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福楽の底力

2009/2/27 @天満天神繁昌亭

  • 林家市楼 「阿弥陀池」
  • 桂福楽 「米揚げ笊」
  • 笑福亭仁智 「源太と兄貴・純情編」 (作:笑福亭仁智)
  • 桂福楽 「かぜうどん」

※ Vol. 18


 最近まで仕事の状況が定まらず前売り券購入を先延ばしにしてたんですが、先週買ったところ入場整理番号が 70 番台でした。繁昌亭での福楽さんの会は整理番号が付くようになったみたいです。ご注意ください。
 で、開場時。最初に 10 番まで入ったあと、ずっといなくて 70 番台に。どうやら 70 番までは手持ち分だったような感じです。
 入りの方は 1 階席に半分くらい。福楽さん曰く「繁昌亭の晩のバブルもはじけたなぁ」。


 市楼は「阿弥陀池」をきっちり丁寧に。

 福楽の 1 席目はマクラでマニアックな客層を意識して、同じネタでも 3 通りの演り方がある、「行く先々の水に合わねば」と、「米揚げ笊」へ。喜六(的男)が「噺家て哀れなもんです」と自虐的クスグリを入れたり、和歌山から天満への道順で云い負かしたり、最後も笊を壊したり、いじくった福楽ヴァージョン。突飛なところもあるが、基本ラインは丁寧な言葉運び。

 ゲストの仁智は頂き物の謎掛けや川柳で観客を探りつつ、「源太と兄貴・純情編」を。オープニングは正調(?)「源太と兄貴」と同じだが、ヤクザの兄貴分が「女日照りや」と、下っ端の源太に女の調達を命じる展開。
堅めの客席をなんとか笑わそうと奮闘するも、やや上滑り気味で気の毒‥‥。

 福楽の 2 席目は「かぜうどん」で、こちらは基本どおりきっちり丁寧に。とくに言葉はわかりやすいチョイスで好感。馴染みのある吉朝の型とは細部で異なるが、とくに酔っ払いが出てくる場面などはゆるい雰囲気がニンに合ってて好感。


 福楽さんの 2 席がいずれも軽めのネタだったため、中入りなしの 4 席で 1 時間半くらいでした。
 個人的にはこれくらいのヴォリュームでも丁度良い感じで、4 席ともおもしろかったとは思うんですが、客席の反応が少なくてチとさびしいですね。

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月亭遊方・林家染弥の蔵出し!うちわ話

2009/2/26 @高津の富亭

※ 第 2 回


 この日は別の会へ行く段取りをしてたんですが、あとでこのトーク企画第 2 弾が発表されて、これはハズせんなぁと。
 前回は申し訳程度の落語コーナーがありましたが、今回はトークのみ。それでも 30 人ほどのお客さんが集まりました。
 コンセプトは《居酒屋『和民』の座敷》だそうです。


 まずはレギュラーの遊方と染弥が登場。前回のアンケートでほぼ 100 % に「またやってください」とあり、ほぼ 100 % に「落語はいりません」と書かれてたそう。客席アンケートでは約半数が今回初めてで、噂を聞き付けて来られた方もチラホラ。
 今回のゲストの桂春菜も前回どんなことを話してたのか気になるようで、染弥の《スベったときの言い訳》シリーズや、噺家の楽屋入りのものまねなんかで復習。
 落語会のアンケートはしっかり読んでるそうで、「おもしろかったです」「爆笑でした」「また来ます」と書かれてると嬉しいが、「熱演でした」は微妙だそう。「暑かった/寒かった」「席が窮屈だった」「観にくかった」なんかも参考になるそう。春菜が「立ち切れ線香」を演ったときのアンケートに一言「けじめがない」と書かれていて困惑したとか。
 春菜はラジオ番組で鍛えられてか、ちょっとしたキーワードを拾っておもしろいことを返すテクニックが秀逸。事務所違いでなかなか聞けない春團治一門のおもしろエピソードも。
 開演前に楽屋で話題が出てたのか、春菜が恋愛トークへ誘導。遊方流の口説き方は、意外性と達成感の共有がポイントのよう。若かりし頃の染弥はちょくちょく遊方に相談し、「教えてもろたとおり、夕べとちょっとも違わんように」やって、「時うどん」同様に失敗してたそう。


 などなど、ほかにも盛りだくさんの約 2 時間で、これはもう《上方落語界の 2・26 事件》ですね。今回は遊方さんと染弥さんで事前に何度か打ち合わせしたそうですが、結局「打ち合わせせんとこ」に落ち着いたそう。なもんで、楽屋でも春菜さんには段取りを説明せず、始まってからも話があっちこっちに発散してましたが、それがまたメチャクチャおもしろかったです。
 春菜さんは最近の高座ではネガティヴ・キャラで押してる(引いてる?)ようですが、この日は前へ前へでおもしろかったです。春菜さんのおかげで、いつもシュッとしてる春團治師匠もやっぱり噺家で、普段はお茶目でおもしろいと云うことがわかりました。

 今回は会の模様を録画されてて、それをもとに今年中にこの会を CS 放送の番組にすることが遊方さんの野望(目標)だそう。遠方の方はご期待ください。

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笑福亭たまの脱構築落語会

2009/2/25 @動楽亭

  • 笑福亭笑子 「道具屋」
  • 笑福亭たま 「胎児」 (作:たまよね)
  • 笑福亭銀瓶 「持参金」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭たま 「愛宕山」

※ 第 1 回


 またまたたまさんの新しい会が始まりました。先輩をゲストに迎えての研鑽会と云う位置付けでしょうか。
 客足に謙虚なたまさんは会場の中程に床几を並べられてましたが、それを後方にずらして座布団席を追加。最終的には 70 人くらい入ってました。


 開口一番の笑子は、大阪市内に引っ越してきて「大阪のおばちゃんは飴ちゃんをくれる」体験や「シンガポールはタクシーのおっちゃんが飴ちゃんをくれる」話をマクラに「道具屋」へ。導入は露店で、古道具を並べながら紹介。隣の下駄屋がおばあさんで、これが「ふぁふぁふぁふぁ、ふぇ~」と妙なキャラでおもしろい。まだ演り慣れてないようでテンポの悪さが気になるも、後半は下駄屋のおばあさんの変キャラも手伝ってええ感じに。
 たまによると、福笑の台本をもとに笑子が工夫を加えたそう。

 たまの 1 席目は、仕事で秋田へ行った話から。地元の 辻田与五郎 が秋田弁の漫談で大爆笑を取ったあと、上方落語や大喜利でダダスベリだったとか。「笑いどころの拾い方に地域性がある」との考察。
 「胎児」は、出産間近の母親の胎内での、双子の兄弟のやり取り。ほどいた帯をヘソの緒に見立てたり、逆立ちして胎内の状態を再現したり。かなり繰れてて構成は固まってる感じ。チラホラと「道具屋」がカットイン。

 ゲストの銀瓶は、前の 2 席が普通でなく困惑気味。繁昌亭昼席の打ち上げで感じた金銭感覚の不思議をマクラに「持参金」へ。金物屋がやもめに紹介する女の容姿の悪さをごまかすのに、自分の胸を指して「ここがええ娘やで」と何度も強調するのがかえっておかしい。登場人物の色分けにやや不足を感じるも、銀瓶ならではの軽妙な口跡が心地良い。

 中入りを挟み、たまの 2 席目は息と間の話をマクラに「愛宕山」を。構成はあちこちに手が入れられていて、おもしろいところを中心に残しつつ、かなり刈り込まれた印象。おかげでのどかさが希薄だが、その分クスグリは増幅・増量。大阪の幇間が祝儀に執着する性格付けや、アニメ的なコミカルな演出がたのしい。


 この日はみなたっぷりめで 2 時間超の会に。落語はもちろんたのしめましたが、マクラがどれもおもしろかったです。
 この日は笑福亭の会にしてはめずらしく見台が出ませんでした。ネタによりけりでしょうけど、こんなこともあるんですね。

 次回は 3 月 19 日(木)です。

らくごの玉手箱

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花花寄席

2009/2/21 @ヨシモト∞ホール OSAKA

  • 桂さろめ 「東の旅・発端」
  • 桂三四郎 「子ほめ」
  • 林家染弥 「辻占茶屋」
  • 小泉エリ 《マジック》
  • 桂あやめ 「義理ギリコミュニケーション」 (作:桂あやめ)
    ―― 中入り ――
  • シンクタンク 《漫才》
  • 桂坊枝 「火焔太鼓」


 この日は米朝一門会の『田辺寄席』、こごろうさんがトリの『さやかミニ落語会』ともギリギリまで迷ったんですが、最終的に『花花寄席』をチョイス。噺家さんの組み合わせも良く、テレビでおなじみの小泉エリちゃんも舞台を一度観てみたかったんで。
 前日の昼に前売り券を買ったんですが、この時点でようやくツ離れした程度。開演の頃には 40 人弱って感じでしたが、開演後もぼちぼちこられて 60 人ほどに。おばちゃんの団体や東京からの若い団体もいて、生の落語は初めてと云うお客さんが 8 割ほどで、繁昌亭の昼席のような客層。


 まずはさろめが毎度おなじみの開口 0 番で「東の旅・発端」を。空中の一点を見つめてタタキと口上に集中。表情が硬くて所作もほとんどなく、緊張感漂う高座。演ってる本人はもとより、観てる方も修行のよう。

 三四郎はマクラをいろいろ振るも、客を掴みかねて苦戦。着物の裾をからげて真っ赤な下穿きを露わにして、コンビニ前にたむろするヤンキーの風体を実演。
 「子ほめ」は歳を若く云う部分に絞った短縮版だが、ちょっと言葉を抜き過ぎな感じ。

 染弥の登場に「待ってました!」の声が掛かる。この高座のみ KBS ラジオの収録があるとのこと。なのにいきなり云い間違えて演り直したりも。
 「辻占茶屋」は事前にネタ指定されてたか、しっかり繰られて安定感抜群。ただ、初心者には下座とのやり取りなどで場面を想像しづらかったかも。

 小泉エリは裾がキュロット風になった丈の短い和洋折衷の着物にロングブーツで登場し、ダンサー 2 人を従えてのマジック。3 人ともかわいい。
 金輪、ウサギの入れ替わり、物が通り抜ける鏡を披露。ありきたりなマジックも、ダンスとともに見せ方を工夫。

 中トリのあやめは『徹子の部屋』出演時のエピソードから、結婚した女性にとっての人生の先輩・姑との確執を描いた「義理ギリコミュニケーション」と、寄席で定番の流れ。繰られまくりでツボが多い。主婦層には共感の反応が。

 短い中入りを挟んで、シンクタンクの漫才。なかなか席へ戻ってこない客をゆるトークでつなぎつつ、タンクがデブのつらさをボヤくネタへ。軽妙なテンポで客席もハジケる。

 トリの坊枝は笑いが多かったシンクタンクの漫才を羨ましがりつつ、ここまでの出番の噺家批評。軽い毒がおもしろい。
 美術品の目利きの小咄をマクラに「火焔太鼓」を。道具屋の夫婦喧嘩が堂に入ってて、とくに女房のキレ加減が秀逸。


 観客の反応が堅めで噺家さんは苦戦されてましたが、個人的には十分楽しめました。とくにトリの坊枝さんの熱演が良かったです。シンクタンクも思ってた以上におもしろくて、小泉エリちゃんもかわいかったですし、あいかわらずお得な会でした。

花花寄席日記
ヨシモト∞ホール OSAKA

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千成温泉寄席

2009/2/19 @千成温泉・男湯脱衣場

  • 桂ぽんぽ娘 「桃太郎」
  • 桂三幸 「ふぐ鍋」
  • 桂雀太 「天災」


 セブンエイト のメンバーによる落語会へ。地下鉄四つ橋線「花園町」駅より西へ徒歩 10 分弱、鶴見橋商店街のなかの風呂屋《千成温泉》の男湯脱衣場が会場。これまでにも何回か開催されてるようです。
 入りはもうちょっとでツ離れと云う感じ。近所のおっちゃん・おばちゃんが集まりました。


 トップのぽんぽ娘は、日本昔話の小咄いろいろから幼稚園での落語会のエピソードへとマクラをつないで「桃太郎」へ。母親が息子を寝かし付ける型で、息子に「演ってみな」と云われた母親が「あんたは私の師匠かい!」と云うツッコミがおもしろい。時事ネタの中川財務・金融相辞任を織り込んだり。

 三幸が登場するなり、客席のおばちゃんが電話で近所の友達を呼び出したり、客席から高座の三幸に話し掛けたり、散漫な雰囲気に。
 なんとかマクラを振って空気を変えてから落語へ。新作かと思いきや、意外にも季節ネタで「ふぐ鍋」を。林家の型がベースのようで、シンプルながら三幸テイストがしっかり。ふぐ鍋の味見をしない大橋さんに旦那が「あんたんとこの息子の就職、いまからでも取り消せるけどなぁ」と脅したり、「大橋さん、いっとこて」と促したり。イントネーションが気になる場面もあるが、大橋さんの幇間気質もしっかり出てて、旦那とのメリハリに。

 トリの雀太はマクラたっぷり。あれこれ 30 分近くしゃべってたかも。何度か聴いた話がほとんどだが、提出の仕方が上手く、何度聴いてもおもしろい。
 イライラしてる人の話や、師匠の会の打ち上げで子どもにイラッとした話から、短気な男が出てくる「天災」へ。短気が相手の眉間を指しての「ここだ、バーン!」や、心学の先生が手紙を読みながら短気の顔をのぞき込む仕草など、おもしろポイント多し。メリハリと安定感が抜群。


 開演後も、電話で呼び出された方とか、ちょっとずつお客さんが増えて、最終的には見事にツ離れ。
 3 席で 1 時間半ちょいと、ほど良いヴォリューム。雀太さんとぽんぽ娘さんは先日の 『ミロー寄席』 と違うネタを聴きたかったところですが、三幸さんの「ふぐ鍋」と云う拾い物もあり、これで予約 1,000 円なら納得です。
 ただ、会場が風呂屋の脱衣場と云うことでか、足元がかなり寒かったです。それと、高座を組んだ一角が薄暗く、ちょっとしたものでも舞台照明があればなぁ‥‥と思いました。予算的に難しいんでしょうけど。

 終演後、会場を出ると小雨がパラパラ。それでも満足して心地良く家路に。

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遊方のゴキゲン落語会

2009/2/17 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 月亭遊方 《幕開前戯噺》
  • 桂二乗 「ふぐ鍋」
  • 月亭遊方 「隣人(ネイバーズ)」 (作:月亭遊方)
    ―― 中入り ――
  • 月亭遊方 「素顔のままで」 (作:月亭遊方)

※ 第 28 回


 春一番が吹いて花粉が飛び始めたかと思ったら寒の戻りでえらい寒い。しかもこの日は上のレッスンルームで『出没!ラクゴリラ』をやってると云う悪条件。それでも早くからお客さんが開場待ちの列を作ってました。遊方ブーム!?!?
 待ってるあいだ、遊方さんのもとへラクゴリラのメンバーが順繰りでご挨拶にこられるんで、なんとなく気まずい‥‥。
 気ぃ遣いの遊方さんの配慮で早めの開場。開場直後ですでに 30 人くらいいましたが、最終的には 50 人くらい入って満員に。


 まずは私服姿の遊方が登場し、恒例のオープニング・トーク。遊方が見た東京の落語界事情や、繁昌亭グッズとして発案した卓上カレンダーの顛末など、おもしろおかしく。

 二乗は噺家になる前、バイト先のふぐ料理店へ毎日のようにくる義理と人情に厚い常連客の専属担当みたいになっていた話をマクラに「ふぐ鍋」を。吉朝の型をきっちりと、それでいてちょこちょことクスグリに独自のアレンジを入れたり。口跡も良く、安心して聴けるだけに、もうちょっとメリハリがあれば‥‥と、欲も出る。

 遊方の 1 席目は《なんとなくアホだとわかる顔》《なんとなく怪しい顔》に関する考察から、職務質問されたエピソードをマクラに、マンションの隣人の素性を勝手に想像する「隣人(ネイバーズ)」を。妻のほんのちょっとした情報から夫が想像を膨らませまくるが、ここで得意の小芝居連発。《料理屋》と《小料理屋》の違いなど、こまかいクスグリも満載。

 中入りを挟んでの 2 席目は、学生時代に居酒屋でバイトしてたときの話や、弟子修業時代に八方の母親のお好み焼き屋でバイトしてた話をマクラに、若手芸人がバイト先のレストランで顔を指されないよう苦労する「素顔のままで」を。芸人であることをバレないようにごまかそうとする顔芸もさることながら、表情を変えるとしゃべり方まで変わってしまうと云う発想がおもしろい。いつもより余計におツユを飛ばしての熱演。


 得意の妄想に力技の顔芸と、独特の遊方ワールドを堪能。ラクゴリラと迷ったんですが、こっちにして正解でした。この笑いは普通の落語会では得られません!

 次回は 5 月 25 日(月)です。《お金にまつわる噺特集》だそうですよ。

遊方 FOR YOU!

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花花寄席

2009/2/14 @ヨシモト∞ホール OSAKA

  • 桂さろめ 「東の旅・発端」
  • 林家染太 「時うどん」
  • 林家そめすけ 「看板の一」
  • おしどり 《音曲漫才》
  • 月亭遊方 「虚礼困惑騒動」 (作:月亭遊方)
    ―― 中入り ――
  • ロザン 《漫才》
  • 桂つく枝 「崇徳院」


 今回は公演直前に前売り券を買ったんですが、それでも 20 番台。まぁこんなもんかなと思ってると、当日券のお客さんも多く、最終的に 60 人は入ってたと思います。
 この日は ラジオ放送に向けて試験的に録音 されてたようです。


 開演前の開口 0 番にさろめの「東の旅・発端」。三大礼のくだりで次の句が出ず最初から演り直したり、旅ネタいろいろで詰まりそうになって端折ったり。それでもなんとか最後まで元気に。

 染太は M ドナルドでバイトしてたときの話をマクラに、飲食店つながりで「時うどん」へ。二人版で、型はオーソドックスだが、うどんを食べるときの所作と顔が独特。

 そめすけは得意のモノマネから、笑福亭仁鶴、オール巨人、酒井とおる、ニャンチュウでがっちりつかむ。
 マクラをいろいろとつないで、スルスルッと「看板の一」へ。東京の親父っさんが若い連中を諭す型だが、この親父っさんの江戸っ子弁やキセルをしまう所作が不足気味。口跡が良いだけに、こまかいところが気になる。

 おしどりはあいかわらずにぎやか。直前の『爆笑レッドカーペット』に出演した効果か、いつもにも増して反応が良いよう。ラジオ収録を逆手に取った笑いが上手い。リクエストでは、ペンギン(ひと工夫あり)とオバマ大統領。

 中トリの遊方はマクラで虚礼にまつわるエピソードいろいろから、義理チョコ反対論で暴走寸前。「好感度下がる。録音云うこと忘れてました」と我に返って「虚礼困惑騒動」へ。会社の元上司から送られてくる激マズの豚足まんじゅうに困惑する噺。送られてくる箱が増えるたびに困惑度とおもしろさが上昇。

 中入りを挟んでロザンの漫才。ネタを観るのはひょっとすると初めてかも。京大卒の宇治原に大阪府大中退の菅がかみつく構図を笑いの軸に、生意気な子どもネタとクイズ・ネタを。単純におもしろい。

 トリのつく枝はマクラで東京と大阪の主婦層の対比。高いことを遠慮がちに自慢する東京と、安いことを声高に自慢する大阪。おばちゃんキャラがつく枝にぴったりフィット。
 落語は「崇徳院」を。つく枝にしてはめずらしく全体に流れの悪さを感じるも、熊五郎が「瀬を~はやみぃ~」と探し出す後半は持ち直した感じ。サゲは床屋の鏡が割れる型で、たっぷりと。


 ラジオ収録が入ってることもあってか、みなさんいつも以上の熱演でした。つく枝さんはトリと云うことで肩に力が入り過ぎてたのかも。
 全体の充実度を考えると、前売り 1,200 円はお値打ちですね。お目当てが 2 組以上あればお得な会だと思います。

花花寄席日記
ヨシモト∞ホール OSAKA

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笑福亭福笑一門会

2009/2/7 @天満天神繁昌亭

【たった二人の一門会】

  • 笑福亭たま 「ベルゼバブの蝿」 (作:笑福亭たま)
  • 笑福亭福笑 「油屋金兵衛」 (作:笑福亭福笑)
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭たま 「高津の富」
  • 笑福亭福笑 「大道易者」 (作:笑福亭福笑)

※ Vol. 3


 この日はたまさんのハシゴ。純喫茶アメリカンにて『花花寄席』の感想戦のあと、繁昌亭へ移動。
 前売り完売してたとあって、ロビーは久々に大混雑で、客席後方は補助席でぎっしり。大入り満員の札止めです。おなじ満員でも昼席とは違い、期待感が渦巻いていると云うか、ロビーも客席もただならぬ雰囲気。


 たまの 1 席目は「気違いみたいな」ド派手な羽織と着物で登場。楽屋での福笑の反応は「おまえそれ着物か!?!?」だったそう。
 ミステリー好きの福笑は、アニメや洋画の吹き替え版では声優で犯人が即座にわかると云う話をマクラに、ミステリー仕立ての「ベルゼバブの蝿」を。書いてあることが起こる『呪いの原稿』が作家のもとへ送られてくる噺。作家宅でのやり取りや、「ムカデに魂を売ったとひと目でわかる男」など、従来の笑い所をベースにクスグリ増量。後半もすっきり改訂され、作品としてかなりまとまった印象。

 福笑は開口一番「異常な落語会になりつつあります」。
 1 席目は、金にまつわるあれこれをマクラに、シュプレヒコールによる民意誘導を紹介して、自作の擬古典「油屋金兵衛」へ。ケチで有名な油屋からなんとか金を借りようとする噺で、そこに福笑流の笑いが盛りだくさん。とくに決め台詞の「ここや!」「そこや!」の繰り返しがたのしい。

 中入りをはさんで、たまの 2 席目。自身が師匠の福笑の得意ネタを演らないように、その福笑も師匠の松鶴ネタをほとんど演らないそう。そこでたまは師匠が演らない大師匠の得意ネタ「高津の富」を手掛けることにしたそう。
 その「高津の富」は、ヒョロビリの男が宿屋を訪れる場面はカットし、宿屋の女房が亭主にボヤく場面から始まる。高津神社の場面では「二番が当たりまんねん!」の男が興奮し過ぎで周囲を巻き込み、ボヤ騒ぎまで発生。たま流に再構成されており、勢いよく笑い多めで、たっぷりの一席。

 福笑の 2 席目は、麻生総理の漢字の読み間違いを擁護しつつ、米團治はヨネ團治以外にも、コメ團治とも読める、ほかにもマイ團治、ベイ團治、メートル團治、ヤソハチ團治、アメリカ團治。
 いろいろとマクラをつなぎ、自作の「大道易者」へ。縁日の露店に並ぶ易者に見てみてもらう噺。どうにも怪しい易者の「黙って座ればピタリと当たる」の繰り返しがたのしい。飛び降り自殺騒動まで起こって大騒ぎだが、古典の「天王寺詣り」の雰囲気も感じる。


 この師弟ならではの笑いにこだわった 4 席で、たっぷり濃厚な 2 時間半でした。
 とくにたまさんは 2 席ともここ最近の高座のなかでは抜きん出ていて、「ベルゼバブの蝿」にいたってはネタ自体の進化もあり、かなり良かったです。「師匠の前でスベるわけにはいかない」と云う緊張感が良い方向に作用したんではないかと思います。

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花花寄席

2009/2/7 @ヨシモト∞ホール OSAKA

  • 笑福亭笑助 「延陽伯」
  • 桂三四郎 「17 歳」 (作:桂三四郎)
  • 川上じゅん 《腹話術》
  • 桂珍念 「親子茶屋」
    ―― 中入り ――
  • ザ・パンチ 《漫才:海難救助》
  • 笑福亭たま 「宿屋仇」


 先月行ったときは M-1 で優勝した NON STYLE が出演しましたが、今回は M-1 第 9 位のザ・パンチが出演。開場 10 分前に到着するも、待ってる人は誰もいませんでした。逆にびっくり。
 結局、この日の入りは 60 人くらい。


 露払いは笑助。「延陽伯」はまだ演り慣れてないようで、きっちり丁寧に演るも余裕がない感じ。

 つづく三四郎はマクラをいろいろつなぎつつ、教育の話から自作の「17 歳」へ。勉強を教えてもらうことを口実に、好きな女の子を自宅へ呼ぶ噺。クスグリがちょい弱めだが、構成はしっかりできている。階下から母親の「瑛司ぃー!」の連呼がおもしろい。

 川上じゅんは、ホワイトボードを使ったちょっと不思議なネタと、子どものコウちゃんとサルのサリーの人形を使った定番ネタを。

 珍念は「親子茶屋」を、こってりもっちゃりな味付けで、きっちりたっぷり。

 中入りをはさんで登場したザ・パンチは、あまりの反応のなさに戸惑ってる様子。つかみきれないままノーパンチ松尾がパンチ山崎に「おまえ死ねよぉ~」と、海難救助のネタに。ネタに入ると自由度が低いようにも感じるが、松尾の妙なツッコミがおもしろい。

 トリのたまはマクラを振りながら客層をうかがうも把握しきれず「お侍さんが出る噺と、うどん食べる噺と、どっちがいいですか?」「コース料理で云うたら自分はデザートなんか、肉なんか?」。客席からの「肉!」の声で、侍の出てくる「宿屋仇」を。
 宿屋の番頭と兵庫の三人連れとのやり取りが声を殺してマイム風になったり、隣の騒ぎに怒る侍の表情三態が独特だったり、たま流演出が盛りだくさん。笑いも多くたっぷりの高座。


 中トリの珍念さんとトリのたまさんはたっぷり。他のみなさんも彩り豊かな番組で、お値打ちでした。
 たまさんは夜の『福笑一門会』で掛けるネタの試運転をしたかったようですが、ハシゴしそうなお客さんが多かったんで、違うネタを演ってくれました。私もハシゴだったんで、この配慮はありがたかったです。

花花寄席日記
ヨシモト∞ホール OSAKA

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平穏亭 桂あさ吉お噺会

2009/2/6 @Gallery HAY-ON-WYE

  • 桂とま都 「米揚げ笊」
  • 笑福亭生寿 「胴切り」
  • 桂あさ吉 「抜け雀」

※ 第 9 回


 開場過ぎくらいに会場へ到着したんですが、その時点で 10 人ほどのお客さんがこられてて、その後もどんどんどんどん。最終的には 30 人ほどになって大入り満員に。突然スゴい人気です。


 トップのとま都はマクラで師匠の都丸をしくじった話。大師匠のざこばから「なんで俺やなく都丸なんや?」と問われて「ざこば師匠はスゴ過ぎて手の届かない存在なんで」とこたえたところ、そばにいた都丸が「俺はなんや!」。
 「米揚げ笊」は所々でイントネーションが気になるも、全体を通して間がよく、喜六的男のお気楽さがたのしい。観客のウケも上々。

 つづく生寿はとま都と同期ながら、数ヶ月先に入門したと云うことであとの出番に。二ツ目に出るのは初めてだとか。某家電量販店でアルバイトしていた経験を活かし、あさ吉が繁昌亭で録画した自分の高座を DVD にダビングしてあげたところ、そのお礼に今回の出番となったそう。
 「胴切り」は大師匠の松喬から付けてもらったそうだが、表情は師匠の生喬そのもの。いつもながら安定感抜群で、こちらもよくウケる。下半身は扇子と指を使って「軽業」の要領で。サゲは「あんまりお茶飲み過ぎんように‥‥」からの型。

 主任のあさ吉はいきなり「この繁昌亭は‥‥」と間違える。最近の話題から海外公演のエピソードまで、マクラいろいろ。とくに海外公演の話は何度聴いてもおもしろい。
 「抜け雀」は、頼りない宿屋の亭主を「あんたは養子やろ」と尻に敷きまくる女房が秀逸。もちろん亭主の方はあさ吉のニンにぴったりで、トホホ感に妙な説得力が。絵師にもう少し貫禄がほしいところだが、独特のあさ吉ワールドを堪能。


 あいかわらずのんびりした雰囲気のあさ吉さんに癒やされました。ただ、ぼちぼちネタおろしもお願いしたいところです。個人的には、助演は 1 人にして、あさ吉さんにはネタおろしと定番ネタを 1 席ずつ、と云う構成が希望です。
 生寿さんもとま都さんもまだ入門して 2 年ですが、口跡や表情に余裕があります。しっかり稽古されてるからでしょうね。とくに生寿さんはすでに持ちネタが 15 本も上がってるそう。スゴい!

 『平穏亭』は今後、偶数月開催となるそう。次回は 4 月頃の予定です。

桂あさ吉@ブログ
Gallery HAY-ON-WYE

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育っちゃったらくご!

2009/2/5 @天満天神繁昌亭

【俺らにも、やらせてくだせぇ人情噺】

  • 月亭遊方 「ハードボイルド・サザエさん」 (作:月亭遊方)
  • 旭堂南湖 『赤穂義士伝』より「刃傷松の廊下」
  • 桂あやめ 「練炭焚いたらサヨヲナラ」 (作:桂あやめ)
  • 桂三風 「せんたく」 (作:桂三風)
    ―― 中入り ――
  • 桂三金 「鯛 I・II」 (作:桂三枝)
  • 笑福亭たま 「芝浜」
  • 《エンディング》

※ 第 13 回


 できちゃった!メンバーが《人情噺特集》と云うことで、客席はマニア層が大勢を占めるかと思いきや、さにあらず。なぜか課長クラスとおぼしきサラリーマンの姿が目立ちました。入りは 1 階席が 6 割くらい。


 トップの遊方は、修業時代に師匠の妻と母のあいだで嫁と姑の板挟みになったときに師匠が気遣ってくれた話や、できちゃった!メンバーが遊方にだけはいつも励ましてくれる話など、ちょっといい話をマクラに「ハードボイルド・サザエさん」を。大人になったカツオが中島と再会する噺。漫画の設定から生まれる笑いが、徐々にドロドロした大人社会とのアンバランスから発生する笑いに。

 つづく南湖は、《人情》と《刃傷》をうっかり間違った、2 月に忠臣蔵を語るのは別に季節はずれじゃない、ってなことをゆるゆると語りつつ、するすると『赤穂義士伝』の「刃傷松の廊下」のくだりへ。浅野内匠頭が刃傷におよぶ経緯から、緊迫の松の廊下、即日切腹となった浅野内匠頭が割腹する場面を、そこここに笑いをちりばめつつ名調子で。赤穂浪士が決起したところでお時間。

 あやめはマクラで、自分が死にたくなるとき。曰く、ダブル・ブッキングで先輩の噺家に断りを入れなければならないときだそうで、どうしても先延ばしにしてしまうそう。
 「練炭焚いたらサヨヲナラ」は、自殺サイトで知り合った男女 3 人が練炭自殺をはかる噺。とにかく最後の場面がえげつなく、軽自動車のなかが地獄絵図の様相。

 中トリの三風は天神橋筋商店街の御贔屓を(不可抗力で)しくじってしまった話をマクラに「せんたく」を。父と息子の二人暮らしのクリーニング店の親子が、実は本当の親子ではないことを軸とした噺。居酒屋の大将とパートのおばちゃんの笑いをアクセントに、父親思いの息子がいじらしく、三風の人柄がにじみ出たしみじみと良い高座。

 中入りを挟んで、三金はマクラをふらずネタ出ししていた「鯛」と、続編の「鯛 II」を連続口演。
 「鯛」は、活け魚料理店のいけすにきた鯛のロクが、いけすのヌシと云われる鯛のギンギロから生き抜く知恵を授かる噺。ややコンパクトに構成するも、新しいクスグリも盛り込んで。
 「鯛 II」は、海へ逃げ出した鯛のロクが、鯵のパーの案内で伝説の鯛のベガと出会う噺。「鯛」とうまくリンクしているが、さすがに連続口演すると冗長に感じる場面も。

 たまは狂歌「甲斐性なし 恨んでみても 仕方なし 働かざるは 妻の一声」を紹介してから「芝浜」へ。高座を重ねてかなりすっきりとした構成に。たまらしくクスグリもあちこちに。次の句を探るような引っかかりがなくなれば、さらに印象がよくなりそう。

 最後に全員そろってエンディング。恒例のチケット・プレゼントも。


 なんとなく全体的にしんみりした雰囲気に。あやめさんや遊方さんはネタ的にもっとウケてもよかったと思うんですけど、みなさんマクラで人情噺特集であることを強調されるもんですから、おかげで客席が重くなってしまった感がありました。それぞれのネタは十分堪能できましたが、ちょっともったいない気も。
 人情噺としては、ひさびさに聴いた三風さんの「せんたく」がよかったです。番外で、刃傷話の南湖さんも山場を聴かせてくれました。

 次回は 4 月 28 日(火)です。

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上新庄えきまえ寄席

2009/2/4 @春日神社集会所

【桂三幸の三幸にしてください!!】

  • 桂三幸 「平林」
  • 桂さん都 「ろくろ首」
  • 桂三幸 「お忘れ物承り所」 (作:桂三枝)
  • 桂三風 「三年一組同窓会」 (作:桂三風)
    ―― 中入り ――
  • 桂三幸 「千秋楽」 (作:桂三幸)

※ 第 294 回


 最近、私のなかでグイグイおもしろくなってる三幸さんの会があると云うことで、初めて『上新庄えきまえ寄席』へ。老舗の地域寄席で、もうすぐ 300 回を迎えます。
 お客さんは 30 人ちょい。近所の方が 7 割くらいな感じの客層です。


 いきなり主役の三幸がご機嫌うかがい。三枝一門を紹介し、いつもの「教育が悪い」マクラいろいろから「平林」を。丁稚のイチビリ加減がたのしい。「たいらばやしか ひらりんかぁ~」と歌いだしてからがまたおもしろく、“サライ”の替え歌まで登場。サゲは「祭り囃子の練習か?」「ひらばやしの練習です」。

 さん都は弟子修行時代に師匠からほめられたことなかった、毎日怒られていたと吐露してから「ろくろ首」を。やもめの脳天気さやあわてっぷりがさん都にぴったり。口跡も良く、トントントンと心地良い。

 三幸の 2 席目は、電車でのおもしろエピソードをマクラに、三枝作品で「お忘れ物承り所」。ほんわかした雰囲気がのんきな感じでおもしろい。コントラバスを忘れた演奏家やカメラを忘れた家族連れなど、聴いたことないパターンあり。

 ゲストの三風は学校公演で苦労した話から 先日の独演会 に高校の同級生がお祝いに駆けつけてくれたことへとマクラをつなぎ、学校つながりで「三年一組同窓会」へ。高校を卒業して 20 年ぶりの同窓会の噺で、乾杯では観客参加。懺悔のコーナーからちょっとええ話に。

 中入りをはさんで、三幸の 3 席目はマクラから混乱気味でグダグダに。「誰か時間の戻し方知ってますか?」とか、それがまたおもしろかったり。なんとか持ち直して「千秋楽」へ。下戸ゆえに優勝会見をしたくない関取が優勝してしまう噺。角界入りをあきらめさせようとする父親の屁理屈もおもしろいが、いきなり優勝してしまった場面への転換にも思わず笑ってしまう。


 ちょうど 2 時間くらい。三幸さんクラスの噺家さんで独演会形式は荷が重い感じもしましたが、一所懸命のおしゃべりで、まさに 1 年間の総決算と云う感じでした。三幸さんはかなり早口なんですが、それでもほんわかした雰囲気がたのしいですね。
 ただ、ネタ出しされてた「エコロジー」が「千秋楽」に変わってて、その説明もなかったんで、そこらは番組案内をするなどのフォローが必要かと思いました。

 次回は 4 月 18 日(土)に『桂宗助の会』です。

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