繁昌亭昼席
2009/1/17 @天満天神繁昌亭
【桂米團治襲名披露興行】
- 桂佐ん吉 「始末の極意」
- 桂あさ吉 「犬の目」
- 桂米左 「道具屋」
- 桂朝太郎 《マジカル落語》
- 桂春之輔 「ぜんざい公社」
- 桂春團治 「祝いのし」
―― 中入り ―― - 《桂米團治襲名披露口上》
- 翁家勝丸 《太神楽》
- 桂都丸 「強情灸」
- 桂米團治 「掛取り」
※ 第 121 週
結局、米團治さんの襲名披露興行へは( 『扇町寄席』の収録 以外は)一度も行かなかった私ですが、それでもやっぱり雰囲気だけでも味わいたいと、お手頃価格の繁昌亭昼席へ。
早めに取ったにもかかわらず整理券はうしろの方で、二階から。立ち見も出る大入り。
佐ん吉はケチの小咄から「始末の極意」へ。紙と扇子の使い方、梅干しと鰻の食べ方をトントンと進めて極意の伝授へ。無駄をそぎ落として 10 分に落とし込み、それでいて性急に感じさせずに噺のおもしろさを伝えているのはお見事。
あさ吉は内弟子修行中に米朝が胆管結石の手術をした話をマクラに、医療つながりで「犬の目」へ。眼科医の余裕と冗談が独特のあさ吉節と合わさってたのしい。目玉はたこ焼きの要領であっさりくり抜く。
米左クラスで「道具屋」はめずらしいかも。教科書どおりきっちりと淀みない口跡で、安心して聴いていられるが、逆にあっさりし過ぎでもの足りなさも。ベテランならではの遊びがほしいところ‥‥とは贅沢か?
朝太郎は 前日 同様で、時間枠に合わせて小ネタを端折ったりの編集はされてるものの、時間がきてチンッ!でサゲ。
春之輔はうだうだとマクラをつないで「ぜんざい公社」を。全体にキレの悪さが気になる。汁がないはずのぜんざいをすするのはどうなん?
高座に緋毛氈がひかれ、座布団は白色に。そこへ柿色の着物に身を包んだ春團治が登場。披露目の席でおめでたい「祝いのし」を。様式美の極み。
中入りをはさんで、米團治襲名披露口上。下手側より米左(司会)、米朝、米團治、春團治、春之輔、都丸とならび、後方には「五代目 桂米團治 師匠」と入った関西学院大学古典芸能研究部からの幕。口上は米朝、都丸、春之輔、春團治の順。
米朝は人間国宝ネタで軽く笑わせて「息子をよろしくお願いします」。
先輩の都丸は「米團治と呼び捨てにできる。米やんと呼んでもええ」。祇園のお茶屋で散在する(も請求書は米朝へ回す)米團治を王将へ連れていきたいと。下げたり上げたりたのしい口上に、米朝や春團治の顔もほころぶ。
春之輔が「私も都丸さんのようにいろいろしゃべりたいんですが、横に三代目がいてますので簡単に」と云うと、春團治が「遠慮せんでええで」。
最後に春團治がきれいな締め。
以前に一度観たことのある太神楽の勝丸は、五階茶碗と傘回し。芸そのものもさることながら、かぶせたりすかしたりの話術が巧み。客のノリも良くて笑いいっぱい。
都丸は米團治の最新エピソードや師匠のざこばのおもしろエピソードをマクラに、強情なざこばに重ね合わせるかのように「強情灸」を。軽めのネタながら、都丸のニンに合っててたのしい。
トリの米團治が登場すると、やはり高座が華やいだ雰囲気に。マクラで、南座の支配人に「いつから米團治になるんですか?」と問われ「大阪の日の出から」としたところ、5 時 55 分と 5 がならんだと云う話。
ネタは「掛取り」。米團治版は初めて聴いたが、洋服屋をクラシック音楽(噂に聞いた「バッハなことを云うな」に感激)、酒屋を喧嘩、醤油屋を芝居で借金の断り。最後の芝居では上方の噺家尽くしで、ハメモノも入ってにぎやかに。
口上も米團治さんの高座も雰囲気良く、襲名披露興行の華やかさを堪能させていただきました。吉朝一門の 2 席も良い露払いでしたし、お値打ちの会でした。
繁昌亭昼席の襲名披露公演は今月 25 日(日)まで。前売りは完売のようですが、当日でも補助席・立ち見は出ると思います。
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