初春文楽公演

2011/1/9 @国立文楽劇場

【第 1 部】

  • 寿式三番叟ことぶきしきさんばそう
  • 傾城反魂香けいせいはんごんこう
    • 土佐将監閑居の段
  • 染模様妹背門松そめもよういもせのかどまつ
    • 油店の段
    • 蔵前の段

【第 2 部】

  • 鶊山姫捨松ひばりやまひめすてのまつ
    • 中将姫雪責の段
  • 傾城恋飛脚けいせいこいびきゃく
    • 新口村の段
  • 古鍛冶こかじ

※ 第 121 回


 正月興行らしく、わかりやすい演目をおいしいとこ取りでズラリ。

 第 1 部の『傾城反魂香』は、手水鉢の仕掛けがお見事。文楽にしてはめずらしい、めでたしめでたしなラストもたのしい。

 第 2 部の『傾城恋飛脚』は地元の奈良が舞台で、それだけで興味を引く。以前にも観たが、子を思う親の気持ちにグッと来る。

 正月公演は 10 日まで休憩時に手拭いまきがあり、第 1 部でゲット! 春から縁起が良い。


国立文楽劇場

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錦秋文楽公演

2010/11/21 @国立文楽劇場

【第 1 部】

  • 一谷嫰軍記いちのたにふたばぐんき
    • 陣門の段
    • 須磨浦の段
    • 組討の段
    • 熊谷桜の段
    • 熊谷陣屋の段
  • 伊達娘恋緋鹿子だてむすめこいのひがのこ
    • 八百屋内の段
    • 火の見櫓の段

【第 2 部】

  • 嬢景清八嶋日記むすめかげきよやしまにっき
    • 花菱屋の段
    • 日向嶋の段
  • 近頃河原の達引ちかごろかわらのたてひき
    • 四条河原の段
    • 堀川猿廻しの段

※ 第 120 回


 今席は『伊達娘恋緋鹿子』の「火の見櫓の段」が見もの。落語「七段目」でもおなじみだが、舞台中央に据えられた火の見櫓の梯子段が客席側に設えてあり、お七がこの梯子段を昇る。仕掛けは単純だが、見応えあるイリュージョン。


国立文楽劇場

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夏休み文楽特別公演

2010/8/1 @国立文楽劇場

【第 1 部 親子劇場】

  • 文楽へのご案内
  • 雪狐々姿湖ゆきはこんこんすがたのみずうみ
    • 崑山の秋
    • 猟師源左の家より冬の湖畔

【第 2 部 名作劇場】

  • 夏祭浪花鑑なつまつりなにわかがみ
    • 住吉鳥居前の段
    • 内本町道具屋の段
    • 釣船三婦内の段
    • 長町裏の段
    • 田島町団七内の段

【第 3 部 サマーレイトショー】

  • 菅原伝授手習鑑すがわらでんじゅてならいかがみ
    • 寺入りの段
    • 寺子屋の段
  • 日本振袖始にほんふりそではじめ
    • 大蛇退治の段

※第 119 回


 第 1 部は 8 割入り、第 2 部は補助席も出る大入り、第 3 部は 5 割入り。日曜の夜とは云え、第 3 部の入りがなんとももったいない。

 第 1 部の『雪狐々姿湖』は狐の嫁入り話で、昔話のような内容でわかりやすいが、子ども向けかはどうかと云うとチと疑問。

 第 2 部は『夏祭浪花鑑』をたっぷり。「長町内の段」で、桐竹勘十郎が操る団七が、義平次の仕打ちに耐える様子が真に迫って圧巻。

 第 3 部は、有名な『菅原伝授手習鑑』と、派手な『日本振袖始』。とくに『日本振袖始』は舞踊の趣で、単純に観てたのしめる演目。ここでも勘十郎が大活躍。

 素人ながら、かなり満足度の高い公演。


国立文楽劇場

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4 月文楽公演

2010/4/25 @国立文楽劇場

【吉田簑助文化功労者顕彰記念】

  • 妹背山婦女庭訓いもせやまおんなていきん
    • 初段
      • 小松原の段
      • 蝦夷子館の段
    • 二段目
      • 猿沢池の段
    • 三段目
      • 太宰館の段
      • 妹山背山の段

    • 二段目
      • 鹿殺しの段
      • 掛乞の段
      • 万歳の段
      • 芝六忠義の段
    • 四段目
      • 杉酒屋の段
      • 道行恋苧環
      • 鱶七上使の段
      • 姫戻りの段
      • 金殿の段

※ 第 118 回


 千秋楽と云うことでか、第一部も第二部も結構な入り。

 今回は平成遷都 1300 年にちなんで、奈良が舞台の『妹背山婦女庭訓』を通しで。大化の改新の頃の話で、藤原鎌足と蘇我蝦夷子・入鹿親子の対立が主軸。
 とにかく長い。第一部が 11 時に始まって、第二部の終わりが 21 時前。もちろん間に休憩や入れ替え時間もあるが、これでも導入部と、終盤(蘇我入鹿が討たれるくだり)はカット。第一部と第二部のそれぞれに山場を持ってくるため、やや変則的な構成に。
 第一部の山場は最後の「妹山背山の段」で、上手側と下手側の両方に床が設置され、吉野川を挟んで互いに相手を想う久我之助と雛鳥の心情を掛け合いで。
 第二部は、男女の想いと入鹿討伐が絡む流れで、最後はムチャな結末。
 王代物(時代物)だが、世話物的な側面もあり、あらすじが入っていると比較的理解しやすい印象。個人的に飛鳥時代への興味があることも理解につながってるかも。


国立文楽劇場

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初春文楽公演

2010/1/11 @国立文楽劇場

【国立文楽劇場開場二十五周年記念】

【第 1 部】

  • 二人禿ににんかむろ
  • 彦山権現誓助剣ひこさんごんげんちかいのすけだち
    • 杉坂墓所の段
    • 毛谷村六助住家の段
  • 壺坂観音霊験記つぼさかかんのんれいげんき
    • 土佐町松原の段
    • 沢市内より山の段

【第 2 部】

  • 伽羅先代萩めいぼくせんだいはぎ
    • 竹の間の段
    • 御殿の段
  • お夏清十郎 寿連理の松ことぶきれんりのまつ
    • 湊町の段
  • 日高川入相花王ひだかがわいりあいざくら
    • 渡し場の段

※ 第 117 回


 第 1 部はほぼ満席、第 2 部は 7 割入りくらい。

 『二人禿』は華やかな舞い。
 『彦山権現誓助剣』は時代物で、事前にパンフレットを読んだだけではかなり複雑な印象を受けたが、実際にはそれほどでもなく。
 『壺坂観音霊験記』は途中まではとてつもなく重苦しいが、壺坂観音が登場してからは一転しておめでたい話に。初春公演にふさわしい演目。

 一方、『伽羅先代萩』は子どもがむごたらしく殺されると云う凄惨な話で、とても正月向けとは云い難い。殺された子どもの仇を討つも、それ自体も後味悪し。
 『>お夏清十郎 寿連理の松』はムチャクチャな展開の世話物。死人が出ないだけ救いかも。
 『日高川入相花王』は豊松清十郎の操る清姫が圧巻。

 地元・奈良が舞台と云うこともあって『壺坂観音霊験記』が好感触。『日高川入相花王』も通しで観てみたい。


 1 月 24 日(日)まで。14 日(木)は休演。15 日(金)より第 1 部と第 2 部の演目を入れ替え。

国立文楽劇場

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錦秋文楽公演

2009/11/8 @国立文楽劇場

【国立文楽劇場開場二十五周年記念】

【第 1 部】

  • 心中天網島しんじゅうてんのあみじま
    • 北新地河庄の段
    • 天満紙屋内の段
    • 大和屋の段
    • 道行名残りの橋づくし

【第 2 部】

  • 芦屋道満大内鑑あしやどうまんおおうちかがみ
    • 大内の段
    • 加茂館の段
    • 保名物狂の段
    • 葛の葉子別れの段
    • 蘭菊の乱れ

※ 第 116 回


 第 1 部は団体も入ってほぼ満席、第 2 部は 6 割ほどの入り。第 2 部は当日でも前方の席を確保できそう。

 『心中天網島』は、道行だけを取り上げると儚さに文楽ならではの趣きが感じられるも、それにいたる過程、妻子がありながら遊女の小春に入れ上げる紙屋の治兵衛、それを許す妻のおさんに共感できず。

 『芦屋道満大内鑑』の「葛の葉子別れの段」は、落語「天神山」の後半の下敷きになった部分で、落語ファンなら幕見ででも観ておきたいところ。
 落語では狐が障子に書き残した句が「恋しくば たずねきてみよ 南なる 天神山の 森の中まで」とされているが、文楽では「恋しくば たづねきてみよ 和泉なる 信田の森の うらみ葛の葉」となっている。


 公演は 11 月 23 日(月)まで。11 月 13 日(金)より第 1 部と第 2 部の演目を入れ替え。

国立文楽劇場

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夏休み文楽特別公演

2009/7/19 @国立文楽劇場

【国立文楽劇場開場二十五周年記念】

【第 1 部 親子劇場】

  • 五条橋ごじょうばし
  • 文楽へのご案内
  • 化競丑満鐘ばけくらべうしみつのかね
    • 箱根先化住居の段

【第 2 部 名作劇場】

  • 生写朝顔話しょううつしあさがおばなし
    • 宇治川蛍狩りの段
    • 明石浦船別れの段
    • 浜松小屋の段
    • 嶋田宿笑い薬の段
    • 宿屋の段
    • 大井川の段

【第 3 部 サマーレイトショー】

  • 天変斯止嵐后晴てんぺすとあらしのちはれ
    • 第一 暴風雨
    • 第二 窟の中
    • 第三 浜辺
    • 第四 森の中
    • 第五 元の窟の中
    • 第六 元の森の中
    • 第七 元の窟の中

※ 第 115 回


 夏休みの文楽公演は 3 部構成で、とくに第 1 部は子ども向けに比較的わかりやすい演目があります。しかも今年は第 3 部にシェイクスピア作品が用意されてて、ちょっと毛色が違いますね。
 1 日かけて通しで観ましたが、第 1 部はほぼ満席、第 2 部は 9 割入り、第 3 部は 7 割入りって感じでしょうか。土曜日と云えど、やっぱり文楽は昼間の方が入ってます。


 第 1 部は『五条橋』から。牛若丸と弁慶の立回りで、ストーリーがわからなくてもたのしめる演目で、華やか。
 『文楽へのご案内』は、簡単な解説から体験コーナー。今回は 3 人遣いではなく 1 人遣いで簡単な立回りを。小学生の奮闘ぶりは、観ててもたのしい。
 『化競丑満鐘』は、妖怪がいろいろ出てきて単純な話かと思いきや、世話物の様相。ストーリーはやや無理があるものの、ろくろ首がとにかく見もの。

 第 2 部の『生写朝顔話』は世話物。「嶋田宿笑い薬の段」では、毒薬を飲まそうとして逆に笑い薬を飲まされてしまう、なんともおマヌケな展開。おもしろいが、笑い話で済まされるのか?との疑問も。
 最後はちょっと良い展開。死人が出ないのは、文楽としてはめずらしいかも。

 第 3 部の『天変斯止嵐后晴』は、シェイクスピアの『テンペスト』が原作。緞帳が上がると三味線方がずらりと並び、三味線と琴の演奏で「暴風雨」を表現。これはなかなかの演出。
 ザックリ云うと「国政の絡む兄弟喧嘩」で、方術(魔術)やら妖精やらが登場し、なんとも不思議な雰囲気。ただ、舞台が森林や洞窟で絵的に暗く地味な印象。最後はあっさり和解してハッピーエンド。


 第 1 部と第 3 部は約 2 時間、第 2 部は約 4 時間で、入替えや休憩を含めて約 10 時間の公演でした。相変わらず長い‥‥。
 やはり第 2 部が良かったと思います。人間関係もさほど複雑ではなかったですし、初心者でも理解しやすい筋立てだと思います。第 1 部や第 3 部は、内容は理解しやすいと思いましたが、めずらしい演目と云うことでマニア向けな印象でした。

国立文楽劇場

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春狂言 2009

2009/5/3 @大槻能楽堂

  • お話:茂山あきら
  • 筑紫奥つくしのおく 出演:茂・童司・丸石
  • 子盗人こぬすびと 出演:千之丞・あきら・網谷
  • 寝音曲ねおんぎょく 出演:千作・千三郎

※ 第 1 日目 夜の部


 初狂言。思ってた以上に台詞も聞き取れ、ある程度ストーリーも把握できる。

 人間国宝の千作は、立ったり座ったりこそ後見の介添えが入るも、台詞はしっかり客席まで届く声量。


お豆腐狂言 茂山千五郎家
能 狂言 ホームページ

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文楽 4 月公演

2009/4/12 @国立文楽劇場

【国立文楽劇場開場 25 周年記念】

  • 寿式三番叟ことぶきしきさんばそう
  • 通し狂言 義経千本桜よしつねせんぼんざくら
    • 初段
      • 堀川御所の段
    • 二段目
      • 伏見稲荷の段
      • 渡海屋・大物浦の段
    • 三段目
      • 椎の木の段
      • 小金吾討死の段
      • すしやの段
    • 四段目
      • 道行初音旅
      • 河連法眼館の段

※ 第 114 回


 今回は国立文楽劇場開場 25 周年記念と云うことで開場記念公演と同プログラムとなっているそうです。注目は『義経千本桜』の通し狂言で、落語ファンには落語「猫の忠信」の元ネタで有名な演目です。
 通しで観るために日曜日の公演を取りましたが、いつもどおり昼はほぼ満員、夜は 8 割入りって感じ。とくに今回は第 2 部(『義経千本桜』三段目以降)は終演が 21 時を過ぎるため、日曜日の公演は敬遠されるのかもしれません。


 いつもは開演前におこなわれる三番叟も、今回は『寿式三番叟』として本舞台で賑やかに。桐竹勘十郎の操る三番叟の片割れがコミカルで笑いを誘う。

 『義経千本桜』は通し狂言と云うことだが、初段の前半は省略。時間の都合もあろうが、鼓の由来を端折ってもええの?との素朴な疑問。
 ここでも狐忠信を操る勘十郎が大活躍。「伏見稲荷の段」では舞台を駆け回って狐から忠信への早替わり。「河連法眼館の段」では早替わりに加えて宙乗りと、獅子奮迅ならぬ狐奮迅。
 個人的には、本筋と直接関係のない三段目は抜いても良いかと思うも、人情味あふれる展開と、落語「七段目」で引用される「常が常なら梶原が‥‥」の台詞もあり、やはり落語ファンとしては必修!?!? 四段目の、「道行初音旅」の切なさと華やかさ、「河連法眼館の段」の外連のダイナミズムに圧倒される。


 本公演はとにかく「勘十郎さんがスゴい!」に尽きると思います。あんなん観たら「勘十郎さんがおられるあいだはなんでもできるんちゃう?」とみな思うんじゃないでしょうか。幕見で四段目だけでも十分たのしめると思いますので、お勤め帰りにでも寄ってみてください。(幕見に関しては劇場へお問い合わせを)

 本公演は 4 月 26 日(日)までです。

国立文楽劇場

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初春文楽公演

2009/1/5 @国立文楽劇場

【第 1 部】

  • 花競四季寿はなくらべしきのことぶき
    • 万才
    • 海女
    • 関寺小町
    • 鷺娘
  • 増補忠臣蔵ぞうほちゅうしんぐら
    • 本蔵下屋敷の段
  • 夕霧 伊左衛門 曲輪文章くるわぶんしょう
    • 吉田屋の段

【第 2 部】

  • 新版歌祭文しんぱんうたざいもん
    • 座摩社の段
    • 野崎村の段
    • 油屋の段

※ 第 113 回


 文楽の正月公演は 3 日が初日で、10 日までは休憩時間にまき手拭いがあります。あわよくば手拭いゲット!を夢見て期間中に、しかもお客さんが少なそうな平日に行ってみました。
 入りの方は、第 1 部は 9 割くらい、第 2 部は 6 割くらいでした。舞台の上には正月恒例の にらみ鯛 が鎮座ましましています。


 『花競四季寿』は四季をイメージした舞踊。とくに冬の「鷺娘」が美しく、途中で春の息吹を感じさせる衣装へ変わるところも見どころ。夏の「海女」に出てくる蛸もたのしい。

 『増補忠臣蔵』は、松の廊下で高師直(吉良上野介)に斬りかかった塩谷判官(浅野内匠頭)を抱き止めた加古川本蔵(多胡外記)の後日譚。最後は日本人好みの展開。

 『曲輪文章』(表記は「文章」で一文字)は、放蕩者の伊左衛門と遊女の夕霧太夫の話。とにかく夕霧が美しい。吉田屋の襖が松・竹・梅となっていて、おめでたさを演出。

 『新版歌祭文』は落語「愛宕山」でチラッと出てくるお染・久松の話。休憩を抜いても 4 時間近くあり、かなり長い。とくに「野崎村の段」はたっぷり。その「野崎村の段」では桂春團治の出囃子ともなっている曲が最後に演奏される。
 桐竹勘十郎の操る久三の小助がとくにすばらしく、性根の悪さが出まくり。


 寝不足もあって意識朦朧としまくりでしたが、要所で感じ入る場面があり、たっぷり堪能した感じでした。とくに勘十郎さんの人形は圧巻でした。
 第 1 部と第 2 部の間に、毎度お世話になっております T 先生に連れられて楽屋へ。そこで吉田和生さんに夕霧の頭を持たせていただきました。頭だけでもかなりの重量があり、さらに豪華な着物を着せて操ることを考えると、人形遣いもハードな肉体労働ですね。

国立文楽劇場

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