
そう云う視点なら、福楽さんはナイスなチョイスだったと思います。:o)
投稿: わさび | 2008.11.07 19:20