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文華・福矢・阿か枝 三人会

2009/4/30 @天満天神繁昌亭

  • 桂佐ん吉 「田楽喰い」
  • 桂福矢 「野崎詣り」
  • 文華・福矢・阿か枝 《座談会》
    ―― 中入り ――
  • 桂文華 「七段目」
  • 桂阿か枝 「竹の水仙」

※ 第 3 回


 以前から気にしつつもなかなか観る機会を持てなかった阿か枝さんが、これまた気になってた文華さんと福矢さんとの三人会と云うことで、行ってみることに。
 とくに文華さんは人気があるとの印象でしたが、入りは 1 階席に 8 割くらい。この会は初めてでしたが、3 人がそれぞれ 1 席ずつだと敬遠される方もあるのかも。


 開口一番の佐ん吉は笑福亭瓶成の代演。「田楽喰い」は兄貴分の家でタダ酒を飲む算段から。かなりええ感じでびっくり。

 つづいて福矢。出てくるなり二日酔いのボヤきはどうかと思うが、年代の近い者同士の会と云うことでか、いままで観たなかでいちばんリラックスした感じ。
 「野崎詣り」はやや乱暴な印象だが、逆に喧嘩の場面には合ってるよう。「はよ終わろ」と云いつつもたっぷり。

 サンケイホールブリーゼでの『なにわ芸術祭』に出演していた阿か枝も、座談会には間に合う。文華の進行で、観客からのアンケートに答える形で。

 中入りを挟んで、文華の「七段目」は、よく聴く吉朝の型とあちこち違ってて興味深い。

 トリの阿か枝は、マクラで師匠の桂文枝の思い出話をたっぷり。初めて聞くエピソードもいろいろ。
 「竹の水仙」は何度か観てるが、心地良い口跡でシュッとした阿か枝に合ってる感じ。


 3 人それぞれ味が違って、しかも上手くて、なかなかおもしろい会でした。次回も期待です。
 それにしても福矢さん、金のこと云い過ぎやと思います。好感度下がるんでは?

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劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎・壊〈Punk〉 『蜉蝣峠』

2009/4/29 @梅田芸術劇場

脚本: 宮藤官九郎
演出: いのうえひでのり
出演: 古田新太、堤真一、高岡早紀、勝地涼、木村了、梶原善、粟根まこと、高田聖子、橋本じゅん、他


 この日はもともと『こごろうの会』へ行こうと思ってたんですが、うっかり寝坊して断念。のんびりと某 SNS を眺めてたら、当日の新感線の公演チケットを安く譲りますよと云う書き込みを発見し、速攻でコンタクトを取って確保しました。こんなんを「瓢箪から駒」って云うんでしょうか。
 シアター・ドラマシティは何度も行ってますが、梅田芸術劇場は初めて。席は 2 階ながら最前列で、ステージからはちょっと遠いですが、全体を見渡せるのは快適。


 物語は、まったく記憶のない闇太郎が町外れの蜉蝣峠で出会った銀之助とともに賭場で栄えるろまん街へ出て、ヤクザの抗争に巻き込まれる、と云う感じ。オープニングはコント風で、序盤はコメディ・タッチで展開するも、過去にろまん街で起こった惨事が徐々に明らかにされ、それとともに緊迫感も増してゆく。
 グイグイ引き込んでおいて最後に謎を残す第 1 幕、過去の惨事が明らかとなり現在とシンクロする第 2 幕と、とにかく脚本の良さが光る。

 古田新太が演じる闇太郎は、存在感があるようでないような、不思議な雰囲気を醸し出しているのが印象的。振り返れば、天晴(堤真一)もお泪(高岡早紀)も、何らかの過去を背負うものからはみな同様の印象を受ける。逆に立派の親分(橋本じゅん)やお寸(高田聖子)、あるいは惨事で視力を失ったがめ吉(梶原善)なんかからはアクの強い存在感が。
 閉ざされた過去の記憶や心の奥底の秘密を抱く者と、そうでない者との対比が明瞭で、そこらあたりの人物描写はお見事。
 途中、橋本じゅん、逆木圭一郎、インディ高橋の劇団員トリオが Perfume ばりのダンスを披露する場面があり、そこだけ扇町ミュージアムスクエアにタイム・スリップしたかのよう。

 舞台装置に目を向ければ、映像を使った演出はお手のもので、イメージを膨らませる効果が絶大。回り舞台を使った転換も効果的だったが、こちらはやや使い過ぎに感じられる場面も。
 なんにせよ、大きな会場だからこそできる舞台演出が芝居にマッチしてて好印象。これまでは「とにかく使ってみました」と云う印象だった派手な演出が、ようやく舞台に溶け込む頃加減になってきたよう。


 いつものように 3 時間を超える舞台となりましたが、飽きることなく最後まで集中して観られました。
 良い脚本、良い演出、良い役者が揃い、舞台装置が華を添えると云う、かなり満足度の高い芝居で、とくに今回はお値段以上の内容だと思わされました。

劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎・壊〈Punk〉『蜉蝣峠』
劇団☆新感線

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育っちゃったらくご!

2009/4/28 @天満天神繁昌亭

  • 笑福亭たま 「寄合酒」
  • 月亭遊方 「迷走配達人」(作:月亭遊方)
  • 桂あやめ 「はてなの茶碗」
  • 旭堂南湖 『難波戦記』より「真田の入城」
    ―― 中入り ――
  • 桂三風 「モレパシー」(作:桂三風)
  • 桂三金 「温泉旅館望洋楼一泊?」(作:桂三枝)
  • 《エンディング》

※ 第 14 回


 ぼちぼち私の花粉のシーズンも終わったようで、かなり楽になりました。とは云え、突発的に鼻水が垂れてくる場合がありますんで、薬を飲んで繁昌亭へ。
 開演直後はちょっと入りが少ない感じでしたが、そのあともパラパラと来られて、最終的には 1 階席に 6 割くらいの入りに。


 トップのたまは、三風の会の打ち上げの席での遊方の大人げない行動をマクラに、酒席(の準備)の噺で「寄合酒」を。持ち寄り物に新聞でくるんだ味噌が入ってるヴァージョン。構成は整理されてるのに、なぜかカミカミ。

 遊方はマクラで下ネタが暴発して意気消沈。気を取り直して「迷走配達人」を。方向音痴の郵便配達員の噺。方向音痴の迷いっぷりがたのしい。

 あやめは楽茶会(上方落語協会茶道部)主催の会で披露する、師匠の文枝が作った茶碗と、それへ米朝に「はてな」と箱書きしてもらう経緯をマクラに、その会で演ることになるかもしれない「はてなの茶碗」を。意外とオーソドックスだが、時の帝のくだりをふくらませて。
 文枝は花月の出番の 15 分枠で実質 13 分で演ってたそうだが、あやめは 20 分程度にまとめて。

 南湖は、落語「くっしゃみ講釈」で講釈師の後藤一山が語る『難波戦記』の誤りについて解説し、落語のように実際に唐辛子をくすべたら‥‥と云う話で観客の興味を引いてから、上手い流れで『難波戦記』の真田幸村の大坂城入城のくだり。笑いを誘う序盤はゆったりと、終盤には修羅場読みもあってたっぷり。

 中入りを挟んで、三風は「喫茶ケルンでなにを注文するか?」を遊方と議論(?)した話から、「人に気持ちを伝える方法はないか?」と云う話へとマクラをつないで「モレパシー」へ。思っていること・考えていることが相手に伝わってしまう男の噺で、漫画『サトラレ』のような設定。無心に語ろうとしてるところに思いがかぶさってくる演出が秀逸。

 トリの三金は師匠の三枝の作品で「温泉旅館望洋楼一泊?」を。秘湯を求めて望洋楼を訪れた男の噺。ほのぼのとムチャを云う望洋楼の老夫婦がおもしろい。

 最後に全員そろってエンディング。遊方はマクラでスベッたことを気にしてか、やたらテンションが低い。次回の『できちゃったらくご!』の招待権プレゼント抽選も。


 やっぱりこの会は 6 席+αで 2 時間半を超えますね。
 どれもおもしろかったですが、とくに中入り後の三風さんと三金さんが興味深かったです。三風さんのは音響が使える会場でないと演れませんが、整理されればかなり笑いが期待できそう。三金さんのは三枝作品だけにネタはしっかりしてるんで、デブネタを組み込んでも良いかも。

 次回は 6 月 25 日(金)です。
 その前に『できちゃったらくご!』が 5 月 11 日(月)に動楽亭で開催されます。次回は全員が新作ネタおろしを演られるそうですよ。

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坂口修一一人芝居 『煙突―完全版』

2009/4/26 @in→dependent theatre 2nd

作・演出: 淵野尚
出演: 坂口修一


 毎週火曜日に 2 ステージの一人芝居を 1 年間つづけた『火曜日のシュウイチ』。そこで上演された「煙突」を完全版として単独上演すると云うスピンオフ企画です。
 会場の in→dependent theatre 2nd は初めてでしたが、雑居ビルの 1 階と云う立地は 1st と同様ながら、天井が少し高い感じですね。キャパは 150 くらいで、7 割ぐらい埋まった感じでした。


【鳥人伝】

 江戸時代に人力飛行を試みて死罪となった建具師・浮田幸吉。彼の生涯を小説化するため、ホテルに缶詰にされた放送作家の男。執筆そっちのけで友達をホテルへ呼び出し‥‥。

 放送作家のモノローグで進行。彼のダメッぷりが堂に入っててたのしい。テンションを上げつつ、ラストで椅子の背もたれの上に立ち上がるシーンが印象的。


【日本の食卓】

 坂口のもとへゲストが遊びにきたと云う設定での対談コーナー。この回のゲストは楠見薫。坂口は楠見が持ってきた筍御飯をほおばりながら、楠見は舞台上をうろちょろしながら。演劇を始めたきっかけや、ふたりが出会った頃の話、はたまた楠見が坂口のことを「さかちゃびん」と呼ぶようになった訳など、ゆるゆるグダグダとたっぷり。


【煙突―完全版】

 とある劇場付きの代役専門の役者、呑み込みの梅。何年かぶりに街へ帰ってきたスリの男、サッちゃん。サッちゃんを兄貴分として慕う梅だが、二人とも寄る年波には‥‥。

 老役者の昔語りがなかなかの雰囲気。ただ、二人の台詞を交互に立ち位置を変えてしゃべる場面は、どうしてもコントっぽく見えてしまう。説明台詞になっても、片一方の台詞に集約して他方の台詞(の半分くらい)は観客に想像させるような演出の方が、シリアスな場面では集中できそう。


 メインの『煙突』は、昭和の空気感が出てて舞台上の雰囲気は良かったと思うんですけど、途中でコントっぽく感じてしまい、そこがちょっと残念でした。
 逆に『鳥人伝』はモノローグで上手く構成されていて、かなり良かったです。椅子の背に立ち上がる演出もグッド。その後、なんで倒れないのか気になって仕方なかったですが。

坂口修一 Official Website
坂口修一の日記

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花花寄席

2009/4/25 @ヨシモト∞ホール OSAKA

  • 林家染太 「手水廻し」
  • 月亭遊方 「飯店エキサイティング」(作:月亭遊方)
  • おしどり 《音曲漫才》
  • 林家花丸 「千早振る」
    ―― 中入り ――
  • 桂かい枝 「野ざらし」
  • 桂坊枝 「火焔太鼓」

※ 第 55 回


 朝からあいにくの雨で心が折れそうになりましたが、顔付けも私好みですし、なにより前売り券を買ってるんで、気力を振り絞ってミナミへ。
 この日は DVD の収録があったんですが、天気のせいで当日券の伸びが悪かったか、入りは 50 人くらい。老人会の団体客が 20 人ほど入ってましたが、どうも招待客だったようです。
 普段なら前方はパイプ椅子が 3 列ほどですが、この日は 5~6 列ほど用意されてました。後方のひな壇席とのあいだには映像収録用カメラが 2 台。
 開演前に若手漫才コンビの十手リンジンによる前説あり。と云っても、諸注意のみでしたが。収録用にネタ出しされてましたが「変更があるかも」とのアナウンス。


 トップの染太はネタ出ししていた「軽業」から「手水廻し」に変更。相変わらず大げさな表情で、笑いの記号としてわかりやすい。

 遊方は某スーパーでの攻防や町の中華料理店でのおもしろエピソードでガッチリつかんでから「飯店エキサイティング」へ。喧嘩の絶えない夫婦経営の中華料理店の噺。喧嘩の様子もさることながら、丼がなくてタッパーに入れて出したり、客に対する適当な扱いがおもろい。

 おしどりは最近ベタなリアクションを多用してて、これがまたおもしろい。おしどりミュージカルは「鶴の恩返し」で、リクエストはせんとくん。

 中トリの花丸はガッツリ手の入った花丸版「千早振る」。「千早振る、ハッ! 神代も聞かず、ウリャー!」に始まって、浪曲になったり歌劇になったり。最後にいたこが出てきてバカバカしさも最高潮に。

 中入りを挟んで、DVD 収録のためか漫才はなしで、かい枝の「野ざらし」。骨を釣ろうと云う男の脳天気さがぴったり。

 トリの坊枝は「前で後輩にウケられると自分の幸せがちょっとずつ減ってるような気がして‥‥」とボヤき、師匠の文枝の思い出話から骨董の話へとマクラをつないで「火焔太鼓」へ。古道具屋の女房のイラつき加減が強烈で、ヘナヘナになる後半もおもしろい。


 『花花寄席』が初めてってお客さんも多かったですが、みなさんええ感じでウケてました。実際、高座からも気合いが感じられましたし、良い会だったと思います。
 毎回ラジオ用に録音されてるんで普段から気は入ってると思いますが、この日は映像収録もあるってことで、とくに得意ネタを持ってきてガッチリって感じでした。どんな感じでパッケージ化されるのかたのしみです。

花花寄席日記
ヨシモト∞ホール OSAKA

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そごう寄席 最初で最後の桂つく枝独演会

2009/4/24 @そごう劇場

  • 桂つく枝 《ごあいさつ》
  • 林家花丸 「狸の鯉」
  • 笑福亭生喬 「鰻谷の由来」 《踊り》「奴さん」
  • 桂つく枝 「四人癖」
    ―― 中入り ――
  • 桂こごろう 「阿弥陀池」
  • 桂つく枝 「井戸の茶碗」


 5 月 16 日に文三襲名をひかえたつく枝さんが、桂つく枝として最初で最後の独演会を開催。しかも脇を固めるのがラクゴリラ・メンバーとくれば、これはもう行くしかないでしょう!
 普段『出没!ラクゴリラ』は 1,500 円で開催されているんですが、この会は前売り 3,000 円。正直、入りが心配でしたが、ほぼ満席でした。


 まずはつく枝がマイクを手に登場し、舞台下手側に立ってごあいさつ。師匠の文枝から「独演会は看板が使うもんで、若手がやるもんやない」と、やるともなんとも云ってないうちから怒られた話に始まって、独演会や襲名に対する思いを。《独演会》と冠した会はこれが初めてだそう。

 落語は花丸が露払い。「狸の鯉」は、冒頭の狸をいじめる子どものアホさ加減など、花丸らしい味付け。
 狸が鯉に《化ける》と云うことから、東京では昇進や襲名の席で掛けられることも多いそう。

 生喬は物の名前の由来についてマクラを振ってから、ご当地ネタで「鰻谷の由来」を。語り口の確かさから「ホンマかいな」なネタにも説得力が。
 短めのネタのあと「奴さん」を踊って会に華を添える。

 つく枝の 1 席目は開口一番「独演会っていいもんですね。楽屋にお菓子の山が‥‥」。
 「きょうは演りたいネタを‥‥」と「四人癖」を。つく枝では初めてだったが、極端な癖の動きが妙に板に付いてて、本当の癖のよう。

 中入りを挟んで、こごろうはテンポ良くマクラを振ってから「阿弥陀池」へ。《阿弥陀がイケ》《糠にクビ》に加えて《デコに小判》《馬の耳にセンベツ》に始まり、独自のクスグリてんこ盛り。終盤、裏の米屋に勤める義弟が死んだと聞いた男の悔やみ方が壮絶。笑いたっぷり。

 つく枝の 2 席目は「井戸の茶碗」。生真面目で頑固なふたりの侍のあいだに立たされた屑屋の困りがたのしい。たっぷりの一席。


 それぞれの得意なところでつく枝さんを盛り立てようと云うラクゴリラ・メンバーの心意気と、それに応えるつく枝さんの一所懸命が伝わってくる、抜群に雰囲気の良い会でした。

桂つく枝の満腹日記
そごう劇場

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桂三風 25 周年独演会 4 月席

2009/4/23 @天満天神繁昌亭

【新作の月】

  • 桂三幸 「男と女の他力本願」
  • 桂三風 「下町通り商店街の人々」
  • 桂あやめ 「サカイに一つだけの花」
    ―― 中入り ――
  • 三遊亭白鳥 「新・あたま山」
  • 桂三風 「せんたく」

※ すべて自作ネタ


 三風さんの毎月独演会へ。今月は新作特集で、ゲストがあやめさんに三幸さん、東京から白鳥さんと、好物が並んでかなり期待してました。
 入りは 1 階席に 7 割ほど。先月よりちょっと減った感じです。


 “上方落語界の最後の砦”三幸は軽いマクラから「男と女の他力本願」は、プロポーズする彼氏と嫌がる彼女の噺。なぜか結婚の行方を競馬に賭けるムリヤリな展開だが、変さがおかしみに。このネタは初めてだったが、あきらかに云い間違いと思われる個所がいくつか。

 あやめは SMAP 草彅剛逮捕に触れて「きょうと云う日にこのネタを演るとは」と、SMAP の“世界に一つだけの花”のパロディでフラワー・アレンジメント落語「サカイに一つだけの花」。花屋の店先に並んだ花の会話劇で、脳天気なアマリリスや、やさぐれたアヤメがおもしろい。

 白鳥は自己紹介で認知度をはかりつつ、人体の不思議をアカデミックに取り入れた「新・あたま山」を。導入は「替り目」みたいだが、飲んだくれの体内に場面転換して内蔵と脳の抗争が勃発。こまかいギャグがてんこ盛り。内蔵を表現する変な所作がそれっぽく見えてくるから不思議。

 三風の 1 席目は、チェーン店のマニュアル対応に物申し、人情・気心の良さを訴えて「下町通り商店街の人々」へ。近くに大型デパートができる商店街の活性化会議の噺。この種のネタは葬儀屋が出てくると俄然おもしろくなる。
 2 席目は「新作でも人情噺を」と作った「せんたく」を。クリーニング店の息子が実は‥‥と云う噺。素朴な笑いと、じんわりしんみりさせるストーリー。三風の人柄の良さがにじみ出る。


 オール新作と云うことで、ちょうど 2 時間でした。
 三風さんは 2 席とも商店街ネタで、商店街の花屋がメインの「下町通り‥‥」のあとに花屋が舞台の「サカイに‥‥」、花の擬人化のあとに内蔵の擬人化と、よくよく考えるとネタ付きまくりでしたが、会全体のバランスが良かったんで OK でしょう。

 次回は【古典の月】で 5 月 13 日(水)です。

さん風のたより

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たまのフレンドリー寄席スペシャル

2009/4/19 @ワッハホール

  • 旭堂南青 『太平記』より「楠木の使者」
  • 笑福亭たま 「火焔太鼓」
    ―― 長崎さわぎ ――
  • 笑福亭たま 「伝説の組長」(作:笑福亭たま)
  • 桂三象 「三象噺」
    ―― 中入り ――
  • 笑福亭たま 「宿屋仇」


 7 階のレッスンルームで開催されていた『フレンドリー寄席』を 5 階のワッハホールに移して《スペシャル》開催。全席指定だったんで、お客さんの集まりものんびりな感じでした。
 たまさんによると(おそらく前売り+予約で)約 170 売れてたそうですから、200 人弱ほど、ホールのキャパの 3 分の 2 くらい入ってました。
 緞帳が上がると 立派な高座 がしつらえられててビックリ。ワッハホールにはこんな本格的なものも用意されてるんですね。


 まずは南青は真っ赤な柄物の着物で登場。楠木正成の話を心地良い口跡で。正成出生の地と云われる千早赤阪村にある郷土資料館の館長から訊いた話を要所に織り込み、笑いを交える上手い構成。

 たまの 1 席目は、マクラでこの会についていろいろ。レッスンルームが毎回満員だったため広いワッハホールに移したが、必要経費を積み上げると満員にならないと儲けが同じくらいにならないそう。番組構成は、自分もソデでたのしみたいため、自分が 2 席演ったあと三象に出てもらうことにしたとか。
 たまの「火焔太鼓」は初めてだったが、随所に手を入れている。とくに三百両の受け取り方・出し方にクスグリ増量で、古道具屋の女房が大金を目の前にしたときのリアクションが秀逸。

 たまが着替えるあいだ、出囃子の「長崎さわぎ」を唄入りで。
 たまの 2 席目は自作の「伝説の組長」。下っ端のヤクザが、修羅場をくぐり抜けてきた組長の替え玉になる噺。組長の修羅場が雲散夢消となれば、替え玉になった下っ端のピンチも雲散夢消。その繰り返しがおもしろい。前半がもうちょっと整理されれば、よりわかりやすくなるかも。

 ゲストの三象は真っ赤な紋付きで登場。たまのリクエストで、この日は漫談。いつもの自虐的マクラから、額縁のテレビ CM に出演した話や、アヒルレースの司会者として某ホテルへ夏休み期間中に泊まり込みで働いた話など。こってり三象ワールドをたっぷり。

 中入りを挟んで、たまの 3 席目は「宿屋仇」。これはすでにかなり繰られていて、とくに侍の怒り三態(叱責・激怒・笑顔)がおもしろい。たっぷりの一席。


 わりとかっちりした印象の会で、たまさんの高座もわりとあっさり。初めてのワッハホールで、《寄席》と銘打ってはいますが実体は《独演会》で、そう云う意識がたまさんの方にもあったのかも。

らくごの玉手箱

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島之内寄席 四月席

2009/4/18 @ワッハホール

【繁昌亭大賞受賞者の会】

  • 林家市楼 「看板の一」
  • 桂吉坊 「宿屋町」
  • 桂三金 「デブのお肉に恋してる」(作:桂三金)
  • 笑福亭銀瓶 「寝床」
    ―― 中入り ――
  • 桂文華 「勘定板」
  • 桂吉弥 「親子茶屋」


 吉弥さんが出ると云うんで早めに前売り券を手配しましたが、案の定、前売り完売で立ち見も出る盛況に。入れなかった方もおられたようです。吉弥ファンが多数詰めかけたようで、蜩紋の T シャツを着た方も。


 トップバッター市楼は「看板の一」をきっちりそつなく。とくに後半はもう少し誇張しても良さそうだが、ここらはバランスが難しいところか。ツボツボで笑いが起こり、良い露払いに。

 輝き賞の吉坊は「宿屋町」を。相変わらず口跡良く安定感抜群だが、時間を気にしてかやや走り気味で、客の方がついていけてない印象。もったいない。

 創作賞の三金はマクラからデブネタ全開で「デブのお肉に恋してる」へ。デブの奥野君がサークルでいちばんかわいいマキちゃんに惚れられる噺。マキちゃんのくしゃみもかわいらしく、男子組と女子側の会話の対比がおもしろい。

 奨励賞の銀瓶は、自分より若い人とカラオケに行ったときの話から、梅沢富美男の“夢芝居”や谷村新司の“群青”でええノドを聞かせ、上手い流れで「寝床」へ。旦那のすね方が子どもみたいでかわいい。独自の工夫もあちこちにあり、独特の軽さが心地良い。

 中入りを挟んで、爆笑賞の文華は方言のいろいろをマクラに「勘定板」を。算盤の上に盛られたナニを見たときの番頭の表情がとにかく秀逸。下ネタだが一見の価値あり。

 大賞の吉弥は、一門の長・米朝が入院した話から、米朝のお供でお茶屋へ行ったときの話、米團治の話へとマクラをつなぎ、完璧な流れで「親子茶屋」へ。わかりにくい言葉はわかりやすい表現に置き換えたり、伝えるための工夫も。若さゆえの軽さは否めないが、そつのない高座。


 中堅若手の番組でしたが、満足度の高い会でした。そのなかでも印象に残ったのが文華さんの《番頭の驚愕の表情》で、これは一見の価値があると思います。さすがは爆笑賞!‥‥と、ハードルを上げたりして。

 次回は 5 月 16 日(土)です。

島之内寄席

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LORDI - DEADACHE Japan Tour 2009

2009/4/16 @なんば Hatch


 フィンランドのモンスター・バンド、LORDI の再来日と云うことで、これは行かねばと、発表からたのしみにしてました。新譜 『DEADACHE』 はキャッチーな曲がなくてガックリだったんですが、改めて聴いてみるとドライヴ感のある曲が多く、狙いを変えてきたんかなとか思ったりも。
 いつものように 某後輩 にチケットの手配をお願いしてたんですが、なんだかんだで公演 1 週間前くらいの購入になってしまいました。それでも入場整理番号が 200 番台と云う状況にガックリ。なんば Hatch はキャパ 1,500 くらいあるのに‥‥。
 で、当日開場入りすると、ロビーは人もまばらでのんびりした雰囲気。物販にもお客さんは 2~3 人で、なのに欲しかったデザインの T シャツは売り切れでガックリ。
 フロアーへ行ってみると後方はつぶされてて、実質キャパ 600 くらいのところに 300 人程度の入りでした。もったいないなぁ‥‥。
 開演前はずっと KISS の曲が流れてました。


 新譜のオープニング SE からファースト・トラックでショウがスタート。メンバーはみな前回来日時より凝った衣装で、ミスター・ローディ〈Vo〉はやたら底の厚いプラットホーム・ブーツ。音がデカいわりに音割れが少なく、分離も良好で各パートを聴き取りやすい。なかでもヴォーカルがしっかり聴き取れるのに好感。ヴィジュアルはともかく、曲はポップなハード・ロックなだけに、メロディー・ラインが聴き取れることは重要。
 ミスター・ローディはサービス精神満点で、煽りまくったあとでも曲の終わりでは「オオキニ!」を忘れない。“Who's Your Daddy?”の曲紹介が「アンタノ、トーサン、ダレ?」には爆笑。そんなとこまで日本語で云わんでも。
 曲のあいだのほとんど意味のない小芝居がおもしろく、あんな衣装なのにさらにコスプレっぽく衣装や小道具を付けてきたり、見た目でたのしめるのもポイント。そんななかでもやはり“Devil Is A Loser”でミスター・ローディが背負ってきたコウモリの翼が、曲にもマッチして最高にカッコ良い!
 アンコールの“Would You Love A Monsterman”、“Devil Is A Loser”、“Hard Rock Halleluja”のたたみかけは圧巻。大団円。


 トータル 90 分のセットでしたが、大満足でした。客入りが悪かったことだけが残念で、なんとももったいない思いです。ヴィジュアルだけで敬遠されてる方がいるなら、目をつぶってても良いんで聴きにきてほしいですね。

LORDI

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THUNDER - 20 Years & Out, The Japanese Farewell Tour

2009/4/15 @心斎橋 CLUB QUATTRO


 落語会のチケットを買いに行くときに THUNDER の再解散情報をキャッチし、あわてて発売中の前売り券を手配しました。一度解散してるんでバンドの求心力は確実に弱まったと思いますし、私自身もチケット買うてから「別にここで停止するバンドを観にいかんでも‥‥」との思いが日増しに強くなってました。でもまぁ安くないチケット買ってるわけですし、迷いを断ち切って会場へ。
 開場に遅れたにも関わらずテーブル席に座れてラッキーでした。QUATTRO はキャパ 300 くらいですが、この日はフロアーにテーブルが出されてて、確実に 300 切ってたと思います。その状態でええ感じの満員。


 開演時刻を 10 分ほど過ぎてから AC/DC の“Thunderstruck”が流れだし、メンバーが出てきて“She's So Fine”でショウがスタート。座って観てるとメンバーの顔がチラチラ見える程度だが、相変わらずダニー・ボウズ〈Vo〉は歌も煽りも上手い。他のメンバーの演奏も安定感抜群で、音量が大き過ぎないのもグッド。
 新譜(未聴)からの曲も、いつものレパートリーに混じっても違和感なく、あらためて THUNDER の芯がここに至ってもぶれてないことを感じさせる。
 今回はハリー・ジェイムズ〈Ds〉のお遊びコーナーもなく、ラストの“Dirty Love”まで約 90 分のセット。さよなら公演にしてはあっさりした終演に観客は帰るに帰れず、客電がついて場内アナウンスが退場を促しても「THUNDER」コールが続く‥‥。


 セットがやや短めだったことを除いて、ショウの内容としてはかなり満足度の高いものでした。ただ、再解散を宣言する必要があったのかはいまでも疑問です。メンバーにはいろいろと事情があるんでしょうが、あれだけのショウを提供してくれるんですから、アルバム制作はせずとも何年か毎にツアーをすると云う活動スタイルでも良いように思います。これでもう観納め・聴き納めかと思うと残念でなりません。

THUNDER

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文楽 4 月公演

2009/4/12 @国立文楽劇場

【国立文楽劇場開場 25 周年記念】

  • 寿式三番叟ことぶきしきさんばそう
  • 通し狂言 義経千本桜よしつねせんぼんざくら
    • 初段
      • 堀川御所の段
    • 二段目
      • 伏見稲荷の段
      • 渡海屋・大物浦の段
    • 三段目
      • 椎の木の段
      • 小金吾討死の段
      • すしやの段
    • 四段目
      • 道行初音旅
      • 河連法眼館の段

※ 第 114 回


 今回は国立文楽劇場開場 25 周年記念と云うことで開場記念公演と同プログラムとなっているそうです。注目は『義経千本桜』の通し狂言で、落語ファンには落語「猫の忠信」の元ネタで有名な演目です。
 通しで観るために日曜日の公演を取りましたが、いつもどおり昼はほぼ満員、夜は 8 割入りって感じ。とくに今回は第 2 部(『義経千本桜』三段目以降)は終演が 21 時を過ぎるため、日曜日の公演は敬遠されるのかもしれません。


 いつもは開演前におこなわれる三番叟も、今回は『寿式三番叟』として本舞台で賑やかに。桐竹勘十郎の操る三番叟の片割れがコミカルで笑いを誘う。

 『義経千本桜』は通し狂言と云うことだが、初段の前半は省略。時間の都合もあろうが、鼓の由来を端折ってもええの?との素朴な疑問。
 ここでも狐忠信を操る勘十郎が大活躍。「伏見稲荷の段」では舞台を駆け回って狐から忠信への早替わり。「河連法眼館の段」では早替わりに加えて宙乗りと、獅子奮迅ならぬ狐奮迅。
 個人的には、本筋と直接関係のない三段目は抜いても良いかと思うも、人情味あふれる展開と、落語「七段目」で引用される「常が常なら梶原が‥‥」の台詞もあり、やはり落語ファンとしては必修!?!? 四段目の、「道行初音旅」の切なさと華やかさ、「河連法眼館の段」の外連のダイナミズムに圧倒される。


 本公演はとにかく「勘十郎さんがスゴい!」に尽きると思います。あんなん観たら「勘十郎さんがおられるあいだはなんでもできるんちゃう?」とみな思うんじゃないでしょうか。幕見で四段目だけでも十分たのしめると思いますので、お勤め帰りにでも寄ってみてください。(幕見に関しては劇場へお問い合わせを)

 本公演は 4 月 26 日(日)までです。

国立文楽劇場

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花花寄席

2009/4/11 @ヨシモト∞ホール OSAKA

  • 桂三幸 「十徳」
  • 桂三若 「ひとり静」(作:桂三若)
  • 小泉エリ 《マジック》
  • 林家小染 「試し酒」
    ―― 中入り ――
  • 矢野・兵動 《漫才》
  • 桂文華 「打飼盗人」

※ 第 53 回


 『花花寄席日記』「4 月 11 日はこれまでになく前売り券が出ているそうです」 なんて書かれてたんであわてて前売り券を買ったんですが、整理番号は 10 番でした。「釣られた!」って云うか「普段どんだけ売れてないねん!」って思ってしまいました。まぁ顔付けええから良しですけど。
 で、実際は 40 人弱くらい。これまで私が行ったなかでいちばん入ってませんでした。
 でも、今回からごあいさつを兼ねたコラムと番組紹介が印刷されたパンフが用意されていました。A4 サイズのコピー用紙 1 枚物ですが、こんなものでもあると違いますね。むき出しだったスタジオ後方も黒幕で隠されていて、雰囲気作りを意識しだした感じです。ラジオ収録が始まって会を続けようと云う前向きな意志が感じられます。
 ラジオ収録と云いますと、開演直前にスタッフの前説で「携帯電話オフ」「余計な物音を立てない」「拍手」なんかのお願い。お茶子代わりの黒子もそうですが、理解はできるんですけど、落語会の雰囲気にはそぐわないように思います。


 まずは三幸が露払い。相変わらずマクラがおもしろい。たっぷりのマクラのあと「十徳」を、トントントンと軽快に。

 三若は相変わらずのマシンガン・トーク。東京と大阪の比較をマクラに「ひとり静」へ。大阪へ転勤してきた東京人を飲み屋へ誘った大阪人を描写した噺で、大阪人の「ツッコめよー!」に既視感。

 マジックの小泉エリは衣装が替わり、黒の T シャツにミニスカートで、ダンサーのミキティ&フーちゃんと合わせた感じに。トークのユルさもたのしい。

 中トリの小染は酔っぱらいの小咄を酔態高座入りで紹介してから得意の「試し酒」を。五升の酒を飲もうと云う下男の徐々に酔っぱらう様子がいつもながらお見事。
 帰り際に「酔ってませんよ」とフォロー。

 中入りを挟んで、漫才の矢野・兵動。矢野の声の張り方がスゴい。そして客の引っ張り込み方が上手く、ネタもおもしろい。兵動が小ネタのオチで噛んだら、すかさず矢野が「ブログに書くなよ! スベらへん男やぞ!」と、いまどきのフォローも。

 トリの文華はマクラで泥棒のいろいろとその呼び名の由来を虚実ない交ぜで紹介してから「打飼盗人」を。長屋の男と盗人の立場が逆転していく過程がおもしろい。泥棒ネタを得意とする笑福亭三喬とはまた違った味わい。


 内容的にはなかなか満足度の高い会でした。枠組みにもうちょっと気遣いがほしい気もしますが、これは会を続けていくなかで改善されていくことを願います。
 矢野・兵動のライヴは初めてでしたが、やっぱりおもしろいですね。花花寄席は時間枠を長めに取ってるんで、リラックスした感じも良かったと思います。

花花寄席日記
ヨシモト∞ホール OSAKA

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月亭遊方のカジュアル古典

2009/4/9 @動楽亭

  • 月亭遊方 《ごあいさつ》
  • 月亭遊方 「寄合酒」
  • 林家花丸 「ナイモンガイ」
    ―― 中入り ――
  • 遊方・花丸 《対談》
  • 月亭遊方 「干物箱」

※ 第 1 回


 遊方さんが古典の会をスタート。今後は古典は『カジュアル古典』で、新作は『ゴキゲン落語会』で演ることになるそうです。ちなみに、『ゴキゲン落語会』は時間が長過ぎることを注意されたため、8 月からはゲストなしになるそうです。
 で、初開催の『カジュアル古典』は入りが読めなくて心配したそうですが、ザッと 40 人くらい入ってました。


 まずは遊方がごあいさつ。番組紹介から探りさぐりな感じで、落語との出会いや古典の会を始めたきっかけなどをたっぷりめに。
 師匠の八方が最近、クスグリを付け加えたりせず古典をそのまま演るようになり、その肩の力の抜けた高座をおもしろく感じたそう。自分自身も古典をたのしめるようになってきて、古典に取り組むようになったそう。目標は「算段の平兵衛」を演ること。

 いったん降りて仕切り直し、遊方の 1 席目「寄合酒」は林家染丸に付けてもらったそう。飲み会を仕切る男がまわりの連中のスカタンにキレまくる、かなりハイテンションな演出。とくに後半が凄まじく、すりこぎとわさびおろしを取り間違えるくだりの繰り返しがメチャクチャおもろい。

 ゲストの花丸は「ナイモンガイ」は、天神橋筋商店街編、お初天神通り編(うめだ花月閉館にともないお蔵入り)につづく第 3 弾。もちろん新世界編で、ボギーとキヨシがジャンジャン横丁から新世界界隈をぐるっと回って動楽亭へ。この日がネタおろしで、初演でも十分おもしろかったが、クスグリが繰れてくればまだまだ笑いのレベルは上がりそう。

 中入り後の対談は、次のネタのマクラと云う位置付け。「干物箱」は道楽者の若旦那が出てくる噺と云うことで、ハマっているものやこだわっているものなどの話を。遊方の研究によると、最近はマニアックなものにこだわってる者ほど需要があるとのこと。
 花丸のこだわりは手拭い。同業者からもらうことも多いが、店先で見かけるとついつい買ってしまい、自宅には 200 枚以上あるそう。この日はそのなかから一部を持参。着物の色や柄との取り合わせや、ネタのイメージに合わせて手拭いをチョイスし、ちょっとしたところでお客さんにもたのしんでもらいたいとの思いだそう。
 遊方も負けじと手持ちの手拭いをいくつか紹介。ネコやギターなど、好きなものを公表してると、お客さんからその柄の手拭いをプレゼントされることも多いそう。

 遊方の 2 席目の「干物箱」は、江戸落語から自分で台本を起こし、笑福亭鶴志に見てもらったそう。
 謹慎させられている若旦那が「風呂屋でも行ってくるか?」と外出を許可されたとき、膝隠しが落ちそうになるほど大興奮。声色の得意な本屋の善兵衛が調子に乗る様子がなんともたのしそう。
 時間の単位が 30 分や 1 時間で、噺の内容と時代が合わないようにも思うが、わかりやすさ優先の改訂だろう。


 落語 3 席はどれもたっぷりでおもしろく、チラシになかった対談やオープニング・トークもあり、かなりお得で満足度の高い会でした。
 3 ヶ月に 1 回のペースで開催予定だそうですが、このままでいくと 2 年で古典のストックがなくなるそうです。遊方さんご本人は「見切り発車で始めました」と云われてましたが、徐々に新ネタも仕込んでもらいたいと思います。

 次回は 7 月頃の予定です。

遊方 FOR YOU!

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きん枝のがっぷり寄席

2009/4/6 @天満天神繁昌亭

  • 桂きん枝 《ご挨拶》
  • 桂三若 「妄想ノート」(作:桂三若)
  • 柳家喬太郎 「竹の水仙」
  • 桂きん枝 「天神山」
    ―― 中入り ――
  • きん枝・喬太郎 《対談》(司会:桂きん太郎)

※ 四番勝負


 昼席を終えてから、花見がてらぶらぶらと時間をつぶしてから、ふたたび繁昌亭へ。
 夜席も 1 階席はほぼ満席で 2 階席に若干の空席と云った状況。最近の夜席の入りを考えると上々でしょう。


 まずは会主のきん枝がご挨拶。喬太郎が桂春團治の会にゲスト出演したときが初対面で、楽屋での堂々としたたたずまいと白髪、さらに高座の上手さに大師匠と思い、事務所を通じて依頼したが、桂あやめの「私より年下ですよ」にびっくりしたそう。

 落語はきん枝の甥弟子の三若が露払い。全国武者修行の話から上手い具合に同級生の話へとつないで「妄想ノート」へ。久しぶりに出会った同級生の家でその男のノートをのぞき見ると‥‥って噺。ノートにツッコみつつ、ちょっとホラーな展開が意外。

 喬太郎の登場に、会場のあちこちから声が掛かる。軽いマクラでほぐしてから「竹の水仙」へ。上方のそれとは細部で構成の違いが見られるが、それよりなにより人物のキャラクター付けや会話のふくらませ方が喬太郎ならではで、クスグリもてんこ盛り。
 卑屈に平伏する世話役に侍が「おまえは柳家権太楼か!」と一喝すると客席好反応で、遠方からの観客の多さをうかがわせる。爆笑でたっぷりの一席。

 きん枝は喬太郎がウケまくったあとで演りにくそうだったが、マクラで空気を変えてから「天神山」を。ネタおろしと思われるが、長丁場でダレることもなく、じっくり丁寧な語りに好感。

 落語を終えて、中入り後は対談コーナー。司会にきん太郎を据え、開演前に観客からもらったお題でおしゃべりすると云うスタイル。選ばれたお題は「東京の粋 大阪の粋」「師匠と弟子」「お稽古」「人工衛星」。対談と云うよりはテーマ・トークの様相で、きん枝は喬太郎から話題を引き出すよりも、自分のおもしろエピソードを連発。
 「人工衛星」からの流れで、きん枝が「上方落語界のテポドンを用意しました」と紹介すると、藤あや子の“むらさき雨情”が流れて桂三象がいつもの正装で登場。もちろんフル・コーラス踊りきる。喬太郎はどうリアクションして良いやら困惑気味。三象は 16 時に楽屋入りし、喬太郎に見つからないよう隠れてたそう。
 さらにきん枝の「こんなんでも踊れますか?」と流されたのは、喬太郎の“東京ホテトル音頭”。頭を抱える喬太郎。きん枝があやめから CD を紹介されたと告げると、喬太郎は「普段こんなことは先輩に云わないんですが‥‥サイテーな女ですよ」。楽屋へ遊びにきていたあやめが袖から顔を出して「コラッ!」。


 たっぷり 2 時間半ほどあり、対談コーナーも盛りだくさんで、満足度の高い会でした。きん枝さんのコンセプト「たっぷりめのネタを 1 席ずつ、がっぷり」と云うのが功を奏していると思います。喬太郎さんがお目当てのお客さんも多かったと思いますが、みな満足できたんではないでしょうか。
 喬太郎さんの「平成元年入門ですよ」にきん枝さんはおののいてました。キャリアが自分の丁度半分ですから、おどろくのも無理ないですね。

 次回は 7 月 6 日(月)、ゲストは笑福亭鶴瓶さんです。

落語家 桂きん枝の初めての子育て

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繁昌亭昼席

2009/4/6 @天満天神繁昌亭

  • 森乃石松 「鉄砲勇助」
  • 林家笑丸 「看板の一」
  • 桂出丸 「替り目」
  • 幸いってん 『寛政力士伝』より「雷電と小野川 遺恨相撲」(曲師:一風亭初月)
  • 森乃福郎 「手水廻し」
  • 笑福亭鶴志 「野崎詣り」
    ―― 中入り ――
  • ミヤ蝶美・蝶子 《漫才》
  • 柳家喬太郎 「擬宝珠」
  • 笑福亭生喬 「野ざらし」 《踊り》「五段返し」
  • 桂梅團治 「佐々木裁き」

※ 第 133 週


 もともとこの日の夜席に柳家喬太郎さんが出演と云うことでチケットを買ってたんですが、よく考えると「夜席に東京の噺家さんが出られるときは昼席にも」と云うパターンが多いんで、調べてみると案の定。即座に繁昌亭カードのポイントで予約しました。
 平日の昼席はひさしぶりでしたが、1 階席はほぼ埋まるも 2 階席は空席あり。いわゆる《繁昌亭バブル》もぼちぼち落ち着いてきたようです。


 石松、笑丸、出丸と、いつもどおりまったりと。

 色物は浪曲の幸いってん。初めてだったが、なかなかシュッとした男前。座って唸るのはいつもと違って演りにくかろうが、雰囲気たっぷりで浪曲のリズムも心地良い。
 演し物は講談でおなじみ『寛政力士伝』より「雷電と小野川 遺恨相撲」と題し、「雷電の初相撲」のくだりを。横綱・谷風に弟子入りした雷電の初土俵の相手が、因縁のある小野川部屋の八角。筋立てを知ってると理解しやすく、心地良いリズムに身をゆだねる。雷電と八角ががっぷり組んだところでお時間と、ここらも講談と同趣向。

 福郎は「手水廻し」をあっさりと。

 中トリの鶴志は腰痛だそうで、整骨院へ寄ってから繁昌亭入りし、痛み止めも飲んだがほとんど効果がないと、かなりつらそう。それでも春團治に稽古を付けてもらったときの話をマクラに「野崎詣り」をたっぷりと。意外にも喜六のとぼけた表情や困った様子がたのしい。

 中入りを挟んで、ミヤ蝶美・蝶子の漫才。蝶子のキツいツッコミがこわおもろい。蝶美の「てーい!」もお約束。最後は野菜の 1 から 10 でまとめる。

 お待ちかねの喬太郎が登場すると、会場のあちこちから「待ってました!」の声が掛かる。禁煙ブームに物申してから「擬宝珠」へ。ちょっと気持ち悪い噺だが、概ね好反応。熊五郎が若旦那の枕元で「女じゃないんですか‥‥じゃあこの噺は『崇徳院』じゃねえな」や「ミカンが喰いてえんですか?」など、マニアックなクスグリは昼席の客には反応薄め。

 生喬は「野ざらし」をコンパクトに、おまけで踊り「五段返し」を。

 緋毛氈が敷かれ、トリの梅團治は高速道路料金割引の話に始まって、いろいろとマクラをつなぎながら上手い具合に子どもの話へと着地してから「佐々木裁き」へ。やわらかい語り口で子どももかわいらしく、後半の四郎吉の生意気さもたのしい。丁寧にたっぷりの一席。


 お目当ての喬太郎さんはもちろん、中トリ以降は充実で、なかなかの満足度の昼席でした。とくに幸いってんさんが拾い物で、こんな出会いが寄席の醍醐味ですね。

天満天神繁昌亭

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らくご道 笑福亭生喬と桂こごろうの落語会

2009/4/3 @上方亭 (ワッハ上方 小演芸場)

  • 笑福亭生寿 「豆屋」
  • 笑福亭生喬 「相撲場風景」
  • 桂こごろう 「はてなの茶碗」
    ―― 中入り ――
  • 生喬・こごろう 《対談:夕焼け日記》


 会議が長引いてバタバタと移動し、開場直後に滑り込み。舞台が客席側へ 60 cm ほど迫り出してました。
 開演の頃には 40 人近くに‥‥と、いつもの『らくご道』の入り加減。


 生寿は「豆屋」をきっちりテンポ良く。無頼漢の怒声に近い呼び声はさすがに師匠の生喬には及ばないが、ムチャな値切りに困る豆屋は生寿の方が合ってる感じ。

 生喬はいつものようにマクラたっぷり。雑誌の執筆依頼をいくつかこなした話や、高校時代に相撲が必修科目だった話、初めて曙と会ったときの話など。相撲にしても野球にしても落語にしてもライヴ感が大事で、ライヴだと興奮するってな話から「相撲場風景」へ。エピソード全部入りで、興奮して肩車してる子どもを放り投げてしまう男の珍しいエピソードも。テンション高い。

 こごろうはマクラでブランド物のバッグについて私見を披露し、物の値打ちにまつわる噺を‥‥と「はてなの茶碗」へ。油屋を前面に押し出した演出で、油屋の感情・心情の起伏を大きく。ワチャワチャしたこごろうらしい一席に。

 中入りを挟んでトーク・コーナー。
 松喬門下では一門会なんかの落語会で「相撲場風景」や「勘定板」は御法度だそう。稽古を付けてもらうようなネタではなく、みな聞き覚えだとか。この日はエピソード全部入りで演ったが、普段は 3 つほどピックアップして演るのが適当とのこと。こごろうはマクラを引っ張れるだけ引っ張って「ジョンジョロリン」のところだけ演ったりすることもあるそう。
 こごろうの「はてなの茶碗」は師匠の桂南光に付けてもらい、この日が 2 回目の口演だったそう。桂枝雀が「はてなの茶碗」を登山にたとえて「米朝のは茶金の方から登った山で、南光のは油屋の方から登った山」と評したそう。その表現で云うと、桂九雀は「茶碗の方から登った山」。
 そのほか「愛宕山」や「崇徳院」の、一門や演者による演出の違いなど。


 最後のトークはいつもその日のネタについて話されますが、この日は演出の違いについていろいろ話されたのが興味深かったです。

 次回は 5 月 14 日(木)です。

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福笑と異常な仲間たち アブノーマル人物伝

2009/4/2 @天満天神繁昌亭

  • 笑福亭たま 「胎児」 (作:たまよね)
  • メグマリコ 「メス動物園」
  • 笑福亭福笑 「ちしゃ医者」
    ―― 中入り ――
  • メグマリコ 《昭和の歌》
  • 笑福亭福笑 「憧れの甲子園」 (作:笑福亭福笑)

※ Vol. 2


 福笑さんがお気に入りの芸人を迎える会の第 2 弾。今回は『お茶子のブルース』で主演されたメグマリコさんがゲストです。
 1 階席はほぼ満席ながら、2 階席は空席があったよう。福笑さんの企画でもフルハウスにならなくなってきたとは‥‥。


 トップのたまは、マクラでメグマリコや福笑のおもしろエピソードを。「きょうの出演者では私がいちばんノーマル」って、どの口が!?!?
 「胎児」は妊婦のおなかのなかの双子の噺。最近よく掛けてることもあってか、構成もまとまっててトントントンとテンポ良く。モールス信号で「お~ま~え~は~あ~ほ~か~」のあとに「きょ~ちょっと~あ~ついな~」のおまけ付きは関西ならでは。

 メグマリコは初めての落語と云うことで、やや緊張気味。落語会に出させてもらえることになった経緯に福笑との関係を絡めながら笑いを取り、あらためて落語へ。
 「メス動物園」は「動物園」のアレンジ版で、ちょっとイタいマリコが移動動物園のトラの仕事を世話してもらう。トラの着ぐるみを着る場面でクルクルッと着物を脱ぐと、トラ柄‥‥ならぬヒョウ柄のレオタードに早変わりと云う趣向。檻のなかでウロウロ‥‥の場面ではストリップさながらの動きも。

 福笑の 1 席目は、電車でムカついたあれこれや、スッピンのメグマリコの話など、マクラたっぷり。
 「マクラとはぜんぜん関係ない噺を」と「ちしゃ医者」へ。毎度のことながら、とにかく汚いババの海。随所に注釈を入れるのは観客に息継ぎさせるためか。

 中入りを挟んでメグマリコのものまねコーナー。黒のドレスに着替えてマイクを手に桂銀淑の曲を歌いながら登場し、若井小づえ、松田聖子、中森明菜のものまねを解説付きで。
 ここでサプライズ。黒のドレスに身を包んだ三女美のシルクとこっこがトランペットを手に登場。三人漫才の様相で、メグマリコの歌う“テネシーワルツ”の替え歌にシルクがツッコむスタイル。こっこはレツゴー三匹で云うところの長作の役で、横手でニコニコしてるだけでほとんどしゃべらない。せめてシルクにはマイクがほしかった。

 福笑の 2 席目は、三笠フーズと美少年酒造の裏金問題や高校球児の相手校侮辱問題などの時事ネタをマクラに「憧れの甲子園」へ。甲子園出場を果たすも 1 回戦で敗退した高校の打ち上げでの監督を描写した噺。グラスの日本酒を飲み干したあとのリアクションが秀逸。監督ひとりで笑う・怒る・泣くの三上戸、最後は大トラになってしまう監督に爆笑。


 福笑・たまの師弟コンビのアブノーマルさは想定の範囲内でしたが、メグマリコさんもやっぱりアブノーマルでした。芝居で共演していた桂あやめさんのアドバイスもあったみたいです。
 福笑さんは笑いの小ささをしきりに気にされてましたが、観客は十分たのしんでたと思います。ただ、メグマリコさんのファンで落語会は初めてってお客さんも多かったと思いますから、そんな方たちは最初はちょっと戸惑ってたのかもしれませんね。

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